2008年03月25日
無念のアーセナルとチェルシーへの失望 【プレミアF】
■Chelsea 2-1 Arsenal
4強対決で注目を集めた今週末だったが、気分良く来週を迎えられるのは首位ユナイテッドと、この試合前まで3位につけていたチェルシーという結果になった。リバプール、そしてアーセナルのファンたちはイースター(日本で言う春休みだろうか)を失望や怒り、愚痴と共に過ごすことを余儀なくされたといえるだろう。
■ロンドン、春の乱 このところ、ロンドンの天候は狂う一方だ。3月も終わりに近づいているというのに、明らかに冬場よりも寒く、ここ3日は連続して雪(霙)が降っている。スタジアムでフットボールを観戦するものにとってはたまったものではない。この日も狂ったように寒く、体感温度はマイナス2度だったとか。何か混沌としている首位争いや残留争いが反映されたような先の見えない、よく分からない天候である。 ただ、だからといってユナイテッドを追う2チームの直接対決、そして近年ライバルとしての意識が徐々に高まっている両者の対決を見逃すわけにはいかない。迷うことなくスタンフォード・ブリッジへと足を運んだ。 ■本領発揮のドログバと試合を難しくしたサニャの負傷 試合内容に関してはあまり書く気にはなれない…というか他に書きたいことが沢山あるので見解だけ述べるが、アーセナルはドログバへの対応に梃子摺ったというのが全てだった。チェルシーの得点は2点共にロングボールからうまれた。得点の少し前にアネルカを投入し、2トップにしたことによりドログバへの負担が減ったことが大きな要因のひとつといえるだろう。同時にピッチへ入った右サイドバック、ベレッチの存在も大きかった。先日のスパーズ戦で株を落としたブラントだったがこの試合では交代策が効いたといえるだろう。 そしてこの試合のキーパーソンは先制点をあげたサニャであり、ターニングポイントは彼の負傷であると私は考えている。これからはタラレバのオンパレードであるが、少々言わせてほしい。1対0とリードした時点でサニャが負傷し、ディアビがピッチに入った。しかし、直後に失点。もしサニャが負傷していなかったら守備のバランスを崩すこともなく、リードを守りきれていたかもしれない。 さらに、ヴェンゲルにはディアビではなくウォルコット投入という策もあったように思うがリードしていたために守備を重視し、ディアビを選んだ。ただこれは結果的に効力をなさなかったのだが…。この辺りは層の薄さというか、監督自身認めていた「レギュラーとサブのコンディションの差」だろう。 そして逆転されてからも難しい選択を迫られた。当然、攻める他に選択肢はないのだがディアビというカードを切ってしまったために、中盤の構成が難しくなってしまったように思う。というのもセスク、フラミニ、フレブ、ファンペルシーにディアビという並びを見て僕が最も得点の匂いを感じないのがディアビであって、現にこの試合でもほとんど仕事ができていなかった。次に守備的なのはフラミニだが、中盤を支えていた彼を下げては中盤の構成力が一気に低下してしまうため、逆に自分たちのリズムを崩しかねない。結局ヴェンゲルの選んだ選択はファンペルシーOUTウォルコットINというもの。だが攻撃の一端を担ったといっても過言ではない右翼のティーンネイジャーはA・コールの絶妙なポジショニングと1対1の強さを前に仕事をできず。ファンペルシーのいなくなった逆サイドは…既に翼を失った鳥のあがきのごとき攻撃が繰り広げられるだけだった。 やはりサニャの負傷が状況を難しくし、自分たちを追い込んでしまう結果になってしまった。 ■Its so quiet!! さて、ここからが私の本当に書きたいことである。 私はこの試合に、本当に失望した。この試合は残念ながら失望に値した。 試合のパフォーマンスを言っているのではない。選手たちの闘志、試合にかける想いは感じ取ることができたし、彼らのパフォーマンスは素晴らしかった。今までに見たどの試合よりも緊迫していて、やはり4強対決というか優勝争いは凄まじいのだなぁと思い知らせてくれた。 ただ私がどうにも我慢できなかったのがスタンフォード・ブリッジの静けさである。 “It’s so quiet” アーセナルファンがチェルシーファンを冷やかし歌ったチャントの一部だが、これが何度スタジアムに響き渡ったことか。しかも普通ならこれに腹を立ててアーセナルを皮肉るチャントのひとつでも歌うのだが”It’s so quiet”を歌い終わると案の定スタジアムはシーンと波打ったように静かなのだ。 この時、私は悟った。彼らは歌わない。いや、歌えないのである。 もう十数回足を運んだスタンフォード・ブリッジ。普通の方よりこのスタジアムを知っているし、知っているつもりになっていることを自覚した上で言わせてもらうが、彼らは本当に歌わない。大半は格下との対戦であるため、チェルシーファンたちは歌うまでもなく、チームを鼓舞するまでもなく、優秀なプレイヤーたちが勝利を得てくれると考え、余裕を持って観戦しているのだと思い込んでいた。 だが現実は違った。今日は優勝争いを展開しているアーセナルとの首位決戦だったのだ。近年、実力が拮抗してきて次第にライバル意識が高まっているロンドンに本拠地を構えるライバルでもある。しかも試合前にもうひとつの注目カードであるユナイテッド対リバプールで前者が勝利を収めたことにより、絶対に負けることの許されない、勝たなければならない試合だった。 にもかかわらず、彼らは歌わなかった。選手たちを鼓舞しなかった。アーセナルのサポーターたちが精一杯彼らのチームへ魂の歌を送っていたのに対して、チェルシーサイドはいつもと同じように座ってチャンスになると少し声援や野次を飛ばしたりするだけだった。これを見ていて私は現実に直面してしまった。「ああ、彼らはチャントを歌えないのだなぁ」と。失望以外のなにものでもなかった。 ■消えゆくチャント アブラモビッチがチェルシーを買収し、有名選手を集め、結果を出すにつれてクラブは有名になり、今では世界最高峰のクラブのひとつと認知されてきている。事実、モウリーニョ監督の下、過去2度プレミアシップを制覇し、CLでは多くの名勝負を演じてきた。 だが、その反面、高騰するチケット代によってフットボールに命をかける労働者階級のサポーターは、愛するチームの試合をパブで見ざるを得ない状況に追い込まれ、お金を持ったVisitorが優先されるという事態におちいっている。結果的に、伝統であり、アイデンティティーといえるチャントが消えていってしまっているのだ。 私は最近のフットボールの内容だとか近年の成績だとかよりもフットボールの歴史だとか伝統だとかを重視するし、うるさく指摘する。そういうスタンスでフットボールを見てきている。それらは忘れてはならない最も素敵な要素だと思っている。だからその判断ができるようになるために曲がりなりにも勉強してきたし、わざわざイングランドにやってきた。その点に関しては普通の人より多くの判断基準を持っているという自信もある。 だから言わせてもらうが、今日の試合は本当に失望に値した。 繰り返すが、いつもは格下相手だから余裕を持っており、歌わない者も多いのだと持っていたが、違うのだ。 彼らはやはり歌えない。雰囲気を作れないのだ。 人気クラブになれば密度が薄くなるのは仕方ないが、アーセナルもユナイテッドもリバプールもそれなりの雰囲気を、クオリティーを保っている。チェルシーが遅れをとっていることは明らかである。 そして何が残念かといえば、初めてイングランドでフットボールを見る人はきっとこれがイングランドの雰囲気だと感じてしまう。アプトンパークにもセントジェームズパークにもグディソンパークにも素晴らしい雰囲気があるのに、彼らはそれに劣るスタンフォード・ブリッジの雰囲気をイングランドの、世界最高峰の雰囲気だと勘違いしてしまうのだ。 私にはそれが悔しくてしかたない。 ■あとがき…のようなもの 優勝争いはユナイテッドが一歩抜け出した。リバプールはこれで完全に脱落し、アーセナルとチェルシーも厳しいことに変わりはない。これからの日程を見るとユナイテッドにとって少々厳しいものになっているが、彼らはそれを乗り切るだけに経験と自信を持っているだろう。ユナイテッドの優位に揺るぎはない。ただ、この日のパフォーマンスは決して悪くなかったアーセナルの復調にも期待である。 そして、チェルシーファンの皆様、大変腹立たしい記事でしょうが、これが今日、私が感じた私の中での真実であり、素直な見解です。「何様だ、お前」そんな風に思うなら思ってください。結構です。 嘘だとお思いならいつかスタンフォード・ブリッジを訪ねてみてください。できれば近いうちに。そして他のスタジアム、ホワイトハートレインかアプトンパークにでも足を運んでみてください。 声援の大きさに度肝を抜かれると思います。
posted by so-ma |16:50 |
■07-08 英国フットボール |
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