2006年09月23日

NFL、NFL、NFL……

  待ちに待ったNFLの2006-07シーズンが開幕して、今週末の試合で第3週に入る。
  NFLは各チーム1週間に1試合しかないとはいえ、全部で32チームもあるものだから、試合数は、バイウィーク(試合のないチーム)を除いても毎週14試合にのぼる。僕はそのうちだいたい4、5試合を見るのだが、これがけっこう大変なのである。
  まず、単純にアメフトの試合は長い。基本的にNFLの試合は1クォーターが15分、全4クォーターで60分なのだが、ずっと時計が動いているわけではないので、4時間くらいはかかる。もちろん、白熱した試合であれば時がたつのも忘れるのだけども、にしても1週間にこれを4回も5回もやるのはなかなかつらいものなのだ。
  まして、だらだらやっているにせよ僕にも仕事がある。だからそれだけの試合を見るとなると、時間を捻出するだけでもけっこう大変なのである。ビデオに録って見るときには、夜に前半を見て、後半は次の日の午前中に見るなどということもたびたびだ。
  もひとつつらいのが、結果をわかった上で見なければならないことである。スポーツファンのこのサイトの読者ならわかると思うが、結果を知ってから見る試合ほどつらいものはない。自分のひいきのチームが勝った場合はまだいい。負けた場合はわざわざやられるのを見るのだ。ある意味マゾヒスティックですらある。
  それでも見ずにはおけない、そんなプレミア感というかなんというか、見なければ損しますよ、という感じの雰囲気がNFLにはある。
  個人的には、アトランタ・ファルコンズ、ニューオリンズ・セインツ、カロライナ・パンサーズ、テネシー・タイタンズなどの南部のチームを応援している。
  ファルコンズとセインツなどは2連勝でシーズンを開けたが、これからどうなるかはわからない。序盤が良くても後半ガクンと落ちることも往々にしてある。また逆に、序盤が悪くてもカムバックする場合も少なくない。
  フットボールとは、NFLとはそんなスポーツリーグだ。だから、眠い目をこすりながらも、見逃すことが出来ないのだ。

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2006年09月19日

元西武投手・東尾氏、アパッチ新社長としての第一歩

  西武ライオンズで通算251勝を挙げた大投手・東尾修氏を新社長に、ヘッドコーチは昨シーズンに続いてジョー・ブライアントを据え、チームのプレースタイル自体もアップテンポで観客を飽きさせない――。
  首都のチームだということを抜きにしても、東京アパッチというチームはbjリーグで最も華やかなチームだ。
  そのアパッチが17日、2006-07年シーズンへ向けて最初の合同練習を有明コロシアムで行った。一般にも公開されたこの練習には、50人ほどのファンが訪れていた。50人という数が多いか少ないかはわからないが、3連休のど真ん中に訪れたファンというのは、やはり熱心な人たちなのだろう。
  東尾新社長もさっそくその場に足を運んでいた。短い間ではあったが、僕はさっそく東尾氏にインタビューを試みた。笑顔で応じてくれた同氏は、「野球と違って(コートと)観客との距離が近いね」と興奮気味に語った。
  感心したのは、東尾氏はチームの練習を見るよりも、むしろ訪れていたファンと積極的にコミュニケーションを交わすことに時間を割いていたことだ。この日は、アパッチの選手が以前開いたバスケットボールクリニックに参加した少年たちが来ていたのだが、東尾氏が彼らを熱心に話をしている光景は印象的だった。

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 「今日来てくれた人を開幕戦に招待したいくらい」と東尾氏は語ったが、実際、それくらいしてもいいと思う。
  東尾氏が社長に就任してまだ1週間しか経っていないものの、大場康弘選手が「気さくで話しやすい」と言うように、とりあえず新社長とチームの関係は良好のようだ。
  首都のチームとして、東京アパッチにかかる期待は大きい。元野球選手だろうがなんだろうが、とにかくアパッチとbjリーグへの注目度を高め、観客を増やせばいいのである。
  JBLとは対照的に、外人枠を設けないなど、bjリーグには規制というものが少ない。そして、日本のバスケットボールの進化と国際化を進めるべく様々な試みをしようと日々心血を注いでいる。
  25日には韓国KBL王者のサムスン・サンダースと「2006bj-KBLチャンピオンシップゲームズ」を開催する。同リーグの挑戦は止まることを知らない。バスケをメジャーにするためならなんでもやってやる――そんな気概すら感じられる。
  元プロ野球選手を球団社長に据えたアパッチは、そんなリーグ流の「なんでもあり」なやりかたを忠実に守っただけなのだろう。
  ただ、プロ野球で長年やってきた東尾氏にとっては言うまでもないことであろうが、プロとは結果が求められるところだ。どれだけ頑張った、これだけ汗をかいたと言っても、客が集まらねば失敗なのだ。
  なんで元プロ野球選手がバスケチームの社長なんだ――。そんな声のほうが、現時点では多いように思えるが、後にそんなセリフを吐いた者たちを後悔させるほどの仕事を、東尾氏には期待したい。


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2006年09月12日

東京アパッチ、東尾新社長への不安

プロ野球からプロバスケへ

 bjリーグ、東京アパッチの新社長に元西武ライオンズ投手の東尾修氏が就任した。あいにく他の仕事のために会見には赴けなかったが、その内容やコメントは同球団の広報に聞いた。
 その広報氏によると、去年からこれまで社長を務めてきた山田朋一氏の体調が良くなく、社長の座から引くことを決めた。そして後任には誰がいいかと、同リーグの会長・木村育生氏に相談したところ、同氏と親交の深い東尾氏に白羽の矢が立った、というのがことの流れらしい。
 東尾氏は元プロ野球選手。しかも通算251勝もしている、いわば大投手のひとりである。当人も会見で述べたように、バスケという競技に関する知識はほとんどないらしい。
 とはいいつつ、僕は畑の違う業界からの社長就任が必ずしも間違っているとは思わない。プロリーグのプロチームなのだし、東尾氏という知名度がある人物の名を借りようという意図も悪いとは思わない。
 問題はむしろ、これからどうするか、である。プロ野球という、プロスポーツリーグのなかで知り得たノウハウをまだ誕生間もないbjリーグに生かすことができるなら、それはいいことだ。
 しかし一方で、日本のプロ野球に他のスポーツに転嫁できるほどのノウハウがあるのかどうか、疑わしいという気持ちもある。また、東尾氏自身もプロ野球にいたといっても、あくまで選手や監督としてであって、経営面や演出面に関わってきたわけではないから、bjリーグで直接的に腕を振るうことは難しいのではないかとも思ってしまう。

bjリーグに保守的な人物は必要か

 2年ほど前だったか、深夜のテレビ討論番組に東尾氏が出ていたのを思い出した。そのときのテーマは、選手の大リーグ流出や視聴率低迷などの危機に瀕する日本プロ野球に関してだった。
 パネリストは東尾氏も含めて約10名ほどで、そのなかには選手、や元選手以外の、芸能人や知識人なども入っていた。彼らはファンを惹きつける斬新なアイディアも提案していたが、東尾氏はそのほとんどの拒否反応を示していたのを覚えている。非常に保守的な人物だなと思った。
 だから正直、こう危惧してならない。本当に東尾氏でいいのか、と。
 保守的なのが悪いというわけではないが、少なくともbjリーグのような、日本のバスケを変えていこうとしているリーグの球団社長に適当ではないのではないだろうか。失敗や挑戦を恐れない、そんな人物が良かったのではないだろうか。
 だが、僕の見た討論番組から時間はだいぶ経っている。それから氏が様々なことを経験してきたとも限らない。結果として、僕の予想を裏切る大胆な「社長ぶり」を見せてくれれば、歓迎したい。

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2006年09月08日

バスケットボール世界選手権 決勝ラウンド 取材日記4

 6年前、埼玉県所沢市に祖父母を訪ねるためにバスに揺られていると、広い道路に架かる大きな歩道橋と、そこに掛けられた横長の垂れ幕が見えてきたのを今でも覚えている。

 「2006年 バスケットボール世界選手権 開催」

 垂れ幕にはそう書かれていた。しかしその時は、2006年などという年はまだまだ遠い先のことのように感じ、さして深く考えていなかったと思う。バスケットボールは好きだったが、しかし、日本で世界選手権というのはどうもピンとこなかった。なぜなら、日本のバスケは世界と大きな差があったからだ。
 だが、はたして、バスケットボール世界選手権の開催時期はあっという間に訪れ、そしてあっという間に終わっていった。
 数年前から、日本で開催されるこの大会はぜひ取材したいと思っていた。そして実際にできた。そのことはとても幸運だったと思うし、感謝すべきことだと思っている。
 しかし、である。あっという間に大会が終わってしまったのは、バスケットボール取材に没頭できたからかと言えば、残念ながらそうではない。どちらかというと、4年に一度のバスケットボール世界一を決める大会という、この国のバスケットボール界にとって千載一遇のチャンスを、何もできずに終えてしまった焦燥感がもたらした感覚から来るものだ。
 自分自身にもよくわからないので、この問いを皆に問いかけてみたい――2006年のバスケットボール世界選手権は成功裏に終わったか?
 コート上だけを見れば、そうだったと思う。日本代表は惜しくも予選リーグを突破できなかったとはいえ、史上最多24カ国が参加した今大会は、改めて世界のバスケットボールのレベルが急激に上がっていることを示した。この競技はもはや米国だけのものではないことを、再確認する大会となった。その部分では、この大会は成功であった。
 しかしその質の高いプレーを、一般の人々に、子供たちに、的確な形で伝えることができたかという部分では、失敗だったとしか言うしかない。


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地上波放送なしという不思議

 まずもって、なぜ地上波での放送がないのだろうか。 TBSが日本代表と決勝戦だけを深夜枠で放送した。だが冗談はやめてほしい。富士山かなにかの火口にダンクをするという大仰なCMを流しておいて、実際に放映するのはわずか数試合。そんな中途半端な放送の仕方をするくらいなら最初から全部しなければいい。
 スカイパーフェクTV(スカパー)が全試合中継? 世の中でスカパーに加入している人がどれだけいるかしらないが、日本の全人口から考えればさしたる割合にはならないだろう。スポーツが好きな人は専門チャンネルを視聴できるスカパーに入っているかもしれない。スポーツが好きな人にとっては、スカパーなどによって世界中のスポーツ番組を見られるようになったのは感謝すべきことである。
 だが、バスケットボールというスポーツの普及と発展を考えたときに、FIBAや日本の組織委員会はこの競技にまだ馴染みのない人をも惹きつけるということを何よりも優先して考えるべきではなかったか。もし真摯にそう思うならば、スカパーに全試合を放映させてもあまり大きな波及力を期待できないのはわかっていたはずだ。
 スカパーは莫大な放映権料を払ったのかもしれない。あるいは民放放送局がバスケットボール世界選手権では視聴率が取れないと考えたのかもしれない。だがこの競技の発展を本当に鑑みていれば、もっとやりようがあったような気がしてならない。
 もしスカパーが最も多くのお金を払ったから放映権を得た、というのであれば、至極安易な決め方だったと言わざるをえない。
 最もベストなのは、民放が放映に二の足を踏んだならば、NHKが放送することである。NHKは公共放送だから視聴率に左右されないし、日本の津々浦々で視聴することができる。もしNHK総合で放映が無理というのであれば、衛星放送(BS)でもいい。衛星放送は95年の野茂英雄に始まる日本人選手の大リーグ挑戦で、かなり視聴者数を伸ばしてきた。スカパーよりもその数はずっと多いはずだ。
 新聞や雑誌に記事を書く、いわゆる「ペン記者」である僕が言うのも変だが、スポーツはやはり映像、テレビの力が大きい。なぜなら人々は、実際に選手が動く姿を見てプレーの印象を脳に刻み込み、楽しむからだ。
 スポーツとは、まず視覚的に感じなければそのすごさはわからないもの。ドゥエイン・ウェイドが驚異的な跳躍力を見せた、と書かれてあるのを紙面や誌面で読んでも、本当にその意味を理解することはできない。「驚異的な」はあくまで書き手の主観であって、他の人が見ればもしかしたらそうではないかもしれないからだ。
 しかし映像は違う。ウェイドが跳ぶのを見てそれを驚異的な跳躍だと感じれば、それは何よりも、他人に押し付けられた感覚ではなく、その人自身の感覚だから問題はない。
 その点ではペンの力というのは限られているし、多くの場合、記録も含めて補足的なものでしかない。だから、正直、テレビでやらなければ意味がないのだ。 

「チケット完売」の不思議

 では実際にアリーナへ行って見ればいいではないかと言われれば、その通りだ。しかしここにももうひとつの問題があった。チケットが取れないという問題だ。
 グループリーグでは、米国が入っている札幌のグループDが最もチケットの売れ行きが良く、大会前にすでに完売してしまったと発表された。主催者側は即座に追加販売に踏み切ったが、これもすぐに売れてしまった。
 ところが実際に大会が始まって札幌へ行くと、空席がかなりあるではないか。いったいどういうことか。一番人気の米国の試合でさえそうだ。


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 おそらく、企業や支援者に対しての「招待券」なるものが相当数配られたに違いない。でなければ、こんなことは起こるはずがないからだ。
 確かに、お金を出してくれる協賛者や支援者は重要な存在だ。バスケットボール世界選手権といえども巨大なカネが動くビジネスである。しかし、そのお金を生み出すのは一般の人々、この場合一般のバスケットボールファンであることも事実ではないだろうか。
 きれいごとを言っていると思うなら、思えばいい。だがビジネス重視のやり方は、確実にこの競技の発展を阻害している。
 おそらく多くのファンが、生で世界のプレーを目にしたかったにも関わらず、チケットが売れ切れてしまったおかげで希望が叶わなかったのだろう。ではテレビで見ればいいではないか、と言われれば、地上波での放送はほとんどない。せっかくの日本開催のバスケ世界選手権も、見る手段がないのである。
 このような状態で、もし本当にこの競技の普及と発展を考えていたのならば、おかしな話だといわざるを得ない。見ることもできない競技を、子どもが始めたいと思うだろうか? 答えは断じてノーだ。



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日本は万全の体制でバスケ世界選手権を開催したのか

 冒頭にも述べたように、試合自体には何の問題もなかった。世界全体のレベルが上がり、もはや米国一辺倒の時代は完全に終わりを告げた。どの国のどの選手も、国を代表するという誇りを胸に、本来ならオフシーズンである真夏に、熱い戦いを繰り広げた。
 米国のマイク・シャシェフスキーヘッドコーチは、アルゼンチンとの3位決定戦後にこう言った。「もうこれからは五輪や世界選手権を連覇するようなチームは出てこないだろう。毎回、優勝チームが変わるだろう」と。
 真実である。それだけ、世界のバスケットボールのレベルは上がった。連覇するチームが本当にこの先出てこないならば、それは喜ばしいことだ。それだけ、どこが勝つかわからない楽しみをファンは味わえるのだから。
 そう考えれば、今回の日本での世界選手権は、これから始まるバスケットボールの群雄割拠の時代の幕開けを象徴する意味のあるトーナメントだったのかもしれない。だが、せっかく重要な意味を持つ大会の主催国となっても、そこに住む人々がほとんど試合を目にすることができなかった、というのではあまりに粗末で、虚しい話である。
 決勝ラウンドのさいたまスーパーアリーナの記者室には、次期開催国となるトルコの赤いパンフレットが積まれていた。まだ4年あると言えども、準備は早いほうがいい。トルコのやる気というものを感じさせる、見事な真紅のパンフレットだった。
 果たして、日本は同じような準備と努力をしたのだろうか……。
 主催者側は全力を注いだというだろうが、ファンはそう思ってないかもしれない。

 個人的に、僕はまだ30歳代に入ったばかり。FIBAが今回の世界選手権をどう見たかはわからないが、もし機会をもらえるなら、死ぬまでに、今一度、日本で世界選手権が開かれるのを見てみたい。
 無論、日本代表チームがもっと世界と渡り合えるようになり、ぬかりない準備のもとで運営がなされ、そして多くの人が感動を共有できるような状態で、である。




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2006年09月02日

バスケットボール世界選手権 決勝ラウンド 取材日記3

 米国が勝てなくなってきたのはここ最近に始まったことではないのはわかっているが、それでも、改めてこう思うのである。ああ、バスケットボールは本当にワールドワイドなスポーツになったんだな、と。
 それほど、今日の米国対ギリシャの試合は鮮烈な印象を、僕の脳に刻み込んだ。
 それは簡単に言うと、飛びぬけた身体能力を持つ米国の、NBAのスターたちをもってしても、磨きに磨かれたギリシャのチームワークには勝てなかったのだ。
 チームワークだけではない。精神的な強さや成熟度も、もしかしたら足りないのかもしれない。レブロン・ジェームズやドゥエイン・ウェイド、カーメロ・アンソニーなど若い選手が多い米国は、勝っているとき、乗っているときはいいが、劣勢に立たされているとき、精神的に不安定になったときはもろいのではないかと思わせるところがあった。

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 ギリシャとの試合だけを見て言ってしまえば結果論でしかないが、この日の米国は、あまりにミスを多く犯してしまった。見ていた人にはわかるだろうが、内容的ではスコア(101-95)以上に完敗だった。
 試合後、米国ヘッドコーチのマイク・シェシェフスキーは「我々にはもっと世界のバスケットボールを学ばねばならない」と言ったが、それは思う以上に難しいことなのかもしれない。なぜなら、他の国々も進化し続けているからだ。
 今回、米国のアシスタントコーチを務めているマイク・ダントーニ(現フェニックス・サンズヘッドコーチ)は、現役時代にNBAでプレーしていたが、イタリアでも13年プレーしていた。
 ダントーニは欧州を中心とした世界のバスケットボールの進化、上達のスピードを、「われわれ(米国)よりも速いだろうね」とグループリーグ中に語ったが、本当にそうなのだろうと今日は改めて思った次第である。
 あるいは技術やチームワークだけではないかもしれない。気持ちの上でも、欧州や南米の選手はもはや米国の選手に臆することはなくなったように見受けられる。
 象徴的なプレーがあった。今日の試合、第3Qの半ば、ギリシャのGディミトリオス・ディアマンティディスはトップ・オブ・ザ・キーあたりでマッチアップしていたジェームズをドリブルで釘付けにし、咄嗟に3点ショットをフェイダウェー気味に放ち、見事それを沈めて見せた。結果論ではなく、ここでこの試合の勝負は決していたような気がする。
 NBAのトップスターを相手にまったく物怖じせず、向かって行くプレーぶりは「爽快」、あるいはワンランクアップして「痛快」と言うしかなかった。

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 とはいいつつ、試合全体を見ればやはりギリシャのチームとしての力が米国の個々の力を上回ったというのが正解だろう。
 「前も言ったが、バスケットボールはドリブルやシュートだけではないんだ」と、ギリシャのヤナキスヘッドコーチは試合後の会見でコメントしたが、あの“超大国”の米国をかくも堂々と打ち破って決勝に進出したのだから、その言葉も、紀元前のギリシャの哲学者、アリストテレスのように深く染み入ってくるというものだ。

 追記:ダントーニは、今回の世界選手権はアシスタントコーチであるため若干肩の荷が軽いのか、ジョークばかり飛ばしていた。札幌でのグループリーグ、対イタリア戦の前に「イタリアの印象は?」と聞かれたダントーニは、「イタリアはねえ、おいしいピザとスパゲティがあるんだよね。あっ、イタリアのチームのことかい? 僕はてっきり国のことかと思ったよ」とニヤニヤしながら話していた。
 また、普段のサンズでのヘッドコーチ職と今回の米国代表のアシスタントコーチの仕事はどう違うのか、という質問にも間髪を入れず、「えっとだね、タオルをコートの選手に投げ与えて、それを片付けることかな」とわけのわからないことをのたまいながら記者たちをからかっていた。
 正直、このおっさんと話すのは楽しい。
 でも間髪を入れずにこんなジョークを飛ばせるというのもおかしい。きっと、そんなことを聞かれるだろうと思って、前もって用意していた答えなのかもしれない。いや、絶対そうだ。アシスタントコーチに指名されたときに、もう考え付いていたに違いない。間違いない。
 でも、さすがのダントーニのおっさんも、今日のギリシャ戦の敗戦はショックだっただろうな……。


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