2006年08月18日
世界バスケよりも高校野球?! in札幌
札幌――。アイヌ語で「川の流れる街」という意味の言葉から名づけられた街だ。 このブログの第1回目原稿をここから書いているのは、何か不思議な感覚である。 僕が今、札幌にいるのはバスケットボール世界選手権の取材で訪れているからである。最初だからまずは挨拶程度にとどめておこうかなと思ったが、せっかく4年に1度の世界大会に来ているのだから、さっそくそれに触れてみたいと思う。 高校卒業まで育った北海道に到着したのは昨日、8月17日だった。新千歳空港から電車に乗り、札幌駅に着いてまず僕が見たのはバスケ世界選手権のポスターやノボリではなく、全国高校野球選手権大会に出場している駒大苫小牧対東洋大姫路の試合の行方に、駅構内のテレビモニターの前で手に汗握る人だかりの山だった。
僕が札幌に来るのは約1年4か月ぶりとはいえ、駒苫が一昨年、昨年と夏の甲子園を連覇し道民の大きな期待を集めているのは知っていた。だが、これほどまでとは。 そう思いながら僕はバスケ世界選手権・グループDの会場である北海道立スポーツセンター(通称・きたえーる)に向かうと、ここでも、ロビーのテレビで駒苫の試合を熱心に見ている人がいる。 ぬぅ……。ここで育った者として、僕も駒苫の活躍に喜ばないわけではないが、かといってこちらも楽しみにしてきたバスケ世界選手権に、これほどまでに市民、道民が関心を寄せていないのもちょっと心苦しい部分がある。 僕よりも、初めて札幌に来る外国人の記者たちのほうが驚いたかもしれない。「おい、バスケの世界選手権があるというのに、なんで市民はこんなに盛り上がってないんだ?」と、イタリアの記者から僕は尋ねられた。 知らねいよこの野郎、と江戸弁でもかましてやろうかと思うほど僕にも良くわからないこの札幌の現象だが、ここは落ち着いて、「あのね、今ね、夏の甲子園という日本で一番有名なアマチュアのトーナメントが行われているんだ。北海道の代表チームは去年、春夏を連覇してて今年も優勝が期待されてるから、みんな注目してるんだよ」と、6歳児にもわかるような言い方で教えてあげた。 ああ、そうなんだ……。外国人記者はそう言ったが、どこか納得のいかない表情だった。主催者でもないのに僕はなぜか申し訳ない気持ちになった。おそらく、そう感じるのは僕がここで育ったからなのだろう。 せっかく久々に故郷に来たというのに、なんとなくその後もやもやした気持ちですごしていたが、そんなフニャフニャした感覚は夜になって一気に吹き飛んだ。この日はグループDの各チームの公式練習が行われたのだが、この組の最大のビッグネームである米国代表が一番最後にコートに姿を現した。 中国、韓国と時差調整をしながら移動してきただけに選手たちに疲れの表情はない。リラックスムードだ。選手は基本的に軽いシューティング練習などで汗をかいていた。 ただ、僕が驚いたのがこのチームの最大のスターのひとり、レブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)だ。レブロンは、序盤は3点シュートを練習するカーメロ・アンソニー(デンバー・ナゲッツ)にパス出しするなどしていたが、その後、今度は自分の番になって、その場にいる取材陣の溜飲を下げさせたのだ。 レブロンは、ゴールに向かって右のコーナーから何本もの3点シュートを放つ。しかもフェイダウェー、つまり相手ディフェンダーにブロックされないように後方にジャンプしながら打っているのである。そして、打つシュートのほとんどをリングに沈めるのだ。ちゃんと数えてはいなかったがおそらく7、8割の確立で決めていた。 カーメロもかなりの高確率で3点シュートを決めていたが、みんなが静まり返るという状態にはならなかった。どこか理屈ではない神々しさ、それがレブロンにはあったのかもしれない。 というわけで、朝早くに起きて飛行機で飛んできたためにひどく眠たい一日だった僕の世界選手権取材第1日目は、しかし最後はどんなドリンク剤よりも効く強烈なレブロンの華麗な“シュートショー”で幕を閉じた。
posted by southernmiss |23:25 |
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