2007年12月21日

オシムから岡田氏へ~日本代表監督交代劇~

今更だが、日本代表に起きた衝撃について触れてみたいと思う。


■オシム倒れる

朝、何気なく携帯を開けるとメールが届いていた。いつものこと。時差がある日本と英国なのだから寝ている間に携帯が鳴ることにはもう慣れた。いつものように、何気なくメールを開いた。メールマガジンのタイトルを何気なく読む。

「オシム、倒れる」

眠気が一気に吹き飛んだ。画面に表示されていることが現実のものだとは信じられないほどの内容だったのだから。友人からも同様のメールが届いていたがイマイチよく分からないというのが正直なところだった。

アジアカップで4位に終わったとはいえ、チームは着実に成長していた。それこそ目に見える変化が日本代表には起こっていた。それこそ過去2度の優勝時と比べても私は今回の4位を評価している。そしてそのチームを率いていたオシム監督のことも。

着々と成長し、いざW杯予選に挑もうとしていた矢先の出来事だけに、率直な感想を言えば残念でならない。何より、世界基準へと日本のサッカーを導いてくれようとしているオシム監督の容態が心配だった。(回復されたことを心より嬉しく思います。)

ただ起こってしまったことを悔やんでも仕方がない。繰り返すが私は今、英国におり、ゆえに当然、日本にいる多くの方々より情報を目にする機会が圧倒的に少ないため、分からないことが多い。オシムに対する協会のサポートであったり、岡田氏就任の真相だったり、といったことも詳しいことは何も知らない。

であるからここでは細かいことは抜きにして岡田氏が日本代表監督に相応しいかだけを触れたいと思う。


■代表に何を求めるか

以前の記事(イングランド代表監督について)でも触れたが私は代表に関しては結果を最も重視している。サッカーの内容で観客を興奮させられるか否かは余り重要ではないし、それを期待するならクラブチームの試合を見るべきだ。国の威信をかけた戦いなのだから勝敗が全てであると私は考える。

勘違いされがちなのでもう少し詳しく記するが、ここでいう“内容”とは試合におけるエンターテイメントとしてのサッカー…言い換えれば観客を楽しませてくれる内容のサッカーを披露する必要はないということであって、勝利すれば何事も許されるというわけではない。準備過程(親善試合やアジアカップ……つまりW杯関連以外の試合)で勝利を重ねたからといって目的地であるW杯で良い結果を残せるとは限らないのだから。アジアカップを制し、大会前、開催国のドイツに善戦したチームの本大会におけるパフォーマンスがどのようなものだったかは皆さんご存知だろう。

“つまらないサッカーだがW杯で勝つためのサッカーを体現するための準備”における内容は極めて重要だということはご理解いただきたい。


■岡田氏就任

すんなり岡田氏に決まった感のある選考だが、極めて妥当…というより無難な選択だった印象だ。時期が時期だけに、いきなり海外から実績のある監督を招聘するのは難しい。そうすると当然国内に絞られる。一時期オジェック内定との報道もあったが浦和との契約を更新したばかりだったこと考えれば常識的に考えて外れる。

では代表監督を務められるだけの経験と実績のある人間は誰か。もともと“日本人の良さを引き出してくれる日本のことを理解している人物”に監督の座を任せたかった協会だけに、外国人より日本人になってくる。そう考えれば浮かんでくるのは岡田氏か、アトランタ五輪代表を指揮した経験のある現ガンバ大阪監督の西野氏ぐらい。だが西野氏も現在監督業についているため、消去法ではないにしても岡田氏選出という結論が最も無難な選択だったような印象を受ける。


■岡田氏で世界と戦えるのか

岡田氏は結果の残せる監督であると私は考えている。コンサドーレをJ1に昇格させ、マリノスをJ1王者に導いたことはご存知だろう。もともと戦力が整っていたから勝てたのではないか、という岡田批判も聞こえてくるが、彼の構築する守備の緻密さや短期決戦での実績をみるに、私はその批判が適切なものとは思えない。確かにオシム監督とスタイルは違うし、育成という面では疑問が残るにしろ、自分好みの選手を自由に選出できる代表監督は彼に合っているといえるだろう。

必ずしもA代表のレベルに達しているとは言いがたい徳永を選考したことで批判(「Jを本当に見ているのか?」等)が上がっているが始まりの合宿に自分好みの選手を選出することが悪いことだとは思えない。オシムにしろ、様々な選手を招集し、試してきたのだ。外国人で“語録”とすら表現される彼のユニークな言い回しに納得させられてきたファンも少なくないと思うが、幻惑させられずに適切な判断をしてほしい。岡田監督の選択はごくごく自然のものだと私は思う。

ただ岡田氏には世界で戦った経験があっても世界で勝った経験がない。これは現段階においては埋めることの出来ないオシムとの差であると思う。しかし一方で監督経験のなかったフランスW杯予選の頃とも別人といえる。「カズ、三浦カズ」の発言で世間を二分したあの頃とは違い、着実に経験値は蓄えられている。今後、親善試合やW杯予選等でいかに世界と戦うためのチーム作りをしていくかに注目したい。

最後に、私は岡田武史新監督を支持したいと思う。

posted by so-ma |05:20 | ■日本代表 | コメント(4) | トラックバック(1)
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2007年12月15日

勇敢なる選手の引退

はじまりがあれば終わりがある。

新しい時代の到来とともに、記憶の奥底へとしまわれてしまうものがある。経済発展に伴う空き地の減少のように、携帯電話の普及に伴う公衆電話の減少のように、あれだけ弱かった浦和レッズがアジア王者になったように、時代は移り変わるもの。

だからこそ、消えていく愛すべきものがある。愛すべき人がいる。

秋田豊。
山口素弘。

決して消えることのない、決して忘れることのない1997年ジョホールバルの歓喜、そして1998年フランスワールドカップに出場した選手である。

詳細は皆さんの記憶とテレビ、雑誌等の特集に多く記載されていると思うので省くが本当に彼らには心からお疲れ様といいたい。

秋田の強靭なフィジカル。
山口のキャプテンシー……何より韓国戦で決めた伝説のループシュートは決して忘れない。

今後、どのような道に進むかはわからないが彼らの今後の発展に期待したい。

posted by so-ma |00:56 | ■日本代表 | コメント(5) | トラックバック(0)
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2007年07月16日

日本代表 ~頂点へ-準備を整えた第3戦~

日本対ベトナム-詳しい試合経過はこちらまで

試合前、わたしは3つの注目点をあげた。1.立ち上がり、2.勝負の姿勢、3.リードしてからの展開。1に関しては先制点を与えてしまったため、満場一致でクリアしたと判断されるかは微妙だが、相手に崩された失点ではなく、その後のリカバリー(同点弾)も早かったため、まずまず悪くない展開だったといえる。2,3に関してはスコア、内容両面で文句の言えないものだった。グループステージの総括は後日改めて書こうと思うが、ひとつ言えることはこの3戦で日本はやるべきことをやり“3連覇に向けた準備を整えた”ということである。


■王者の試合運び

警戒していたはずの立ち上がりのセットプレーで“ラッキーパンチ”を許してしまった辺りはいただけなかったが、それ以降の試合運びは文句のつけようがなかったというのが印象だ。その鈴木のオウンゴールも、会場を盛り上げるための特殊効果、あるいは自らを奮い立たせるための目覚まし時計だった、と評価できるほどその後の内容はポジティブだったといえる。

予想通り徐々に中盤の構成力で上回る日本がボールを支配すると、中村俊輔が個人能力の高さを見せ付けるプレーで巻の大会初ゴールをアシスト。前半の内に高原が得たFKを遠藤が見事に決め、逆転に成功すると後半に入っても日本の力は衰えず。日本らしい相手を揺さぶる素早いパス交換が中村俊の3点目を生み、得意のセットプレーから巻が駄目押しとなる4点目を叩き込んで見せた。ここ2戦まだ本来の力を発揮していなかった中村俊と得点を奪えずにいた巻がそれぞれの批判を一蹴する活躍を見せた辺りも決勝トーナメントに向けて大きな要素だといえる。

4点を取ったことで早い時間に試合を終わらせることが出来、交代枠をフルに使うことが出来た。そして課題として挙げられていた試合の終わらせ方についても、文字通りそんな批判を終わらせる内容で無難に乗り切った。あるいは出場停止者や怪我人といった予期せぬ事態が起こることもなく。考えうる大きな課題をほとんど克服し、非常に良い状態で第3戦を終えることが出来た、と評価しても何ら支障のないほど日本代表の披露したサッカーは完成度が高かったといえるだろう。


■危惧すべきこと

ただ何度も指摘しているようにサッカーは難しいスポーツなのだ。順風満帆に試合日程を消化していたアルゼンチンが、賛否両論あり風当たりの強かったブラジルに0-3で敗れて準優勝に終わってしまうなどということが日常的に起こるのである。

だからこそ、この“順当な結果”による楽観視に警告を鳴らしたいし、手放しで喜ぶべき結果ではないとわたしは考えている。前回大会の内容があまりにも不甲斐なかったから、あるいはワールドカップでの惨敗から、この“順当な”予選突破を必要以上に喜び、優勝を当然と思う者は間違いなく出てくることだろう。しかし強調しているように、この結果はあくまでも順当なものであり、ポジティブな内容だったことは間違いないが、だからといってトーナメントをスムーズに駆け上がれるとは限らないのである。

例えば、上手く行き過ぎたゆえに危惧することも出来てくるだろう。リードされた際の試合運び、勝負を仕掛けなければならない局面での選手交代、あるいはもっと実力が拮抗した相手との試合におけるゲームプランなどはグループリーグで試す事の出来なかった事項である。決勝トーナメントでは間違いなく相手のレベルが1ランク上がる。そうした場合、必ずしも日本が力を発揮できるとは限らないのだ。

素晴らしいグループリーグだった。自信はもっていい。だが、もう一度リセットしよう。
慢心することなく、相手を侮ることなく、日本のサッカーに誇りを持って、決勝トーナメントに挑んでもらいたい。

選手もコーチもスタッフも、そして多くのファンにも。

posted by so-ma |21:11 | ■日本代表 | コメント(12) | トラックバック(1)
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2007年07月16日

日本代表 ~ベトナム戦へ向けた展望~

■スタメン

GK 
1  川口能活(cap) 

DF
3  駒野友一  
21 加地亮  
22 中澤佑二  
6  阿部勇樹

MF   
7  遠藤保仁  
10 中村俊輔  
13 鈴木啓太  
14 中村憲剛  

FW
12 巻誠一郎  
19 高原直泰 


■展望

第1戦、第2戦ではガラガラだったスタンドが満員に膨れ上がる。やや涼しげだった眼差しは熱視線へと代わり、ピッチに注がれる。歓声は増し、スタジアムには本来のサッカーとしてのあるべき姿が誕生する可能性が高い。

そしてそれらが日本代表にとって有利に働く可能性が低いということもまた明白である。

第3戦、グループリーグ最終戦はホームのベトナムと対戦……つまりアジアカップが始まって以来初めて本当の意味でのアウェイと対峙することとなる。これまでは気候、環境など相手にも同じように降りかかる“天災”が多く、また各自の努力で解決できる問題、差であったが今回はそうもいかない。相手はいつもこの高温多湿の中、劣悪なピッチでプレーしているホームのベトナムであり、しかも彼らにはホームの大歓声がある。日本にとってはどうにもならない差が生まれてしまうのだ。

この差は少なからず勝負に影響をもたらすことだろう。ホームの大歓声に後押しされ、ホームチームが開始直後怒涛の攻撃にできることは珍しくないし、後半スタミナ切れを起こすとも考えにくい。あまりにも絶望的な大差がつかない限りモチベーションの低下を招くこともないだろう。日本にとってはここ2戦よりも厳しい戦いになるといえる。

ただ、である。これらのアドバンテージを埋められるだけの実力差が日本とベトナムの間にはあるとわたしは考えている。

日本代表 ~結果を出した内容ある第2戦~

リンク先に述べたことだが、ここ2戦日本はいい状態で来ている。コンディションは上がっており、2戦目では結果も出た。何より日本のやりたいサッカーがある程度体現できており、その反面1,2戦を通じて克服すべき課題を持ち帰っているため、慢心したり、自信を失ったりする要素は少ないといえる。言い換えれば日本は良い状態で敵地に乗り込むことが出来る。

ゆえにここ2戦同様、日本がゲームを支配できる可能性は決して低くない。むしろ、立ち上がりを間違えなければ、それほど苦労せずに日本の望む結果になりうるのではないかとすらわたしは思っている。

オシムが述べているように、相手をリスペクトしなければならず、侮ってはいけない。サッカーは何が起こるかわからないスポーツであり、日本が敗れて大会から姿を消す可能性もゼロではない。ただ逆に悲観する必要はない。強豪国が苦戦を強いられている中、これまで日本が見せてきたサッカーは十分に期待するに値する。

まとめれば…
1.立ち上がりを警戒
2.実力的には日本が上。勝負の気持ちを忘れずに
3.リードした際の試合運び(これまでの課題)を克服する

この3点がしっかりできれば、グループリーグ首位通過が見えてくると共に、頂点へ立つための下準備が出来た、といえるだろう。全てが上手く行かないのがサッカーというスポーツではあるがひとつでもポジティブな収穫があるように期待し、ベトナム戦を見守りたいと思う。

posted by so-ma |18:10 | ■日本代表 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年07月14日

日本代表 ~結果を出した内容ある2戦目~(後編)

まずは前編をお読みください
日本代表 ~結果を出した内容ある2戦目~(前編)

■1失点 ~問題は深刻なのか?~

U-20日本代表の一件も含めて、最近の日本代表はリードしてからの試合運びに問題があったため、この日もそれを課題として挙げる人間は多い。特に失点シーンや高原と中村が退いてからの時間帯については。

だがわたしは必ずしもシリアスな問題として受け取る必要はないと考えている。

まずU-20代表と比べるのはそれ自体がナンセンス。そして大前提としてカタール戦とは状況が全く異なっていた。前半で3-0とリードしていたこの試合は45分でほぼ終わっていたのだから。高原を休ませるため(故障?)に羽生を投入しようとした直前にカウンターから1点を謙譲してしまったが、点差の開いた試合では“間延び”は起こってしまうもの。ブラジルやイタリア、マンチェスター・Uやレアル・マドリードにおいても日常的に起こっている。周りがやっているから、日本もミスをしていいわけではないがトップレベルにおいても難しい要素だということは頭に入れておいてほしい。そしてこの1失点は今後の糧として肝に銘じておくための教訓と考えるべきだろう。

また、羽生、水野を投入してからチームとしての考え方が曖昧になったとの見方もある。それらしい節も見受けられた。ただ何度も言うようにあの時点で試合はほぼ終わっていた。2点のリード、前半からの揺さぶりで相手は疲弊しており、しかも10人だったためプレスをかけることすらままならなかった。つまり日本がボールをキープするには容易い状況がピッチ上にはあったのである。

そして、水野は積極的に勝負を仕掛けていくプレイヤーであるが、彼が勝負を仕掛けなかったということはそれがオシム監督の意思だったということ。実際、日本はしっかりボールをキープする状態に入っていたし、時折あまりにも隙を見せるUAEのディフェンスラインを突いたことが“迷い”に当たるとは必ずしもいえない。許容範囲の攻撃といえる。

総合すると“同じような試合が続いたがゆえにいつもはピックアップされない出来事(1失点)が不意に持ち上げられてしまった”ということなのだろう。繰り返すが根本的にカタール戦とUAE戦では状況が違い、並べて語られるべき事例ではなく、“失敗を繰り返した”わけではないのである。この辺りは適切に試合状況や今後へ向けた展開を理解し、判断しなければならない。

失点したことは教訓であり課題だ。しかしゲームの運び方自体は極めて大人の選択だったと評価でき、次節以降を見据えてもエネルギー消費を抑えられたことは大きい。何より、目標は勝点3奪取とグループで首位に立つことだった。これを達成できて内容も充実していた以上、悪戯にゲーム内容に関して難癖つける所以はそれほど見当たらないのではないか。

といったことが最終的なわたしの見解である。


■ベトナム戦へ向けて

さて、3戦目、グループリーグ最終節の相手はベトナムだ。ホームではその力を遺憾なく発揮してくるチームであり、日本同様勝点4を獲得し2位につけている。どのように戦えばよいのだろうか。

わたしの見解としては特別相手を意識することは無いと考えている。ベトナムは勢いがあり、熱狂的なホームの声援もあるが、ここ2戦日本も自分たちのサッカーができている。序盤、多少受身になることは避けられないだろうが、自力で勝る日本が中盤でボールを落ち着かせ主導権を握ることは時間の問題といえる。ゆえに試合の入り方を間違えなければ、案外ここ2戦と変わらない戦いを展開できるのではないかと考えられる。

もちろん、相手を侮ってはならない。忘れてはならないのはベトナムにはグループ突破の可能性が大いにある反面、敗れれば3位後退の可能性があるのということだ。戦場は彼らのホームであり、サポーターは彼らが置かれている状況を理解している。ゆえにリードしてからの時間の使い方および終了間際の猛攻に耐えられるか、ということが試される可能性が高い。

第3戦。教訓を胸に、是非ともベトナムに残れる結果を手に入れてほしい。

posted by so-ma |11:37 | ■日本代表 | コメント(12) | トラックバック(4)
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2007年07月14日

日本代表 ~結果を出した内容ある2戦目~(前編)

日本代表 ~教訓を得た価値ある初戦~ (カタール戦)
日本対UAE-詳しい試合経過はこちらまで

試合前にいくつか課題を挙げた。修正できたもの、次へと持ち越しになったもの。どちらもある試合だった。しかしまずは狙い通り勝点3を獲得し、グループリーグ首位に立ったことを素直に評価すべきである。前半のパフォーマンスはまさしく前回王者に相応しいものだったし、後半にしても3-0というスコアや相手が10人になったという状況、そして疲労が今後のパフォーマンスに与える影響を考えれば、決勝を見据えるチームとしては当然の戦いぶりだったといえる。

カウンターからの1失点は「絶対やってはいけない失点」(川口)だったが、カタール戦同様、次への教訓となる要素が残ったのだから、気持ちを引き締める面ではむしろポジティブな要素ですらある。「驕ってはいけない」。ベトナム戦でもこの教訓を忘れることはないだろうから。


■向上したパフォーマンス 

展開としては予想通り日本が中盤の構成力で上回っていた。大前提として中盤の主導権を握りたかったであろう日本代表にとっては重要な要素だったといえる。そして他にカタール戦と何が違ったのか。考えられることをいくつか挙げてみよう。

まずほとんどの選手が環境に慣れ、戦い方を掴んでいたようだった。カタール戦に比べると運動量は増加しており、縦への飛び出しやサイドの活用といった攻撃におけるエッセンスがふんだんに盛り込まれていた。これは手探り状態だった異国の地での1試合目を終えて、ある程度の感覚を掴めたことによる変化だと推測できる。

そして2トップへの変更も効果的に働いた。あまりシステム論云々を語りたくはないがFW2人の動きがUAE守備陣に少なくない混乱を与えていたのは事実である。高原は裏へ抜ける動きやしっかりとしたポストプレー、巻は高さとサイドへ流れる動きでチームを助け、彼らの動きが中盤からのパスの選択肢を増やし、スペースを生み出していた。また課題として挙げた効果的なミドルシュートを多く放てたのは、彼らの裏を狙う動きによってUAEのディフェンスラインが引きずられ、中盤との間(バイタルエリア)に少なくないギャップが生まれていたからである。

そして第1戦と決定的に違ったのはSBが攻撃に積極的に参加できていたこと。彼らのアップダウンがまた選択肢を増やし、相手のマークを外す要素となった。駒野や加地は生粋のドリブラーではないが、ドリブルでも十分勝負できる能力を持っている。実際、日本のファーストシュートは駒野がドリブルで切れ込んだ後のフィニッシュであり、これが相手にとっては大きな布石になったといえるだろう。

2トップの動きと両SBの攻撃参加。これだけ労を惜しまず働いてくれるプレイヤーがいれば中村俊、中村憲、遠藤が彼らを活かせないはずがない。ゆえにパサー3人の関係は素晴らしく、彼らがチームの中心だったことは間違いなかったがそれ以上に4人の存在を大きく感じる内容であったように思う。

(続く)

posted by so-ma |11:32 | ■日本代表 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2007年07月13日

日本代表対UAE戦~展望~

■スタメン

GK
1  川口能活 

DF
3  駒野友一  
21 加地亮  
22 中澤佑二 
6  阿部勇樹

MF
7  遠藤保仁  
10 中村俊輔  
13 鈴木啓太  
14 中村憲剛  

FW 
12 巻誠一郎  
19 高原直泰


■展望

事前の報道では巻を外し、矢野を選択するのではないかと思われていたが、オシムはやはり愛弟子の起用に踏み切った。そして散々議題に挙がっていたパサー3人(中村俊、中村憲、遠藤)の併用問題だったが、3人揃ってスタメンに名を連ねている。

ファーストインプレッションとしては“固く勝ちに来た”といったとこだろうか。オシムのコンセプトである“考えて走るサッカー”(こう表現することの適切さについての議論は今回は避ける。突っ込み厳禁)が出来るかどうかは別にして、キープ力があり、技術の高い3人を配置することで中盤の構成力では相手を上回ることが出来る。主導権を常に握り、チャンスをものにしたいという考えがこのスタメンなのだろう。

ドリブラーがいないため、前線にはヘディングの強い巻を持ってきて、ある程度空中戦での攻撃を想定した布陣といえるだろう。巻と高原が制空権を握り、ポストプレーを正確にこなせれば自ずとチャンスは訪れる。

また課題として挙げておきたいのがミドルシュートである。カタール戦でも何度かシュートを放つシーンがあったが、どちらかというと手詰まりして苦し紛れで打った感じが否めない。FWが相手DFを引きつけ、バイタルエリアにスペースを作り…といったシーンを作りたい。そうすれば自ずと相手の脳裏にはミドルシュートという選択肢が増える。逆にいえば日本にとっては選択肢になりえ、スルーパスなどの布石となりうる。

このスタメンでは流れるようなポジション交換やフリーランニングは見られないかもしれないが、彼らはこういった多彩な攻撃を繰り出せる力を持ったメンバーだ。攻守の切り替え、前回からの課題となったカウンターへの対処と自陣での軽率なファール、あるいは詰めの部分での“プロフェッショナル”な試合運び。

少し項目を挙げすぎたかもしれないが、これらを総合的に判断して、満足行く結果が得られれば素晴らしいと思う。期待しつつ、第2戦に挑みたい。

posted by so-ma |21:57 | ■日本代表 | コメント(1) | トラックバック(0)
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2007年07月12日

U-20日本代表 ~涙に暮れるヴィクトリア~

美しい夕焼けが空に映え、ピッチを照らしている頃には日本代表がヴィクトリアでの最後の試合を勝利で飾り、クオーターファイナルの地へ飛び立てると信じていた。2点を追いつかれた時すら、立て直せないほどの力を見せ付けられたわけではなく、若き日本代表に与えられた最後の試練だと受け取り、勝ちを疑わなかった。

それだけにこの敗戦を受け入れることは難しい。気持ちの整理がつかないというのが正直なところだ。湿っぽい場面が苦手なわたしにとっても、あれだけ明るかった選手たちが涙に暮れる様には心を動かされた。いや、心を動かされていたからこそ、彼らの涙に一種の可能性を感じ、だからこそ次へ進むための道が閉ざされてしまったことに当惑しているのだろう。本当に、心から、残念でならない。


■この敗戦の受け入れ方

だが結果は受け入れなければならない。W杯と謳っているとはいえ、この大会の目的は若い選手たちに経験を積ませ、成長を促すためにあるのだ。正直、この結果に失望していないといえば嘘になるが若い選手たちがこの経験を生かすためには、今大会をポジティブに考えていく必要があるのだから。ゆえに良い面悪い面、全てを自分たちの問題として受け入れなければならない。

だから、まず一番重要なことは判定云々を負けた“言い訳”として、敗戦の要因に挙げてはならないということだ。審判問題と今回の結果は切り離して考えるべき。確かに2本のPKや終了間際の疑惑のハンドクリアなど納得できない判定があったし、愚痴る格好のネタにはなるだろうが、それはチェコにしても同じこと。不可解な判定で退場処分を言い渡され、彼らは絶体絶命の状況に陥っていたのだから。

ゆえに判定が悪いのではなく、11対10の状況を生かせず得点を奪うことができなかった日本の次への課題として受け止めた方がよほど健全である。繰り返すが外的要因を言い訳にするのはトップレベルになってからでも遅くない。全てを吸収し、次へと生かすことができるのが若さのパワーなのだから、下手な“慰め”で彼らを止めようとしてはいけない。

苦しめ、悔やめ、悲しめ。全てを受け止め、そして今日の日を忘れるな。

これが同世代の若者として感じる成長への近道だと思うし、彼らに送ることのできる、最大限のエールである。


■敗因

前半は申し分のない出来であった。パスを回し、相手を揺さぶり、自分たちのリズムのサッカーが展開できていたのだから。バイタルエリアでの勝負やPA内でのプレーが少なかったことはやや物足りなさを感じたが、それにしても日本が勝利に値するだけのパフォーマンスは十分に披露できていた。

問題は後半である。開始早々にいい形の展開から田中がPKを獲得し、森島がきっちり決めたまでは良かった。だがチェコが最後の反撃に出てくるとこの波を撥ね返す、あるいは受け流すことが出来ず。そして続けざまに2本のPKを与えて同点にされてしまった。なぜこうなってしまったのか。考えられる要因をいくつか挙げてみると…

・2得点したことでの気の緩み

大きな精神面での変化があったとは思わないが、前半には出来ていたタイトなマークに緩みが生じていたのは事実である。チェコの圧力が凄かったのだとしても、軽いプレーが増えたのは自分たちの精神面の影響が大きいのではないか。危険なエリアで与えたFKが多すぎたというのも反省すべき点である。

・正しい状況判断が出来なかった青木と福元

別に戦犯扱いする気はないが彼らの判断は確かに不味かった。青木に関しては途中出場で上手くゲームに入り込めず、結果的にPKを与えてしまった。押し込まれていたとはいえ、2点をリードしているあの状況を十分に考えてプレーする必要があったはずだ。

福元にしても同じこと。相手にはサポートが着ておらず、中央には日本の選手たちがいた。じっくり対応し、飛び込むべき場面ではなかったのだが1点を失った焦りからか福元は飛び込んでしまった。責任感が強いキャプテンである彼にとって2失点目はどうしても避けたかったのだろうが…。この辺りは、今回の経験を教訓として学び成長して行ったほしい側面である。

・チームとしての修正能力

その後、同点としたチェコがある程度引いてくれたため試合は落ち着いた。しかし逆にいえば日本が悪い部分を修正し、試合を立て直したわけではないのだ。以前から試合中での修正能力が課題とされていたわけだが、これを克服することが出来なかったわけである。槙野や青山が大きな声で雰囲気を戻そうとしていたが……この辺りは若さの脆さが出てしまったということか。


■悲観すべきではない敗戦

その他も決めるべきチャンスを決めていれば勝てたし、高さのあるチェコに対して簡単にクロスを上げてしまうなど攻撃面での課題も残った。だが決して悲観すべき敗戦ではないとわたしは考えている。以前からU-20日本代表の記事を読んでくださっていた方なら分かっていただけると思うが、わたしは彼らを最大限に評価していた。

U-20日本代表 ~ウェイト50%の手応え~(スコットランド戦)
U-20日本代表 ~強いチームの試合運び~(コスタリカ戦)
U-20日本代表 ~チーム力の証明~(ナイジェリア戦)

それは今でも変わらない。良いチームだった。世界を相手に4戦2勝2分。記録上、負けはゼロであり、内容的にも力負けした場面は少なく、日本がイニシアチブを握る時間は多かった。

個人としてもしかり。梅崎や青山、槙野などはある程度の自信を掴んだだろうし、チェコ戦でのパフォーマンスは今ひとつだったが内田と安田の両サイドバックはこれからの日本を担っていくぐらいのレベルにある。柏木、田中、森島にしても五輪代表へと押す声が少なくない。

それぐらいのポテンシャルはあるのだ。ありきたりな言葉で大変恐縮だがこの大会の経験をまだ大きな可能性のある彼らの財産として生かしてもらいたい。

そして、わたしはそう遠くない将来、また彼らが青きユニフォームを身に纏い、君が代を歌う日が来ると信じている。

posted by so-ma |15:21 | ■日本代表 | コメント(29) | トラックバック(1)
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2007年07月12日

U-20日本代表~チェコ戦速報!~

■スタメン

GK
1 林 彰洋(流通経済大)

DF
2 内田 篤人(鹿島)
3 安田 理大(G大阪)
4 福元 洋平(大分)
5 槙野 智章(広島)

MF
7 梅崎 司(大分)
8 田中 亜土夢(新潟)
10 柏木 陽介(広島)
15 青山 隼(名古屋)

FW
9 河原 和寿(新潟)
12 森島 康仁(C大阪)

■サブ

GK 
18 武田 洋平(清水)
21 桐畑 和繁(柏)
13 柳川 雅樹(神戸)
20 香川 真司(C大阪)
MF
6  森重 真人(大分)
16 藤田 征也(札幌)
17 太田 宏介(横浜FC)
19 平繁 龍一(広島)
FW
11 ハーフナー マイク(横浜FM)
14 青木 孝太(千葉)


■前半終了時点での率直な印象

良い。自分たちのサッカーができている。決定機こそ少ないがしっかりパスを回せ、相手を揺さぶり、リズムは完全に日本が握っていた。何より先制点を奪えたことは大きい。ゴール後のパフォーマンスで会場は改めて日本に惹きつけられたことだろう。

おそらく後が無いチェコは後半に仕掛けてくると予想されるため、このパワープレーに耐えられるかが鍵になるだろう。前半は上手く体を寄せるなどして対応し、危ないシーンはほとんど見られなかっただけに、後半も継続させてほしい。

その上で追加点がほしい。安田が何度か安易にボールを失い、危険なシーンになりかけた場面もあったが、彼には怯むことなくオーバーラップを繰り返してほしい。彼が上がることにで攻撃の厚みが増すし、自分でも仕掛けてミドルを打つこともできる。仮にまたボールを奪われたとしても青山や福本のカバーがしっかりしているため彼らを信じてプレーして良いと思う。

集中力を持続し、しっかりパスを繋ぎ、攻撃はシュートで終わる。

こういった基本的なことを怠らなければ、ベスト8への扉が開けてくるだろう。

posted by so-ma |13:08 | ■日本代表 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2007年07月11日

日本代表についての見解(御礼および回答編)

この度は未熟なわたしの記事などに多くのご意見いただきありがとうございます。勿体無いお褒めの言葉、ありがたい励ましの言葉、あるいはわたしの考えとは異なる貴重なご意見など、本当に嬉しく思っています。わたし自身、皆様のコメントを読むと勉強になりますし、こういった議論の行えるような記事を書いていければと考えております。

今後ともよろしくお願い申し上げたいと思いつつ、今回はコメントいただいた中でいくつか気になるご意見をいただいたので、そのことについて考えてみたいと思います。


■結果か内容か?

「プロは結果が全てではないのか」

何人かの方からこのようなご指摘をいただいた。カタール戦、引き分けたにもかかわらず、わたしが内容を評価する記事を書いたのだから、このような反対意見があるのは当然だろう。再度改めることになるがカタール戦についての考え方を記しておきたいと思う。

これについてのわたしの考えはハッキリしている。

“現段階では”評価を下すことは時期尚早である…と。

まだ結果は出ていないのだ。カタール戦が大事な一戦であった事は間違いないがグループリーグは3試合ある。そして決勝トーナメントもまだ残っている。初戦を終えたことでオシムは何らかの策を講じるだろうし、選手たちは少なからず危機感を感じているはずだ。つまり日本代表の打開策、および修正具合を見るためには最低でも残り2戦の猶予を与えるべきなのである。

そもそも1試合でそのチームを判断することなど不可能なのだ。試合数の少ない代表チームだけに、あまり余裕を与えすぎることはマイナスだがオシム就任後、最初の真剣勝負の舞台の、しかも1試合目でチームの価値を決めてしまうなどということは賢明な判断とは思えない。チームに対する侮辱ですらある。

救いようが無いほどあまりにも悪ければまだしも、繰り返すが内容的には悪くなかった。初戦にかかるウェイトは大きく、1ポイントしか獲得できなかったことはマイナスだが完全なる悲観目線で見るべき内容でなかったことは明らかだろう。であるならば、紙に書かれた結果という単純な基準ではなく、明確な基準が無いゆえに判断は難しいが、それでも内容を重視してしかるべきではないか。

もちろん、いくら内容がよくとも予選で敗退してしまえば、それなりの評価を下そうと思うし、決勝に出場しようとも危惧すべき点があるならば、そこは躊躇なく指摘するべきだとわたしは考えている。

ゆえにまだ評価を下す時期としては時期尚早。まずはグループリーグの3試合が終わるまで、彼らのパフォーマンスを見守るべきである。


■スペシャリストの必要性

これに関してはわたしも必要だと感じている。今野よりも小宮山や相馬の方がSBとしての動きは慣れているだろうし、阿部よりもCBとして力を持った選手はいる。ではなぜオシム監督はポリバレントを求めているのか。固執しすぎてはいないか。いくら短期決戦では想定外の事態が起こるとはいえ、リスクマネージメントにとらわれすぎて肝心のチームが機能しないようでは…。

ただこれにしてもまだ見守る段階であると思うし、オシムが使わざるを得ないというほど強烈なインパクトを与えたプレイヤーが他にいなかったなら仕方ない。専門家とユーティリティーなプレイヤー。五十歩百歩ならばチョイスされるのは後者だろう。(個人的には相馬を使ってほしいし、栗原も試してほしいと思っているが。青山、前田、杉山などもまたしかり。)

これに関しては今後の展開を見守りたいと共に、ひとつ気になることがあるので、ここで挙げておこう。

というのは、怪我人、未招集組に専門家がいるのだ。闘莉王、中田浩二(彼はボランチの選手だがもはやSBですら専門職といえる)、稲本、松井etc…。CB、左SB、ウィングは偶然にもカタール戦でユーティリティーな選手が務めていたポジションである。稲本にしても、現在の代表に求められている前線への飛び出しができる数少ないプレイヤーだ。

つまり今回は様々な事情で彼らを招集していないが、将来的には彼らをチームに加えることを考えているのではないか。現在はユーティリティーな選手たちは専門家のバックアップとしての目処が立つかをテストしている段階…と考えられなくもない。

正直、これは憶測の域を出ないわたしの勝手な考えだが少し興味深い要素ではある。この先、オシムがどのような選択をするかは彼のみぞ知るところではあるが、良い方法をチョイスしてくれるよう期待したいと思う。

posted by so-ma |01:32 | ■日本代表 | コメント(23) | トラックバック(0)
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