中学サッカー小僧のブログ

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現地レポート/飯塚健司

 こう着状態が続き、緊張感のある120分だった。

 対戦相手のパラグアイは日ごろからブラジルやアルゼンチンと戦っている南米の雄で、堅守には定評がある。対する日本代表も今大会に向けた準備のなかで構築してきた阿部をアンカーとする布陣が機能し、守備には自信を持っていた。一方で、「われわれはもともと得点力がない。数少ないチャンスを生かさないとゴールを取れない」と岡田監督が試合後に語ったとおり、攻撃力に乏しい一面があった。とはいえ、これはパラグアイも同じで、攻撃力はグループリーグで対戦したオランダやデンマークに比べると落ちる。すなわち、お互いに守備には自信があり、攻撃には難があった。そんな両者の対戦は、必然としてゴールチャンスの少ない試合になった。

 だからといって、ただ漫然と120分が過ぎたわけではない。「勝敗は紙一重の差。どちらもゴールを狙っていた」と語ったのは中村(憲)で、集中力を欠いたほうがやられる。致命的なミスは許されない。終始、そんな緊張感に包まれていた。そんななか、日本代表は前半に2度、決定的なゴールチャンスを作り出した。しかし、22分にあった松井の右足ミドルシュートはゴールバーに弾かれ、40分にあった本田の左足ミドルシュートも、ゴール枠をとらえることはなかった。

 120分間のなかで、日本代表はさまざまな策を講じた。前半途中には遠藤のポジションをひとつ前にあげ、阿部、長谷部のダブルボランチに変更した。攻撃的な4-2-3-1へとシフトしたのである。後半には選手交代によってこう状態の打開を狙った。65分には疲労のみえてきた松井に代えて岡崎を投入し、1トップの本田に近いポジションを取ることで前線の活性化を図った。さらに80分には守備的MFの阿部に代えてトップ下に中村(憲)を投入した。遠藤が守備的MFに下がり、攻撃陣にもうひとつフレッシュな『足』が加えられたのである。しかし、パラグアイの堅守を崩すにはいたらず、どうしてもゴールが遠かった。

 延長戦後半には、途中交代の玉田が左サイドを突破し、岡崎との連携でビッグチャンスを作った。しかし、走り込んだ中村(憲)にラストパスが渡らず、シュートにはつながらなかった。各選手が最後まで集中力を維持して戦い、ゴールを許さなかった。あとは1点があれば・・・という展開だったが、日ごろから南米でもまれているパラグアイは守り慣れしていた。「延長戦であれ、90分であれ、点を取って勝とうと言っていた」と試合後に語ったのは岡田監督だが、日本代表のシナリオどおりにはならなかった。勝敗の行方は、PK戦へとゆだねられることとなった。

 PK戦に関しては、もはや語ることはない。ゴールの大きさ、距離を考えると、キッカーが有利なのは明らかだ。しかしそれだけに、キッカーには『決めなくては』という大きなプレッシャーがのしかかる。ましてや、舞台はワールドカップ。しかも、ベスト8進出がかかった試合だ。日本代表にとってはじめての経験であり、日本人のサッカー選手はまだ誰も経験したことがない領域だ。ついでにいえば、観戦しているわれわれも、誰ひとり味わったことがないPK戦だった。

 しかし、いまはもう違う。
 われわれは、ひとつの経験をした。ワールトカップのベスト8進出がかかった試合は、たとえゴールチャンスが少なくても、身の置きどころがないような緊張感があった。頭痛がしてきたり、身体がプルプルと震えてきた人もいたのではないだろうか。PK戦がはじまってからは、とくにそう。先攻のパラグアイに、後攻の日本代表。ひとりひとりのキックに、日本国内で歓声、悲鳴があがった光景が目に浮かぶ。だからこそ、結果は敗戦だったが、残念だったとは決して思わない。

 よい経験ができたのは、選手だけではない。観戦するわれわれも、よい経験ができた。サッカーの世界には、まだ上がある。まだまだ上がある。いまよりももっと、緊張感や高揚感を味わえる舞台がある。どうせなら、いつの日か味わってみたい。自分が生きているうちに──。試合が終わったロフタス・バースフェルドの横に設置されたメディアセンターで、そんなことを考えさせられた試合だった。


岡田監督
選手たちに『なにがしてやれたんだ』と考えたときに、私の勝利への執着心が足りなかったかもしれない。もっと自分自身が、勝つことに執着心を持たないといけなかった。選手たちは、すばらしく、すばらしく日本人として、アジアの代表として誇りを持ってやってくれた。勝たせてやれなかったのは、私に責任があると思っている。

松井大輔
くやしいけど、一生懸命に戦った。顔をあげて日本に帰りたい。五分五分の戦いで、どっちが勝ってもおかしくなかった。ホントによい戦いができた。力いっぱい戦った。

中村憲剛
自分が攻撃の基点になって、ゴールにからみたかった。チームがひとつになって戦えていた。ホントに、ひとつになるというのは、大きな力になると思った。勝敗は紙一重の差。どちらもゴールを狙っていた。



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日本代表、決勝トーナメント一回戦で力尽きましたが、ベスト16という結果は素晴らしいものです。
今日からインターネットではまた代表へのすさまじい誹謗中傷が始まるでしょうが、
そんな人間ばかりじゃないということを伝えたくて書きます。
よく、日本はサッカー選手に対して甘すぎる、褒めるばかりじゃ向上しない、批判も必要等等言う連中がいますが、
その連中は批判でなく中傷を言う理由がほしいだけです。
日本人はサッカー選手に対して甘いのではありません、冷酷でずるいのです。
普段はサッカーなど全く興味なく、応援など全然しないくせに、
W杯など大きな大会になって代表が目立つと途端にニワカ評論家になり批判と中傷を書きまくる。
悪い意味で海外と逆です。こんな酷い連中に囲まれて日本代表はよく頑張ってきました。
他のどの競技選手よりも日本のサッカー選手は大人です。皆さんお疲れ様と言いたいです。
長くて内容がまとまらなくてすいません。

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