2008年05月10日

アパッチを襲った悲劇 [bjリーグFINAL]

遅くなりましたが。bjリーグ決勝のレポートです。
素人の駄文をお許しください。

Match No.042 2008.5.4
<バスケットボール>
bjリーグプレーオフ ファイナル
大阪エヴェッサvs東京アパッチ
@有明コロシアム

やはり決勝の舞台というのは特別なものなのでしょうか。
両チームとも、打てども打てどもシュートが入りません。

選手たちの緊張、気負い、意欲、すべてが空回っているような。
決勝にふさわしいハイレベルな攻防だったか、と言われれば、
JBLのファイナルのほうが質は高かったと思います。
でも、そんな人間味に溢れた感じがbjリーグの良さなのかな、と思います。
決勝にふさわしい、ハイレベルの興奮は、確かにありました。



特に、東京の空回りが目立つ前半でした。
先月の20日に代々木で見たワイルドカードゲームのときは、
ハンフリーがオフェンスを引っ張り、よく打ちよく外し、
まるでたしなめるように周りがフォローする、というリズムがありました。
ベイカーやデービスなど、どこからでも得点できる雰囲気、
そして勢いがあり、事実新潟は吹き飛ばされ、仙台も呑み込まれました。

ところが。
ハンフリーは前半わずか2得点。いやハンフリーだけの問題ではなく、
試合全体が1対1のオンパレードで、
特にインサイドでは黒人選手が意地になって仕掛けてはシュートを落とす、という
シーンが続きました。大阪はマイキー・マーシャル、リン・ワシントンになかなか
得点が生まれませんでした。

外のシュートもタッチの良い選手は誰もいなかったんじゃないでしょうか。

そんな中、東京はディフェンスでは激しく応戦し、
ベーカーのシュートなどでリードを奪い、
16-12で1Qを終えます。

こういう展開のとき、ベンチプレイヤーがトリガーになることはよくあります。

まさに堅苦しい展開を打破するために、
東京はあえて青木康平をベンチスタートにさせていた、といっても過言ではないでしょう。

「彼をベンチからスタートさせることで、青木の得点力が増すことと、相手が青木の止め方を見失うという2つの利点がある。彼自身には(スターティングメンバーからの)『降格』ではないということを説明した。」

とブライアントHCはプレーオフ前に語っています。

青木が切り札になるべき展開でした。
ところが、東京アパッチにとって初のファイナルには非情な試練が待っていました。
1Q終了間際にコートに入った青木が、
2Q開始まもなく、目を負傷して退いたのです。
最初は出血か何かだと思いましたが、彼は二度とコートには戻りませんでした。

あまりにも痛すぎる青木の離脱。
残りの試合時間、僕の目はずっと城宝匡史に向いていました。

2Qは残り7:52でワシントンがフリースローを入れるまで、
2分以上もスコアが動きませんでした。ロースコアが続きます。

城宝は明らかに気負っていました。
無理な体勢からのシュート、ドリブル中のハンドリングエラー。
青木の負傷は、おそらく東京ベンチに相当の衝撃を与えていたのでしょう。
城宝は確かにその代役でしたが、自らの役割を過大に捉えすぎていたように見え
ました。

あるいは、古巣大阪が相手ということも関係していたのか…。
 
14-16から、城宝が3PTを落とします。
大阪はマーシャルのダンクで同点に追いつき、さらに逆転。
東京はなんとか得たFTを城宝が沈めて再び同点。
点が動き始めたかに見えましたが、
やはり全体的に判断やシュート成功率が悪く、じりじりとした展開が続きます。
残り5分を切っても18-20。

2Q残り時間はシーソーゲーム。
ブラウンの活躍で東京が得点を重ねれば、大阪はマーシャルが3PTで逆転。
終了間際に今度はハンフリーがようやく決めて26-26の同点で
前半を終えました。
高校生のようなハーフタイムのスコア。
マーベリックスやサンズの試合だったら1クォーター分の得点です。

3Qに入っても、取ったり取られたりと緊迫した展開が続きました。
ただその中でも、両者に差が出てきました。インサイドでの攻防です。
もともとゴール下では大阪に分があるかと思いますが、
東京はよく守っていました。
ところが攻撃のペイントゾーンでは、入れなければならないシュートが
落ちる落ちる……。

34-38と4点ビハインドから、大阪のパスミスを誘ったにもかかわらず、
直後に無駄なターンオーバーを犯し、
大阪・ロティックにファーストブレイクを許して6点差に。
さらにワシントンとのマッチアップでベイカーが惜しくもファウルを取られ、FTで8点差。
これ以上離されたくない東京は、長距離要員で登場のイ・ジョンジュンが
スリーを沈め、さらにラスト数秒で岩佐潤がドリブルで切り込んで決め、
41-44と迫って3Qを終えました。
東京はなんとか食い下がります。

4Qのアタマ、DJが「泣いても笑ってもあと10分です!」と叫びました。
数で勝る紫の東京ブースターはDJ UMEの煽りでアパッチコールを繰り返し、
大阪からやってきた赤いブースターも応戦します。
エンタメ要素の強いbjリーグの試合会場にあっても、純粋なる試合の緊張感が
アリーナの興奮を作り出していました。

大阪はニュートンのバスケットカウントで点差を6点に広げます。
東京はコートに戻った城宝が決めて4点差。
大阪・ロティックが3PTを外したあと、
東京は2つのシュートを落としながらも両方のオフェンスリバウンドを掴み、
ブラウンがファウルをもらって、FT2本を成功させて2点差。
このときブラウンは緊張でレーンの周りをウロウロしていました。
ワシントン、マーシャルが外し、ニュートンがダンクをミス。
そのニュートンのファウルを受けた城宝のFTで東京は47-47の同点に追いつきます
。

マーシャルのシュート、ワシントンのジャンパーで再び4点差、
東京はブラウンが決めて2点差。
マーシャルがリバウンドをチップインし、城宝は3PTが入らず。

ブラウンの4つめのファウルでワシントンがFTを沈め、6点差。

ハンフリーは悪癖が出て難しいシュートを落とします。
さらにワシントンはスピンで切れ込んで、57-49。
点差はこの試合最大タイの8に開きます。

エヴェッサの守備は、アウトサイドでも光っていました。
アパッチはワイルドカードの新潟戦では、
中へ外へとボールを動かし、外の選手をフリーにすることに成功していました。
しかし、大阪ディフェンスはインサイドでの個人対決での優勢を生かし、
しっかりと外側にもプレッシャーをかけ続けました。

ファウルのかさむ東京。ブラウンはついに退場。
大阪の選手はFTをほとんど落としません。

それでもデミオン・ベーカーが頑張って4点差に。


試合を通してボールを動かす意識を欠いていました東京に、
終盤へ来ての焦りが加わります。

長距離シュートが必要な時間帯に、誰もフリーにならない。
この状況を打破しにかかったともいえますし、
もしかしたら悪い流れの割りを食ったともいえるかもしれません。
城宝匡史は、大男たちの待つゴール下にひとりでペネトレイトしていき、ブロックの餌食になりました。

残り1分30秒で4点差、という状況で無理をしました。
さらにマーシャルに決められたあと、またもドリブルで持ち込もうとして
ターンオーバーを犯し、さらに、スローインのミスという凡プレー。

ボールを運べてシュートも打てる青木の離脱が、
城宝にポイントガードの役割を強いていました。

数試合しか東京の試合を見ていない僕が知ったようなことを言うのははばかられますが、
僕は別のストーリーもあってよかったのではないかと思ってしまいました。
ずっと青木康平の前座のような形でスターターで出ていた牧ダレン聡や仲摩純平が、
東京を窮地から救うというストーリー。

ハンフリーが元気なく、デービスも消されている中、ブライアントHCは、
城宝の大阪での経験に託したのでしょうか…。

僕は、ロケッツとのファイナルで不調のジョン・スタークスにシュートを打たせ続けた
当時ニックスのパット・ライリーHCを思い浮かべました。

残り30秒を切り、イ・ジョンジュンのスリーが落ち、城宝の7本目の3PTトライがリングに弾かれ、
試合は事実上決しました。

城宝は一瞬頭を抱えたあと、両膝に手を置きました。



カウントダウンの中、大活躍のマイキー・マーシャルが高々とボールを放り投げ、
大阪エヴェッサが3連覇を達成しました。

大阪は、強かった。それに尽きると思います。点差以上のものがありました。

攻撃面ではまったく試合をさせてもらえなかった東京、そして城宝匡史の、
来季の逆襲を期待します。


ナイスゲームでした。


大阪エヴェッサ 66-56 東京アパッチ

posted by sot-escape |19:40 | bjリーグ | コメント(2) | トラックバック(0)
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この記事に対するコメント一覧
アパッチを襲った悲劇 [bjリーグFINAL]

通りすがりです。
自分もスポーツ全般の観戦が趣味です。
サッカーはベガルタ、野球はロッテ、バスケは89ERS、ラグビーは三洋電機をヒイキにしています。

bjファイナルは自分も観に行きました。一番安い自由席で友人と観てました。
仙台3位で大騒ぎした分、決勝は落ち着いて観た・・・・つもりですが、結構テンション高かった気がします。

東京は序盤にペースを握ったときにもう少し突き放せたら面白かった(青木の負傷退場が痛かった)のですが・・・。
ただ、3Q残り1分で8点差→5点差にした(岩佐のレイアップは絶妙でした)ことで4Qは残り2分までわからない展開になりましたね。

とりあえず、コービー父のオーラは遠くからでも感じましたよ。

posted by Hfan | 2008-05-11 21:59

アパッチを襲った悲劇 [bjリーグFINAL]

はじめまして。
あの日、ゴール裏にいたアパッチブースターです。

素晴しいレポートありがとうございます。
いろいろ思い出してしまいました。。

しかし、大阪は強かったですね。
ヘリコとニックに対するプレッシャーは尋常じゃありませんでした。お互いにパスの出所を徹底的に潰し合ったので、攻撃はかなり単調なものになってしまったのだと思います。

そんな展開のときこそ青木康平&岩佐潤のコンビでボールを動かして、オフェンスをガラッと変えるのが得意のパターンなんですが、、勝負は時の運ですね。悔しいですがしょうがないです。

城宝の暴走は、たしかに褒められたことではないかもしれませんが、私はあれでこそ城宝だと思いますから、結構納得しています。あのアグレッシブさが、シーズン中のアパッチを何度も救ってくれましたから。あの局面で、暴走と言われる程果敢に攻めに行く日本人選手なんて、他にいません。彼の最大の武器はあのハートの強さです。
この悔しさをバネにさらに成長してくれるものと信じます。

東京の選手も、大阪の選手も、試合前、いや、シーズン終盤戦になるにつれ「ブースターのために勝ちたい」ということを盛んに言ってくれるようになりました。ファイナルはバスケとしては凡戦になってしまったかもしれませんが、「ブースターのために絶対に勝つ」と言ってやってくれたディフェンス戦ですから、少なくとも、我々ブースターにとってはこれ以上無い素晴しい試合でした。
我がチームを誇りに思い、優勝した大阪を尊敬します。

この感動を生み出したことこそが、このリーグの未来を明るく照らしていると思います。
全ての選手、スタッフ、ブースターに感謝の拍手を送りたいです。

長いコメントで、失礼致しました。

posted by フィルコ・ユーショー | 2008-05-13 14:20

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