2008年05月19日
始まりと終わりの交わる場所で… ~FAカップファイナル~ 【プレミアF】
全ては、ここから始まった。 1871年、イングランドフットボール協会(FA)が設立されてから8年後のこと。現在では世界最古のカップ戦として認知され、フットボールプレイヤーの憧れとなっているFAカップがスタートしたのである。つまり、世界最古のタイトルがこのFAカップということになる。 そんな、今では世界中に数多く存在するタイトルの起源ともいえる始まりの大会にして、07-08シーズン最後のタイトルマッチであるFAカップFINALへと、足を運んできた。 ■イングランド対ウェールズ カーディフはウェールズのクラブである。ウェールズのクラブがイングランドの大会で決勝に進出するのは極めて稀なことであり、UEFAカップ出場権がかかっているこのタイトルにおいて、カーディフに取得権があるのか、物議がかもされていたほどだ。結局、UEFAのプラティニ会長はポジティブな見解を示したわけだが、この想定外の議論に象徴されるように、今期のFAカップは波乱に満ちていた。 プレミアのビッグ4はベスト4を前に姿を消し、しかも残ったのは3クラブがチャンピオンシップに所属していた。一時は史上初の2部同士の決勝になるのでは?と騒がれたほどに。結局、ポーツマスがプレミアの面目を保ったが、大会の代名詞である「ジャイアントキリング」という伝統が退れていないことを示したのが今大会であったわけだ。 そして試合前、いつものようにイングランド国歌が斉唱される前に、ウェールズの国歌がウェンブリーには響き渡り、また新たな歴史が刻まれた。大声で胸高々に国歌を歌うウェールズ人たちには忘れられない日となったことだろう。 一時期、スコットランドリーグに所属するセルティックやレンジャーズがイングランドプロフットボールリーグへの加盟に色気を出していたが、彼らはカーディフの躍進をどのように見つめていたのだろうか。 ■イングリッシュフットボール正直なところ、試合に関してはあまり覚えていないため細かいレポートは避ける。というより、私はタイトル戦において細かなレポートをする意義をあまり感じられない者なのである。ここまで上り詰めたチームに対する戦術面での批評も大切だろうが、問題はどちらが熱くなれるか、どちらがタイトルを渇望しているかという気持ちだと思う。何度も書いていることだが、本当にそう思いたい。 なぜこれほどまでにそう感じるかといえば、やはりこの1年間、イングリッシュフットボールに触れてきたからだと思う。芝生の匂いとチャント、共鳴して激しさを増すピッチ。そんなものを1年間、何十回と体験してきた。テレビで見ただけでは分からないものをいくつも学んだ。もちろん戦術面や選手の動きもそうだが、何よりフットボールのもっと深い部分………歴史であり、文化であり、伝統であり、フットボールという競技を作り出したイングランド人たちの性質や彼らに作り出されたフットボールという競技自体を、改めて感じ、学び取ることが出来たと思っている。 そもそも、フットボールの起源は村対抗の遊びである。そして徐々に熱を帯びて死者がでるほどのものとなった。死傷者を出すことは現代社会において考え物だが、つまりはどちらがより必死に戦ったか、熱くなったかで勝利が決まるものだったのである。イングリッシュフットボールはそういうものだ。 試合中に交わされたチャント、選手を鼓舞する声援、ワンプレーごとに過剰反応し、一喜一憂する馬鹿な観客たち。そんな熱さを持ったファンが9万人もいたのだ。これ以上素晴らしい光景が他にあるだろうか。これこそがフットボールの最大の魅力であり、フットボールをあまり見たことのない者をスタジアムへと惹きつけていく理由であると私は信じている。 試合は右サイドからの鋭いクロスをGKが弾き、詰めていたカヌが押し込みポーツマスが先制点を得た。これは同時に、決勝点になり、ポーツマスが69年ぶりの栄冠を勝ち取った。ポーツマスの爆発と、カーディフの失望…しかし倒れこんだ選手たちに送った温かい拍手はどれも心に残る名場面である。■フットボールは続く… 栄冠を勝ち取ったのはポーツマス。優勝と同時に、UEFAカップ出場権も手にし、充実したシーズンの終わりになったといえる。一方のカーディフにとっても決勝進出は大躍進であり、忘れられないシーズンとなったことだろう。 …と、ここまで書いて文を読み返してみると、なんだか私のイングランドフットボールライフの総括みたいになっていることに少し恥ずかしさを覚えるし、FAカップ決勝のレポートだと思って読んでくださった方には大変申し訳なく思う。ただ私が率直に感じたことが上記のことであり、あながち間違いというわけではないのではないかと考えているため、今回は勘弁してほしい。 さて、今期の残りわずか。下部リーグのプレーオフとCL決勝ぐらいだろうか。数少なくなってきたわけだが、1試合1試合のウェイトは当然重い。その重さを楽しみつつ、休息へとつけたなら、充実するのではないかと思う今日この頃である。
posted by so-ma |05:29 |
■07-08 英国フットボール |
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