2009年01月15日

その5~プロレスは遠くなりにけり①

 大のプロレスファンであった僕は、今のプロレスの体たらくががまんできない。あれ程愛したプロレスは遠く遠くなってしまった。プロレスを捨て、総合格闘技に走ってしまった僕のような奴が、日本にどのくらいいるのだろうか。

 スカパーのサムライTVをとっているので、今もプロレスを時々見る。そこで繰り広げられている光景は、かつて自分が夢中になって見たものとは全く異なるものだ。一言でいうと「汚い」。地方のどさまわりの田舎芝居に似たもの、そんな印象だ。以前ある雑誌の中で、力道山時代のレスラーが、「かつてのプロレスはもっと高級なものだった。」と発言していた。我が意を得た言葉だった。「プロ」レスではなく、ちょっと練習すれば誰にでもまねできる学生プロレスのレベルのものがほとんどだ。飛んだりはねたり、大技のオンパレード、攻守が安易に変わり、オチャラケの全く緊張感を感じさせない、ダンスみたいなものだ。そこに闘いはみじんもない。高い技術の攻防やプロレスの奥義といったものを感じさせるものもない。そして、今のプロレスラーやプロレスファンはそれを当然と思い、そうでないものを求めてさえいない。

 プロレス大好き人間だった僕も、プロレスを諦めてもうかれこれ20年近くなるのではないか。その間、プロレスを衰退させ、プロレスが世の中の人々から見捨てられていくいろいろな事があった。本当にいろいろな事が。

 プロレス衰退の原因は様々だが、大きく二つあると思う。一つは、プロレスを見ていた、プロレスを支えていたファンがプロレスに何を求めていたのかをレスラーを中心とするプロレス関係者が真に理解していなかったことだ。もう一つは、プロレスの本質が傾いていくのを気づいていながら、プロレスマスコミがレスラーや団体に遠慮し、適切な批判や助言を怠っていたことだ。

 僕にプロレスの面白さを教えてくれたのは、G馬場とA猪木だ。馬場とジン・キニスキー、クラッシャー・リソワスキー、ディック・ザ・ブルーザー、ザ・デストロイヤー、ターザン・タイラー、フレッド・ブラッシー、K・K・コックス、ボボ・ブラジル、ウィルバー・スナイダー、F・V・エリック、ザ・シーク等々の試合を怪獣映画を見るように小学生の僕は金曜日の8時から、わくわくしながら、見ていた。
 
 A猪木とクリス・マルコフ、D・F・ジュニア、J・パワーズ、T・J・シン、J・トロス、K・K・クラップ、B・グラハム、W・ルスカ、M・アリ、大木金太郎、S・小林、S・ハンセン等々の試合を中学生から高校生の頃必死で見ていた。

 G馬場の試合が面白かったのは、昭和44年頃までだと思う。昭和45年以降、D・ジョナサンやG・モンスーン、ブッチャーなどと試合ではもう面白くなくなっていた。馬場のスポーツ選手としてのピークは、昭和40年前後だったのではないだろうか。

 A猪木の試合が面白かったのは、昭和52年頃までだと思う。M・スーパースターやB・マリガン、S・ハンセンが登場する頃になると反発力がなくなっていたように思う。猪木のスポーツ選手としてのピークは、昭和49年頃ではないだろうか。

 馬場は、全日本プロレスを創り、当時大物外人を数多く招聘し、順風満帆のスタートを切った。自分の存在を脅かす存在であった猪木はもういない。馬場は安心して、自分の目指す「明るく楽しいプロレス」への道を邁進した。それは、ある種緊張感の薄い、激しさのない、格闘技とは異なるものであった。あの全日本初期の頃、サンマルチノやブラジルなどとの試合は、信頼できる外人レスラーとの友好マッチの色合いが濃く、衰えていく馬場の肉体と共に、その試合は説得力を欠いていった。
 
 あの頃の馬場の試合で印象に残っているのは、大木金太郎との試合、鶴田と組んで大木とキム・ドクとの試合、国際プロレスの木村や草津との試合ぐらいだ。ブッチャーやロビンソン、ブロディ、ハンセンらとの試合はかつて馬場ファンであった僕には見るのがつらかった。かつての馬場を知るものなら昭和50年代のそうした試合を見るに耐えないものと映るはずなのに、あえて名前は伏すが、当時の日本テレビのアナウンサー・解説者は空々しく馬場を擁護し、「世界のG馬場」などと赤面するような美辞麗句を並び立て、ゴングやプロレスなどのマスコミも批判らしいことを書きはしなかった。それどころか、老い衰えた馬場の試合を水戸黄門的な一つの形のあるスタイルとして賞賛さえする有様であった。
 
 馬場だけではなく、鶴田をはじめとする全日本プロレスの試合を見るにつけ、プロレスは衰えていくと感じたのは僕だけではあるまい。ただ、長州力が全日本にやってきて、プロレスに覚醒した天龍が長州が去った後、自分が全日本を去るまでの間、全日本のリングに闘いの近いものを示してくれた期間を除いては。

 馬場がもはや昔の馬場でなくなっていった昭和40年代末、それと前後して新日本プロレスを創った猪木は試合の説得力において完全に馬場を超えていた。初期の頃こそ、弱体外人しか呼べず苦戦していたが、坂口が入り、テレビ中継が始まった頃から猪木の躍進は始まった。
 
 あの頃の猪木は、すばらしい身体をしていた。日本プロレス時代よりもスリムになり、他のレスラーにない柔軟なむだのない肉体は美しかった。猪木の試合は地味で、ダイナミックさはなかったが、T・J・シンとの遭遇によって、猪木の持っていた闘争心は目覚めた。他の人たちも言っていることだが、シンこそ新日本プロレスの救世主、猪木を猪木たらしめた、最大のライバルであった。ほとんど相手の攻撃を受けず、攻め一辺倒のシン。時折見せる、強烈なキックや基本的なレスリングの動き。おれはバカやっているが、シリアスに戦っても猪木に匹敵するものをもっているんだというシンのたたずまい。やられやられまくって、怒りをためにためて最後に爆発させる猪木。本当の実力を持った2人の荒々しい闘いは見ていて飽きなかった。
 
 あの頃の猪木は、我々の予期せぬ動きをし、プロレスの予定調和を時に崩し、その意外性が僕らを魅了した。プロレスはしょせんショーだ八百長だとする世間の風潮の中にあって、プロレスという領域が、他のスポーツと比肩しうるものだという自信みたいなものを猪木の試合は僕らマイナープロレスファンの心に植え付けてくれたように思う。
 
 その後、異種格闘技線を経て、他事業に手をだしていくに連れて、柔らかいゴムのようだった身体は硬くなり、猪木の試合に美しさはなくなり、猪木の傲慢さや自分勝手さが鼻につくようになっていった。そして、衰えゆく猪木にとどめをさしたのは、帰ってきたUWFのリーダー、前田日明だった。特に、藤原との試合に勝利した猪木に対して、強烈なハイキックを放ったあの時、僕は猪木ファンから前田ファンになったことを実感したのだ。(つづく)

posted by sogofunkyozo |21:19 | 総合格闘技 | コメント(16) | トラックバック(0)
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その5~プロレスは遠くなりにけり①

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あんたまさかまだプロレスがガチンコだと思ってるんじゃないだろうな?プロレスが台本に基づいたショーである事は力動山の時代から知られていた。馬場のNWA戴冠も猪木の異種格闘技戦も、前田のUWFも全て台本ありのショーなんだよ。本質的には飛んだり跳ねたりの学生プロレスと何の変りもないヤラセにいい年こいた後ものめり込んで、やれ闘いだ真剣勝負だのとわめき散らすのは実に幼稚で見苦しい(大爆笑)

posted by 実に笑える | 2009-01-15 23:36

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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↑こういう事をイチイチ書くほうが幼稚で見苦しい。

posted by q | 2009-01-16 00:18

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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だったら過去の映像を一生懸命見てたらいいと思う。

posted by おみゃんこ | 2009-01-16 01:18

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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実際、過去の映像見てる方が今のプロレス見るより全然面白いですもんね。ガチンコとか云々の話ではない。もっと言うと今の格闘技見るより昔のプロレスの方が面白い。ちなみにこの作者さんは昭和50年前半のブッチャー、ブロディとやっていた時代を以て馬場はもうダメと言ってますがハンセンの移籍で復活したと思います。

posted by cs | 2009-01-16 06:30

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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どうして年寄りってのは過去を美化してばかりいるんですかね?
「近頃の若い者は…」っていうのと同じですね。

posted by 千 | 2009-01-16 08:49

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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私も50代後半の人間ですが,子どものころから熱狂的なプロレスファンです。
「年寄りが・・・・」と反論している若者らしき人ががいますが,だれも昔からガチンコと思っては見ていませんよ。あなたこそ真剣勝負と思って最初は見てたんじゃないですか。 私はただ「プロレス」を見て楽しんでいただけです。その楽しみが今のプロレスは少なくなったいうだけです。
 映画やドラマを真実としてだれが見てますか,それでもときには感動することはあるでしょう。 そんな感動のようなものが昔は感じられたような気がします。

posted by 1951 | 2009-01-16 10:44

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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今のプロレスを面白いと思ってる俺はどうすればいいだ?
好きなものが大した事無いみたいに言われると不愉快なんですけど

昔のプロレス見てもつまらんのだけどさー
って言われたアンタどーすんのよ?

格闘技だろうと芸能だろうとファンやってる人がイイって言えばいいんだよ

アンタ、プロレスに飽きたんだろ?要するにさっ!!!
認めろっての。

後、「年寄りが・・・・」ってのは反論じゃなくて、ドラマは水戸黄門いいね!って言ってるような年寄りへの皮肉だろ?

posted by hhhhhhhhhhhh | 2009-01-16 11:21

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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昔も今もプロレスは面白いですよ。
八百長云々ってのは今さら感があるので論じる気もないですが。。。

ただ・・・昔のプロレス(80年代~90年代初期)がマニアだけでなく一般層も巻き込んでの展開だったのに対し、現在はマニアのみ楽しむ娯楽に成り下がってしまったのは残念に思います。

結末が決まっていようと、「強さ」「技術」「戦い」を魅せることができる団体やレスラーが今は皆無ですね。

今からでも方法論さえ変えれば、ある程度の復興は可能かと思います。

posted by ばびぃ | 2009-01-16 12:58

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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なんかみなさんコメントひどいなあ
割といい文章だと思うのですが…(改行ないんで読みづらいが)
年寄りとかいわれるとこのガキが!とも思います
私は八百長うんぬんより、プロレスラーがガチで弱かったのに
失望してプロレス見なくなりましたが…

最近時々見ると、プロレスのレベルが落ちて、見てる方に寒い汗を
かかせるような場面が非常に多いです

posted by e | 2009-01-16 14:59

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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>>最近時々見ると、プロレスのレベルが落ちて、見てる方に寒い汗を
>>かかせるような場面が非常に多いです

確かにレベルが落ちてる。
何が落ちてるって「受け」、これに限る。

単に受身がってのもあるけど、相手の攻撃の強さが分る、相手に攻撃されても全然大丈夫だぞ、と思わせる受けが最近はみられない。
その上、本当にみんな受身ヘタそうだし。。。
別の意味で寒気もするよ。

とにかく、そういったプロレス的受けに魅力が無さ過ぎる。

ヘビー級なのに相手の技うけて、「効いてないぞ、もっとやってみろ」といった見栄を張れずグッタリしてるプロレスラーは道場での修行を一からやり直して欲しいよ。

posted by アンチ中邑、アンチ棚橋 | 2009-01-16 17:58

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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猪木なんて全盛期だろうがヒョードルとやったら秒殺だろw
PRIDEで本物の格闘技を観慣れれば昔の似非格闘技なんて三文芝居いいところだよ。

王や長嶋なんて今の150キロ以上が当たり前の野球では全く通用しないだろ。
イチローなんて30年前のレベルの中でやれば年300安打打てるよ。

posted by 。。。 | 2009-01-16 20:56

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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馬場や猪木の行き過ぎた神格化については同意ですね
あれじゃ一部のマニア(信者?)以外離れちゃって当然
今でも腹や二の腕が弛んだ40代50代がメインで出てくるんじゃ新しいファンがつかなくて当然ですよ(笑)

他競技のリタイア組や色物ばかりが増えてきたり、台本ありの馴れ合い試合がしょっちゅう組まれる総合もいい加減アレだけど、強い連中がガチで戦うカードは本当に面白い

posted by aa | 2009-01-16 21:10

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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>あれ程愛したプロレスは遠く遠くなってしまった。

これ見て爆笑しましたw


幼稚園児がウルトラマン大好きだったのに、大人になって「今のウルトラマンはしょうもない 幼稚だ 昔のウルトラマンにはロマンがあった」って力説するようなものw

posted by じゅん | 2009-01-17 04:43

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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勝手な失望感によるプロレスからの逃避。早くにファンをやめ、ファンとしての世代交代を怠り、挙げ句いつの間にか只のアンチ発言の数々。どの口が一般社会層からファンの姿が消え一部のマニアにしか…とか言ってるのか。そうした責任の一部は「元」プロレスファンなる貴方達にもあると思うのだが。

posted by 635 | 2009-01-17 08:30

その5~プロレスは遠くなりにけり①

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 人それぞれ、色んな意見があると思うが。

 幼稚園児がウルトラマン大好きだったのに、・・・
だけは、なんのポイントに対する批判なのかわからんな。

posted by いちょがみ | 2009-01-17 10:48

その5~プロレスは遠くなりにけり①

コメント投稿者ID :

> いちょがみ

えwなんでわからんの

子供の頃好きで熱狂してたものも自分が年取れば、趣向も変わるし見方も変わるんだから、好きでなくなってもなんの不思議でもないだろ

プロレスはもともとヒーロー劇だから、それが好きだった昔の自分と今の自分はそもそも年齢も趣味趣向も違って当然

自分や周りの環境が変わったことに気づかず、自分が好きでなくなったプロレスを、プロレスが変わったからと思い込んるということ

詳しく書くとそういうことだ
それぐらい説明されなくても分かると思ったよ

posted by じゅん | 2009-01-18 12:02

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