2008年11月17日

心に残るトライ [國學院久我山vs本郷]

Match No.089 2008.11.16
<ラグビー>
第88回全国高校ラグビーフットボール大会 東京都都予選第1地区決勝
國學院久我山高校vs本郷高等学校
@秩父宮ラグビー場

さぁ、今日は「冬のヒット系スポーツ3種の神器」、
ラグビー、アメフト、アイスホッケーをはしごするという、
人間らしい生き方をしてみようと思う。
まずは午前のラグビーから。



昨日の高校サッカー予選決勝に続いて、
今日は高校ラグビーの東京予選の決勝。
頼んでもいないのに、両方久我山が出てきた。

ラグビーは最も番狂わせが少ないスポーツのひとつである。
普通に考えれば、久我山の勝利は疑いようがなかった。なにしろ春選抜の3位校だ。

それでも僕らは残酷だ。
高校生に、シナリオを覆す展開を期待する。
そしてそれが実現しなさそうな場合、「負けるほう」に目を遣り、ドラマを探す。
ましてや、花園をかけた決勝戦。3年生にとっての引退試合。
負けたほうの気持ちを想像すれば、いくらだってしんみりできる。

実際には高校生というのは意外にさっぱりしていて、
帰りのコンビニではもうケロっとしていたりするのだ。
でも僕らは相も変わらず「負けた高校生」が好きだ。
それはきっと、僕らが大人だからだ。
彼らは、本人達は、まだ知らない。
大人になって、その試合がふと頭に蘇ってくることを。
そのとき、初めて気がつくことがある。足りなかったものを知る。
そんな経験のある僕らは、高校生に、自分達を投影する。


試合開始直後から、本郷はキックで陣地を稼ぎにかかった。
体格で劣る久我山が相手なので当然だ。
作戦としてはうまくいっていた。
しかしタッチキックとラインアウトから深く攻め込んでも、
スクラムで押され、ボールと陣地を失った。

正直なところ、12分、17分と久我山がトライを挙げたところで、
試合は決まったも同然だった。

久我山の選手達は球離れが絶妙だった。
本郷の選手達がドンピシャのタイミングで渾身のタックルを見舞おうとしても、
ギリギリまで引きつけて、コンマ数秒前にボールを放す。

後半に入っても、久我山がずっと本郷陣で攻撃を繰り返し、
トライの山を築いていった。
本郷の選手はバックス展開に全く付いていけない。
飛び込み方も無茶になってきて、交わされ、走られ、ボールを置かれた。

本郷は、もはや防御への興味を失っていた。
ひたすら、ひとつのトライを目指した。
じっくり、挑むように体を当て、接点を作る。
人数を割かざるをえない。時間もかかる。なかなかうまくいかない。
その間にも次々に追加点を奪われる。

ついに残り時間わずか。
走る。
走る


当たる。
当たる


拾う。
拾う


飛び込む。
飛び込む


主審の手が、挙がった。
手が挙がる


抱擁


抱擁2


昨日の駒大高も、強い久我山を前に、力の差を見せつけられたが、
試合は1ゴール差だった。敗れた彼らは、涙を流した。
それとは対照的な、この控えめな抱擁シーン。
惜敗には程遠かった彼らは、涙や激情の代わりに、
足跡を残した。
気持ちのこもった、素晴らしいトライだった。
秩父宮は、暖かい拍手に包まれた。


國學院久我山 59-7 本郷


posted by sot-escape |01:47 | 高校ラグビー | コメント(1) | トラックバック(0)
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