2010年04月20日

【発掘原稿シリーズ】青木真也選手について初めて書いたのは…

 突然ですがちょっと実験的に、過去に書いた原稿を不定期で再掲してみたいと思います。今回は、青木真也選手について自分が初めて書いたときのもの。2004年6月6日、大久保のスポーツ会館で行われた第30回全日本サンボ選手権大会のリポートです(『格闘技通信』2004年7月23日号掲載)。
 この大会で、青木選手は前年に続き82kg級で連覇を達成。テクニカル、十字での一本、そして決勝も飛びつき十字で一本と文句なしの快進撃でした。すでに前年末のDEEPフューチャーキング・トーナメントで優勝しており、7月のDEEPでプロデビューが決まっているという状況でした(後に選手の欠場によりDEEPウェルター級王座決定トーナメントに出場することになり、池本誠知選手に勝利)。ちなみに、この大会での青木選手の所属は「今成」でした。
 それではその時の原稿をどうぞ。

 もてはやされたのはもうずいぶん前。競技人口が減っている。同じ組み技なら、今は柔術の方が盛ん…今、「サンボ」と聞いて多くの人が抱くのは、こんな印象ではないだろうか。では、このたび行なわれたサンボ全日本選手権は、その印象の通りに今や注目する価値のないものだったのだろうか?
 第30回という記念すべき大会となった今回は特に、そんな印象を覆してしまうような、見応えのある試合が続出した。6連覇という大会史上初の偉業を成し遂げた松本秀彦、翌週の柔術全日本でも大活躍した青木真也、74㌔級連覇を果たした石毛大蔵、その石毛と大東文化大柔道部でともに汗を流した三浦広光(優秀選手賞)らを筆頭に、積極的に一本を取りに行くアグレッシブな選手が多かったからだ。
 今、挙げた名前を見ても分かるとおり、サンボの世界でも世代交代は確実に進んでいる。若い世代は特に、サンボの先に総合のリングを見据えている。また、柔道界からの実力者の参加が多いことは以前から変わらないが、レスリングに加え、柔術の選手も見受けられるようになった。組み手争いやグラウンドの攻防で、サンボの選手とそれら他競技の選手が見せる攻防は「微妙に異種格闘技戦」と思って見れば興味深い。
 そんな中で、先に挙げた選手たちはサンボのサンボたる意義を、存分に見せつけてくれた。大会前のロシア修行で足を負傷し、厳しいコンディションの中で優勝を果たした松本は「ロシアで面白い技をいっぱい仕入れてきたので、出したい技がたくさんあったんですけどね。やっぱりサンボは面白いですよ」と言う。松本ほど長くやっている選手が改めて舌を巻く本場・ロシアのサンボとは? これだけで興味津々になるというもの。
 鮮やかな飛び十字で優勝を決め、7月のDEEPではウェルター級王座決定トーナメントに抜擢が決まっている青木は「サンボらしい技で勝ちたかった。十字はどんな角度からでも決める自信があるので、『十字屋』と呼ばれている長谷川秀彦さん(一昨年同級優勝)とやりたい」とコメント。
 また、“SKアブソリュートの秘密兵器”と言われ、現在はアメリカで武者修行中の石毛大蔵はこう言い切る。「アメリカでも柔術の方が盛んなんですけど、見てたら柔術なんかよりサンボの方が面白い。足関節技がある分、サンボの方が面白いですよ」と。
 彼らに共通する一本への積極性、ひいては「サンボが面白いから、面白い試合を見せたい」という気持ちが、大会関係者も「今年はいい試合が多かった」というほどの熱戦の連続を生んだ。おそらく、普段総合のプロ興行を見ているようなファンが観戦したとしても、十分楽しめたのではなかろうか?
 その総合の世界では、ヒョードル、ハリトーノフの躍進でサンボの強さが再び注目されようとしている。どんなジャンルも、飛び抜けて強い選手が出てくれば一躍注目されるもの。この全日本から、総合で活躍する“和製ヒョードル”が現れれば、国内のサンボへの注目度も俄然アップするに違いない(この日出ていた第一空挺団の選手が優勝していれば、“和製ハリトーノフ”だったが…)。そして、その候補はすでに何人もいる。出でよ、和製ヒョードル!(高崎)


※思うところあってツイッター始めました。アカウントは「solitario_k」。よろしければどうぞ。

posted by solitario |22:47 | 発掘原稿シリーズ | コメント(0) | トラックバック(0)
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