2009年01月01日
100試合目の悲劇 [東京vs柏]
Match No.100 2008.12.28 <サッカー> 第88回天皇杯全日本サッカー選手権 準決勝 FC東京vs柏レイソル @エコパスタジアム 誰に頼まれるでもなく掲げた 「年間100試合観戦計画」はついに、 12月29日、完遂のときを迎えた。 記念すべき100試合目に、愛するFC東京の大舞台を選べたことを 嬉しく思うと同時に、自分の「引き」の強さを感じていた。 100試合目で決勝行きを決め、そして「番外編」の101試合目でカップを掲げる。 なんて素敵なストーリー。なんてよく出来たドラマ。 計画の美しさに、僕は酔っていた。 だから、(この際、大きなことを言っても許されるだろう) この試合に誰よりも思い入れがあったのはこの私だ!と宣言してしまおう。 今年いちばん気合いが入っていた。 ところが、この記事のアップは年を跨いでしまった。 なぜなら、僕はまだ、立ち直っていない。 マッチナンバー・100。 舞台は、天皇杯準決勝。 ==== 週間予報で心配されていた雨の心配はどこかへ消え、 カバンに詰めた防寒具も全く役立たず。 東北・上越新幹線の混乱を尻目に、東海道線「ひかり」は順調そのもの。 静岡で乗り換えて満員の在来線で愛野駅へ。 掛川まで新幹線で行くより1000円ほど安い。 どでかいスタジアムを建てたものだ。 定期テナントは、ない。エコパスタジアム。 入ってみると、ゴール裏からの眺めが味スタに近かった。 が、選手は味スタよりも遠い。 開けられたスタンドのほとんどが黄色と青赤で埋まり、 穏やかな陽光のもと、You'll Never Walk Alone は歌われた。 石崎監督は好きだけど、あんまり引っ張ったら札幌がかわいそうだ。 100試合目、さぁ行ぐぞぐぉらーーーーーーー。 茂庭の出場停止を受け、センターバックには藤山竜仁。 東京ガス時代の天皇杯快進撃を知るピッチ上唯一の男。 そのほかはベストメンバーに近い。石川はベンチ。右に張るのは、鈴木達也だ。 柏は怪我明けのフランサと李忠成をベンチに控えさせる。 前半開始直後、主にポゼッションは東京。 柏は5分すぎにようやく東京陣に入り込んでくるが、 東京はカウンターで梶山からカボレへ。ショートパスではないほうの持ち味を見せる。 8分、貸し出し中の栗澤から左の菅沼へ。 シンプルに挙げたセンタリングは太田の頭に合うがバーの上。 11分、ひとつのキープレー。 菅沼と競り合った徳永に警告が出た。 徳永はこのあと、攻守に思い切りを欠いてしまった。 このへんから柏に押し込まれ始めた東京。 15分、左からポポのクロス。上がってきたアレックスが藤山の頭越しに ドンピシャヘディング。塩田はボールごとゴールに押し込まれたかに見えたが、 判定はノーゴール。結果的にはミラクルセーブになった。 藤山が狙われているのだろうか、柏は早めに放り込んでくる。 これはあまり予想していなかった。 逆に東京は19分、CKから佐原がニアで美しいヘッド、 ゴール裏席からだったのでよく見えた。 アレックスに当たっていなければ、ネットに刺さっていたはずだ。 さらにショートコーナーから、鈴木達也の強烈なシュートは菅野の好セーブ、 弾いたところにカボレのバイシクルは不発、さらにこぼれ球、 赤嶺のボレーーー!はバーの上。決定機だった。 柏の決定機は23分、中盤のプレスで奪い、右からクロス、 塩田のパンチング先には菅沼がフリー。ループを狙ったが右に外れた。 このあたりで、「快勝」はないだろうな、と悟った。 望むところだ、今日は声を枯らすぞ。 流れの中からはなかなかチャンスが作れない東京。 赤嶺・カボレはケアされ、柏の中盤でのプレスにも手を焼いた。 そんな中、不意に現れたミステリーゾーン。 中に絞っていた鈴木達也に左からパスが。 前を見ると、ぽっかりとスペースが。鈴木はドリブル開始。 左足ならすぐ打てたが、右足に持ち替えるには2秒ほど必要だった。 ところが2秒間、柏は誰も寄せられない。 余裕を持って振り抜いた右足から、東京の先制点が生まれた。![]()
アウェイの地に集まった同胞たちとハイタッチを交わす。 39分、ポポ、菅沼と繋いで山根のシュートは左。 これ以外は目立ったシーンはなく、前半終了。 === 100試合に思いを馳せつつ、後半へ。 柏のモチベーションになっている石崎監督はフランサを投入。 そのフランサを軸に早速2つのチャンス。 フランサは運動量は少ないが神出鬼没、という厄介なヤツだ。 2人3人と寄っていけばパスが出る。マークが緩ければ自分で決める。 仕事をされないうちに追加点が欲しい。 ゴール裏は「カップを奪い取れ~」という04年ナビスコ以来歌われるチャント。 52分、梶山と赤嶺で中央突破するが、最後のパスがやや長くNG。 54分、カボレのヘッドから、赤嶺が左足でミドル。右へ。 60分、羽生が飛び出しチャンスもDFクリア、その続き、今野が右をえぐり中へ。合わず。 柏は李忠成を投入。 攻めているようで決定機がない。 相手の形はないようでいて、フランサが持つだけで不安。 もやもやとした後半戦の時計は、非常に早く進んだ気がする。 カボレとフランサがチャンスボールでボレーを互いにふかし、 長友のミドルはDFに当たる。 そして。68分。東京は羽生と梶山が自陣からの繋ぎをしくじり、 柏に左サイドで作られる。左からの大きなクロスをファーでアレックスが落とす。 後ろからフランサが上がってきて、シュートフェイントで今野を交わし、 塩田の股を抜くシュートを決めた。 あぁ神様、と嘆いても仕方ない。 神がいるとすれば、その名は「フランサ」だ。(「カボレ」ではない) 何しろ、フランサは先般のボレー以来、足を引きずっていたのだ。なんてやつだ。 中盤での激しい戦いの中、今野や羽生はよく走り、 ボールにアタックし続け、柏のボールの出所を消していた。 しかしカボレと赤嶺は、レイソルDF(特に小林祐三)のマークに苦しみ、 あまり仕事が出来なかった。 そして、正直、仕事ができる場面でもイマイチだった。 もし城福監督がこの試合を途中からやり直せるなら、カボレの交代を早めたのではないか。 僕は、代えてもよかったと思う。 決定的な仕事を期待してしまう気持ちはわかるが…。 羽生に代えてエメルソン。 鈴木に代えて石川直宏。 石川は立て続けに見せ場を作るが、ほかの選手とリンクしない。 なぜだろう、東京の選手には疲労が見えた。 例年にないほどの大会への意気込みが、疲労を早めたのだろうか。 エメルソンは82分の決定機、梶山の素晴らしい溜めからのパスを外す。 それでも主導権は完全に東京。 柏の攻撃は繋がらない。 柏は、気持ちだけのチームだった。 石崎さんとの契約を解除するフロントの気持ちも分かる気がした。 去年から、あんまり進化していない印象だ。 ただ、これはカップ戦。これはサッカー。 シュートを決めたチームが、勝つ。 88分。石川直宏へのロングパスが惜しくも通らなかった帰り。 GK菅野はすかさず石川のいたスペースへ。 柏は左から持ち上がる。引き出された梶山を見て「キツイけどがんばれ」と念じた直後。 柏はボールを中へ。フランサ、李、フランサ、李。 李のミドル。かつて小平を走っていたイ・チュンソンの左足ミドル。 ゴール裏から、向こう側のゴールに入っていく敵のシュートを見るのは、 なんて劇場的で残酷な眺めなんだろう。 心臓を、鷲づかみにされるような瞬間だ。 2003年11月22日の飯尾のゴールや、2004年12月19日の三都主のゴールを凌駕する、 ショッキングなゴールだった。 何しろ僕は、「誰よりもこの試合への思いが強かった」のだから…。 ロスタイムには、何も起こらなかった。 試合が終わり、狂喜乱舞の柏サポを直視できず、 マフラーで顔を覆って席にへたりこんだ。 ちょっと泣いたかもしれない。 自分達の力を発揮できなかった、悔しい敗戦。青赤スタンドもシーンとしている。![]()
==== 100試合目のご褒美は、もたらされなかった。 コクリツでの番外編最終回を記すことは許されなかった。 2009年の100試合計画は白紙だ。だから最後はコクリツで締めたかった。 「この悔しさを胸に、2009年こそは…」とまとめないといけないのは分かるが、 気分はこうだ。 『喪中につき年始のご挨拶を失礼させていただきます。』 これを機に(?)選手には知っていてほしい。 ずっと見られる側だった一流アスリートは特に。 どんな試合でもきっと、特別な思いを持ってスタジアムに来ている人がいるのだ。 僕のようにくだらない理由の人もいれば、もしかしたら余命3日の人もいるかもしれない。 文化がぶつかり、欲望が渦巻き、罵声が飛び交う場所。 でありながら、スタジアムはそういう場所でもあるのだ。 あなたのシュートを入れるのは、僕たちの念力かもしれない。 そして僕たちの念力を強くさせるものは、あなたのプレーなのだ。 東京 1-2 柏 ==== 100試合、達成しました。 アップし損ねたゲームがいくつかあり(会社のPCに入ってたりして。エヘヘ)、 ポツポツ更新する可能性があります。 また、100試合を振り返る記事も書こうと思ってます。 09年版は、おそらくやりませんが、たまには何か書くこともあるでしょう。 またのご訪問をお待ちしております。 いや、何より、スタジアムでお会いしましょう。 味スタとホッケー場の両方で同じ顔を見たら、たぶんそれが僕です。 今から、ビールを飲みます。久米宏のように。 09年も日本スポーツ界に、幸あれ。
posted by sot-escape |01:38 |
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