2008年05月10日
アーセナルに黄金期は訪れるのか? 【プレミアF】
「今シーズン、若手が成長したから、来シーズンこそ素晴らしい成績が残せる」 アーセナルのファンたちは、3位に終わるであろう07-08シーズンを上記のような言葉でまとめることだろう。実際に、シーズン終了を前にしてこのような趣旨の発言を目にすることは多い。 それもそのはず。大黒柱のティエリー・アンリがバルセロナへと移籍し、経験豊富なベテランプレイヤーであるフレディー・リュングベリもクラブを去ったことにより、ガナーズの命運は若いプレイヤーたちに託された。シーズンが始めってみれば「優勝争いに絡むことすら出来ない」という前評判を覆し、序盤から首位を独走。中盤から終盤にかけて、疲労の蓄積とエドワルドのアクシデントが重なったことに加え、経験の乏しさから重要な試合を相次いで落としてしまい、タイトルレースから脱落してしまったが十分に評価できるシーズンだったといえる。 完全にチームの核となり、アーセナルのタクトを握っているセスク・ファブレガスを筆頭に、マシュー・フラミニ、アデバイヨール、エブエ、ガエル・クリシー、フィオ・ウォルコット、ニコラス・ベントナーなど、25歳に満たない若いプレイヤーたちは着実に力をつけ、経験という自分たちに無かったものを得たことだろう。私自身、彼らの成長を願ってやまないし、欧州でも1、2を争う美しいフットボールの完成形を観てみたい気持ちはある。だが同時に私は思ってしまう。 「アーセナルに黄金時代が到来する日は、本当に来るのか」と。 ■数年前から叫ばれている「黄金時代の到来」 03-04シーズン、アーセナルはリーグ無敗優勝というイングランドフットボール史に燦然と輝く偉業を達成し、黄金時代の到来を予感させた。前述のアンリやフレディーを筆頭に、デニス・ベルカンプ、パトリック・ヴィエラ、ロベール・ピレス、A・コール、ソル・キャンベル、ジウベルト・シウバにローレンといった実力者を擁し、また若手育成に定評のあるアルセーヌ・ヴェンゲル監督の下、有望株が着実に力をつけていたからである。 ただ、実際にはこの時代は長く続かなかった。49試合連続無敗記録をユナイテッドに破られると、その敗戦を引きずった結果、優勝を逃す。そしてヴィエラの移籍を合図に、無敗優勝に貢献したプレイヤーたちは次々とアーセナルを去っていったのである。現在では03-04シーズンを知り、今もなおレギュラーとして活躍している選手はコロ・トゥレぐらいとなってしまった。 ■素晴らしい若手は育つものの… 素晴らしいフットボールを展開し、素晴らしい結果を残している反面、このクラブを去るプレイヤーは少なくない。アーセナルのクラブ方針である30歳以上は単年契約という方針をのめなかった者(ヴィエラ、ピレス等)、年俸に納得がいかなかった者(A・コール等)、イングランドに馴染めなかった者(レジェス等)、クラブに留まれなかった個人的理由を持つ者(アンリ、キャンベル等)、若手の台頭もありレギュラーを獲得できなかった者(ローレン、シガン等)など理由は様々だが、実力の問題でクラブを後にしたわけではない主力選手の方が多いくらいだ。 その穴をセスクを筆頭に若手選手が埋めてきたものの、無敗優勝時代の輝きを取り戻すまでには至らず。そして04-05シーズンも06-07シーズンも、例の「来期こそは」との声が聞かれたわけだが、いまだにあの輝きを取り戻せてはいない。 ■またひとり…負のスパイラル しかも今期、また1人アーセナルを去る者が現れた。セスクの横を縦横無尽に駆け回り、主力の1人として活躍したマシュー・フラミニである。彼もまた今期成長を遂げた1人であり、実力的には来期もレギュラーとしてピッチに立てることの出来る人物だ。だが、契約(年俸の問題等)面で好条件を提示したミランにあっさりと寝返り、来期は赤と黒のユニフォームに袖を通すこととなる。 確かにプロである以上、自分を高く評価してくれるクラブへ行くことは理に適っているし、当然だろう。だが4年前から手塩にかけて育ててきたプレイヤーがこうもあっさりと出て行ってしまうというのは…。これではいくら素晴らしい若手を育てても追いつかない。 クラブ側からすればやむを得ない部分はある。経済面で他のビッグクラブより劣っており、単年契約等のクラブ方針は曲げられないだろうし、法外な年俸を提示することもできるはずがないのだから。だからこそ、若手を安い値段で取ってきて育てているわけだが、その選手たちもタダで去ってしまう現状…。 フレブのインテル行きやエブエの周辺でも移籍話が絶えない現状は、今期を来期への布石として考えていたであろうヴェンゲル監督にとって頭痛の種となっていることだろう。また一から来期の構想を練らなければならないのだから。大黒柱であるセスクがアーセナル愛を口にして憚らないことが唯一の救いだが、これでは強大なライバルがいるプレミアシップにおいて毎年タイトルを取り続けることは難しいだろう。 アーセナルファンはこの現状をどう思っているのだろうか。それにしても…知り合いのアーセナルファンの口癖ともなっている言葉が頭をよぎってしまう。 「やっぱ金なのか」 個人的にはアーセナルの方針が間違いだとは思わないし(頑なにベテラン選手を獲得しないところは「?」だが)、このやり方を貫く姿勢は素晴らしいと思う。しかし肝心の選手たちを長くクラブに繋ぎとめていられない現状ではいくら素晴らしいフットボールを披露しようとも、彼らの黄金時代を築くことは極めて難しいだろう。この体質を変えることが出来なければ、黄金時代どころか、プレミアシップのタイトルひとつを獲得することでさえも………。
posted by so-ma |00:06 |
渾身コラム |
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