2010年04月26日
余裕〜吉田秀彦選手とボーウィー選手
昨日は日本武道館で「吉田秀彦引退興行〜ASTRA」を取材。興行全体についてはいろいろあったし、個々の試合の勝敗について思うところもいろいろありましたが(長倉選手と長南選手の敗北にはビックリ)、そこは皆さんいろいろなところで書かれているので、まあいいでしょう。あと会場の様子とか演出とかについては、某誌(って別に隠す必要ないか)で書かせてもらってますので、その時はまた改めてご案内します。 さて、メインの吉田秀彦VS中村和裕。ご存じの通り、中村選手の判定勝ちでした。いろんなシチュエーションとか両者の立場とかプレッシャーとかを考えると批判されるような内容でもなかったとは思うんですが、最後の腕十字は、中村選手には極めてほしかった。中村選手が取りにいき、吉田選手が防いでいた時間の間、自分は「ここで取れるか取れないかで、中村選手の今後が変わってくるのでは」と思っていました。だからこそ極めてほしかったのですが、そこは残念でした。 あの試合、「これは中村選手は勝てないのでは」と思った場面がありました。それは試合前、両選手がコールされたときのこと。特別リングアナのつんく♂氏に中村選手がコールされたとき、吉田選手は拍手していたのです。一方、入場時から思い詰めた表情だった中村選手は、吉田選手のコール時には動きはありませんでした。 いくつか確認もしてみたんですが、吉田選手は相手のコール時に拍手するのがいつものことなのか、それともこの日だけだったのかはちょっと分かりません。柔道の頃にどうだったのかも(分かる方、教えていただければ幸いです)。ただ一つ言えるのは、少なくともこの日に関して、吉田選手は拍手をしていたということ。そして中村選手はしていなかったということ。 「勝てないのでは」というか、「越えられないのでは」という印象でしたあそこで拍手ができる余裕とか気持ちの強さ、それが吉田選手が持っているものであり、中村選手には足りなかったものではないかという。 結果、中村選手は終始吉田選手に対して攻めていき、判定勝ちも収めましたが、やはり「越えた」感を示すことはできませんでした。 それで思い出したことがあります。2週間前の4月11日、シュートボクシング後楽園ホール大会。この日のメイン、梅野孝明VSボーウィー・ソー・ウドムソン戦は掛け値なしに名勝負でした。互いに持ち味である、おっそろしく強烈なパンチを繰り出し合い、ダウンを奪い合い相手をフラフラにさせながら、最後はボーウィー選手が2RKO勝ちを収めました。 この時も、「あ、梅野選手勝てないのでは」と思ったシーンがあったのです。それは1R終了時でした。すでに1度ずつダウンを取り合い、さらに後半には梅野選手のパンチでボーウィー選手がぐらつく場面もありました。そして激しいパンチの応酬の中、ラウンド終了のゴング。場内は大歓声でしたが、それ以上に興奮していたのはボーウィー選手でした。 ボーウィー選手はゴングが鳴ると満面の笑みを浮かべて両手を突き上げ、すれ違いざま「もっとやろうぜ!」とばかりに梅野選手の肩をぽんぽんと叩きました。 ですが、梅野選手はそれには応えず、疲れ切った様子でコーナーへ。 いやもちろん、それだけ全力のパンチ合戦を繰り広げた直後ですから、当然ではあります。梅野選手が当たり前なのです。でも、その時ボーウィー選手は明らかに「ファイターズ・ハイ」みたいな状態になっていました。それを見て、「あ、これは“生き物”として違うのかも」と思わされてしまったのです。 吉田選手の余裕、ボーウィー選手の余裕。実際には2人とも余裕などなかったかもしれません。それでも、そう見せることができるということ。それは勝負として大切なことなのではないかと。一朝一夕で身につくものではなく、限られた人間にしか持てないものなのかもしれませんが。 ※ツイッターやってます。アカウントは「solitario_k」です。よろしくお願いします!
posted by solitario |23:08 |
格闘技雑感 |
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