2008年05月01日

涙と悲願と、そして青の躍動と ~チェルシー×リバプール~ 【プレミアF】

■Chelsea 3-2 Liverpool (4-3)

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ロンドンでは珍しいどしゃ降りの雨に打たれながらジョン・テリーは、ディディエ・ドログバは、そしてフランク・ランパードは、どんなことを考えていたのだろう。リバプールに勝った喜びか、母に対する愛か、それとも彼を懸命にサポートした多くのファンたちへの感謝か。 それぞれの想いを胸に、それぞれの喜びを爆発させ、そんな“それぞれ”が折り重なったロンドンの青いチームは、ファイナルへの切符を史上初めて、自らの手中に納めた。


■Chelsea

Cech, Essien, Carvalho, Terry, Ashley Cole, Joe Cole (Anelka 91), Ballack, Makelele, Lampard (Shevchenko 119), Kalou (Malouda 70), Drogba.

ベストメンバーが揃った。母の死という悲しみを乗り越えてスタメンに名を連ねたフランク・ランパードを筆頭に、ベストといえる布陣を揃えることができた。週末、ユナイテッドを下し、気持ち的にも最高潮に達しているといっても過言ではないチェルシーだけに、絶対に落とせない試合である。このメンバーで、この状況で負けては言い訳など出来るはずもない。勝利、あるのみである。


■Liverpool

Reina, Arbeloa, Carragher, Skrtel (Hyypia 22), Riise, Kuyt, Alonso, Mascherano, Benayoun (Pennant 78), Gerrard, Torres (Babel 99).

天王山を演じたチェルシーに対して、週末のバーミンガム戦では主力の何人かを休ませ、この試合に備えたリバプール。リーグでは見せ場のないシーズンを過ごしたとはいえ、CLでの勝負強さは誰もが認めるところであろう。F・アウレリオの負傷により、ファーストレグでOGを謙譲してしまったリーセがスタメンに名を連ね、3トップの左にベナユン、右にカイト、中央にフェルナンド・トーレスという布陣で、返り討ちを狙う


■揺れるスタンフォードブリッジ

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週末のユナイテッド戦にも増して、スタジアムが揺れるのを感じた。過去2度、リバプールに敗れて夢のファイナルへの道が閉ざされたのだからサポーターとしては3度目の正直での勝利へ、気持ちが高ぶっていたのだろう。ゴール裏はもちろん、普段は席に座って声援を送るサイドスタンドに陣取ったファンすらこの日は立ちっぱなし、歌いっぱなし。これほど熱狂するスタンフォードブリッジを見たのは、正直初めてだった。 これで選手たちが下手なパフォーマンスをするはずがない。“典型的チェルシー対リバプール戦”になるのではないか、との予想もあったが試合開始直後から攻撃的な姿勢を両チームが見せ、特にチェルシーのパフォーマンスは力強かった。一度、トーレスにラインを破られ、ピンチに陥ったがツェフが落ち着いたセーブで難を逃れると徐々にチェルシーがゲームの主導権を握り始める。前線で体を張るドログバが軸となり、ランパードとバラックが攻撃を組み立て、カルーとJ・コールが仕掛け、エッシェンが積極的にオーバーラップし、守備への対処は職人マケレレが目を光らせるなどチームとして高いパフォーマンスを披露していた。 そして33分、ランパードの絶妙なスルーパスにカルーが抜け出す。シュートはレイナにセーブされたものの、全速力で詰めていったドログバの強烈なシュートがニアサイドを突き破り、チェルシーが先制に成功した。 なんという身体能力か。あれだけ全速力でこぼれたボールを追いかけ、なおかつ鋭くコントロールされたシュートを放つことなど尋常ではない。一時期、コンディションとモチベーションを落としていたこのコートジボワールの怪人だったがやはり持っているものが違うようだ。 ドログバに圧倒され、スタンフォードブリッジのムードに飲み込まれ、そして試合は怒涛の後半戦へと突入する。 ■F・トーレスのプライド 激しさを増す雨の中、良い流れで前半を終えたチェルシーだったが、ユナイテッド同様、リバプールもそう簡単に引き下がる相手ではなかった。後の無いレッズは後半開始から積極的に、前半にも増して攻撃的な姿勢で臨むと、CKからカイトが決定的なシュートを放つ(ツェフ、スーパーセーブ)など、攻勢にである。リードして守備意識が強くなったチェルシーに対して、リバプールは絶対に得点を奪わなければなくなったのだから、これは当然の変化といえる。 ただ、ボールは保持し、得点機を伺うがチェルシーの敷いた守備網は簡単に敗れるほど脆いものではなかった。しかもベニテス監督就任後、このスタンフォードブリッジでは1点も取ったことがなかったのだから、この牙城を崩すことは並大抵のことではなかった。ペースを握っている割に、チャンスを作れない時間が続く。 だが、その守備網を切り崩してみせたのだからレベルの高さに脱帽してしまう。64分、ベナユンが右サイドから中央へと切れ込み、針の穴を通すかの如く繊細なパスをトーレスへと通す。トーレスは体勢を崩しながらも上手く1トラップし、そのままシュート。ツェフが完全に逆をつかれ、リバプールはトータルスコア2-2の同点に追いついた。 試合前、「2点を決める」と意気込んでいたトーレスだったが、さすがの動きだった。ボールを受けてからシュートまでの速さと体使いの巧みさは本当に素晴らしい。もはや完全にリバプールのエースとなっている男の活躍により、ゲームは振り出しに。 そしてその後もお互いが牽制しあった白熱のゲームは遂に延長戦へと突入する。 ■母へ… 全ては延長戦で決着をつけようというのがチェルシー陣営の思惑だったのだろう。チェルシーはアネルカを延長の頭から投入し、勝負に出る。いつものドログバとアネルカを使った力ずくの戦法である。いや、アーセナルやユナイテッドをも破った自慢の戦術か。 立ち上がりにリバプールがチャンスを作ったものの、最後の詰めが甘く、勝ち越すには至らない。逆にチェルシーはセットプレーからのセカンドボールをエッシェンが拾い、強烈なミドルシュートでゴールネットを揺さぶった。……と思われたがこれはその前にオフサイドがあったとの判定。(私も含めて)感情を爆発させていたチェルシーファンたちは肩透かしにあってしまった。 だが、再び喜びの限界まで達するほどの激烈な感情が脳内を巡るのに、時間はかからなかった。97分、ユナイテッド戦の立役者、マイケル・バラックがヒーピアに倒され、PKを獲得したのである。スタンドは再び大きく揺れた。しかし反応は様々だった。ガッツポーズをする者、頭を抱える者、ピッチから目を背ける者etc…。どれもチェルシーファンの心情が刻銘に描写されていたシーンだ。 しかもこの大事な大事な、本当に大事なPKを蹴るのは他の誰でもない、フランク・ランパード。やはり主役には、最高の舞台が用意されるものなのである。 PKストッパーとの異名を持つペペ・レイナとの対戦に、スタジアム中が緊張に包まれ、異様な雰囲気を醸し出していたが、フランク・ランパードの蹴ったボールの行き先が、限りなくモスクワに近かったことを悟った瞬間、スタジアムには地鳴りが響き、歓喜の声で世界が包まれた。“スーパー・フランク”がチェルシーをファイナルへと導く大きな1点を決めたのである。 果たして、天を指差すフランク・ランパードの見つめる先には、何があったのだろうか。私には知る由もないが、非常に印象に残っている最大のハイライトのひとつである。 その後、リバプールは懸命に得点を奪おうと戦う姿勢を見せたが、逆にアネルカに守備網を破られ、最後はドログバにこの日2点目となるゴールを謙譲して万事休す。延長後半、バベルがツェフの牙城を破るスーパーミドルを決めたものの、後一歩、及ばなかった。延長に入っての2点のアドバンテージはいくらリバプールといえど、奪い返す力は残っていなかったのである。 長かった試合の終了を告げるホイッスルが鳴り響くとチェルシーファンたちは喜びと安堵に包まれ、選手たちを称えると共に自らが支えてきたチームの躍動を心から誇ったことだろう。 間違いなく、この瞬間、世界で一番熱かったスタンフォードブリッジでの試合は“典型的チェルシー対リバプール”などには微塵も当てはまらない素晴らしく、白熱した好ゲームだった。3度目の正直でやっとリバプールを下したロンドンの青は、本当に、本当に待ちに待った夜を今宵、迎えることが出来たのである。 Chelsea 3 - 2 Liverpool 【C…Lampard 98(pen) Drogba 33,105】 【L…Torres 64 Babel 117】 ■足に魂を、心には母を
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長かった。長い道のりだった。今回で実に3度目となるチェルシー対リバプールの激闘を、初めて青の戦士たちが制し、悲願だったファイナルへの切符をクラブ史上初めて手にした。 正直、もう細かい批評をすることが無意味に思えてしまうほど、本当に情熱的で白熱した素晴らしい試合だった。CLセミファイナルとなるとやはり世界が違う。改めて選手たちの偉大さと、ファンがフットボールに欠かすことの出来ない存在であるということを実感できた試合だった。今はこの試合を現地で見た喜びにただただ浸っているのみである。それにしてもフランク・ランパードの、なんと心の強いことか。パットさんは本当に良いお子さんをお持ちになったようだ。 チェルシーが勝ちあがったとはいえ、拮抗した勝負だったことに疑いの余地はない。勝者と敗者の間では、何が違ったのか。この拮抗した試合における差はなんだったのか。 それを考えると、答えはひとつしか浮かばない。ありきたりな言葉で大変恐縮だが、チェルシーの方が強い気持ちを持てる要素をいくつも抱えていたのだろう。2度の苦汁をなめたリバプールを打ち負かしたい。これまで後一歩で逃してきたファイナルへの切符をなんとしても勝ち取りたい。そして何より、チームの大黒柱であるフランク・ランパードの亡き母のためにも、絶対に勝たなければならない。 こういった高次元の戦いにおいて、発生する差というのは、やはり最後は気持ちなのだろうと改めて実感させられた。 チェルシーの強い気持ちの前に、リバプールが屈した。 総括としては、この一文が適切かと私は心から思う。 ■いざ、ユナイテッド戦へ… さて、プレミアシップの、しかも1位2位がCLでも顔を合わせることとなった07-08シーズン。モスクワにて、勝利の女神はどちらに微笑むのか。拮抗した戦いになることは間違いない。どちらもお互いを知り尽くしており、ここ数年強いライバル意識を持ってきたクラブ同士なのだから。 ただ、私は守備的で退屈な試合にはならないのではないかと考えている。ユナイテッドは元々攻撃が売りのチームだし、チェルシーはユナイテッドを実力で打ち負かした自信を持っている。殻にこもり、シュートの少ない眠くなるような試合にはならないはずだ。いや、そう期待している。 イタリア勢同士の対決になったオールドトラフォードでの決勝は、退屈な試合になるのではないかという予想に反することなく、守備的な試合となり、結局スコアレスドローに終わった。 そうであるなら、今回のイングランド対決となった決勝では、イングランド色の濃い決勝になることだろう。常にチャントの響くスタジアムで行われる、クリーンで気持ちのいいファイティングスピリット剥き出しの、情熱的で、滑稽で、しかしどこか憎めない選手たちの感動的な戦いを、私は心から期待している。 時は2008年5月21日、舞台はロシアの首都モスクワ。 9シーズンぶりの欧州制覇を狙うユナイテッドと、初の頂点を目指すチェルシーのイングランド対決が実現する。長く厳しい戦いを勝ち抜いてきた両チームの終着地点。 最高の舞台は、今、整った。


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2008年04月30日

偉大なる導き手 ~ユナイテッド×バルセロナ~ 【プレミアF】

■Man Utd 1-0 Barcelona (agg 1-0)

時代が流れても変わらないものがある。
変わらないものこそが時代の波を切り裂ける。


先週のバルサ、週末のチェルシー、そして今日のバルサ戦。このタフな3連戦の最終戦で勝利を飾り、ユナイテッドはモスクワへの切符を手にした。実に9シーズンぶりのCLファイナル進出となる。しかし決勝進出への扉を叩いたのは、C・ロナウドでもテヴェスでもなく、9シーズン前を知るポール・スコールズだった。


■Man Utd

Van der Sar, Hargreaves, Ferdinand, Brown, Evra (Silvestre 90), Park, Scholes (Fletcher 76), Carrick, Nani (Giggs 76), Ronaldo, Tevez.

チェルシー戦で負傷したヴィディッチ、ルーニーはメンバー入りせず。代わりにチェルシー戦と同じく、ブラウンがセンターへ入り、ハーグリーブスが右サイドバックを勤める。またC・ロナウド、パクチソンらがスタメンに復帰。攻撃面はまだしも守備面にやや不安が残るメンバーにみえる。先制点を奪われた際には非常に厳しい状況に追い込まれるだけに、最大限の注意を払いたい。


■Barcelona

Valdes, Zambrotta, Puyol, Milito, Abidal, Toure Yaya (Gudjohnsen 88), Messi, Xavi, Deco, Iniesta (Henry 60), Eto'o (Bojan 72).

マルケスがサスペンデッドでこの試合には出場できず。だが代わりにキャプテン、プジョールが復帰した。バルサにとってはポジティブな要素である。前線はエトー、メッシ、イニエスタが務める。万全ではないユナイテッド守備陣だけに、バルサにも付け込む余地はあるが…果たして。


■自滅するバルサと老獪なポール・スコールズ

オールドトラフォードより醸し出される緊張感に包まれた22人の選手たちの宴は慎重な立ち上がりを見せた。どっちつかずの落ち着かない立ち上がりから、徐々に堅守速攻のユナイテッド、ポゼッションのバルセロナという色分けが出てきたかと思えばこの日のバルサはパスの精度が低くミスパスの多さでリズムを掴むことに失敗した。

むしろユナイテッドの方がプレミアシップの舞台で披露するようなスピードに乗った攻撃でバルサを脅かしていたくらいだ。特にテヴェスとパクチソンは持ち前の運動量を存分に発揮し、前線からのプレスと攻撃に大きく貢献していた。そしてエブラのオーバーラップもいつになく積極的で効果的だったといえる。

そんな流れの中で先制点が生まれた。14分、中央に侵入しようとしたC・ロナウドのドリブル突破は阻止したものの、ザンブロッタのクリアしたボールはフリーのスコールズのものへ。バイタルエリアにぽっかり空いた穴へとスコールズは侵入し、そのまま右足を一閃。アウトサイドにかかった綺麗なシュート回転のボールはビクトール・バルデスを寄せ付けず、鮮やかにネットを揺らした。

大一番ではひとつのミスが勝負を決する。バルセロナはミスを犯し、老獪なベテランはこれを見逃さなかった。貴重な先制点を、この単純明快な構図によりユナイテッドは得たわけだ。

その後もしばらくユナイテッドペースが続いた後、徐々にバルサも本来のパスワークを取り戻すが、全体的に恐いのはメッシのドリブル突破ぐらいといった印象でチャンスを作っている割に点の入りそうな気配はあまり漂っていなかった。イニエスタやエトーがほとんど消えていたのだから無理もない。第1戦ではユナイテッドがカンプノウの雰囲気にのまれていたわけだが、この日はバルサの選手たちが少なからずオールドトラフォードの雰囲気に押しつぶされていた。そのことも手伝ってか、バルサのスコアボードに得点が刻まれることはなく、勝負は後半に移行する。


■完封

後半は後のないバルサがある程度ゲームを握り、攻勢をかける時間帯が多かった。ただこれは先制したユナイテッドがカンプノウでの第1戦同様に、守備に重点を置いたフットボールに切り替えたことを意味していたように思う。多少は無意識に守備意識がついただろうが、それでも完全に崩されて決定的なピンチを招くといった場面はなかったわけだから、ユナイテッドの意図通り試合が進んでいたのだろう。

例えばナニが決定機を迎えるなど攻撃にも抜かりがなかったわけだから、ボールポゼッションはバルサに分があったところでユナイテッドの勝ちあがりに向けて時間は過ぎていったわけである。

バルサはアンリやボージャンを投入し、反撃を試みようとするが大きく流れを変えることはできず。アンリは2本ほど惜しいシュートを放ったものの、チーム全体に伝染するような影響力のあるものではなかった。

ただ時間がなくなればなくなるほど失点してはいけない意識が生まれるもの。75分にギグスやフレッチャーを投入した辺りからはほとんど自陣に張り付きはじめ、効果的だったテヴェスやパクチソンも後ろのスペースを埋めるために、前線でのプレスを放棄。亀の甲羅作戦で時が過ぎるのを待った。

結局、少々観客をどきどきさせる展開を演じたユナイテッドだったが、その後何とかバルサの猛攻を振り切り、完封勝利を収めた。9年ぶりのCLファイナルへ。遥か東の地モスクワへ、老獪なユナイテッドの導き手がレッドデビルズをいざなった。


■“順当な”ユナイテッドの勝ちぬけ

戦前、予想されていたよりは拮抗した内容での決着となったが順当な結果だといえる。リーガで不甲斐ない戦いを続けているバルセロナはCLに全てを注いできたはずだったが、プレミアシップで首位を走っているクラブは彼らを上回ったわけだ。最近はリーグで成績を残せていないクラブがCLを制す傾向にあるが、今回の結果はプレミアの1位対リーガの3位という側面から見ても順当なものだったように思う。

“順当”と書くと、ピッチ上でユナイテッドが圧倒的な力の差を示したわけではないので何かしらの批判をちょうだいするかもしれないが、冒頭に書いたとおり過酷な3連戦を強いられていたユナイテッドにとってある程度のローテーションを採用し、それに伴う犠牲を払わなければならなかった、というのが現実的な見方ではないかと思う。彼らはチェルシーに敗れてしまったが、それでもなお首位をキープしており、しかもバルセロナを下し、決勝進出を決めた。これだけで十分ではないか。そういったチームの総合力という現実的な観点から見た場合、ユナイテッドは賞賛に値すると私は考えている。ゆえに、前評判の割りにバルサを圧倒できなかった、というニュアンスのユナイテッドに対する批判は大目に見てあげてほしい。

試合に関してだが、ルーニーは欠場していたものの、テヴェスとパクは彼の穴を埋めて余りある頑張りを見せたように思うし、エブラの積極性は素晴らしかった。C・ロナウドばかりがピックアップされがちだが、ロナウドを支える周りの動きにも注意を払わなければならないと感じる試合であった。攻撃陣を支える守備陣もしかり。彼らが安定しているがゆえにバルサに得点を与えず、最少得点差での勝ちあがりが可能だったのだから。ヴィディッチ、G・ネヴィルの欠場をもろともしない強さには脱帽である。(ただ最近、ファンデルサールのキックミスの多さがどうも気になるが…)

そして何より、相手のミスを見逃さずに決勝ゴールを決めたスコールズには頭が下がるといったところか。前回優勝したときのユナイテッドを知っている数少ないプレイヤーが決勝進出に貢献した。時代は流れ、フットボールの性質が多少変化しようとも、良いものはいい、のである。

バルサに関してはチーム内でごたごたが続いており、様々な面でユナイテッドに劣っていたといわざるを得ない。攻撃力が売りのチームであるにもかかわらず、ユナイテッドのベストではない守備陣を崩すことが出来なかったのだから。しかもCLの敗退により指揮官であるライカールトの去就問題が改めて議論されることになるだろう。また1つごたごたが増えてしまった。早く問題を解決し、快適な環境でフットボールが出来れば実力のあるプレイヤーは力を発揮してくれるはずなのだが…。


■史上初、プレミア勢での決勝戦

明日のチェルシー対リバプールの結果に関係なく、プレミアシップに所属するクラブ同士の決勝が実現することとなった。イングランドのクラブがCLを制するのはリバプール以来3シーズンぶり。イングランド勢が4年連続で決勝に進出し、2シーズン連続でベスト4に3チームが残っていることを考えるとプレミアシップの繁栄程度が反映された結果といえるだろう。

個人的な要望としてはリーグ2位のチェルシーに勝ちあがってもらい、プレミアシップとCLの2冠を両クラブが争うようになってほしい。最近はリーグで4位、5位のクラブが優勝することも少なくなかったわけで、同リーグの1位2位で決勝を戦うのであれば文句なしに“CHAMPION"を決めることが出来るのだから。


といったところで、勝負は下駄を履くまで分からない。明日になるのを楽しみに、眠りにつくことにしよう。

とりあえず、チェルシーに敗れて暗くなっていたであろうユナイテッドファンの方、CL決勝進出おめでとうございます。

posted by so-ma |06:21 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(18) | トラックバック(2)
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2008年04月24日

全ては夢の劇場にて ~バルセロナ×ユナイテッド~ 【プレミアF】

■Barcelona 0-0 Man Utd

キックオフ直後のアクシデントというのは、その試合の流れを決定付けたり、考えもしなかった方向へとゲーム展開を導いたりする。幸か不幸か、待ちに待ったこの世界屈指のクラブ同士の対戦において、アクシデントが発生した。開始2分で訪れたPK…。このプレーが全てを決めたとは思わないが、後の展開に少なくない影響を与えたのは事実だろう。


■糸口を見つけたバルサとナーバスになったロナウド

絶対に与えてはならないアウェイゴールをあっさり奪われそうになったバルサだったが、幸運にもC・ロナウドの放ったシュートは枠を外れた。バルサファンは手を叩き、ユナイテッドファンは頭を抱えたであろうこのシーンだが、両チームに少なくない心境の変化があったのではないだろうか。

最近、不調にあえいでいたバルサにとって、プレミアシップで首位を走るユナイテッド相手に攻撃モード全開で試合に臨むことは勇気のいる行為だったはずだ。いくらポゼッションと攻撃思考が彼らのフットボールであるとはいえ、CL準決勝という舞台にもなるとなかなか普段のスタイルを発揮することは難しい。加えてユナイテッドはオーソドックスなオフェンスはもちろん、鋭いカウンターフットボールも展開できる器用なチームである。ファーストレグだけに、失点は避けたいわけで、ある程度守りということも選手たちの頭にはあったのではないだろうか。

だが、あのPKで事態は変わった。あのPKによってバルサの選手たちは開放されたように見えた。

「守っていたら負ける。攻めるしかない」

完全なる憶測だが、そう思った選手も少なからずいたのではないか。そうでなければいくらCLというリーグ戦とはまったく別の舞台とはいえ、あれだけ質の高いフットボールを、しかもユナイテッド相手に展開することは難しい。ユナイテッドが自陣にべったり引く戦術を取っていたとしても、である。

逆にユナイテッドは…特にPKを外してしまった張本人であるC・ロナウドは少なからずナーバスになっているようだった。もちろん、アウェイでポゼッション思考のバルセロナが相手なのだから、カウンターに意識を置き、攻撃を自重することは理解できる。ただ、いつものユナイテッドの切り裂くようなカウンターは影を潜め、バルデスを脅かすシーンはほとんどなかったのだから、バルサの「攻めなければ」という想いに押されていたというか後手を踏んだ形になっていたような気がしてならない。

ゆえに予想していたよりも拮抗した展開になったように思う。あのPKが仮に入ったとしてもユナイテッドが楽勝する保障はどこにもないわけだが、少なくとも貴重なアウェイゴールを持って帰ることができたし、精神的にバルサを追い詰めることもできたことだろう。もちろん、それでもきっちり守りきれるところがユナイテッドの強さであり、2度ほどPKに値するような場面を作ったのだから、ファーストレグの出来としては上々なのだが。

要するに、バルサの意地をユナイテッドががっちり受け止めて、お互い譲らない格好となっている。全てはセカンドレグへ持ち越された、ということである。


■“突き”を狙うバルサと“面”を狙うユナイテッド

0-0というスコアははっきり言って綱渡りだと私は思っている。ユナイテッドは1点で十分だが、逆に失点してしまうと引き分けでは許されない状況に追い込まれてしまう。ヴィディッチの代わりを務めたブラウン、それに伴い久々の右サイドバックでプレーしたハーグリーブスも含めて、今日の守備陣は良くやったし、今日のような守備をしていれば大怪我を負うことはないだろうが、しかしホームでは攻撃に転じなければならない。

しかも相手はバルサだ。キャプテン、そして守備の要であるプジョールがサスペンションから復帰するとはいえ、彼らはおそらくオールドトラフォードでも攻めてくるだろう。捨て身…とまでかは分からないが、それに近いくらい攻撃的な姿勢で臨んでくるに違いない。逆にいえば、そうしなければバルサは勝者にはなれない。一か八かの…剣道の“突き”に似た姿勢でファイナルを目指すを私は予想している。突きをかわせれば、これ以上なく無防備な相手を簡単に料理出来るだろうが、喉元に刃が突き刺されば致命傷となるだろう。

0-0という結果とクオリティーの高かった内容を見てなお私はユナイテッドのモスクワ行きを疑わないが、バルサを過剰に恐れ、自らのスタイルを忘れてしまうようなことがあればあるいは事故が起きてしまうかもしれない。

そのためにもユナイテッドは自らのフットボールを展開すべきである。サー・アレックスはスコアレスドローを狙いにいき、その通りになった。つまりアウェイゴールがなくともオールドトラフォードで勝利を収められるという確固たる自信を持っていたのだろう。そんな自信が持てるほどに、現在のユナイテッドは強い、とサー・アレックス自身が感じているのだ。

だからこそ自慢のサイド攻撃と果敢な2列目からの飛び出しをバルサに見せてやればいい。相手に付き合うことはない。敵と正々堂々正面から向き合い、バルサの脳天に“面”をお見舞いしてやればいいのだ。自らのスタイルを、素早く強靭で情熱的なイングリッシュフットボールを、ユナイテッドには期待する。

posted by so-ma |07:24 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(6) | トラックバック(2)
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2008年04月23日

勝負師の誤算 ~リバプール×チェルシー~ 【プレミアF】

■Liverpool 1-1 Chelsea

いくら“勝負師”ラファ・ベニテスであろうともオウンゴールという結末で試合が締めくくられようとは考えもしなかったことだろう。後30秒、いやあのクロスをクリア出来てさえいれば主審の笛は終了を告げていたはずなのに…。


■スリリングな試合展開。そして…

リバプール、チェルシー共に、主力選手の何人かが欠場するのではないかと報道されたいたのとは裏腹に、両チームともベストメンバーを組んできた。一概に情報戦とは言い切れないとはいえ、警戒しあっている姿が刻銘に表れている出来事とも読み取ることが出来る。それほどに彼らのライバル意識とCLセミファイナルという舞台は大きいのだろう。

試合としてはなかなかスリリングな展開だった。序盤、20分ほどはチェルシーがペースを握り、リバプールの弱点であるセットプレーからゴールを脅かそうとしたものの、赤い壁は集中力を切らさず。1度、物議を醸す要素を含んだシーン(ドログバに対するキャラガーのタックル)があったものの、この日のリバプールの守備陣は安定しており、チェルシーがゴールを脅かしたシーンは限られていた。

対してリバプールは43分のカイトの先制ゴール以外にもフェルナンド・トーレスがラインの裏へ抜け出し、1対1になったシーンやジェラードのミドルシュートなど得点するチャンスは多くあった。だがいずれもツェフのグッドセーブにあい、チェルシーに致命傷を負わすことは出来ず。逆に終了間際、カルーのなんでもないクロスの対応をリーセが誤り、自陣ゴールにボールをクリアしてしまったのだから…アンフィールドのファンはさぞかし不満を抱え、あるいは呆然として帰路についたことだろう。


■ラファの誤算

正直、いつもの典型的リバプール対チェルシーを予想していた者としてはゴール前でのシーンが少なくなかった試合にワクワクさせられた。過去2回とは違い、ファーストレグの会場がアンフィールドだった影響かもしれない。あるいは、決して守備が得意とはいえないF・アウレリオを左サイドバックに起用した点を見れば分かるとおり、ラファの攻撃的な姿勢がゲームに影響したといえる。

それだけに、93分までほぼプラン通りに試合を運んでいたであろうリバプールにとっては残酷な結果となってしまった。キャラガーは魂のディフェンスでドログバをほぼ完封し、マスチェラーノ、アロンソ、ジェラードの中盤はテンポ良くボールを回し、ゲームにリズムを与え、攻撃陣もある程度形を作り出していたというのに…。一発勝負においては絶対の自信を持つのがラファ・ベニテスであり、多くの選択肢から絞り込んだのが今日のイレブンだったというのに、予定外の事態によりF・アウレリオを失い、急遽送り込んだリーセがオウンゴールというプレゼントをチェルシーに謙譲してしまったのだから皮肉な話である。

ただチームのパフォーマンスとしてはチェルシーを上回っていたように思うし、第2レグがアウェイとはいえ、まだまだ可能性は残されている。それだけに気持ちを建て直し、勝負に挑んでもらいたい。おそらくリーセは召集から漏れるだろうが……。


■アウェイゴールを奪ったものの…

一方のチェルシーはスタートは良かったものの徐々に試合の主導権をリバプールに譲るとちぐはぐな場面が目立ってしまった。特に攻撃面ではドログバが孤立し、いつものようにマルダは何も出来ず、いつもとは違い、今日のJ・コールは精彩を欠いていた。ランプスも試合感が多少鈍っていたのか、いつもなら豪快にミドルシュートを狙う場面でもこの日はパスを選択することが多く、その性で決定機を逃してしまっていた。このあたりは週末のユナイテッド戦やレッズとの第2レグに向けて、変えていかなければならない部分であるように思う。

また、安定性のないグラントの采配だが今日も不満の声が上がるような采配だったのではないだろうか。上記したとおり、不調だったJ・コールがカルーに代えられたシーンはまだ理解できたし、さほど驚きはしなかったが、アネルカの投入が残り5分を切ってからになるなど、動きが遅かったのはなんとも…。1-0というスコア自体は決して悪いものではないし、このままでOKというのなら分かるが点を狙うのであればもう少し早い時間帯に投入すべきではなかったか、と個人的には考えてしまう。結果的に同点ゴールがもたらされたため、大きな問題には発展しないだろうが、今後を考えるとやはり不安が残ってしまう。

それにしてもいいGKがいるということは本当に重要なのだと改めて実感させられた。GKがツェフでなければ、ジェラードがチェルシーに引導を渡していてもおかしくはなかったし、大差での敗北すら考えられたのだから、それを救ったツェフは賞賛に値するだろう。


■舞台はスタンフォード・ブリッジへ

さて、スコア的にはチェルシーが一歩リードした感は否めない。ただ内容的には互角かリバプールの方が上だと私はみる。チェルシーは週末に大一番が控えており気を抜くことは出来ない。その緊張感がいい具合にミッドウィークまで続いてくれればいいが一歩間違えれば疲弊したり、糸が切れてしまうこともありえる。リバプールは敵地というハンデがあるにせよ、トーナメントに強い伝統がある。一概に、レッズが不利であるとは思わない。ただ、チェルシーには運があるようだし、何よりホームでは負けない。このあたりの要素を含めると…う~ん、五分五分としか言いようがない…か。


ちなみにこの試合が始まる前、引き分け6割、リバプール勝利3割、チェルシー勝利1割と予想していたが結果は引き分けに終わった。また当たらない予想をさせていただくならば、現時点で第2レグの結果は、チェルシー3割、リバプール5割、引き分け(延長突入)2割、とみるが皆さんはいかがだろうか。

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2008年04月11日

質と量。共に充実のユナイテッド ~マンチェスター・U×ローマ~ 【プレミアF】

■Man Utd 1-0 Roma (agg 3-0)

ただただ強いという他ない、というのが現在のユナイテッドに対する印象だろうか。この試合でもルーニー、ロナウドを休ませ、守備の要であるヴィディッチを欠いたにもかかわらず、1-0の完勝。ルーニーの代わりに1トップとして起用されたテヴェスは前線で体を張り、決勝ゴールを決め、右ウィングに入ったパクチソンは持ち前の豊富な運動量でローマ守備陣をかき回し、チャンスに顔を出して見せた。ピケにしてもまずまず。それぞれ遜色ない活躍…とまではいかないものの、CLクオーターファイナルという舞台ながら、気負いもなく十分すぎるパフォーマンスを披露し、層の厚さをまざまざと見せ付ける格好となった。

質、量、共に充実した戦力と、若手、ベテランがバランスよく所属している現在のユナイテッド。おそらくCLにおいてもプレミアにおいても彼らを押す声が大多数ではないかと推測する。そして最近の充実振りを考えれば、当然の声だといえるのではないか。


■もはや不安要素さえも光

確かに不安要素はある。ヴィディッチが怪我し、この試合ではフル出場を果たしたリオも故障の不安を抱えている。あるいはC・ロナウドが負傷により長期離脱…ということになれば狂いは生じてくることだろう。好調のチームが崩れる要因となる主力選手の故障という問題も同じようにユナイテッドには付きまとっている。

しかしながら、現状は不安要素よりも遥かに明るい面の方が際立っているし、不安要素さえも明るく見えてきてしまう。ヴィディッチの故障により、開いたポストには若いピケを起用し、経験を積ませることができた。そして上記したように、控えメンバーのコンディションはよく、レギュラーメンバーが1人や2人怪我したところで大きな問題に発展する可能性は低い。

そもそもユナイテッドは現在、欧州で最も試合を多くこなしているチーム(ローマ戦終了時点で49試合。)であるにもかかわらず、主力選手に疲弊しているプレイヤーは見受けられない。他のチームに比べれば極めてコンディションは良好といえる。この辺りは層の厚さ、ならびにサー・アレックスのやり繰りの上手さを賞賛すべきところである。監督のスタイル、方針は十人十色であるため、どこぞのチームと比べて判断するというわけではないが、監督という職業に身を置く者の中でファーガソンが最も充実した日々を送っている人物のひとりであることは明らかだ。

しかもローマ戦では長らく戦列を離れていたG・ネヴィルが復帰。重要な試合が続く時期に、キャプテンが復帰したことは精神的な面でも大きいといえる。


■2冠へ向けて ~試練のロード~

日程的には厳しい試合が続く。週末はアーセナル、(来週にはイーウッド・パーク(ブラックバーン)のアウェイ戦が控え、)バルセロナへ飛んだ後、週末はチェルシー戦である。

ただアーセナルは疲弊しきっており、チェルシーはモウリーニョ時代ほどの輝きを持っていない。バルサにしても現在は調子を落としており、第1レグではキャプテンのプジョールが累積警告により出場はできない。バルサにとっては泣きっ面に蜂。ユナイテッドは当然ルーニーとロナウドをスタメンに戻すであろうため、言ってみれば鬼に金棒なのである。3タテすら、十分に考えられる。そもそも現在、彼らが本気を出した時、太刀打ちできるチームはそう多くはないのだから。少なくとも私はそう思っている。

ただそうはいってもフットボールは何が起こるかわからない。シーズンを面白くするためには…特にプレミアを盛り上げるためには、週末、アーセナルに意地を見せてほしいと思う今日この頃なのだが…。難しいだろうなぁ…。

posted by so-ma |08:32 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(8) | トラックバック(2)
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2008年04月10日

リバプールファンの困惑に、困惑 【プレミアF】

前回、リバプール対アーセナルについて記事を書いたが、その過程で驚いたことをひとつ挙げておこうと思う。

この試合に関して、様々な記事を目に通す中で、リバプールファンの方が書かれたそれもいくつかあったのだが、その記事に混じっていた“困惑”に私が困惑させられてしまった。

その原因はスターティングイレブン。最近、結果を残していて、型も固まりつつある4-2-3-1から4-4-2へ変更である。なぜ、4-2-3-1を使わないのか。どうしてクラウチを先発させ、トーレスと並ばせるのか。そんな意見が大半をしめていたかと思う。

ただ個人的にはこれらは予想できたことではないかと思っている。ラファエル・ベニテスという男は自らのフットボールに固執することよりも相手の戦術を意識する男だ。むしろ相手のチームの展開するフットボールの分析に固執している…と言い換えられるだろう。しかも週末にクラウチを使ったロングボール戦術がアーセナルにダメージを与えていたのだから、ラファが使わないはずがない。結果、前半はちぐはぐ気味だったものの、クラウチはトーレスの勝ち越しゴールをアシストし、勝利に貢献した。リバプールも勝ったため、ラファへの不満を口にする者もいなくなった。だが多くのリバプールファンがスタメンを知った時点では困惑していたことは事実ではないかと思う。

私が何に困惑してしまったかといえば、今更ラファ・ベニテスの思考に驚いている方がいること、あるいはラファという監督のスタイルを理解せずにいるファンがいることである。

上記したがラファは相手によってスタイルを変える。実力が拮抗したチームとの対戦では特に顕著に見られる傾向だ。(そういった意味はガナーズの指揮官であるアルセーヌ・ヴェンゲルとは両極端に位置する監督言っていいかもしれない。)それを、あたかもクラウチの起用が“奇策”であったかのように話している方々が私には少し不思議に思えてしまう。ラファの特徴を考えれば、奇策でもなんでもなくオプションの中のひとつに過ぎなかったのではないだろうか。

だから、その辺りをリバプールファンの方にお伺いしたい。ラファを監督として信用するなら彼のスタイルを理解するべきだし、理想を追求し「自分たちのスタイルに固執する必要がある」(BYセスク・ファブレガス)とまで語るアーセナルなどのチームとは切り離して考えるべきと私は思うのだが、リバプールに関してはどう考えているのか。

もしフットボールの理想を追求したいのなら、ラファは監督として相応しくない。彼は明らかにリアリストであり、理想よりもタイトルをもたらすことを優先する。彼の戦術に唸らされることもしばしばあるが、これは魅力的なフットボールというよりも、相手のスタイルを完全に読みきり、その上で洗礼された完璧に近い戦いをする能力に優れているからである。昨シーズンのバルサ×リバプールをカンプノウで観戦していたが、ラファの用いた完璧すぎる戦術には感動を覚えたほどだ。が、繰り返し書いている通り、これはロマンチックな理想的フットボールではない。


逆にいえば、ここまでスタイルを徹底しているのにファンの理解を得られないラファエル・ベニテスのやり方に少々問題があるのかもしれないが。チームを変えすぎて、波が激しいがゆえにリーグでの優勝争いに絡めないことが課題なのだから。どちらにせよ、アーセナルは美しいフットボールを追求するチームであり、リバプールはタイトルを取りに行くチームである。それを受け入れられていない方が少なくないようで、本当に困惑してしまった。

だからなぜ上記したようなことがリバプールファンの間で起こったのか、この現象にお答えいただき、私の困惑を解消していただければ光栄である。このような質問する形で記事を書いていいのかはわからないが、それほど気になる事柄なのだから。

posted by so-ma |15:20 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(6) | トラックバック(1)
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2008年04月09日

魅力と切なさの渦 ~リバプール対アーセナル~ 【プレミアF】

■Liverpool 4-2 Arsenal (agg 5-3)

時にフットボールは実に残酷なものである。ベストチームが常に勝つわけではなく、自力に劣るチームが勝利することもざらだ。

しかしそれはフットボールがフットボールである由縁でもある。大番狂わせが頻発し、アマチュアがプロを破ることが可能であるがゆえに、我々はピッチ上に夢を見ることができる。下部クラブでもマンチェスター・Uに勝てるし、逆に上位クラブは下部クラブに敗れた失望を胸に自らを向上させる。持ちつ、持たれつの関係がフットボールの魅力であり、切なさなのだ。

そしてこの日、2008年4月8日。リバプールの要塞、アンフィールドではその魅力と切なさが交差し、大きな渦となった。


■ジェラードの言葉

試合展開については正直なところ詳しいことは知らない。初めに自白しておくが展望にも書いたとおり、私はこの試合を見ていないのだから。正直な話、結果を聞いた時はアンフィールドへ行かなかったことを激しく後悔したが(そう、それほど昨晩のアプトンパークは退屈極まりなかった。)後の祭り。まぁ自分のクラブに忠誠を誓ったという自己満足でしかない誇りを慰めに生きていこうか。

しかしながら、にもかかわらずキーボードを叩いているのは、ハイライトを見ただけで興奮したのはもちろんのこと、この試合の選評を読んでいるうちに何ともやりきれない切なさが込み上げてきたからである。いくつか読んだ選評のほとんどは、アーセナルがベストのチームだった、というものだった。アーセナルファンの遠吠えだけではない、何か彼らに同情するようなものが少なくなかった。

元々アーセナルは魅力的なフットボールを展開するチームであり、人々を惹きつけるのは分かる。しかし今回は何より、リバプールのキャプテンであるスティーブン・ジェラードですら「ベストチームが勝ちあがったとはいい難い」とガナーズを賞賛するコメントを残したのだから、驚きである。稀にこういった発言をする選手はいるが、劇的な逆転勝利を収めた後に、わざわざベストチームはどちらだったかに言及することは珍しいのではないか。少なくとも明言は避けるか、「どちらにもチャンスがあった」というに留まるのが普通である。ミランを破った夜にしても、私の知る限りではそのような発言をしたプレイヤーはいない。

ジェラードの発言は何を意味していたのか。もちろん、率直な感想なのだろうが、その中には自分たちも同じような境遇にあった経験から来る空しさが混じっていた気がしてならない。あるいは、例えその試合で勝利できたとしても、それ以外に多くのものが残らない自分たちのフットボールに対する憤りか。自分たちにはないものを持ったチームへの素直な憧れですらあったかもしれない。…と憶測してもきりがないのでこの辺りで打ち止めするが、少なくともフットボールの魅力と切なさを最大限に知っている男の発言を考える余地はある。


■理想を追求する者たちへ

この日、リバプールファンは歓喜し、アーセナルファンは途方もなく辛い現実を突きつけられた。このフットボールの魅力と切なさの詰まった試合の勝負に勝ったチームは、試合には敗れた。だがアーセナルは敵をも認めさせるフットボールを展開したのだから、彼らは堂々と胸を張ればいい。

フットボールは結果が全てだ。だが時として、フットボールは人間味溢れるものであって、人生のようなものであって、勝利か敗北かで分けられるような単純なものではない。内容の素晴らしさに打ちのめされることがあるし、それがなければフットボールなど見ていられない。まさに勝利至上主義なんてクソ食らえ、である。

週末のプレミアシップ、リバプール戦に引き分け終焉を迎えたかと思われたヤング・ガナーズだが、翌日ユナイテッドが引き分けたことにより、まだタイトル獲得の可能性がわずかに残っている。気持ちの切り替えは難しいかもしれないが、だからこそ週末のユナイテッド戦に全てを注ぎ込んでほしい。

彼らの健闘を称え、未来に期待し、成長を見守りたいと強く思う今日この頃である。

そして勝ちあがったリバプールとファンの皆さん、本当におめでとう。

posted by so-ma |16:58 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(20) | トラックバック(4)
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2008年04月09日

神の成長とトルコの情熱 ~チェルシー対フェネルバフチェ展望~ 【プレミアF】

CLベスト4をかけた戦い前の展望パート2。チェルシー対フェネルバフチェについて。

■Chelsea v Fenerbahce (agg 1-2)

遂に神はここまで来てしまった。私は過去、ジーコの日本代表を酷評したが別に撤回するつもりはないし、今更「本当はジーコが悪かったのか」などといった議論をするつもりもない。あの頃の監督としてのジーコは評価するに値しなかったし、批判されても仕方のない要素をいくつも抱えていた。そして私は批判されてしかるべきだったと今でも思っている。

だが、当時は当時。今は今。そこは分けて考えなければならない。今のジーコは紛れもない、CLベスト8に残った監督の中のひとりである。

正直、フェネルバフチェを見たのは今期たったの1度だけ。しかもセビージャ戦の延長前半からというのだから、見たうちに入らない。そのため、彼のチームを評価することは難しい。第1レグでの采配を賞賛する報道が多いのは承知しているせよ、報道機関を信用していない(できない)身としてはどう受け止めていいのやら…。だがジーコのインタビューや信用性の高い記事(コラム)などを読むと彼らは攻めるチームであり、アウェイでもスタイルをほとんど変えないという。ポゼッション思考の攻撃的チームだと。

だがそれを考えると、いくら最近弛んでいるとはいえ、チェルシーに勝つことは難しいのではないか。このロンドンの青はホーム無敗記録を更新中であり、今期ホームでの26試合で15失点しかしていない堅実なチームだ。フェネルバフチェがボールを保持することは簡単ではないだろうし、逆に得意ではない守りを意識しすぎてもチェルシーの餌食になることだろう。好調のJ・コールやドログバを止められる選手がいるとも思えない。こう考えると第1レグで敗北したとはいえ、やはりチェルシー有利と予想するのが現実的ではないか。

ただフェネルバフチェに攻め勝つ以外の方法が残されていないのであれば、それを実践してほしいと思う。普通にやってはチェルシーには勝てない。だからあえて5点取るか取られるかというゲームを展開したら面白いと思う。彼らに失うものは何もない。何より“It's so quiet"スタンフォードブリッジを揺るがし、ホームアドバンテージを得られるほどの声援が後押ししてくれることだろう。そしてジーコはいい意味でも悪い意味でも攻撃的姿勢を実践し貫くことのできる勇気と自信を持った男である。周囲からの信頼も当然厚い。

なんだかフェネルバフチェオンリーの展望になってしまったが、それほど私は彼らに興味を抱いている。普通にやったらチェルシーが勝つ。ロンドンに住んでいる私としては、身近でセミファイナルが見られることを強く望んでいる。だが神とその子どもたちが実力と、多大なる運を持ち合わせたチームだったとしたらあるいは…それこそ神話が生まれるかもしれない。


ちなみに、色々書いたものの、私は今夜この試合を見ることができません。同日にウエストハム対ポーツマスを観に行くためです。本当は週末に開催される予定でしたが、ポンピーがFAカップセミファイナルを戦ったということで翌週の火曜日、つまり今日に移行したわけです。

当初はチェルシー×フェネルバフチェを見る予定であり、知り合いのアーセナルファンからもアンフィールドへの誘いがあったのですが…。やはり自分のチームが優先ですので。普通に考えたら残念な選択をしているかもしれませんが僕にとっては最優先事項なので。フレディー・シアーズが先発したらより嬉しい。勝ったらそれ以上のことはない。

では皆さん、試合を楽しんでくださいね。私はロンドン勢が勝ちあがることを祈っています。(とはいえ、ジーコの神通力を見てみたい気もするが。ちなみにトルコ人の多くはイスラム教徒なので、彼を神とは呼ばないんですけどね。やはり神、あるいは白いペレといった愛称がジーコには合っています。)

posted by so-ma |01:30 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(0) | トラックバック(1)
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2008年04月09日

4度目の正直 ~リバプール対アーセナル展望~ 【プレミアF】

いよいよ今夜に迫ったCLベスト4をかけた戦い。しかも今夜は3チームがプレミア勢ということもあって展望を書いておこうと思う。

■Liverpool v Arsenal (agg 1-1)

・アーセナル対リバプール第1ラウンド
・アーセナル対リバプール第2ラウンド

週末、主力選手を休まれた両チーム。特にリバプールはジェラードとトーレスをベンチスタートさせるなど徹底されていた。もはやCL一本に力を注ぐリバプールだけに、リーグでの結果はさほど重要でなかったのだから当然の選択といえる。一方のアーセナルは、代わりの利かないセスク・ファブレガスがフル出場したほか、中盤の核となっているフラミニも長い時間プレーしたため、レッズに比べれば消耗している感は否めない。特にセスクはこの試合でも精彩を欠いており、疲弊度が心配される。

加えて、多くの収穫を得たのはリバプールだった。ガナーズはディフェンスラインを高く設定するゆえに、ライン裏のスペースやロングボールへの対応が問題視されていた。そしてクラウチを起用しての“実験”は成功したといっていい。ガナーズ守備陣はクラウチへの対応に梃子摺り、ゴールをも与えてしまった。ベニテスにとってはこの2メートルの男を使う目処がたったことだろう。先発かは分からないが、ある程度の時間プレーする可能性が高い。もちろん試合展開によりけりなのだが。

対するアーセナルはセットプレーが課題のリバプールから、その通り得点を奪ってみせたがこれは大きな収穫とはいえないだろう。彼らはあくまでもショートパスを繋ぎスタイルを崩さない。以前、セスクが「我々は自分たちのスタイルに固執しなければならない」とまで語ってたのだから、意図的にセットプレーを取りに行くようなことは決してない。彼らのイマジネーションと成長が鍵を握る。

個人的にはリバプール優位であるということは分かりつつも、ミラノで見せた奮闘をアンフィールドでも見せることができればアーセナルにも十分勝機があると考えている。今期した3戦のスコアは全て1-1であり、ここにはアンフィールドでの試合も含まれているのだから。


アグリゲートスコア1-1でアンフィールドに帰ることのできるリバプールを押す声が多いのは当然だろう。アウェイゴールを奪っての引き分けは価値のあるもの。要塞アンフィールドの雰囲気もあって、リバプールサポーターは楽観視しているかもしれない。しかしながら、決してリバプールが絶対的に有利なわけでもアーセナルが絶望的状況に位置しているわけでもない。下駄は履くまでわからないのだから。

セスクとフラミニ対ジェラードとマスチェラーノの攻防はもちろんのこと、トーレスとアデバイヨールをいかに抑えるか、そしてクラウチの起用法。この辺りが鍵になってくる気がする。

どのようになったとしても今夜、今期4度目にして初めて勝利か敗北に分かれた結果が生まれるわけだ。4度目の正直で歓喜を手に入れるのは、どちらの赤だろうか。結果やいかに。

posted by so-ma |01:00 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年04月04日

熱戦を終えて ~アーセナル×リバプール~ 【プレミアF】

昨日行われたCL準々決勝ファーストレグ、アーセナル対リバプールをエミレーツスタジアムにて観戦してきた。同カード3連戦の内の第1戦目、同レグ屈指の好カードであり、同国対決としても注目を集めていたため、現地にいるうちにこのムードを味わわなければと思い立ち、最寄り駅であるArsenalまで足を運んだ。


■クレイジーなチケットプライス

クオーターファイナルというステージであるのはもちろんのこと、ここは他でもないアーセナル。ただでさえ、イングランドで最もチケット入手が困難なチームであることに加え、カードがカードだったため、当然チケットは持っておらず、まずはチケット入手にむけて奔走した。

結局、チケットは入手したのだが値段はクレイジーそのもの。今度、渡英する方のために参考までに書いておくが、最高£400、以下£300、250、200、最低でも£150が言い値だった。私はスペアチケットを持っていたファンの方に定価×2の値段で譲ってもらったが、中にはダフ屋に言われるがまま£300で購入している方も見た。

これから渡英する方々にお願いしたい。是非、粘ってください。粘れば下がります。クレイジーな額で購入し、値段を吊り上げないでください。


■熱戦のエミレーツ!

さて、試合である。正直なところ、席がLow中のLow、ゴール裏の1列目だったので、ピッチ上で何をやっているのかはほとんどわからなかったが雰囲気は味わうことができた。目の前でアデバイヨールがゴールを奪ったわけだが、あの滞空時間の長いヘディングの迫力といったら……スケールの大きさを痛感させられた。 完全に逆サイドだったため見えにくかったものの、ジェラードの体のキレ、一瞬のスピード、何より完全に具体化されたゴールまでのイメージとそしてそれを現実にする技術の高さには本当に脱帽させられた。これこそ世界最高峰のプレーなのだなぁと。 巷で議論されている判定に関してだが、確かにアーセナルファンは少なくない不満を持ってスタジアムを後にすることになったように思う。しかしハンドに関しては意図的ではないものが多かったため、レフェリーは一貫して流していたとの印象を受けるし、明らかにどちらかに偏りのある判定であったとは思わない。ゆえに及第点が与えられるくらいのジャッジだったのではないだろうか。ただフレブがPA内で倒された際、私は笛が吹かれることを疑わなかったが。
■勿体無いガナーズ、勝負強いレッズ 試合に対する見解としては…アーセナルにとっては間違いなく勿体無い試合だった。試合の流れ自体は通してアーセナルが握っていたように思うし、決定的な場面も皆無ではなかったのだから。 後方から来るボールをコントロールするのが難しいとはいえ、ラインの裏に完全に抜け出したファンペルシーは最低でもシュートを枠に飛ばさなければならなかった。怪我から復帰して以降、徐々にコンディションは上がっているとはいえ、シュート精度が恐ろしく低くなっているのが気になる。バイタルエリアでフリーになったシーンでも強烈なシュートを放つまでには至らなかった。しかも怪我のため、前半で退いてしまうなど、完全復活にはまだ時間がかかりそうだ。 そしていうまでもなく、セスクのシュートがベントリーにブロックされてしまったシーンも悔やみきれないものとなったことだろう。攻撃が自慢のアーセナルだが、今期は攻撃陣が彼らのアキレス腱になってしまっていることはなんとも皮肉である。 結果はドローだがリバプールはアウェイゴールを奪っているだけに、準決勝進出に向けて優位に立ったことは間違いない。またリーグは別にして、カップ戦での勝負強さがリバプールであり、ラファ・ベニテスであるだけに、あるいはこの状況はリバプールにとってかなり楽観的なものですらあるのかもしれない。もちろん、気を抜いて勝ちあがれるほど楽ではないわけで、選手たちは緊張感を保ったまま、一週間を過ごすだろうが。 さて、一週間後、舞台はアンフィールドに移る。どのような結末を迎えるにしろ、大きなドラマが待ち受けていることだろう。個人的には、この熱戦を見ることができないことが濃厚であるため、非常に辛いがいい試合を期待したい。そして、気楽な第3者目線で予想を語らせてもらえるのなら、リバプール優位は間違いないが私はセスク・ファブレガスが何かをしでかす気がしてならない。ミラン戦でのミドルシュートのインパクトはいまだ消えず、今期、アンフィールドで得点していることを考えると…もしかしたら…。 とりあえず、アーセナル対リバプール3連戦の第1ラウンドは、29対30でリバプール優勢!といったところだろうか。


posted by so-ma |02:25 | ■07-08 欧州カップ戦 | コメント(6) | トラックバック(1)
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