2008年09月27日
立ち会いコンフュージョン [秋場所13日目]
Match No.079 2008.9.26 <相撲> 大相撲九月場所13日目 @両国国技館 2階席最後列から見た13日目中入後の取組から、 いくつか抜粋します。 稀勢の里 - 時天空 問題視したいのはこの一番だ。 今場所は、武蔵川新理事長の号令の下、 完全に両手を付く立会いが徹底されている。 ところが実際には、通達が行き渡っていることはわかるが、 「徹底」には程遠いようだ。 力士の意識ばかりが立ち会いに向いている気がする。 中入から数番、立ち会いがしっくりこない取組があった。 とりわけこの一番は酷かった。 時間いっぱいで仕切線で向かい合う稀勢の里と時天空。 稀勢の里が立った。左手をしっかり付いていなかった。 だから時天空は稀勢の里と相撲を取らなかった。 しかし木村正直は「残った残った」。 ほとんど棒立ちのまま、時天空は押し出されてしまった。 首をかしげ、腰に手をやる稀勢の里。 時天空は恨めしげに審判長を見たが、黙したまま。 取組は成立した。 時天空としては当然、今場所の通達が頭にあった。 だから、「この立ち会いが認められるはずがない」と考えた。 しかし、実際には認められてしまった。 ここに、この新しくて古いルール「手を付きなさい」の問題点がある。 力士の頭に植わったものと、実際の運用がチグハグなのである。 やっかいなのは、稀勢の里が実は手をチョロっと付いていたかもしれないからだ。 つまり、手を付きさえすれば、敵を欺く(不成立と思わせる)ような 立ち方になってもよいのか、ということだ。 では、まず片手を置いて、その次に…と厳格化するのか。 すると立ち会いの間合いや阿吽の呼吸ははどうなる。 それは相撲の一部ではなかったか? この問題は意外と根深いと思う。 そして、立ち会いの混乱が引き起こした この無気力な一番でもっとも割を食ったのは、時天空ではなく、観客である。 カネ返せ、と言いたくもなる。 つまらない取組が増えてしまわないように、しっかりやってもらいたいものだ。 幕内後半戦の審判長はお咎めを受けたばかりの貴乃花親方。 貴はチョロイ、と力士に思われていないか心配だ。 琴光喜 - 豊ノ島![]()
琴光喜は鋭い立ち会いから、小柄な豊ノ島を寄って行った。 しかし勝負俵で豊ノ島がクルリ。大関は土俵を割った。 白鵬との千秋楽直接対決を望むファンからは悲鳴が上がったが、 豊ノ島の左足が、先に蛇の目の砂を乱していた。 すっかり負けたと思った琴光喜は、勝ち名乗りを受けずに 土俵を下りようとしてしまったくらいだが、 どうにか優勝争いへの興味をつないでくれた。 もっと、腰を落ち着けて、よろしく頼むよ。 白鵬 - 魁皇![]()
さぁ横綱の登場。 魁皇の人気は根強く、館内は白鵬にとってアウェイ。 ま、横綱というのは(特に今は)そういうものだ。 さすが横綱と大関。ドシっと気持ちよく立ち会う。 白鵬はすぐに左下手を差し、魁皇得意の右上手を封じる。 魁皇も応戦したが、横綱はさらに、 魁皇の左かいなを抱えて、動きを完全に封じた。 そして呼吸を整え、前回しを引いて一気の寄りで勝負を決めた。 強い。そのひと言に尽きる。
大麻問題で揺れ、信用も地に堕ちた相撲協会。 相撲は明治の昔から、世論の風で倒れそうになったり急浮上したり、 フラフラとした組織でした。 今の状態も、長~い目で見れば、人気復活の契機となるかもしれません。 ただし、今回は、後がないと思います。 堕ちるところまで堕ちたとはいえ、これ以上穴を掘ると もう戻ってこられない深さになります。 相撲が国技だというのは別に正式に決まっているわけではありません(もちろん「国技」と呼ぶ根拠はあるわけですが)。 歴史的に、世間の風評や一部の人気力士に支えられてきただけの 競技なのです。 だからこそ、ファンを大切に、世論に目を配って、 国技をずっと名乗れるように、踏ん張ってほしいですね。![]()
観客の入りは13日目としては寂しい限りで、 レベルも僕が毎日見ていた20年前より下がっている気がしてなりませんが、 それでも、結びの一番に向けてだんだんと場内の空気が引き締まってゆく感じ などは、やはり独特のものがあって、ゾクっとします。 相撲っていいな、と改めて思いました。 90年代の、あの素晴らしい時をもう一度。
posted by sot-escape |03:01 |
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