2008年12月14日

魔法のペナルティコーナー [立命館vs山梨学院]

Match No.096 2008.12.14
<ホッケー>
第82回全日本男子ホッケー選手権大会 決勝
立命館大学vs山梨学院大学OCTOBER EAGLES
@親里ホッケー場


天理大の親里ホッケー場を初めて訪れた。
今年は3つの大会で6試合を見てきたが、
夏のインターハイを最後にホッケーから遠ざかっていたので、
昨日のXボウルとセットで、かなり無理して奈良へ馳せ参じたのだ。

男女の日本を代表する選手がスポナビではブログを持っておられ、
「いってきます♪」とか「いただきます☆」みたいな内容で頻繁に更新なさっているので、
一般ファンもだいぶ身近になったのではないかと思っていたが、
期待は淡くも外れ、日本一決定戦は相変わらずごくごく内輪な雰囲気で行われた。

まずもって一般のお客さんを呼ぼうという気概が感じられない。
気概があったら会場はここにはならない。
業界へのこの町と大学による多大なる貢献と、集客は別の問題である。
国体の「登山」の会場にだって自販機くらいあるだろう。
ま、選手には(たぶん)罪はない。
7年ぶり2回目の王者を目指す立命館大と、初優勝を目指す山梨学院大。
立命は名古屋フラーテルを、山梨学院は天理大を、それぞれ予選で下して
決勝にこまを進めた。まったく予想外である。
結果、このカードは僕が6月に長居で見た「大学王座」の準決勝と同じになった。



試合序盤は、王座と同じような展開。
山梨は引き気味に陣形を取り、立命館のパス回しを見極めたが、
6、7分も経つと、積極的に仕掛け始めた。
仕掛け


6月に注目した山梨学院の25番1年生、北里。
ボールが吸い付くようなスティック捌きと、密集を恐れない前進力は
やはり魅力的だった。

7分、自陣でのパスカットから北里が右サイドを突破。
ピックアップでひとり交わし、さらにサークル内へ進む間に
4人を交わしてGKの飛び出しを誘い、ファーでフリーの禹大命へ送ったが、
わずかにタイミングが合わずにボールは流れた。
山梨学院は、北里を筆頭に、前の選手がどんどん仕掛けて面白い。
そのドリブルから25分に試合初のPCを得た山梨学院。
久保をダミーに河合が左隅を狙ったが、GK澤田にセーブされた。
コーナー


逆に立命館は遅攻(という言葉をホッケーではよく使う)からでも
FW田中健太のすばらしいキープ力などでサークル内をうかがった。
前述の王座の準決勝でも、セットプレーへの自信は見て取れたので、
ペナルティコーナーを狙いに行っていたのだろう。
そして思惑通り、FHからPCを得た立命館は29分、
1本目ということで至ってオーソドックスにファーストヒッターの太田翔がフリックシュート。
日本代表としてドイツに挑んだ太田のシュートは見事に右上に突き刺さり、
山梨学院ペースの中で立命館が先制した。
会場にはホワイトラブが流れる。うーん。

FHのトラップミスからのもったいないPCから失点した山梨学院だったが、
すぐさまPCのチャンスを獲得。
今度は久保が狙ったが、ゴールから飛び出した一番機に弾かれる。
サークル外に出たボールを山梨学院はすかさずヒットイン。
一瞬立命館の足が止まる。こぼれ球がゴール前に残っていた禹大命の足元へ。
禹は後ろ向きでチョンとスティックを合わせて、ゴール。
あっという間に同点に追いついた。

後半。早々にPCを得た山梨学院の攻撃は不発。
逆に6分、立命館は渡辺(インターハイでお伝えした丹生高校の出身)が右サイドを突破し、
中に折り返して白和に合わせたが、惜しくもNO。
8分には田中健太が角度のないところからリバースシュート。
ペースを掴んだ立命館は、9分にPCのチャンス。
PCに関しては、やはり雰囲気を持っている立命館。なにかあるぞ、と。
球出しは3年生の井上。ストッパーが止め、淀野がシュートと見せかけて
やさしいヒットを左ポストへ打ち込む。パスを出したあと位置取りしていた
井上が口を開けたボールに余裕を持ってボールを放り込み、ゴール。2-1とした。

山梨学院は女子部の部員が観客席から歌い、男子を励ます。
同校では男子より歴史の長い女子は、南都銀行の壁を破れず予選敗退を喫している。

決勝戦の前に行われた3位決定戦では、
名古屋と天理大が、失うものがない、といった感じでオープンでフィジカルな展開を見せたが、
千載一遇のチャンスを掴みたい立命館は現実的な戦いを選択。
ハーフコートで守備陣形を引き、山梨学院の攻撃にフタをした。
スペースのない山梨学院は、FW陣のドリブルが網にかかり、スティックが交わる音が響く。

山梨学院は22分のPCのピンチでゴール前で立て続けに久保がシュートをブロック。
しかし立命館はジリジリとファウルを取りながら前進。
そして26分、PCを獲得すると、太田が再びフリックシュート。
強烈なシュートは、コースこそ甘かったが、強烈過ぎてGKは反応が間に合わない。
文字通りネットに突き刺さった。
3点目


決定的な3点目。ご機嫌な太田翔は2分後、中央でのボール奪取から
一気にサークルに持ち込み、DFに足を掛けられながらGKの頭を越すシュートを放ち、
観客の感心と、山梨の柱、久保良太へのイエローカードを誘った。

残り5分あまりでの致命的な一時退場。ホッケーの一時退場は最低5分だ。
山梨学院にはもはや打つ手なし。
ホーンが鳴ると同時に、立命館ベンチから赤いユニフォームのメンバーが飛び出してきた。
輪を作り、全員で人差し指を空へ突き上げた。
そしてホワイトラブ。…誰のリクエスト??

歓喜と悔恨



7年ぶりの日本一。
インタビューで山口監督は、およそ何の感慨もなさそうな口調で「感無量」。
「ナンバーワン!ナンバーワン!」と叫び飛び跳ねる立命館。
涙にくれる久保を慰める山梨学院のメンバー。
最大の差は、セットプレー。そして試合運びでも立命館に一日の長があった。

内容的に大きな驚きがあったわけではないが、
若い学年の選手がコアを担う立命館と山梨学院が日本一を争ったことは、
きっとホッケー界にとっていいことなんだろうと思う。
一方で、受け皿不足は引き続き深刻で、
天理と名古屋の試合が半ばOB戦に見えたのも事実。

先行き明るい気は全然しないのだが、
それでも見に行くこと、千円でもお金を落とすこと、
それが100試合男のホッケー愛なのだ。


立命館大 3-1 山梨学院大


posted by sot-escape |23:08 | ホッケー | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年12月14日

鹿島屈す [JAPAN X BOWL]

Match No.095 2008.12.13
<アメリカンフットボール>
第22回 アメリカンフットボール日本社会人選手権 【JAPAN X BOWL】
鹿島ディアーズvsパナソニック電工インパルス
@京セラドーム大阪

「年間100試合観戦計画」もついに佳境です。
近場の試合で残り数試合をダラダラ終えるのが嫌で大阪まで来ちゃいました。


以前は「東京スーパーボウル」と呼ばれていたこの大会も、
いまやその素敵な名称を捨て、隔年で東京以外の開催となっている。

京セラドーム大阪(わたくし初見参)のフィールドは、
地元パナソニックの応援団を筆頭にたくさんのお客さんで囲まれた。
やはりアメフトは関西のほうが盛り上がる。

私は東京を発つのが遅れ、2Q終盤での到着となった。
ドームに入った瞬間、パナソニックが同点TDを挙げたところだった。

1Qに2本のラッシングTDで14点のリードを奪った鹿島。
得意のラン攻撃で優位に試合を進めていたという意味では、
ここまではおそらく、目論見どおりだったのだろう。

しかし結論から述べると、私はディアーズの得点シーンを見られなかった。

同点にされたあとの鹿島のシリーズがパントで終わると、
勢いそのままにパナソニックは攻勢を強めた。
MVP


敵陣30ydからの4thダウン。
ドロープレーでRB石野が32ydのロングゲイン。
鹿島にはダメージの大きいプレーとなる。
最後はRB小林があっさりと3ydを走って、逆転のタッチダウンとした。

ハーフタイムには、キッズチアのお披露目があり、
「CLASS OF 2008」の発表がありと、今季のXリーグ最終幕にふさわしい雰囲気に。

3Qに入り、パナソニックの最初の攻撃を止めた鹿島は、
次の攻撃シリーズで、3rd&ロングでQB尾崎がパスを成功させ、
ダウン更新後もWR前田へのパスを通し、
敵陣30ydまで進んだが、ランを止められロングヤードを残すと、
3rd&11ydのパスが決まらず、パントに終わる。

次の攻撃でも、自陣9ydから始めさせられ、
曽根の連続キャリーなどで少しずつ陣地を回復するも、
3rdダウンに中距離以上が残ってしまうことが多く、結局
エンドゾーンに届かない。

鹿島はランが出ているようで出ていない、という状況。
先月横浜で見た富士通戦がうそのようだ。
両軍ラインの戦いは、パナソニックに軍配が上がっていた。

好守に渡ってそれは同じ。
ディアーズはインパルスのショットガン攻撃に対し、
フロントラインの人数を減らして対応することが多かったようだが、
逆にこれが石野のゲインを許していた。
ラインはパナソニックのOLに完全にコンテインされ、
ショットガンで視野の広い高田はレシーバーが見つからなくても
自分で落ち着いてボールをキャリーできた。

3Q、インパルスのポゼッション。
自陣18ydからの攻撃で2nd&9yd。ここでも石野へのドロー。
左にレーンを空けたプレーで石野は一気に敵陣45ydまでゲイン。
次のダウンでも11ydを走り、鹿島を撹乱。
RB小林のランなどでさらにダウンを更新して、3Qを終えた。

4Qが始まるとき、ディアーズチアが鹿島スタンドの観客を
立ち上がらせて盛り上げる。打ち鳴らされる応援スティック。
思ったより来てた鹿島応援団


勝負のディフェンスだった。

しかしインパルスは、敵陣23ydの1stダウンで7ydゲインすると、
次のダウンで素敵なプレー。
プレーアクションと見せかけて高田が後ろ手にボールを渡す。
と見せかけてやっぱりボールを持っていた高田が、
フェイクに使ったランナーを導くフリをして左に敵を運んでいた
ラインの逆のスペース(右側)を疾走、エンドゾーンまで飛び込んだ。
高田の決定的なTD


残り時間からすれば追い付くのは決して無理ではない点差ではあったが、ムードは悪かった。
QBスニークや丸田のパワーランでどうにか前進するが、
パナソニックの守備ラインという壁を懸命に押しながら進んでいるようで、
敵陣に入ったときには疲れ切って策も果てているように見えてしまった。
鹿島は敵陣44ydからの4thダウン6ydのギャンブルでパスを決められず、攻撃権を失う。

パナソニックは次のシリーズに7、8分かけ、真綿で首を絞めにかかる。
決められたらジ・エンドというFGを鹿島はブロックして、最後の望みをつないだが、
せっかく得た攻撃権を、ものの数秒で失った。
左サイドを走った前田へのロングパス。
前田の走路はSとCBの間を縫っていて、狙い通りだった。
しかしパスが外側へずれ、インパルス小路がインターセプトし、試合は決した。

鹿島の73ydに対し、パナソニックは実に347ydと信じられないランヤードを記録した。
MVPの石野は195ydと2試合分走り、QB高田の56ydは、
苦し紛れのスクランブルに終始した鹿島・尾崎の12キャリー・-18ヤードと好対照となった。
勝利のジャーンプ


点差はともかく内容でここまでの差がつくべきカードではなかった。
しかしどのスポーツでも同じように、こういう日はある。
今日はことのほか残酷に明暗が分かれた。
残念だったのは、インパルスの試合運びは完璧すぎて、
見せ場らしい見せ場が終盤に訪れなかったことだ。
試合の終わり方が感動的でないのも、アメフトのよくないところ。
終了の瞬間の演出も、もっと派手でいい。決勝なんだから。

それにしても、インパルスの守備は強烈だった。
ライスボウルで、学生たちがどんなプレーを仕込んでくるのかが楽しみだ。

ディアーズにも、お疲れ様と言いたい。

ちなみに、「パナソニック電工」が言いづらいので
「松下電工」に戻してもらえないだろうか。

鹿島 14-28 パナソニック電工


posted by sot-escape |00:35 | Xリーグ | コメント(0) | トラックバック(0)
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