2007年04月24日
お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
21、22にわたって東京・有明コロシアムで行われたbjリーグプレイオフ取材へ出陣した。と言いつつも、bjリーグの認知度は全国的に見ればまだまだ低いものだから、正直なところそれほど気合を入れて臨んだわけではなかった。 しかし、実際に会場へ入ると、まず度肝を抜かれたのがメディアの数だった。約90社から総勢200名以上の取材者が来ていたという。昨シーズン、つまりbj初年度のプレイオフも僕は取材したが、そのときから比べると倍増かそれ以上の増え方だったと思われる。 会場の雰囲気も、昨季以上だったように感じられた。昨季は東京アパッチがプレイオフに出ていたが、今季は進出4チームすべてが地方のチームで、各地から熱心なファンが応援に駆けつけていた。大阪エヴェッサの赤と黒、新潟アルビレックスBBのオレンジ、大分ヒートデビルズの鮮青、新規チーム・高松ファイブアローズの爽やかなブルー。それぞれのチーム独特なチームカラーを身にまとったブースターは、会場を、多少大げさに言えば非日常の空間に変えた。 決勝に集まった観客は実に8、019人。日本のバスケリーグがこれだけの人数を集めるというのは、やはり画期的だと言うべきだろう。今現在、対抗組織の日本バスケットボール協会が今年度の補正予算をめぐって評議会側と紛糾している真っ只中だけに、余計にそのバスケ観の差が際立つ。OSGのbjリーグへの転籍問題 先日、JBLのOSGフェニックスがbjリーグへの転籍を申請したという報が出たが、もし見間違いでなければ、OSGの川村卓也選手も22日の決勝日に来場しているのを見た。JBLでは現役選手にbjへの来場を禁止する御触れを出しているというから、これは驚くべきことになる。 OSGの転籍、イコール選手も移籍ということにはならないが、川村選手もbjを一度見てみて自身の将来のプレイ先を選ぶときの材料にしたのかもしれない。川村選手は現在、日本代表候補選手でもある。bjに行けば代表入りすることは不可能になるから行かないだろう、という声もあるが、はたして本当にそうなのだろうか。転籍の報が出た翌日に、代表候補合宿の参加している川村選手にこの件について感想を聞くと、「まだよくわからない」という答えしか返ってこなかったが、20歳とまだまだこれからのバスケ人生が長い彼にとっては頭を悩ませる日が続くのかもしれない。 それにしてもこの件に関しての、杉浦良昭・日本代表強化部長のコメントがいただけなかった。JBLのトップ選手が最低でも年1千万円以上をもらっていると言われるのに対して、bjリーグは年俸わずか300万円。これを引き合いに出して、「何千万円ももらってる選手がそんなところへ行くと思う?」である。協会の要職に就く人の言葉としては、あまりに品がないのではないだろうか。 それに、氏や協会側にお金のことを言う資格があるのだろうか? 世界選手権で多額の赤字を出し、それが元で今、評議会で揉めているのだ。 お金を取るか、バスケを取るか たしかに、お金は大事かもしれない。だがすべての選手がそういう考え方なのだろうか? プレイオフの数日前にエヴェッサの波多野和也選手に話を聞いた。大学バスケでも有名だった同選手に、なぜJBLではなくbjを選んだのかをたずねると、「働きながらバスケをするというのは自分にはできない。バスケだけに集中できる環境でプレイしたかったから」という答えが返ってきた。 また同じくプレイオフ前に、アルビレックスの長谷川誠選手にも話を聞いた。長谷川選手は以前はJBLの松下電器やゼクセル、いすづ自動車で活躍したこともある。JBL時代の一番いいときで今のおよそ5倍は年収が多かった、と言ったが、それでも「今はバスケを楽しんでプレイできている」という。 ファンは、選手の年俸が高いほうの試合を見に行くわけではない。面白い方に、より熱を込められる方に行くのだ。 選手にとっては、たとえチームの年俸が低くても、プロとしてプレイすることで付加価値を付けていき、CMなどにも出るようになってそこで稼げばいいだけの話だ。 bjリーグが日本に根付いた、とはまだ断言はできない。いや、それどころかまだまだのレベルだ。しかし可能性という意味では、今秋からJBLも新生・日本リーグとしてプロ化(といってもこれまでのJBLとあまり変わり映えはしない)するけれども、有明を異空間に転じることのできるbjリーグの方が上としか思えない。
レベルが低いというのも今だけではないだろうか。bjの河内敏光コミッショナーは今シーズン前には韓国KBLの王者とbjリーグ王者(エヴェッサ)の対決を実現させた。氏によれば、今秋にはユーロリーグの王者との対戦を実現させようと考えたとのことだが、アリーナがとれず今年は断念したという。しかし、来年には是非行いたいとのこと。 そういう具合に海外とも交流を図っていけば、bjリーグの世界的な認知度は高まり、ゲームのレベル自体も徐々に上がっていくのではないだろうか。NBAのデヴィッド・スターンコミッショナーとも交流がある河内氏は、「日本のバスケリーグと言えば海外の人はbjリーグを思い浮かべる」と自信を持って言うが、今後それにますます拍車がかかっていくかもしれない。 いずれにしても、今回のOSGの転籍の話題がきっかけとなり、JBLとbjリーグの対比に注目が集まりつつある。両者のこれからの動向から目が離せないが、ただえさえ不仲だった関係がさらに悪化するのだけは避けてもらいたいものだ。
posted by southernmiss |13:18 |
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Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
はじめまして。毎回楽しく拝見させていただいています。
JBLの場合、大多数のチームが寮の完備や食事手当から始まり、保険や年金など福利厚生を充実した状態、つまり手取りのお小遣い300万円!
bjのように300万円から全ての生活費からバスケに関する費用、個人事業主として税金を納めたりなどなど、手取りにすると……。
JBLが理想かと言うと全くそうではありませんが、母体企業内に体育館やGYMがあり、好きな時にバスケができる環境は、実際練習などを拝見させていただき、JBLチームのうらやましいと思うところです。
バスケがしたい!と思って、bjに入ったとたん「これまでよりバスケする時間が減った」とはあるbj選手の話…。笑
bjの年俸設定はプロとしてはまだまだ憧れるような金額ではありませんが、せめて福利厚生で選手の生活をケアしてあげて、バスケにもっともっと全うできる環境作りをして欲しいですね。
posted by バスケバカ | 2007-04-26 21:40
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
バスケバカさん、コメントありがとうございます。
名前を見ても、バスケットボールについてずいぶんお詳しいようですね。
そうなんですよね、バスケ環境で言えばbjリーグはまだまだ恵まれてないんですよね。ホームアリーナがないため、練習するだけでも一般の人に混じって場所を予約しにいかねばならなかったり…。
ただ、bjの木村会長に言わせれば、それも「涙ぐましい努力」ということになるようです。河内コミッショナーにしても、同氏にしても、物事をポジティブに考える傾向はあります。それは危険といえば危険かもしれないですが、一方でプロとして、夢を作り出そうという意識の表れでもあるかもしれないですね。
JBLの選手は、普段はそれぞれの会社でどれくらい、どのような仕事をしているのか、個人的に詳しく知りたいです。
posted by southernmiss | 2007-04-27 03:25
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
こんにちは。
確かにホームアリーナは必要ですよね。24時間自由に使えて、練習や試合だけではなく、地域コミュニティーに開放したり、テナントを入れてちょっとした商売をしたり…。笑
プロなんですから、いつまでも借家住まいではなく、地域密着のためにもぜひともマイホームを持って欲しいですね。
JBL選手たちですが、東芝と日立は仕事もしているようです。東芝 板倉選手のブログによると午前中は仕事、午後から練習、オフシーズンは9時-5時で普通に仕事だそうです。
逆に、トヨタなんかは自社の体育館を使えるので、午前中からフリーに自主練ができ、午後から合同練習なんていうのも聞いたことがあります。
一昔前の日本リーグの時は、半日でも仕事をしているからバスケ会場も盛況だった…とOBたちは昔話のように語っていたのを耳にしたことがあります。
選手の顔を会社の同僚や上司が知っているので、「週末はみんなで応援に行こう!」となっていたようです。
今では、バスケ部は大した宣伝にもならないお荷物的な感じを持っていたり、選手の顔も分からない状態。
JBLがアマチュアにも関わらず、プロ顔負けの高待遇がいろんな軋轢やら足かせになっているのかもしれませんね。笑
posted by バスケバカ | 2007-04-27 07:33
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
はじめまして。同じくスポナビでブログを開設しているO・Kです。
ライターさんの書く記事には毎回感心させられます。一般人と見てるところが違うというか。文にまとまりがあるし。(プロだから当然ですね)
バスケのライターになりたいという淡い夢を持っているのですが、具体的にはどういった活動をしていけばいいのでしょうか。
というものの、編集者の経験などないし、まったくの素人です。やっぱり難しいのでしょうか。
経験者の率直な意見をお聞かせください。
posted by O・K | 2007-04-27 07:38
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
>バスケバカさん
そうなんですね、同じJBLでも、チームによって仕事の量など違うんですね。
バスケバカさんの情報は勉強になります。
日本人のトップクラスの選手の待遇も相当いいらしいですが、外国人選手もそうらしいですね。でなければ異国で何年もプレーしませんもんね。トヨタのチャールズ・オバノンなんか、かなり長いですよね。UCLA時代、NCAAトーナメント優勝してるくらいなのに。
今年は7月に徳島で五輪予選がありますが、正直、日本はかなり厳しいと思います。しかしもしJBLがbjのように40試合くらいこなし、外国人の制限もなく普段から大きな選手とガンガンやっていれば、代表の試合でも競争力が上がるのにな、と思ってしまいます。
乱筆失礼しました。
posted by southernmiss | 2007-04-27 23:58
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
>O・Kさん
コメントありがとうございます。
僕の文などお恥ずかしいレベルですが、そういってくださるとうれしいです。
バスケのライターにおなりになりたいとのことですが、難しくはないと思います。と言うと無責任でしょうが、まず、端から諦めるのはもったいないです。それにライターには資格などありませんから、その意味では難しいものではないですよ。
ライターと言っても、フリーのライターかどこかの会社に属したライターになるのかで多少の違いはありますが、バスケという一競技の専門ライターにおなりになりたいのであれば、バスケ雑誌を扱う出版社に入るのが一番いいのだと思います。
出版社でなくとも、新聞社などほかのメディアでも機会はあると思います。僕などは、現在もそうですが、英字新聞社で働いてきた経験があります。
メディアに属していると、それだけ現場へのアクセスが容易になり、そしてより近くから、より深い情報を得ることができるのです。一般の方が選手に話を聞きたいと言ってもなかなか難しいでしょうが、メディアに属しているとそれも可能になってくるのです。
至極当たり前のことを書いているようですが、以上がもっとも現実的な方法だと、僕は思います。
ただ、先ほどライターになるのは難しくはない、と申しましたが、違う側面から考えたらそれだけ多く「ライター」を名乗る人がいるのも事実です。「私はライターです」と言えば、今日からでもそうなれるわけですから。
ですから、文章が書ける、というだけだと厳しいのも事実です。日本のバスケシーンを深く追っているバスケライターの方々には文章だけでなく、写真も撮れて、編集もできるという人も少なくありません。そういうのは出版社の雑誌の編集を通して身につけた場合がほとんどなので、そういうところに属するのはやはりアドバンテージだということになるでしょう。
僕個人は、それほど偉そうなことを言えるほどの立場ではないので、どうぞ話半分と思ってくだされば幸いです。
ただ言えるのは、好きなことを追い求めるというのは楽しく、紳助風に言えば「素敵やん」ということなんです。
僕もがんばりますので、O・Kさんもがんばってください。
乱筆失礼しました。
posted by southernmiss | 2007-04-28 00:18
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
貴重な意見ありがとうございます!
30歳を目前にして転職は簡単ではないと思いますが、本気で考えています。やっぱりバスケ雑誌の編集業務に携わるのが一番ですよね。
家族がいるので、無理な転職はできませんが、出来る限りのことはやってみます!
posted by O・K | 2007-04-28 11:56
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
はじめまして。
私もいつも楽しく読ませていただいています!
記事の中で一つ気になる点があったのですが、
「JBLでは現役選手にbjへの来場を禁止する御触れを出している」というのは、
どういったレベルで出されている御触れであるのか、
もし、もう少し詳しいところをご存知でしたら、教えていただけないでしょうか…?
というのも、「今日はbjリーグを観に行きました」とJBLの選手がブログに書いていたり、
(そんな「禁を犯して」といった風ではなく、さらっと・・・)
ファンの方のブログに「bjリーグの会場でJBLの○○選手が観戦しているのを見かけた」と書かれていることは結構よくあり、
JBLの選手がbjを観に行くことが、そこまで特別なことだとは感じていなかったからです。
所属しているのがbjでもJBLでも、選手同士は学生時代は普通にチームメイトだったりするので、
○○はがんばってるかな?bjってどんな様子なのかな?といった感じで観戦に行くことはそう珍しいことでもない、という印象でした。
もし本当にそんな御触れが出ているとしたら呆れてしまいますが、
意外と選手の方までは届いていないレベルの話なのではないかな…?!という気がしています。
(すみません、あくまでもいろんな方のブログをちらちら見させていただいての印象なんですけれども…)
こちらの記事を見て、
「これまで『○○選手をbjの会場で見た』とか普通に書いてしまっていたが、あれはマズかったのか??」
と気にしているファンの方もおられるようなので、
もしこの件についてもう少し突っ込んだ情報をお持ちでしたら、ぜひお願いいたします。
長文失礼いたしました。
posted by zzz | 2007-04-28 18:09
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
> zzzさん
コメントありがとうございます。
JBLでは選手にbjリーグの試合を見に行ってはいけないという指示が出ている、というのは僕も聞いた話でしかないので、安易に書いてしまったかもしれません。失礼しました。ただ、このことは複数の記者等が言っているので、本当のことではあると思います。
また、日本バスケットボール協会のbjリーグへの嫌悪ぶり、発言などを見ても、そういう「御触れ」が出ていても不思議ではないです。
この件については、僕なりに確認してみたいと思います。
posted by southernmiss | 2007-04-29 01:30
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
> zzzさん
コメントありがとうございます。
JBLでは選手にbjリーグの試合を見に行ってはいけないという指示が出ている、というのは僕も聞いた話でしかないので、安易に書いてしまったかもしれません。失礼しました。ただ、このことは複数の記者等が言っているので、本当のことではあると思います。
また、日本バスケットボール協会のbjリーグへの嫌悪ぶり、発言などを見ても、そういう「御触れ」が出ていても不思議ではないです。
この件については、僕なりに確認してみたいと思います。
posted by southernmiss | 2007-04-29 01:30
Re:お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
southernmissさん、
お返事どうもありがとうございます。
すみません、どうぞよろしくお願いいたします・・・!m(_ _)m
posted by zzz | 2007-04-30 23:57
お金だけがすべてか? -bjリーグプレイオフを終えて-
ながらく返事をしなくて、大変失礼しました。
JBLの選手がbjの試合に行ってはいけないお触れがでているというのは、どうやらないようです。某選手から聞きました。
あっという間に、また新たなバスケシーズンですね。バスケはもうNBAだけではなくなってきているので、いろんなところにアンテナを張っていないといけませんね。
posted by southerrnmiss | 2007-10-29 03:27

レベルが低いというのも今だけではないだろうか。bjの河内敏光コミッショナーは今シーズン前には韓国KBLの王者とbjリーグ王者(エヴェッサ)の対決を実現させた。氏によれば、今秋にはユーロリーグの王者との対戦を実現させようと考えたとのことだが、アリーナがとれず今年は断念したという。しかし、来年には是非行いたいとのこと。
そういう具合に海外とも交流を図っていけば、bjリーグの世界的な認知度は高まり、ゲームのレベル自体も徐々に上がっていくのではないだろうか。NBAのデヴィッド・スターンコミッショナーとも交流がある河内氏は、「日本のバスケリーグと言えば海外の人はbjリーグを思い浮かべる」と自信を持って言うが、今後それにますます拍車がかかっていくかもしれない。
いずれにしても、今回のOSGの転籍の話題がきっかけとなり、JBLとbjリーグの対比に注目が集まりつつある。両者のこれからの動向から目が離せないが、ただえさえ不仲だった関係がさらに悪化するのだけは避けてもらいたいものだ。

