2008年12月31日

アイスホッケーの火は消えない [日光vsクレインズ]

Match No.099 2008.12.28
<アイスホッケー>
アジアリーグ
HC日光アイスバックスvs日本製紙クレインズ
@日光霧降アイスアリーナ


今年一番のバッドニュースは、
年の瀬にやってきました。

SEIBUプリンスラビッツ廃部の決定。
ニュースを知ったとき、全国のアイスホッケーファンの皆さんはどんな反応をしたのでしょう。
例えば僕は呻き声を上げて頭を抱えました。

経費のかかる「お荷物」としていつか切りたいと思っていたところへ、
「経済情勢の悪化」が口実を与えた、
というのが私の見立てです。

不景気を感じる前から不景気だと思い込んでしまったような感じの昨今の日本。
果たして、プリンスホテルやオンワードにとって今は100年に1度の危機なんでしょうか。
西武グループの経営の拙さは今に始まったことではないでしょう。

とにかく、ヤバい状況です。
東伏見での街頭インタビューに答えた方の言葉を借りれば
「野球でいえば巨人がなくなるようなもの」という緊急事態です。

「年間100試合観戦計画」は、99試合目に、
アイスホッケーを選びました。

====

2月のプレーオフに来たときは平日ナイターだったので寂しかった日光の駅前ですが、
年末を温泉地で過ごす観光客でそこそこ賑わってました。

今や僕がいちばん好きなアリーナといえる霧降アリーナ。
たくさんのバックスファンを集めました。

クレインズサポーターが、ラビッツ存続のための署名を集めていました。
もちろん気合いを入れて名前を書きます。
名前がひとつしかないのが残念。
====

クレインズは赤いユニフォーム(初めて見た)、
バックスは黒地にオレンジの横縞が入ったユニフォームで戦います
(そんなのあったんだね。パジャマみたいだけど素敵)。

両ゴーリーは昨日の試合と同じ、バックスは橋本、クレインズは石川。
昨日は4-1でクレインズ。日光はまだ今季4勝で最下位だ。

98%ホームの雰囲気でフェイスオフ。

2月の試合と同じような立ち上がり。
バックスは開始52秒でいきなりペナルティを取られる。
飯村のシュートをゴール前でチップされるが橋本がセーブ。
伊藤雅俊からゴール横のティリー(だったかな)へのパス、これは外れる。
危なっかしいスタートだ。
せめて序盤は耐えてくれよー。

そんな願いが通じ、よく走れていたバックス。
中居


3:40頃、第2ラインの大日向と中居のブレイクアウェイ、
2on1だったが、シュートは石川にセーブされた。
3分後、リンク中央でパックを奪った大日向が持ち込みシュート、これもセーブ。
さらに、中居が少なくとも2回チャンスを演出する。

バックス、とってもいい感じ。
FWはよく追い、ニュートラルゾーンでのチェックも早い。
ペースは掴んでいた。

しかし、先制点はやっぱりクレインズ。
攻め込んだ先のゴール裏で日光・瀬高がトリッピングを取られると、
クレインズは12:14、パワープレーチャンスをゴール脇で山野が生かし、1-0とした。

ここから日光は押し込まれ始めるが、
橋本が横っ飛びセーブなどで切り抜ける。

その後、激しいトランジッションゲームから双方チャンスを作るが、
1-0のまま1ピリ終了。
橋本の奮闘


腹が減っていた僕は、当然売店コーナーへ。
駅前で食事をするのを我慢したのは、もちろんここの豚汁を飲むことが
ホッケーの役に立つからだ。
2月の反省を生かして防寒着をちゃんと着てはいたが、
やはりこの(ジャガイモの多い)豚汁がいちばん効く。

さて、1ピリのラストプレーでディック・ジョエルが反則を取られていた。
2ピリは最初から人数有利のアイスバックス。
39秒、ゴール前から後ろに戻されたパックを、
ルーキー福沢直哉が叩き、これが見事に決まる。
ドッカンドッカン霧降アリーナ。オレンジの旗が揺れる。
同点!!


ラッフィング両成敗で4on4、さらに日光のパワープレーチャンスがあったが、
日光はセットアップするもののなかなかシュートに持ち込めず、
ファンからは「打て!」の声。このあたり味スタと一緒。

しかしパックを客席放り込みの罰(ディレーオブゲーム)で
クレインズがペナルティを犯すと、
7:19、バックスがパワープレーゴール。
左からのシュートのリバウンド、空いたゴールに中居がパックを押し込み、勝ち越した。

クレインズの個人技と素晴らしいパス回し、それに対抗するバックスの速攻。
好対照がゲームを面白くする。
9:45、直前の日光・ラフリニーエルのチャンスを防いだクレインズは、
速い攻撃から、三谷のロングパスを受けたディックが同点ゴール。
やはりこの2人でサクっと点を取ってしまう。

互角以上にやりあった30分間に満足するな。気持ちを切らすな。
と念じていたら、12:29またもやパワープレーを生かす。
フェイスオフからゴール前の混戦。
瀬高のシュート、リバウンド、土田英二ぃぃぃ!3-2。再び勝ち越した!
ここまでの3得点すべて、氷に乗っていたのは同じ
福沢、土田、中居、瀬高、ギルクリストのパワープレーセットだ。

クレインズも黙ってはいない。
佐藤博史、大沢のシュートは橋本がセーブ、
さらにクレインズのパワープレー。
橋本にはシュートの雨。しかしリバウンドを漏らさない。集中力は依然高い。
PP明けもどんどん放り込んでくるクレインズだが、
日光が集中してリードを守り、2ピリを終えた。
ここまで24-16とシュート数でも大きく日光が上回っていた。
セルジオさん


ところが、3ピリのシュート数は、
日光7に対し、クレインズはなんと3倍の21本。

それでも、よく逆転を許さなかったと思う。

3ピリ最初のPKを凌ぎ、PK明けも橋本がピンチを防ぐ。
押し込まれながらも懸命のフォアチェックと速攻でチャンスをうかがう日光。

しかし11分台、日光は福沢がスティックを失う。
クレインズはパックを回して追い詰める。
プレーはなかなか止まってくれない。塚田が福沢にスティックを渡すも、自分は手ぶら。
プレスがかからない中、ゴール前にパックが放り込まれ、
リバウンドを佐藤博史が叩き、クレインズが同点とした。

尻がむずむずしてきた。ハラハラしているときの感覚。
つまり、面白いってこと。
この競技を見てハマらない人って、寂しい人だよね。
言いすぎかな。たしかにテレビじゃつまらんのだけど、
一度でも生で(できればプレーオフなんかを)見たら、サッカーに戻るのが
ちょっとしんどくなると思うのだけれど。

人生で2度だけ見た本場でのNHL(もう1試合は@さいたま)。
セディン兄弟がシュートを外しまくった、バンクーバーでの試合(2万人)。
大好きなティモネンがゴールを挙げた、ナッシュビルの試合(1.5万人)。
わざわざ太平洋を渡ってしまうほど僕がアイスホッケーを愛するのは、
単純明快で、スピーディーでパワフルで、
そしてスケートしながらパックを扱うという特殊技能を選手が操るという
スポーツとして大切な要素を凝縮した競技だと思うからだ。

今日の試合でも、3ピリラスト2分の一進一退の攻防はしびれた。
アイスバックスの速攻。大日向が右からシュート、石川がセーブ。
ラスト20秒。クレインズ飯村のシュート、リバウンドが出た!橋本セーブ!
その帰りのブレイクアウェイ、波多野がシュートをセーブした石川に
ぶつかっていった(リバウンドを獲りにいった)ことで石川が色めき立つ。
ヒューっと逃げていった波多野に、飯村がヒット。波多野吹っ飛ぶ。
飯村乱心


ラスト8秒での大喧嘩。バックスを去った飯村に、霧降に降る激しいヤジ。

ジャッジは、飯村4分、波多野2分。

延長戦は4on3でのスタートとなった。リンクはスッカスカ。
そして延長1:05、土屋がスラップシュート!
右へ大きく外れたが、壁に当たったパックが跳ね返ってきたところを、
福沢が口を空けたゴールにシュート、ゴーーーール!
同じセットで、4つめのゴールだった。
Vゴール


====
ヒーローインタビュー。インタビュアーは正直で、
「バックス勝ちました!」と2度叫びました。
勝ったことがニュース。それは情けないっちゃ情けないんですが、
この歓喜を味わうために、人々はまた、アリーナにやってくるのです。
それはホッケーに限らずどこのファンでも同じことです。

日光に来てうらやましいと思うのは、
帰りのタクシーで運転手さんが「今日は勝ちました?」と聞いてくること。
第一声がホッケー、しかも「バックス勝ちました?」でなくても当然バックスが主語だとわかる会話。
味スタではまずあり得ないですね。「味スタ」が通じない運ちゃんさえいます。

そういう意味では、他のスポーツのフランチャイズすら凌駕している日光。
運営の苦しさは至るところに現れていますが、僕はこのチームが本当にうらやましいです。

SEIBUプリンスラビッツの衝撃は、
国内のアイスホッケーにどこまで影響するのでしょうか…。
2009年は実体経済がかなり厳しいのは確実です。状況は果てしなく厳しい。
でもトップリーグの維持はもちろん、チーム数の維持も絶対に必要です。

我々ファンは、できることは全てやりましょう。
僕は、競技の魅力をこういう場で伝えるのも、役目のひとつだと思っています。
昔に比べメディア露出が圧倒的に減ってしまったアイスホッケーですが、
霧降アリーナの雰囲気と、リンク上の戦いを見て、強く思いました。
日本アイスホッケーの火は、消えないぞ!!


そして東京のアイスホッケーの火も。

僕は願います。
立ち上がれ、FC東京、と。
年間3億円?楽勝楽勝。


日光アイスバックス 4-3 日本製紙クレインズ


posted by sot-escape |22:21 | アジアリーグ | コメント(1) | トラックバック(0)
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日本アイホ界にとって重要な局面

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霧降でバックスが日本製紙にOT勝ちは熱い!折角日本にいたので、僕も見に行けば良かったなぁと少し後悔してしまいました。
西武廃部のニュースは日本アイホ界の今後を考える上で重要な局面を迎えたことを意味していますね。サッカーのように、企業スポーツからクラブチームへの脱皮を図れるか、強いリーダーシップが求められている時期かと思います。ガラガラの国立で全日空・日産・フジタ・読売あたりの試合を見ていた頃と比べると今のサッカー人気は信じられないものがあり、同様にアイホも10年後は盛り上がっていれば良いなと思います。
持続的な発展を考えると競技レベルを上げることは非常に重要で(日本代表がカナダのSenior Leagueのチームと互角の試合をしているようでは…)、その為にトップリーグ維持は絶対に必要です。リーグとしてはAHLクラスの選手の選択肢になるオファーが出来るレベルまで財務体系・競技環境を徐徐に整えると同時に、大学・自治体設置リンク数を増やし、都市部でのイベント実施を通じて競技人口の増やしていくなど地道な努力が必要そうですね。結局、北米と北欧のチームが強くなる理由って、リンクが至る所にあって、寒いところだと池でも公園でも裏庭でもホッケー出来て、競技に触れる機会が多いからですもんね。あまり盛んとは言えないMassachusettsだけでも120箇所以上リンクあるし。東京でも、昔OilersがWest Edmonton Mallのリンクで練習やっていたみたいに、繁華街のド真中や遊園地のリンクとかで公開練習したり出来ないかな。国際大会の誘致(IIHF World Championship?)などを20年後の目標として掲げても良いかもしれません。
で、話は変わるが…今年のボストン茶熊は強すぎる。怪我が増えてきたのが少し気がかりですが(特にBergyとSturm)、Providenceが頑張っているお蔭で新鮮な選手が次々に出てきて、非常に楽しみなチームです。3年で立て直したGMの手腕は凄い。NHL関係では、正月のWrigley Fieldでの屋外試合も、どうなるか楽しみなとこです。

posted by doya | 2009-01-01 00:41

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