2007年09月11日

91年 ヨーロッパ・チャンピオンズカップ決勝 オリンピック・マルセイユ×レッドスター・ベオグラード

さて、いよいよ今回からこのブログの本流である、試合レビューを始めたいと思います☆

レビュー番号:0001

記念すべき第一回目として私が見た試合は、「91ヨーロッパ・チャンピオンズカップ決勝 オリンピック・マルセイユ×レッドスター・ベオグラード」です。

レッドスター・ベオグラード(旧ユーゴスラビア)が始めてヨーロッパの頂点に立った試合ですので、言うまでも無く、旧ユーゴファンの方には、代表的なゲームの一つでしょう。

この後、レッドスターはTOYOTA杯も制し、世界の頂点に立つわけですが、旧ユーゴとしては、87年ワールドユース優勝に続き、2度目の世界NO1としての栄光です。

特筆すべきは、87年のワールドユースは、ボバン、シュケル、プロシネツキ、ヤルニを中心とした、所謂クロアチア組みだけで、世界を制し、今回ご紹介する、91年のレッドスターも旧ユーゴスラビア代表の主力半分程だけで世界を制している事です。

残念ながら、内戦という運命の悪戯により、旧ユーゴ全体の主力が集まってドリームチームを形成する事は出来なかったわけですが、本来ならばユーロ92~98W杯まで全てのタイトルを総舐めに出来るだけの、サッカー史上でも例を見ない空前のスーパーチームです。

この試合の主な出場メンバーですが、

マルセイユ=A・ペレ、ワドル、パパン、ボリ、モーゼル、アモロ、ストイコビッチ

レッドスター=プロシネツキ、サビチェビッチ、ベロデディチ、パンチェフ、ミハイロビッチ、ユーゴビッチ

となっており、マルセイユのベンチには、ゲータルス、そして90年WCを制したばかりのベッケンバウアー+オジェックのコンビ。レッドスターのベンチには、かつてのユーゴのスーパースター、ドラガン・ジャイッチの姿も見てとれ、まさにスーパーメンバーによる、スーパーバトルと言えるでしょう。

この試合で最もクローズアップされるべきは、延長後半わずかな時間しか与えられなかった”悲劇の人”ストイコビッチなのですが・・・。

さて、試合内容として特筆すべき点ですが、この年代で、既にマルセイユが超近代的なプレッシングサッカーをしているという点に一番驚かされます。

最終ラインに入っているバジール・ボリがセンターライン辺りまでプレスを掛けて、プロシネツキがたまらずGKまでバックパスをするというシーンに象徴されていましたが、全体がコンパクトに連動して動き、最終ラインを押し上げ、物凄く強烈なプレスを掛けてきます。おそらくゲータルスの指導なのでしょうが、アリゴサッキなみの守備戦術は素晴らしいの一言です。

ただ、この日のマルセイユには攻撃的な展望がまるで見えません。

せっかくスーパーエースストライカー、JPパパン(この年3年連続フランスリーグ得点王の最中)や、A・ペレが前線にいるにも関わらず、中盤から良い展開がまるで見られません。

90年代マルセイユの司令塔であるクリスワドルというプレーヤーは、サッカー史でも特筆すべき才能の持ち主で、ベッケンバウアー、ダビド・ジノラ、ストイコビッチ、マット・ルティシエ、ルイス・フィーゴ、フローリアン・アルベルトなど、ごく一部のプレーヤーにしか与えられない「エレガント」という言葉が当てはまる、稀有なスーパーテクニシャンなのですが、この試合でのパフォーマンスは不調でした。

※準々決勝のミラン戦では、ワドルは大活躍し、CC3連覇を目指したグランデ・ミランに衝撃を与えている。マークに付いたマルディーニはかつてない程翻弄され、「今までで1番マークするのに苦労した」と言い、いまだにワドルについての賞賛を惜しまない。

もっとも攻撃的なアイディア不足は、もう一人の司令塔であるストイコビッチを使えば簡単に解決出来る訳ですが、ゲータルスはストイコビッチを軽視しており(嫌っているとさえ言えるでしょう)、延長後半残り10分しか無い所でようやく起用します・・・しかし時既に遅し、幾らストイコビッチと言えども残り10分では決定的な仕事は出来る訳も無く、PK戦に突入してしまいます。

この采配一つが、試合の行方を決定付けたと言えますので、戦術面の素晴らしさを考えても、トータルで考えるとゲータルスは無能者だったと言わざるを得ないでしょう。

対するレッドスターですが、マルセイユの平均年齢が28歳であるのと比較すると、平均年齢25歳の若いチームなのですが(当時ユーゴスラビアでは25歳を越えないと海外移籍が出来なかった。この試合時点では、サビチェビッチ24歳、プロシネツキ22歳という若さ)、サッカー・そして勝負に対するしたたかさは、サッカーの民・旧ユーゴ人特有と言えるでしょう。

ちょうど98WCでクロアチアが見せたような、玄人好みな勝負強いサッカーを披露します。常に守備を意識し、カウンター主体で勝負にこだわったサッカーで、この試合でも結果を残しました。

一つだけ解せなかった点は、後半早い段階でエースのサビチェビッチをベンチに下げた采配でした。と言うのも、サビチェビッチは準決勝バイエルン・ミュンヘン戦でもマークに付いたユルゲン・コーラーを置き去りにするスーパードリブル独走ゴールを決めており、この試合でも絶好調、98年頃全盛期のジネディーヌ・ジダンを彷彿とさせるような、抜群の機動力とスピードを見せていたからです。

前半のカウンターから、サビチェビッチが理想的なドリブルラインを取り・抜群のスピードから、ラストパスをビニッチに送ったシーンは惚れ惚れするばかりだったのですが・・・あの采配だけは理解に苦しみます。

最終的には、120分を通じてしたたかなサッカーを疲労した若きレッドスターが、パンチェフのPK成功により、ユーゴスラビアのクラブチームとして始めて頂点に立つわけですが、

前年までレッドスターに在籍していたストイコビッチ・・・、まさか次の年に決勝で仲間と戦う事になるとは・・・、そして延長後半僅かな時間しか与えられないとは・・・、まさに運命の女神に見放された、フランス時代のピクシーの儚さに、考えさせられてしまう、運命の一戦でした。

今回は時間が無く、急いで雑に書いてしまいましたが、次回はシリーズの続きとして「91トヨタカップ レッドスター×コロコロ」の1戦を見て記事を書く予定ですのでご期待下さい☆

※記事全文に渡って参考文献を使わずに、私の記憶と知識のみで書いていますので、多少間違った記載もあるかもしれませんが、ご了承のうえお読み下さい。最後までお読み頂きありがとうございました。コメントも気軽に残していって下さい☆

☆Soccer-library☆
http://homepage2.nifty.com/viva-soccer/
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/soccer-library/


写真1 得意の蝶が舞うようなドリブルで、ひらりとDFを交わすサビチェビッチ

ひらりとDFを交わすサビチェビッチ


写真2 天才テクニシャン、クリス・ワドル

この試合不調だが、まさにエレガントと称するに値する天才クリス・ワドル


写真3 記事にも記載したマルセイユの猛烈なプレス

マルセイユの激しいプレッシングと最終ラインの位置取り


写真4 入ってそうそうユーゴビッチに削らるストイコビッチ

入ってそうそうユーゴビッチに削られるストイコビッチ


写真5 若き長髪のミハイロビッチ+プロシネツキ

若き長髪のミハイロビッチ+プロシネツキ



続きを読む...

posted by soccer-library |18:38 | 旧ユーゴスラビア、ストイコビッチ系試合 | コメント(3) | トラックバック(0)
みんトピに投稿 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをはてなブックマークに登録 newsing it! このエントリを Buzzurl に追加