2008年02月07日

憧れのウェンブリーへ ~イングランド対スイス戦~

wembley


夢がひとつ、達成された。

イングランドに来た意味を昨晩、感じることが出来た。


2008年2月6日。“あの事件”から丁度50年の時が過ぎたこと日、イングランド代表対スイス代表戦が行われた。舞台はそう、あのウェンブリースタジアム。他でもない“聖地”に、フットボールの聖域に足を踏み入れることができたのである。

イングランド・フットボールの聖地、ウェンブリースタジアムで大観衆が見守る中、イングランド代表の試合を見守ること。いや、それよりも9万人の「God Save The Queen」を聞くことが、その中のひとりとしてイングランド国歌を歌うこと。

これが夢のひとつだった。

皆さんご承知の通りわたしは日本人である。ゆえにそんな私がイングランド国歌を歌いたいなどと思うことに疑問を感じる方は少なくないかと思う。

ただこれだけは譲れない。わたしをサッカーに目覚めさせたのは間違いなく三浦知良であり、日本代表だったが本当の意味でフットボールを深く知りたいと感じさせてくれたのは、深く関わって生きたいと考えるようになったのはイングランドのフットボールを知ったときからだった。

歴史、文化、伝統としてのフットボールに憧れ、イングランドに渡り、そして現在は一時的にではあるが住み着いてしまっている。

スタジアムにも多く足を運んだ。北はグラスゴーのセルティックパークやレンジャーズパーク、南はポーツマスのフラットンパークやセインツのセントメリーズまで、大小さまざまな、歴史や伝統の香りを感じさせてくれるスタジアムの数々を目の当たりにし、感慨に浸ったことも少なくない。

そんな私や、イングランドフットボールに興じているものにとって、1966年ワールドカップでイングランドが優勝に輝き、伝統あるFAカップの決勝が行われてきた地を訪れることは一種の憧れであり、夢なのである。少なくとも私は層思っている。

だからこそ、この日の経験は忘れられない。目に焼きついて離れることは、おそらくこれからも一生、ないだろう。


チューブを駆け出し、闇に囲まれながらも輝きを放ち、観衆たちを正しき方向に導いてくれる大きなアーチを目指し歩を進める。近づくにつれて巨大さを増すスタジアムの全景に圧倒されつつ、少し肌寒い英国の夜に喜びを感じた。これは一種の武者震いであり、本能の疼きといいかえられるかもしれない。

外観だけみるだけでも相当の満足度を得られており、「これを見るためにイングランドへやってきた」と既に思い始めていた。周りには父親に手を引かれた少年やフェイスペイントを施すカップル、仲良く寄り添う年配のご夫婦etc…。こちらでは当たり前の見慣れた光景であり、特別なことであるはずもないのだが、こういった何気ない場面で伝統を感じさせるところが歴史ある国の凄みである。

この瞬間、この一瞬を記憶に残そうと必死になりながらも、待ちきれずにチケットを取り出し、内部へ。

入り口を抜け、スタンドへと繋がるゲートの先には…照明に照らされた赤いシートと緑のピッチが壮大な雰囲気を醸し出していた。

「これが聖地か」

新しく改装されたとはいえ、そこには圧倒されそうな何かがあった。記事を書いておいてなんだが、この感覚と空気を言葉で表現するのは至極困難である。来たものにしかわからない、そこにしか流れていない空気を吸ったものだけが得られる感情、とだけ記しておくことにしようか。もう少し時間がたったら、もう一度考えてみようと思う。

そしてこの日は私にとってだけではなく、全ての人にとって特別な日だった。50年前の2月6日、この日起きた悲劇は語り継がれ、いまなお悲しみと敬意に包まれている。そう、いわゆる世に言うところの“ミュウヘンの悲劇”が起きた日なのだ。

スクリーンに犠牲者や事件のことが映し出され、皆が敬意を持ってそれに見入っている。悲しそうな顔をする人もいた。当然、私は生まれてすらいなかったが、その時代に生き、事件をリアルタイムで見て知っている人もいるのだ。彼らにとっては私など比べ物にならないほど傷が痛むのだろう。それはつまり、戦争を経験した人にしかわからない戦争の恐ろしさに似ていて、私にはどう頑張っても同じように理解することは出来ないのだ。

ただ、だからこそ事件を知らない現代に生きる私たちはこれに敬意を持って、受け止める必要がある。改めて心からお悼み申し上げる。


そんなことを考えて、夢の時間は過ぎていった。選手入場、国歌斉唱、キックオフ。貴重な体験だった。試合内容は座席の関係もあってよく分からなかったし、あまり良く覚えていない。ベントリーが良かったこと、我がチームのマシュー・アプソンがスタメンに名を連ねたこと、ルーニーが違いを見せていたことぐらいだろうか。

ただ、今日に限って言えば、私に限って言えば、試合はさほど重要ではなかったからいいのだ。この日に、ウェンブリーへこられたこと。この事実がなによりも私の宝であり、一生忘れることのない思い出となったのだから。


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posted by so-ma |18:36 | ■07-08 英国フットボール | コメント(2) | トラックバック(1)
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憧れのウェンブリーへ ~イングランド対スイス戦~

コメント投稿者ID :

う、うらやましい。なんて贅沢な生活を送ってるんだ。

posted by ぼばん | 2008-02-07 21:46

憧れのウェンブリーへ ~イングランド対スイス戦~

コメント投稿者ID :

いいな~

posted by z | 2008-02-07 22:18

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