2009年01月11日
その4~格闘技及びプロレスにおけるアナウンス
テレビで格闘技やプロレスを見る時、その試合を実況するアナウンサーと解説者は欠かすことのできない存在だ。その格闘技及びプロレスのアナウンスや解説と大相撲の解説とを比べると決定的に異なる点がある。大相撲の解説は、NHKということも大いに関係あると思うが、比較的淡々と抑揚を控えめに、客観的に冷静に実況している。アナウンサーの個人的な感情を出さず、相撲の状況を的確に伝えることを主眼としている。大相撲経験者の親方衆が解説し、経験者ではなければわからない点を素人の僕たちに伝えてくれる。 そして、現在の大相撲の実況のあり様は、僕が子どもだった時、全盛期の大鵬を応援していた頃の実況のあり様とそう変化していないように思う。それは、ボクシングなどもそうかもしれない。基本的なものは何ら変わっていない。試合の状況を忠実に伝えればいいのであって、おもしろい試合はおもしろいし、つまらない試合はどう脚色したところでつまらないのだから、というスタンス。それは心地よい。 ところが、現在の格闘技及びプロレスの試合の場合はどうだろうか。なぜ、アナウンサーはあれ程うるさく、叫ぶのか、おおげさなのか。また、そこで行われている試合と関係のないことをグダグダ言うのか。かつてのプライドや現在の戦極においてはそれ程には感じないが、プロレスやK1やドリーム、ダイナマイト等における感情的で的確な表現に乏しいアナウンスには閉口する時がある。あれなら、ない方がよいのではないかとすら思える。実際、ボリュームを下げて見ることもある。 オーバーでくどく、同じことを繰り返せば、視聴者はその番組を見ようとすると思い違えているバラエティ番組と同じで、その試合に感動もしていないくせに、それ程格闘技が好きでもないくせに、それを隠すためかしらないが、感情を露わに絶叫することがいいアナウンスとでも思っているのだろうか。また、高阪や鄕野の解説は的確でいいと思うが、谷川氏の解説は「すごい試合」「感動した」とかといった賞賛の言葉を安易に乱発したり、短絡的なものが多く食傷ぎみになる。さらにあの女性ゲストたちは何なのだろうか。視聴率をあげるために、肩を露わにして幼稚なコメントを述べる彼女たちは格闘技の番組に本当に必要なのだろうか。素人の解説者はいらんと思う。 かつてプロレスが現在の総合格闘技のような存在であった頃、僕がプロレスが大好きでよく見ていた頃、忘れられないアナウンサーが2人いる。一人はG馬場全盛の日本プロレス時代の日本テレビのアナウンサー、清水一郎氏である。独特の言い回し、落ち着いた、品のある、知性を感じさせるしゃべり口。冷静にしゃべりながら、時に熱く語るメリハリのある実況。後にある雑誌のインタビューで、清水氏がジャイアント馬場と言わずにわざとジャイアンツ馬場と発音していたのだということを話されていて、確かにそう聞こえていたなあと思ったものだ。プロレスというものを自分の中でうまく捉え、消化しながら見る者に心地よいアナウンスをしていたのが忘れられない。その横で解説を担当していた芳の里の解説はほとんど覚えてはいないが。清水氏と対照的でくどかったのが、徳光アナウンサーだった。 そしてもう一人は、A猪木全盛の初期新日本プロレス時代のテレビ朝日(あの頃はNETか)のアナウンサー、舟橋氏である。昭和40年代末、最も猪木が強く美しかった頃、パワーズやシン、マリガンやコロフなどハンセンが登場するまでの猪木の試合を情熱を持って、しかもいやらしさがなく、解説の桜井氏と絶妙なコンビを組みながら実況し、僕らを納得させてくれた。その舟橋氏の指導を受けながらプロレスのアナウンスをし始めたのが古舘伊知郎だったと聞く。 現在の格闘技及びプロレスのアナウンサーの多くが、古舘伊知郎の影響を受けている気がする。古舘氏のような実況をすることが、すばらしい格闘技の実況なんだと。確かに古舘氏は、それまでのアナウンサーにない、豊富な語彙、そのレスラーを適切に表現する新しい造語を駆使しながら、マシンガンのようにしゃべり、リングで繰り広げられる試合の模様をさらに大きく膨らませ、我々に伝えてくれた。ハンセンやホーガン、タイガーマスク、キッドから前田や高田に至るまで、新日本の全盛期を、あの頃きら星の如くいた有能なレスラーと共に創った功労者であるとは思う。ただ、古舘氏はあの時代のあの新日本プロレスであったからこそ、光を放つことができたのだと思う。古館氏のこれでもかという言葉の嵐に耐えるだけの試合をするに足るレスラーがいたからこそ、古舘氏の言葉が空虚に聞こえなかったのだ。また、口泡とばす、しゃべりのシャワーの中にいても、その自分を冷静に見つめながら、彼は解説していたように思う。 古舘氏が新日本を去り、かつての猪木はもはやいず、タイガーマスクや前田は去り、プロレスは疲弊していく。プロレスがその本質を忘れていく中にあっても、古舘氏の残像はその後のアナウンサーたちの心の中に残り、古舘チュルドレンたちは、古館もどきのアナウンスを連呼するが、彼らの叫びは空しく響く。古舘氏が去ってもう何年になるのか。元祖古館を超えるアナウンサーは未だ現れていないと思う。現れるためには、古舘氏とは全く異なる色を出す必要があるだろう。 先日、雑誌の記事の中で、戦極の代表が「戦極は競技性を追求していく。」と断言していた。それは、もう旬の過ぎた選手、実力のないタレント的な選手等を廃し、知名度はなくても、真面目に格闘技に取り組み、しっかりと技術や精神を鍛えた者同士による戦いを戦極は求め、提供していくという意味であろう。その言葉に僕は深く共鳴した。格闘技ファンが格闘技に求めているのは将にそこなんだと。その競技性を追求していくのを支えるために、アナウンスや解説は無駄な装飾は省いて、より客観的に冷静に、感情を抑えつつ、プロとしてリングで行われていることを的確に言葉として表現するものであってほしいと思う。
posted by sogofunkyozo |22:57 |
総合格闘技 |
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その通り!
コメント投稿者ID :
まさにあなたのおっしゃるとおりです。
こどものころ初めて生でプロ野球やプロレスを見たときのあの感動を思い出しました。何の解説もない会場のあの雰囲気に期待とか,緊張というような,表現しがたい心のの高まりを感じたものです。
それに比べて,最近は特にくだらない実況・解説が多すぎます。また,女性タレントには閉口です。
posted by プロレス47年 | 2009-01-12 11:01
その4~格闘技及びプロレスにおけるアナウンス
コメント投稿者ID :
科学するというタイトルでまたしても主観のみによる批判ですか・・・。
今回で理屈っぽい年寄りだということだけはよくわかりました。
僕は昔の名実況とか言われる人のプロレスや野球の実況聴いても単調でつまらないとしか思えませんけどね。
ボクシングの解説も谷川以上に日本人贔屓で関西の阪神戦の解説と同じく聴くに堪えません。
まぁ、谷川やサッカーの松木安太郎みたいなのは解説としては本当に要らないとは思いますが、
詳しい人には専門的な技術解説をするよりオフサイドも知らないようなビギナー層にとっては
彼らほうがわかりやすくていいのかもしれないと思います。
自称「コア」な人はPPVや専門チャンネルで観ればいいんですよ。
そっちにはまじめで詳しい解説を置けばいいんです。
「コア」と称しながらタダ観しかしないような人に気を使う必要はありませんよ。
posted by 文化 | 2009-01-12 13:38
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