2008年04月30日
偉大なる導き手 ~ユナイテッド×バルセロナ~ 【プレミアF】
■Man Utd 1-0 Barcelona (agg 1-0)
時代が流れても変わらないものがある。
変わらないものこそが時代の波を切り裂ける。
先週のバルサ、週末のチェルシー、そして今日のバルサ戦。このタフな3連戦の最終戦で勝利を飾り、ユナイテッドはモスクワへの切符を手にした。実に9シーズンぶりのCLファイナル進出となる。しかし決勝進出への扉を叩いたのは、C・ロナウドでもテヴェスでもなく、9シーズン前を知るポール・スコールズだった。
■Man Utd Van der Sar, Hargreaves, Ferdinand, Brown, Evra (Silvestre 90), Park, Scholes (Fletcher 76), Carrick, Nani (Giggs 76), Ronaldo, Tevez. チェルシー戦で負傷したヴィディッチ、ルーニーはメンバー入りせず。代わりにチェルシー戦と同じく、ブラウンがセンターへ入り、ハーグリーブスが右サイドバックを勤める。またC・ロナウド、パクチソンらがスタメンに復帰。攻撃面はまだしも守備面にやや不安が残るメンバーにみえる。先制点を奪われた際には非常に厳しい状況に追い込まれるだけに、最大限の注意を払いたい。 ■Barcelona Valdes, Zambrotta, Puyol, Milito, Abidal, Toure Yaya (Gudjohnsen 88), Messi, Xavi, Deco, Iniesta (Henry 60), Eto'o (Bojan 72). マルケスがサスペンデッドでこの試合には出場できず。だが代わりにキャプテン、プジョールが復帰した。バルサにとってはポジティブな要素である。前線はエトー、メッシ、イニエスタが務める。万全ではないユナイテッド守備陣だけに、バルサにも付け込む余地はあるが…果たして。 ■自滅するバルサと老獪なポール・スコールズ オールドトラフォードより醸し出される緊張感に包まれた22人の選手たちの宴は慎重な立ち上がりを見せた。どっちつかずの落ち着かない立ち上がりから、徐々に堅守速攻のユナイテッド、ポゼッションのバルセロナという色分けが出てきたかと思えばこの日のバルサはパスの精度が低くミスパスの多さでリズムを掴むことに失敗した。 むしろユナイテッドの方がプレミアシップの舞台で披露するようなスピードに乗った攻撃でバルサを脅かしていたくらいだ。特にテヴェスとパクチソンは持ち前の運動量を存分に発揮し、前線からのプレスと攻撃に大きく貢献していた。そしてエブラのオーバーラップもいつになく積極的で効果的だったといえる。 そんな流れの中で先制点が生まれた。14分、中央に侵入しようとしたC・ロナウドのドリブル突破は阻止したものの、ザンブロッタのクリアしたボールはフリーのスコールズのものへ。バイタルエリアにぽっかり空いた穴へとスコールズは侵入し、そのまま右足を一閃。アウトサイドにかかった綺麗なシュート回転のボールはビクトール・バルデスを寄せ付けず、鮮やかにネットを揺らした。 大一番ではひとつのミスが勝負を決する。バルセロナはミスを犯し、老獪なベテランはこれを見逃さなかった。貴重な先制点を、この単純明快な構図によりユナイテッドは得たわけだ。 その後もしばらくユナイテッドペースが続いた後、徐々にバルサも本来のパスワークを取り戻すが、全体的に恐いのはメッシのドリブル突破ぐらいといった印象でチャンスを作っている割に点の入りそうな気配はあまり漂っていなかった。イニエスタやエトーがほとんど消えていたのだから無理もない。第1戦ではユナイテッドがカンプノウの雰囲気にのまれていたわけだが、この日はバルサの選手たちが少なからずオールドトラフォードの雰囲気に押しつぶされていた。そのことも手伝ってか、バルサのスコアボードに得点が刻まれることはなく、勝負は後半に移行する。 ■完封 後半は後のないバルサがある程度ゲームを握り、攻勢をかける時間帯が多かった。ただこれは先制したユナイテッドがカンプノウでの第1戦同様に、守備に重点を置いたフットボールに切り替えたことを意味していたように思う。多少は無意識に守備意識がついただろうが、それでも完全に崩されて決定的なピンチを招くといった場面はなかったわけだから、ユナイテッドの意図通り試合が進んでいたのだろう。 例えばナニが決定機を迎えるなど攻撃にも抜かりがなかったわけだから、ボールポゼッションはバルサに分があったところでユナイテッドの勝ちあがりに向けて時間は過ぎていったわけである。 バルサはアンリやボージャンを投入し、反撃を試みようとするが大きく流れを変えることはできず。アンリは2本ほど惜しいシュートを放ったものの、チーム全体に伝染するような影響力のあるものではなかった。 ただ時間がなくなればなくなるほど失点してはいけない意識が生まれるもの。75分にギグスやフレッチャーを投入した辺りからはほとんど自陣に張り付きはじめ、効果的だったテヴェスやパクチソンも後ろのスペースを埋めるために、前線でのプレスを放棄。亀の甲羅作戦で時が過ぎるのを待った。 結局、少々観客をどきどきさせる展開を演じたユナイテッドだったが、その後何とかバルサの猛攻を振り切り、完封勝利を収めた。9年ぶりのCLファイナルへ。遥か東の地モスクワへ、老獪なユナイテッドの導き手がレッドデビルズをいざなった。 ■“順当な”ユナイテッドの勝ちぬけ 戦前、予想されていたよりは拮抗した内容での決着となったが順当な結果だといえる。リーガで不甲斐ない戦いを続けているバルセロナはCLに全てを注いできたはずだったが、プレミアシップで首位を走っているクラブは彼らを上回ったわけだ。最近はリーグで成績を残せていないクラブがCLを制す傾向にあるが、今回の結果はプレミアの1位対リーガの3位という側面から見ても順当なものだったように思う。 “順当”と書くと、ピッチ上でユナイテッドが圧倒的な力の差を示したわけではないので何かしらの批判をちょうだいするかもしれないが、冒頭に書いたとおり過酷な3連戦を強いられていたユナイテッドにとってある程度のローテーションを採用し、それに伴う犠牲を払わなければならなかった、というのが現実的な見方ではないかと思う。彼らはチェルシーに敗れてしまったが、それでもなお首位をキープしており、しかもバルセロナを下し、決勝進出を決めた。これだけで十分ではないか。そういったチームの総合力という現実的な観点から見た場合、ユナイテッドは賞賛に値すると私は考えている。ゆえに、前評判の割りにバルサを圧倒できなかった、というニュアンスのユナイテッドに対する批判は大目に見てあげてほしい。 試合に関してだが、ルーニーは欠場していたものの、テヴェスとパクは彼の穴を埋めて余りある頑張りを見せたように思うし、エブラの積極性は素晴らしかった。C・ロナウドばかりがピックアップされがちだが、ロナウドを支える周りの動きにも注意を払わなければならないと感じる試合であった。攻撃陣を支える守備陣もしかり。彼らが安定しているがゆえにバルサに得点を与えず、最少得点差での勝ちあがりが可能だったのだから。ヴィディッチ、G・ネヴィルの欠場をもろともしない強さには脱帽である。(ただ最近、ファンデルサールのキックミスの多さがどうも気になるが…) そして何より、相手のミスを見逃さずに決勝ゴールを決めたスコールズには頭が下がるといったところか。前回優勝したときのユナイテッドを知っている数少ないプレイヤーが決勝進出に貢献した。時代は流れ、フットボールの性質が多少変化しようとも、良いものはいい、のである。 バルサに関してはチーム内でごたごたが続いており、様々な面でユナイテッドに劣っていたといわざるを得ない。攻撃力が売りのチームであるにもかかわらず、ユナイテッドのベストではない守備陣を崩すことが出来なかったのだから。しかもCLの敗退により指揮官であるライカールトの去就問題が改めて議論されることになるだろう。また1つごたごたが増えてしまった。早く問題を解決し、快適な環境でフットボールが出来れば実力のあるプレイヤーは力を発揮してくれるはずなのだが…。
■史上初、プレミア勢での決勝戦
明日のチェルシー対リバプールの結果に関係なく、プレミアシップに所属するクラブ同士の決勝が実現することとなった。イングランドのクラブがCLを制するのはリバプール以来3シーズンぶり。イングランド勢が4年連続で決勝に進出し、2シーズン連続でベスト4に3チームが残っていることを考えるとプレミアシップの繁栄程度が反映された結果といえるだろう。
個人的な要望としてはリーグ2位のチェルシーに勝ちあがってもらい、プレミアシップとCLの2冠を両クラブが争うようになってほしい。最近はリーグで4位、5位のクラブが優勝することも少なくなかったわけで、同リーグの1位2位で決勝を戦うのであれば文句なしに“CHAMPION"を決めることが出来るのだから。
といったところで、勝負は下駄を履くまで分からない。明日になるのを楽しみに、眠りにつくことにしよう。
とりあえず、チェルシーに敗れて暗くなっていたであろうユナイテッドファンの方、CL決勝進出おめでとうございます。
posted by so-ma |06:21 |
■07-08 欧州カップ戦 |
コメント(18) |
トラックバック(2)



