2008年05月14日

続・アーセナルに黄金期は訪れるのか?【プレミアF】

・アーセナルに黄金期は訪れるのか?

上記のコラムに関してコメントを下さったliga2さん、農民さん、虹色さん、poさん、カチディスさん、こりきさん、yukihiroさん、DDAさん、akaさん、marvinさん、taka4さん、sk8er boiさん、pingさん、coffeeさん、co-maさん、piyoさん、kkさん、footさん、aiさん、HFIさん、sinfoniaさん、TOMEさん、Bergkampさん、いんてりすたさん、エスパーニャさん他、貴重なご意見本当にありがとうございました。

前回のコラムでは、説明不足な部分があったかと思いますので、その部分を補足し、新たな記事という形で前回のコメントの返事とさせていただきますことをご了承ください。


■アーセナルというクラブ

前回のコラムでキーワードとして上がったのが“青田買い”そして“30歳以上の選手に対する単年契約”についてではないかと思う。

アーセナルというクラブの体質はある意味健全だといえる。巨額の投資に頼り、クラブの収益等を度外視した選手補強を繰り返し、オーナーの私有物と揶揄されても仕方ないクラブは少なくない。そんな中、アーセナルは身の丈にあった経営でクラブを運営し、なおかつプレミアシップの厳しい戦いにおいても(3期無冠とはいえ)ある程度の結果を残している。資金が他のクラブに劣っていれば単純に移籍マーケット等で劣勢になり、ライバルに後れを取ることになるわけだが、それでもガナーズは今期リーグ3位、CLでもベスト8に進出したのだ。

そして、この成果を上げるげられたのはガナーズの策略である若手選手の獲得と、クラブの方針である30歳以上の選手に対する処遇にあると考えられるだろう。

ゆえに今回は、この2つをピックアップして記事を書いていこうと思う。


1. 若手選手の獲得(青田買い)

・GOOD
-世界中にネットワークのあるアーセナルだけに、有望な選手が集まりやすい
-若手選手を獲得することにより、選手にかかるコストを抑えられる
-若いうちからアーセナルに触れ、チームのフットボールにフィットしやすい

・BAD
-獲得コストの高いイングランド人プレイヤーの優先順位は低くなる
-若いうちからトップチームで活躍するケースが少なくなく、他のクラブに狙われやすい
-チームへの愛着が沸きにくい(?)
-アーセナル自体に“ステップアップするためのクラブ”という印象がつきかねない
-若手を優先しすぎ、ベテラン軽視の傾向に


個人的にはひとつの方法論だと考えている。資金力で他のビッグクラブに劣るアーセナルが、それでもトップであり続けるのは他ならぬ若手獲得を優先するというクラブ方針の成果なのだから。頭のいい方法だし、賢明な判断だといえる。事実、セスク・ファブレガスを筆頭に、現在のアーセナルを支えているのはこういった形で獲得したプレイヤーたちだ。多くのビッグクラブが名の知れた有名選手を獲得してチームを強化しているのに対して、アーセナルは未知数の若手を我慢強く育て上げているのである。若いうちからアーセナルのフットボールを学べばチームにフィットしやすいこともメリットだ。

結果、若いが実力は確かな将来の明るいプレイヤーが次々とエミレーツのピッチに立ち、我々をワクワクさせてくれる。これはいまや、アーセナルの魅力のひとつであり、この方針にはアーセナルファンも賛成している。

だが反面、デメリットも少なくないのはご存知のとおりだろう。例えば現在、アーセナルのトップチームで定期的に出場しているイングランド人はフィオ・ウォルコットのみ。それに次ぐのはジャズティン・ホイトだがサニャやクリシーの牙城は崩せずにくすぶっている。これは少なくない問題だし、アーセナルがフランスでもスイスでもなくイングランドのクラブだということを考えれば異常事態といえる。

「フットボールに国籍は関係ない」「国籍でプレイヤーは選ばない」というのがアルセーヌ・ヴェンゲル監督の口癖だが、だからといってイングランド人がこれほどまでに少ないというのは少し考え物だ。それに現状を見ると私には国籍も重要な要素であるように思える。

07-08シーズン王者のユナイテッドにはリオ・ファーディナンド、ポール・スコールズ、ウェイン・ルーニーというイングランド人が各ポジションの核となっている。その前に王者の座についていたチェルシーにもジョン・テリー、フランク・ランパード、J・コールがいる。そしてアーセナルが無敗優勝を達成した時ですら、ソル・キャンベルがゴール前に壁として君臨し、A・コールのオーバーラップがピレスやアンリを助けていたのだ。イングランド人のいないチームがプレミアを制覇することは本当に難しいことだと私は思っている。

コメントを下さった方の中には「リザーブには優秀なイングランド人が沢山いる」と主張する方がいたが、私はこれを疑問視している。例えばクインシー・オウス=アベイエと共に有望な若手ベスト3として上げられていたマシュー・コノリー、ケリー・ギルバートといった選手たちはトップチームで活躍することなく、既にアーセナルを去った。そして今期、ガナーズのリザーブリーグを数試合観戦した私の印象に残っているプレイヤーはジャスティン・ホイトでも弟でも他のイングランド人プレイヤーでもなく、ソングであり、ジュルーであり、トラオレである。彼らは今期、トップチームで出場機会を得ており、それなりに活躍しているが、対してイングランド人はどうだろうか。少なくとも私は知らない。

昔、ジャーメイン・ペナントがクラブを去る際に吐き捨てていった言葉が印象的だ。

「アーセナルでイングランド人は生き残れない」

この言葉は、予想以上に重くアーセナルにのしかかっている。



そしてフラミニのケースでも分かるとおり、せっかく一流のプレイヤーに育て上げたとしても他のビッグクラブが資金力を武器に彼らを掻っ攫ってしまう可能性が高い。そうなると資金力で敵わないアーセナルはお手上げである。今では、若手に留まらず、フレブのような中堅でさえ、他のクラブに引き抜かれようとしているくらいだ。しかも中心選手としてシーズン過ごしてきたにも関わらず、である。ユナイテッドのキャリックが、チェルシーのJ・コールが、リバプールのバベルが、今オフに他のクラブへ移籍するなど考えられるだろうか?他のクラブでは、ちょっと考えられない事態である。これではいくら若手を育てたり、かかるコストは安いが実力のあるプレイヤーをクラブへ招き入れてもきりがないのではないか。

また選手生活の晩年を地元のクラブで過ごしたいという選手も出てくるだろうし、そうなると経験豊かなプレイヤーが集まらない。セスクやジウベルトは「アーセナルにいたい」とコメントしているがあのアンリですら生涯アーセナルとはいかなかったのだから果たしてどうか。

このように、メリットが多い反面、デメリットも少なくないのが青田買いの欠点なのである。上記したように、方法論としては間違いだとは思わないため、批判するわけではないが、現状を改善していかない限り、負のスパイラルを止めることは難しいだろう。


2. 30歳以上の選手に対しての単年契約

・GOOD
-コストを抑えられる

・BAD
-複数年を希望する選手側にとっては受け入れにくい
-そもそも他のビッグクラブと比べると給料が高くない
-そのため選手にとっては単年契約にするメリットがない
-移籍金なしで移籍できるため、他クラブに流れやすい
-アーセナル側も移籍金を受け取れない


30歳を超えると年俸が高くなる反面、怪我や衰えの心配が増す。素晴らしい若手を多く抱えるアーセナルは競争も激しく、いつポジション争いから漏れるかもわからないベテランに多くを投資することはできないのが現状なのだろう。もちろん若手を使うこともリスクを伴うが、同じくらいのリスクを抱えるのであれば伸びしろがあり給料も安い若手を試合に起用したほうがメリットは大きい。ヴェンゲルはそう考え、チームを築き上げてきたのではないか。

ただ、単年契約のリスクは意外に多いのではないかと私は思う。上記したような理由でベテラン選手が集まりにくくなった結果、経験不足に陥り、今期終盤の重要な試合を全て落としてしまった。また、最近でいえば30歳を超えたガットゥーゾをバイエルンが巨額の資金を投じて獲得しようと試みているように、30歳を超えたプレイヤーでもほしがるチームはある。だが単年契約ではシーズン終了と共に契約は切れるわけだし、フリーでの移籍が可能になってしまう。これでは経験豊富なプレイヤーを繋ぎとめておくことは難しい。

現実的なことを言えば、最後は金の力がものをいう世界なのだから。
私は愛を信じたい。愛に忠実なプレイヤーもいる。だが自分の評価が反映された年俸という数字を見て、将来を決める者が多いのではないか。

アーセナルはこのことをどう考えているのだろう。個人的には、デメリットが多いこの規定は少々理解に苦しむものなのだが…。



以上のように、2つの項目でメリット、デメリットを上げてきたが皆さんはどう思われただろうか。私の考えは上記したとおりである。方法論としてはありだと思う。が、必ずしもメリットだけだとは思わない。デメリットも多いわけだし、現に現在はデメリットの方が目につく状態になっている。

アーセナルがこの状況をどのようにして打開していくのか。現状を貫くのか、変化する時期が来たと判断するのか。そろそろタイトルが恋しいアーセナルだけに、彼らの動きに注目したい。

posted by so-ma |05:00 | 渾身コラム | コメント(27) | トラックバック(0)
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