2008年10月01日

少女伊達、青年錦織 [AIGオープン]

Match No.080 2008.9.30
<テニス>
AIGジャパン・オープン1回戦
クルム伊達公子vsシャハー・ピアー
錦織圭vsロバート・ケンドリック
@有明コロシアム

まずはワイルドカードで出場のクルム伊達公子の試合から。
諸事情により入場が遅れてしまい第2セットだけを見たのですが
(チケットを落としたなんて恥ずかしい話はできません)、
「らしくない」試合になってしまった気がします。

第1セットは好ゲームだったという今日の相方の証言もあったので、
試合を通してダメだったわけではないのでしょうが、
僕が見た第2セットは、1stサービスの入りが悪いために、
自分のサービスゲームを相手のチャンスゲームにしてしまっている印象でした。
体力の衰えを経験や試合運びでカバーする伊達ですが、
さすがに2ndサーブになると相手に食いつかれてしまいます。

また、長いラリーで辛抱しきれずに
ネットにかけてしまうポイントも軒並みあって、
乗り切れなかった、という言葉がいちばん近いのかな、と思います。
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12年前とは違うのはやはり、試合中でも苦笑とはいえ笑顔が見られること。
今日の有明は小さい子供が来ていて、正直けっこう迷惑だったのですが、
昔の伊達なら明確に不快感を示すところを、気にしないように見せていました。

一方で、ラインジャッジを睨みつけて説教したり、
ふがいないプレーの後には苛立った表情を見せたりもしていました。
スタジアムの空気を引き締めるというか、
どこか触れてはいけないようなオーラは、いまも健在でした。

笑顔と、負けず嫌いの心。両方見られるのです。
いくら笑顔でいても、内心とても悔しいのだと、僕達は知っている、だからもっと応援したくなる。

全盛期は気難しい一面ばかりが伝わってきた彼女について、
引退後に僕達は、的確で思いやりのあるテレビ解説や、キッズテニスに携わる姿を見て、
いろんな一面を知りました。

それらを知った上で応援する伊達公子は、
もしかしたら全盛期の彼女よりも、背中を押してあげたくなる存在なのかもしれませんね。
放列とサイン攻め


僕は、去年の東レで見た、同じく一度は現役を退きながら復活したマルチナ・ヒンギスを思い出しました。
二人は共に、脂が乗った時期に惜しまれながら引退をし、
ブランクを経てトーナメントに帰ってきました。

そして、競技への無邪気で純粋な感情をぶつけるような
復帰後の戦いを見せてくれているところも、伊達はヒンギスと似ていないでしょうか。
世界と戦うのは難しいですが、僕はまだまだ少女のように笑う伊達公子のテニスが見たいです。



続いて、錦織圭の登場です。
有明コロシアムには、(修造によれば)
火曜日としては今大会歴代最多の観衆が集まったとのこと。

平日午後で、おばさまがたが多く集まったというのもひとつの要因でしょうが、
コロシアム内に、ミーハーな空気が少なからず流れていました。
手拍子をやたらとしたがる人がひとりいて、観客が彼に乗せられてしまって
場違いな場面で拍手を連発して変な雰囲気の試合になっていたのはその証左のひとつかもしれません。

それでも僕は、そんな雰囲気の中に、
待ちわびていた煌く星の登場によって日本のテニスファンが帯びている興奮を
ひしひしと感じることができましたし、
後年、「おれは18歳のときの錦織を見たぜ」と自慢げに語っている自分が容易に想像できます。


現ランクでは下の選手とはいえ、相手は29歳のビッグサーバー。
不安がなかったわけではありませんが、
(最初のゲームをラブゲームで取られたときの有明の不穏な空気はちょっと滑稽でした)
錦織はベテランのように、自信満々にプレーしていたように思います。

sot-escape-49534.jpg


フルセットになりましたし、タイブレークが2セット続きましたが、
最初から最後まで、錦織のゲームだったと思います。
1stサービスの確率が非常に良く、エースも何本もありました。
さらに、ミスを続けない、ネットプレーを簡単に決めさせない、
フォアにこだわらずにいろいろなショットの種類を混ぜる、など
組み立てやメンタルの面でも、感心させられることばかりでした。

第1セット。キープが続いてケンドリック6-5で迎えた錦織サーブのゲーム。
30-15からのポイントは長いラリーになりました。
途中、錦織のバックハンドショットが明らかに(ケンドリックは確かに可哀想)オーバーしていたのに
審判が見逃しました。
これで集中力を失ってしまったケンドリックはタイブレークでもバタバタと行ってしまいました。

第2セットこそ、6-5で迎えたゲームで30-0からブレイクを逃し、
少し引きずったままタイブレークを落としましたが、
第3セットでは要所を抑えました。
第5ゲームのブレイクチャンス、
30-15から、相手のドロップ気味のボレーに追いつき、そのままパッシング。
40-30から、1stサーブをリターンエース。
観客が「ここだぞ」といちばん盛り上がったゲームで
しっかりとポイントを摑んで、この試合両者通じて初のブレイクを達成しました。

そのまま流れを持って行き、エア・ケイも披露して(わーい…僕も十分ミーハーです)、
最終セットは6-2で取り、緒戦を突破しました。

修造氏は忙しい


ケンドリックがサーブ&ボレーなど自分の得意なことを前面に押し出していたのに対し、
錦織は、得意なことだけでなく、相手に合わせた戦いもしっかり考えていたように思います。
また、相手の強いサーブに苦しんだからこそ、自分のサービスゲームを
(守りに入ったという意味でなく)大事にしていたことも、
キープ合戦を技術と落ち着きの勝負(タイブレーク)に持ち込めた要因だったと思います。

バッグを背負ってコートに入ってくる姿は子供のような錦織ですが、
コートに立てば、大人な戦いを見せてくれました。
いや、いまこの瞬間にも大人へと成長を続けているのでしょう。

===
38歳の不屈の闘志と、18歳の新星の凱旋。
両方見られて、贅沢な一日でした。

錦織 2-1 ケンドリック


posted by sot-escape |07:45 | テニス | コメント(2) | トラックバック(0)
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