2007年07月10日

日本代表についての見解(前編)

カタール戦で引き分け、日本代表はまずまずのスタートを切った…とわたしは判断しているが当然世間では様々な議論がなされている。皆、日本の勝利を信じて疑わなかったのだろう。引き分けを憂う者、選手個人を批判する者、あるいはオシムへの不信感を露にするものetc…。

ただいずれの主張にも共通して言えることは“長期的な視野の欠如”であると思う。ゆえに説得力に欠ける主張が多い。言い換えれば、偉そうなことを書いている割に“ポッと出の感情論”ばかりといった印象なのである。前回書いた「日本代表 ~教訓を得た価値ある初戦~」のコメント欄で、この問題点を指摘する方が多かったのが証拠といえるだろう。

わたしとしては、ある程度前回のコラムを支持していただいたことに感謝すると同時に、多くの感情論ブログと同様に扱われぬよう、日本代表に対する見解を改めて記しておく必要性を感じた。よって簡単にではあるが、日本代表について、筆を…ではなくキーボードを走らせたいと思う。


■日本の方向性は合っているのか

まずわたしは基本的に長期的なヴィジョンを持たない指揮官やプランが苦手である。口では目標を語るものの、やっていることが伴っていない人物はなおさら。例えば日本代表の前任者であるジーコはこれに当たる。彼のチーム作りはチーム作りと呼べるものではなかった。ブラジル的自由主義はただの放任主義であって、少なくとも日本のスタイルではない。案の定、チームはその場凌ぎを繰り返し、一貫性のないパフォーマンスを修正しようとせず、あるいは修正できるだけの技量を持っていなかったジーコのチームを見ているのは苦痛ですらあった。

オーストラリアに敗れた際、戦前から分かりきっていたハンデである「フィジカルの差」という理由を挙げていたのだから呆れてしまう。監督というのはその差を埋めるためにチームを作らなければならないのに…。敗れたのは全て選手のせいといわんばかりのコメントも残しているのだから絶句である。

そういった側面においてオシム監督はどうなのか。結論から言えばわたしは彼のプランニング、チーム作りを支持している。

  • W杯での躍進を意識した逆算的チーム作り
  • 日本人にフィットしたサッカーの確立
  • チャレンジ

彼の頭には常にこの3つがあるのだろう。コンセプトが明確で、日本人らしいチームを作ろうとしている一方で、変に日本風に染まることなく自らのスタイルを貫き通している辺りはさすがといえる。選手に刺激を与え、ファンに考えさせ、あれだけマスコミに強く物事を訴えられる監督は日本において珍しい。そして彼のやり方が世界のスタンダードなのだから、多くの側面において勉強になる。日本代表チームとしてではなく、ファン、マスコミも含めた国力の成長に繋がっているのではないか。日進月歩進化していると、わたしは信じて疑わない。

「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥」

このような言葉があるわけだが、わたしはまさにこれだと思っている。今、小さな恥(=引き分けや負け)を気にしてどうするのか。日本はサッカーにおいては発展途上国である。様々な側面を学び、未来の栄光に向けて今のうちに多くの恥をかいておくべきだ。

オシムは目の前の勝利よりその先にある大きな成果を得るため戦っている。日本人である我々が恥じることを気にしてどうするのか。プロフェッサーは必死だ。本気だ。我々も臆することなく、学んでいくべきである。


■今一度振り返るカタール戦

概ね前回の記事で書いた考えで変わりはない。日本の方向性は間違っていないと思うし、過ごしてきた日々の経験は着実に積み上げられてきている。もちろんあまりにもまずい状況に陥った際には決断を下さなければならないが、今がその時期ではないのは明らかである。

今回はコメント欄にあった気になる議論や疑問について書いていきたい。


・遠藤、中村俊輔の併用について

これに関してはまだ見守る段階だと考えている。パスを回しすぎたのは彼らの思考によるところが大きかったとはいえ、ドリブルでアクセントをつける役割を担っていた山岸があまり仕掛けられなかったこと、サイドバックのオーバーラップが少なかったことなど上手く機能しなかった要因は他にもある。(逆にはまったシーンは素晴らしい攻撃となった。そう、得点シーンを演出したのは今野のオーバーラップである。)

それに何度か上手く行きそうな場面も見られた。コンビネーション不足から微妙なズレが生じたが、改善できるレベルの問題であるため、次節に期待したい。

個人的な意見としては羽生か水野を俊輔のポジション(右サイド)に入れ、俊輔、遠藤、憲剛のうち2人をチョイスしてトップ下とボランチに配置してみても面白いと思うが。


・試合運びについて

繰り返しになるが初戦だっとということや現地の環境、ピッチコンディションなどを総合して考えるとあのような試合運びになるのは致し方ないことでだったように思う。むしろ高温多湿に慣れているカタールの選手たちに運動量で劣らなかったのだから収穫といってもいい。

ただ勝負どころや畳み掛けるべき場面でのプレースピードの変更の必要性は感じた。ギアの切り替え、といった方が分かりやすいだろうか。90分通して走り続けていては体力が続かないが、勝負どころの5分10分、あるいは1プレーぐらいテンポを変えなければ決定的な場面を作ることは難しい。相手にトドメを刺すことができれば残り時間をより楽な形で送れた可能性もあった。

昨日はリズムがほとんど一定だった。羽生が入ったことによりやや活性化はしたが劇的な変化までとはいかず。勝負どころを察知する力や実行に移すことのできる力がほしいところ。次節以降は経験豊富な中村俊輔辺りにこのリーダーの役割を期待したい。

(続く)

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posted by so-ma |13:02 | ■日本代表 | コメント(11) | トラックバック(0)
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コメント投稿者ID :

全てにおいて同感、同意見です。

06年のW杯における、ジーコの嘆きは大体私も記憶していますが、その嘆きの数々に対する答えとはジーコが監督として改善しなくてはならないものばかりでした…。


昨日の試合、得点シーンの今野は素晴らしかったですが、加地が縦に切り込むシーンが1回も無かったのが個人的には残念でした。

posted by imelodica | 2007-07-10 15:18

Re:日本代表についての見解(前編)

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引いて守るカタール。 恐いのはロングボールによるセバスチャンの中央突破だけ。 ところがこれがピッタリ図に当り、1-1の引き分け。 

カタールにとっては会心の引き分けでした。 オシム監督の悔しがりようは、過っての部下にしてやられたからですよ。 さすが、ユーゴ人同士の騙し合いは見応えがありました。 

勝負事は『采配八分に選手二分』『運が八分に実力二分』  スポーツの世界もビジネスと同じで『段取り八分に仕事二分』です。 今回はカタールにやられたが、決して負けたわけではない。 決着はジャカルタで優勝を賭けてやりましょう。  

posted by ixtys | 2007-07-10 15:35

Re:日本代表についての見解(前編)

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私はオシムを批判しながらも、期待している人間なんですが・・・・・。

一つ問題なのは“長期的な視野の欠如”これだと思います。

確かに長期的な視野を持つ事はいい事だが、アジアカップでGL敗退なんて結果になった場合、オシムは間違いなく解任の危機に陥ると思います。

GL敗退してもワールドカップでは勝てます。
そんなものは全く説得力がないわけですしね。

つまりいくら良いビジョンを持っていたとしても
それを完成させる前に終わってしまったらそれこそ最悪だと思います。


後「ジーコよりは良い」とジーコと比較してしまうのは良くないと思われる、それならばオシムは優勝をしなければならない。少なくともジーコはアジアカップを優勝しましたよ。

しかしオシムを支持をしてる人にこれを聞くと
「ジーコは運が良かった」「ジーコは奇跡の優勝」
そしてオシムだけが非常に厳しい立場でやってる風に表現するんですよね。

なぜオシム監督にも厳しく対応出来ないのか?
ハードルを下げる必要性はないんですけどね。

posted by オシムっ子 | 2007-07-10 15:39

Re:日本代表についての見解(前編)

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文章構成能力並びに検分はお若いのに感心しきり
で御座います。
私のような85WC予選のカズシのFKを目の当たりにしてきたOLDサポからの意見は今だに日本代表は成長の段階であり昨日の試合での1-0とリ-ドするまでの俊輔と遠藤・ケンゴのトライアングルもまた試していたのではオシムと思いましたがただ勝ちに行った時点での橋本投入が?でしたがその前の山岸が決めていれば喰らった1点は問題ならなかったのですが
残念です。
また逆に引き分けた事により残りの試合は連勝しなければならないと言うハッキリした戦い方になるわけですから.あながち悲観する事もないかと考えますし目標は何処なのか?当然2010WC出場でありますから。

posted by RED ROLL | 2007-07-10 15:47

Re:日本代表についての見解(前編)

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私も大体は同意見です。ジーコの時はその場その場で選手を選び、長期的な構想が甘かったように感じます。

単に選手の能力を融合しているという感じでしたがオシム体制ではチームとしての戦力を上げようという意図があり、評価できます。

ただ遠藤と中村の併用についてですが、良いプレー以上にミスが目立ち、周りの選手のよさを消しているように感じます。

特に遠藤は攻撃の際にチャンスエリアであってもパスを出してしまったりと、チャンスを潰すことも多いです。

運動量も多いほうではないので中村(俊)中村(憲)がいるのなら遠藤と併用するのはどうかと思います。

そして、1トップは合っていないように感じました

posted by NOB | 2007-07-10 16:16

Re:日本代表についての見解(前編)

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なんだか監督同士がチェスをしているような試合でしたね。
ドローに持っていかれたのは残念でしたが、カタールも日本の良さを消す上手いサッカーをしていたので、それ程意外な結果ではありませんでした。
あと個人的に楽観しているのは、A・B組中最大のライバルになるであろう豪州もオマーンと引き分けたことでA組2位になる可能性が出てきたこと。これによりB組を1位通過しても決勝T初戦で豪州と当たり敗退となる可能性があります。最悪でも3位決定戦に進むにはA組の豪州と同じ順位でリーグを抜けた方が可能性は高くなると思われます。
それからオシム監督についてですが、インタビュー等でみる限り物の考え方等、理に適っていてほぼ納得できると感じるので、前任者よりは支持しています。(中には理解できないこともありますが) 皮肉をもう少し控えてもらえれば叩かれることも減ると思うのですが・・・

posted by R | 2007-07-10 16:20

今回目立った点は

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日本の成長がどうのより
周りが確実に得点するチームに成ってきている
点ですね、特にお隣の豪州はあの!オマーンに
大苦戦!しかもやはり日本と同じくケーヒルが
途中出場でやっとこさ同点。その模様がTUBEとかに出ていますが、まるでW杯で得点したかのような喜びをチームで表現していました。
つまり豪州はあの得点が入るまでは確実に
「やっべ;負ける;カッコわりぃぃ」と真剣に
思っていたでしょう。欧州組をあれだけ並べて
一次で敗退したらそりゃかっこ悪いです
DFのニールも「彼処で入ってなかったら大会はこれで終わっていたかも知れない」と言ってました。それを見て今回のカタールのメンツ見ると
怪我でダメとか噂されたキンタナ。結局トップ出
そしてDFにも屈強なアフリカの帰化選手
取れない時にもキンタナの弾丸シュートをまず一本打ち。内容ダメでも狙える「助っ人」を確保
実際2発めもキンタナが打つ気配の時私は
「こりゃダメかな」と思いましたね。次の瞬間
やっぱりなと;なにしろ向こうはそれしかないと言う戦法で頑なにやってくるチームで、たぶん
他のチームもそうでしょう、つまり「戦い方が出来ている」のですよ!それは何故かというと韓国や日本やイランなんかがそう言う戦いを根付かせてしまったのですね。つまり日本協会が長年アジア軽視していたせいで。『国内組対国内組』だと完全にカタールリーグに分が有ったと言うことです。ACLを見ている人なら戦う前からこの結果は分かっていたはず。だって!もし勝てるなら
アルサードですよ!アルアハリですよ!
あのチームに勝てるJチームは浦和ぐらいしかないです。その浦和も帰化選手とブラジル人抜いたら歯が立ちません!! それなのに何故か
「代表」って仮面被ると中身一緒でもなんか勝てる気がしてしまうのは日本協会がそう言う都合悪いところ所を蓋してとにかくとにかく代表を応援するように一般にし向けただけですね
彼らは何も強化もしていなければ政策も取ってない!方や向こうはあのサンパウロとも五分に渡り合えるチームを国内に築いていました
あれを見たときキャブテンはいきなりクラブ杯のトーンを下げてしまい。なんとかあいつらと戦わず出れるようにと開催国枠獲得に走りました
つまり!すでに「Jチームは勝てない」と白旗あげているのです!協会が!大元か!
オシムが言う勝てない10000の理由の中に
恐らく大半がこいつらへの項目でしょうね
だからJの外人枠撤廃で茶髪ちゃらちゃらが全て
運送屋へ転職でもして本物だけが残るリーグに成らない限り日本が満足にカタールやイランに勝てることは無いでしょう。

posted by tyu | 2007-07-10 16:34

Re:日本代表についての見解(前編)

コメント投稿者ID :

通りすがりです。
僕は最初に一番がっかりしたのが1トップでした。
初戦だし相手が引いてくるのが分かっていたから仕方ないのかもしれませんが、点を取りにいってほしかった。
決めるとこ決めていれば、たしかに6-1だったのかもしれませんが・・・
1点とった後も橋本でなく、むしろFWを入れてカウンターやフォアチェックを狙えばなぁ・・・と思っていたらFKから失点でしたし。

でもオシムの采配は毎回なるほどと思えるし、結果も出ているので支持しています。
とにかく快勝が見たいですね!!

posted by KEATON | 2007-07-10 16:35

Re:日本代表についての見解(前編)

コメント投稿者ID :

こんにちは。またきました。

私もRさんと同じ事を感じていて、そう書こうと思っていました。
もっとも、私は「将棋みたいだ」と思っていたんですが。
日本のゴールはまさに「詰んだ」瞬間だった。

後半追いつかれてしまったことについて、
一点取った後、友人とメールで「敵さんが前がかりになって、あたふたするのがいつものパターンだけど・・・」っていうやり取りをしていたんです。
ただ、今までと違い「浮き足立ってはいなかった」ように見えました。その辺りは成長ではないかと。

本当に長い間、絶対的なストライカーが居ない。日本という国では、育たないのかもしれない。反面、優秀なMFは次々と現れる。ストライカーの出現を待つより、豊富なMFを多数使って勝てるサッカーを志向するべきだ。決定力不足を補う為、完全に崩して「詰み」の状態を作り出そう。ということではないかと思うのですよね。
遠藤と中村の併用、1トップ、左SB今野、CB阿部、っていうのはそれで説明がつくのでは。成否は別として。

posted by 尚庵(長谷川改め) | 2007-07-10 16:57

Re:日本代表についての見解(前編)

コメント投稿者ID :

はじめまして。
すごく落ち着きがあり、上品な文章ですね。
俊輔がダメだ、オシムの采配がダメだ等…。ただ感情的に批判していないところに共感を持ちました。

私も1-1の結果は、初戦である事、暑さへの慣れ等を考慮して、上々のすべり出しだと思います。
試合後あれだけの「活」を入れられた選手達。次のUAE戦は、死に物狂いで戦う姿を想像しています。

あと個人的な意見ですが、左にはオシム監督が就任当初に名前を挙げた、松井大輔(ない物ねだりですが…)を配置したかったのかなと思ってます。

それでは後編も楽しみにしています。
長文失礼しました。

posted by りょうしゅん | 2007-07-10 17:08

Re:日本代表についての見解(前編)

コメント投稿者ID :

皆さん、コメントありがとうございます。

またお褒めの言葉や興味深いご意見など、謹んで目を通させていただきました。皆さんにご意見いただくことでわたしの成長に繋がり、また皆様にとってもいい意見交換の場となるのではないかと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

posted by so-ma | 2007-07-11 01:22

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