2008年03月16日

人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

Match No.25 2008.3.15
<サッカー>
J1リーグ第2節
ジェフユナイテッド市原・千葉vs清水エスパルス
@フクダ電子アリーナ

オフの話題をある意味独占したジェフ。
Jリーグが始まったころ、僕はジェフ市原が好きでした。
FC東京が調布に現れるずっと前なので、
東京よりジェフとのつきあいは長いわけです。

今日の観戦ポイントは2つ。
1)オフの話題をある意味独占したジェフが、どうなってしまっているか。
2)東京から移籍したおれの馬場憂太は元気でやっているか。

幸か不幸か、フクアリは1万4千人でほぼ満員に見えてしまいます。
何度来ても素晴らしいスタジアムです。


佐藤、羽生、水野、水本、山岸。
他のチームなら、これだけのメンバーが抜けたら普通は「崩壊」です。
それでも、残ったメンバーは何も悪くないとばかりに
けなげに応援するジェフサポには頭が下がりますし、
ガンバと戦えるまでのチームを作ったクゼ監督もさすが。
そして何より、若手が下から空きポジションを狙い、奪う、
という文化ができていたからこそ、この主力剥奪ショックに耐えられているのでしょう。

試合は藤本淳悟の素晴らしいミドルで清水が先制。
しかしその後はジェフが押していました。
そして、ペナルティエリア内で浮き球をボレーしようとした谷澤が
藤本に倒されジェフはPK獲得。
誰もボールに寄っていかない中、なんと巻が蹴りました。
人材不足を露呈するとともに、外す責任を避けたい選手たちの思惑が見えた瞬間でした。
つまり今のジェフにとっては1点が非常に重いということでしょう。
巻はしっかり決め、今季チーム初得点。
後半終了間際にも巻は完璧なヘディングシュートを放ちましたが、
ゴールポストに弾かれてしまいました。

後半に入っても、清水の本調子には程遠い出来も手伝って、
ジェフが押し気味に進めていました。
右サイドバック松本の果敢な上がりからのチャンスもありました。
しかしなかなかシュートまでは持ち込めません。
ただフェルナンジーニョを孤立させることに成功し、
GK立石も前半の失点を取り返す働きを見せていました。

両者の運動量が落ち始め、最悪でも引き分けが妥当な結果だと思われ始めた後半40分、
長谷川健太が交代で投入した岡崎が左サイドで持ち、内へ切り込んで
10本打っても1本入らないような完璧なミドルを叩き込みました。

清水の不出来からすると、ジェフにはかわいそうな試合の決まり方でした。




辛かったら帰って来いよ


まずはユウタについて。
前半30分という不本意な時間での交代に不満を露にした彼は、
退くとすぐにロッカーに引き上げてしまいました。
あれでいいと思います。

「おれは悪くない」とアピールしたほうがいいです。新しいチームでの生存競争なのですから。
視野の広さを生かしソツなくボールを捌いていましたし、
ピンポイントクロスも2本ありました。
しかし4枚並んだMF陣の中でいちばん役割を明確にできなかった
あるいは明確になっていなかったような気がします。
そもそも工藤と馬場の共存は、馬場が加入した時点で難しい予感がありました。
青木を絡めて3人の間でポジション交換も試みていたようですが、
まだまだ連携不足です。

ジェフの真骨頂はインターセプトや中盤でのボール奪取からの速さですが、
今日は、下村や中島がボールを奪った瞬間は去年までのジェフの顔が覗くのですが、
それより前の選手がいかんせん経験と連携が不足しておりスピードダウンしました。

もしその「遅さ」の責任を馬場憂太が取らされたのだとしたら、
最初から彼を使ったことが間違っていたことになります。
ユウタの価値は「ため」にありますし、彼のボールタッチが多かったのは
あくまで味方のフォローに回ったにすぎないのです。

ユウタはユウタで、猛アピールを続けていく必要があります。
阿部勇樹なき今、ジェフに「バードアイ」を持つ選手はいないからです。
腐らずにがんばって、黄色の8番を自分のものにしてほしいです。



次に新生ジェフについて。
はっきり言って、イビチャ・オシム監督時代のジェフではなくなっていました。
運動量は清水を凌駕していましたが、
現時点ではあのワクワクするような躍動感溢れるサッカーではありません。
オシム時代は、ロスタイムに点を入れられて負けても、
試合の中身への満足度がその悔しさを上回っていました。
今日のサッカーでは、結果が×だとぐったりしてしまいます。

僕はなぜか、「人間国宝」の死亡記事を思い浮かべました。
伝統芸能や手工芸の第一人者、作曲家などが亡くなったという記事を見ると僕はいつも、
死とはなんと残酷なものかと思うのです。
作品は残っても、
彼らの指先の感覚や蓄積された経験やアイディアや閃きといったものが
一瞬にして消えてなくなってしまうのですから。
形のないものはどんなに素晴らしくても後に残らない、という事実。

ジェフ千葉がそれを想起させました。
練習に練習を重ねた昨年までのジェフの選手たちの
コンビネーションやアイディアの共有、阿吽の呼吸といったものが
佐藤や羽生や山岸という細胞の死(離脱)によってなくなった途端、
チームが作り出すものが全く違う作品になってしまったのです。

淀川社長の罪の重さはそこにあります。
ジェフサポの方々だけでなく多くのファンが、
ジェフのサッカーを重要無形文化として敬っていました。
それを殺してしまったのです。

クラブの運営や選手の指導にロマンがあるとすれば、
世に評価される「作品」を作るということに尽きると僕は思います。
それを淀川社長はわかっていないのです。

淀川さん。
背中スポンサーが空っぽなのは、優勝争いに絡めなさそうだからではないですよ。
外部のスポンサーの立場から見て、ほかに欠けているものがあるんです。




このチームには、これからどんどんよくなる素地があります。
今日のような数え切れないほどのパスミスが減れば、アクションサッカーを展開できるでしょう。

ただ、本格的な降格争いを近年していないこのチームが
そのレースに巻き込まれたとき、
勝つためだけのサッカーに徹することができるか。
危うさを孕んでいることには変わりありません。

僕は仕事の関係で蘇我近辺によく出没しますので、
今後も動向を見守りたいと思います。


ジェフ千葉 1-2 清水エスパルス


posted by sot-escape |19:45 | Jリーグ | コメント(5) | トラックバック(0)
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人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

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posted by ジャンル選択をお勧めします | 2008-03-16 19:53

人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

<練習に練習を重ねた昨年までのジェフの選手たちのコンビネーションやアイディアの共有、阿吽の呼吸といったものが佐藤や羽生や山岸という細胞の死(離脱)によってなくなった途端、
チームが作り出すものが全く違う作品になってしまったのです。淀川社長の罪の重さはそこにあります。
ジェフサポの方々だけでなく多くのファンが、
ジェフのサッカーを重要無形文化として敬っていました。
それを殺してしまったのです。>

あなたが言う重要無形文化というものが、かつてジェフでイビチャオシムが体現したものである、
そのサッカーを継続すべき、というのなら、FC
東京がそのサッカーを引き継げば良いのではない
でしょうか。

ジェフのスタッフ、あるいはサポーターの一部は
フルコートマンマーク+運動量で主導権を握り続けなければ機能しないオシムサッカーに限界を感じていましたし、今年はクゼ監督の下でもう少し
合理的な思考でゲームを作ることになるはずなので。
ジェフは残った選手、スタッフでやれることをやります。

ただ「ジェフがオシムサッカーをやらない」=「重要無形文化が殺される」というのはおかしくありませんか?ずばりFC東京が引き継げばいいんですよ!!!

FC東京は羽生も入ったことですし、かつてジェフ以外取り入れようとしなかったフルコートマンマークをやるんですかね?期待していますよ。

posted by まるめ | 2008-03-16 20:38

人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

>FC東京が引き継げばいい

との指摘を受け、他人事でなくなった瞬間に自分の放った言葉が重く感じてきました。
たしかに僕のような外部者よりもジェフサポの方々のほうが切り替えが早いのかもしれませんね。

強力ストライカー(らしき)ブラジル人が前にいる東京がオシムサッカーを真似るとどうなるのか、見てみたいです。
単純に「2、3年前のジェフ」+「決定力」=最強
とはいかないんだろうなー。

posted by sot | 2008-03-17 00:26

人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

FC東京にはFC東京の(伝統的な?)サッカーがあるでしょうから。。。

管理人さんの最初のコメントに1票。

posted by う | 2008-03-17 01:56

人間国宝の死のような  [千葉vs清水]

愛弟子のグランパス:ピクシーも居ますし、もちろん東京、J2には広島、甲府も居ます。『伝統』は絶やさず、受け継がれる事が唯一の重要事項ですので、ひとつの『死』を嘆いても仕方ないです。受け継がれ、継続されている事を良しとしなければ。

posted by domo | 2008-03-17 08:20

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