2008年02月24日

錦織圭の出現は再現性のない奇跡なのか?

錦織圭の出現をどう考えるべきだろうか。
テニスの神のDNAを持った天才少年が偶然日本に産み落とされただけなのだろうか?再現性のない奇跡なのか?錦織クラスの人材を今後日本で大量に生みだすことができるのだろうか?

そこで現在のテニスの世界100位以内にいる選手の国別の分布表を作ってみた。偏りを見て世界100位以内の選手とはどんな国にいるのかを確認してなぜその国の選手が強いのかを考えてみよう。


国名	人数

フランス	15
スペイン	12
アルゼンチン	10
ドイツ	7
ロシア	6
アメリカ	6
イタリア	5
クロアチア	4
セルビア	3
チェコ	3
オーストラリア	3
オーストリア	3
ベルギー	3
スウェーデン	3
スイス	2
チリ	2
ルーマニア	2
スコットランド  1
キプロス	1
フィンランド	1
韓国	1
イスラエル	1
ラトビア	1
カナダ	1
コロンビア	1
ウルグアイ	1
エクアドル	1
オランダ	1



この序列を見るとサッカーの人材の分布に似ているようにも感じるがイギリス、ブラジル、メキシコが0人だが逆にアメリカは6人と多いのがサッカーとの違いだろうか。

テニスはサッカーより金がかかるから先進国が有利かと思いきや、新興国のロシア、アルゼンチン、紛争地域だった旧ユーゴ圏が躍進しているし、逆に先進国のイギリスは0人と停滞しているので先進国有利とも言えないようだ。

しかし、フランス、スペイン、アルゼンチン、ドイツ、ロシア、アメリカ等の一部の強豪国を除けばどの国もトップ100に1人でも出すことがどれだけ大変かがわかる。世界100位とは決して軽く言われてはいけない、ものすごい快挙であることがわかる。世界100位以内に入ればどの国に行っても国内では上位選手だ。世界1位のフェデラーを擁するスイスでさえ100位に入れるのはフェデラーを入れて2人しかいない。日本人選手が100位に食い込めなくても日本人選手の能力が低いとは言えないだろう。錦織の今後100位以内は確実としてあと2人が100位以内に入れば日本は世界9位の強豪国となってしまうのだ。

一方フランス、スペイン、アルゼンチンで100位以内の選手が10人以上と非常に多いのはなぜなのか?ストローク技術のしっかりした選手が多い国だが、他国がストロークの練習は手を抜いているわけではないだろうし、なぜフランス、スペイン、アルゼンチンはストローク技術が高いのか?よくクレーコートで鍛えられるから強いとか言われているけど、それなら日本もイギリス含めあらゆる国の選手がクレーコートで鍛えればどの国も100位以内に10人以上入るのか?そんな簡単な解決方法で済むならどの国の選手もとっくにクレーコートばかりで練習しているだろう。おそらく練習・指導内容が圧倒的に違うのではないだろうか?

単純にショットの威力だけで勝負がつくなら身体能力の差と言えるかもしれないが実際は空間認識力や相手の長所短所等の能力を感じ取り、効果的に攻めたり守ったりする力や早い準備を実行したり相手を罠に嵌めるための予測能力の差やショットの深さ・角度の精度の差や技術力を発揮するためのメンタルの差で勝負が付く。ラケットの急激な進化でパワーテニスの時代と言われるけどお互いのパワーを封じ込めることに工夫することで競うような複雑な技術系のスポーツなのだ。そもそも体をぶつけ合うことのないスポーツは基本的に技術系だろう。それなのにこれだけ一部の国に人数が偏るのは人材発掘方法・指導内容・練習内容に差があるとしか思えないが・・フランス、スペイン、アルゼンチン、ドイツ、ロシア、アメリカそれぞれの人材発掘方法・指導内容・練習内容を細かく調べていき、これらの国が共通して大切にしていることの中で日本・イギリス等大半の国が大切にしていないことをリストアップすべきだろう。そこにヒントがありそうな気がする。ツアー旅費や帯同するコーチの費用等がかさんで(賞金ー経費)が赤字になる問題をどのように解決しているのか等現実的な方法もわかってくるはずだ。一番興味深いのはアルゼンチンだ。ボリテリーに代表されるように資金・ノウハウ・施設等環境が最高と思われるアメリカでさえ6人なのに、フランス、スペイン、アルゼンチンの10人超えをどう理解するか。特にアルゼンチンの10人には驚く。テニスもサッカーも多くの才能を輩出している。体は日本人並みに小さいがテニスもサッカーも優秀な人材を大量に生み出している。資金的にも厳しいはずなのにだ。2001年に世界史上最大の負債(20兆円)を抱えて国が破産した現実を忘れるほどだ。アルゼンチンの10人という事実がある限り日本・イギリス含め100位以内が一人もいない大半の他国の選手は身体能力や資金の不足を言い訳にはできない。アルゼンチンはおそらく人材発掘方法・指導内容・練習内容の特別な仕組みを持っているのだろう。例えば日本人と体格の近いアルゼンチン選手の中で世界100位以内の選手を育てたコーチを盛田ファンド等の資金で現地では考えられない破格の待遇でスカウトして修造チャレンジのスタッフとして雇い松岡の右腕として活躍してもらい随時日本テニス界へ提言を求めるようなやり方の方が個別にボリテリーの授業料出すより安く済みそうだがどうだろうか?ボリテリーのような充実した施設がない点はマイナスだが優秀なアルゼンチン人コーチを雇うだけなら経費全体では相当安く済みコストパフォーマンスは高いだろう。松岡にとっても自分の指導を客観的にチェックできるし、アルゼンチン人にとっても自国通貨でなく円などの強い外貨を獲得できるのは魅力的だろう。

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posted by sirotona |05:32 | コメント(8) | トラックバック(2)
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2008年02月24日

世界6位のロディック戦2-6、4-6は完敗と言えるだろう。でも今後楽しみなのは変わらない。

たしかブレーク数で1対4だったかな。
2セットで4回もブレークされては厳しいだろう。
世界最速サーブを持つロディックのサービスゲームを2セットで4回以上ブレークするのはフェデラーだって厳しい。
でもあのロディックから1回ブレークできたのも事実だ。自分がブレークされなければ1セットは取れた可能性はあったわけだ。
ただ重要なのは内容だ。自滅で負けた感もあるので初めからいいメンタルで望めていたら全く違う結果になっていたかもしれないとも思えた。

本人のコメントがテレビで放送されていた。

「ロディックのサーブを受けてびっくりしたというかリスペクトしてしまって、がんがん無理に攻めすぎて凡ミス多発してしまった」

一見わけのわからないコメントのようだがなんとなく感情が伝わってきたような気がした。

あくまで個人的見解だがおそらく最初のサービスゲームでいきなりブレークされたのがいたかったのだろう。ロディックのサーブのすさまじさを体感した後に理不尽に初回のサービスゲームを失ったことで早くブレイクし返さないともうこれは取り返しが付かない・・必ず早いうちにブレークしてやる・・とふつふつと闘争心が沸いてくるのをおさえ切れなかったのではないだろうか。ポイントを獲りたいと強く思いすぎるとリスクが軽く見えてしまうので普通なら怖くてできない勝負を全く恐くなく平気で挑んでしまう病気だ。人は理不尽に何かを失った時はどうしても取り戻したくなり、リスクが見えなくなり最も強気になるのだ。しかしそこが落とし穴なのだ。錦織が持っている独特な人を食ったような遊びを奪われたために歯車が狂ってしまったのではないだろうか。ロディックはそういうメンタルの勝負で勝っていたように思う。さすが世界6位だ。サーブが世界最速なだけではないのだろう。相手を威嚇し怯えさせ相手に120%の力を出さなければならないと思わせて相手に無理なプレイをさせることで相手を自滅に追い込む戦法は格上選手の常套手段だ。超一流選手どんな苦しい時でも決して100%の力を出さず80%の力のままで戦うことにこだわり工夫して相手を圧倒しようとするのだ。遊びのある状況からしか良い状況判断はできないし、良いプレイもできないことを体に染み込ませているのだ。錦織はメンタルでロディックに負けた可能性が高い。ファーストサーブの成功率はメンタル状態を示すバロメーターといえるが1セットは50%で特に悪かった。しかし2セット目で70%近くまで修正してくるのがただものではないことを示しているが。

ロディック戦はメンタル戦で勝てるかどうか再戦を見てみたいと強く思った。
ストロークというかテニスセンスで世界トップでも圧倒できる力を持っているのだから。

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posted by シロトナ |05:06 | コメント(3) | トラックバック(0)
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2008年02月19日

錦織 圭(にしこり けい) フェデラーの19歳より早い!テニス世界ATPツアー18歳で初優勝!!

すばらしい快挙!! しかし・・・
錦織(にしこり)がやってのけたことがどれほどの偉業なのか一般的には伝わっているとは思えない。。
くどくどと書いてみたので長文だが参考になれば幸いだ。

おそらくここの住人は基本的に情報玄人だろうから「18歳日本人ATPツアー制覇」のインパクトの激しさを体感できる人も多いと思うが、一般メディアを見た普通の人は何がすごいんだか全然分からないはずだ。一般メディアがもの足りなくてここまで遠征してきた人にはまず現在の日本男子テニス界の生き地獄を知ってもらう必要が有りそうだ。

今回錦織(にしこり)が優勝したデルレイビーチ国際大会と同じ世界レベルのATPツアー大会は世界中にたくさんある。大きく分ければ日本(有明スタジアム)で開催するジャパンオープンもその一つだ。ジャパンオープンの本選からではなく、予選から見たことのある人ならその過酷さがよくわかるはずだ。しかし予選を見たことがある人はどれだけいるだろうか?(毎年9月下旬の土日に特等席で無料で見れるのに席はがらんとしてるのでもったいないな~といつも思っているが・・・)ジャパンオープンの時期が近づくと一般メディアで報じられている出場選手は本選から出場できる世界ランキングを持つ海外のトップ選手の話ばかりだ。しかし話題にはならないが同時に海外の世界200位前後の猛者達がジャパンオープンの予選からでも出場しようとわんさと日本上陸しているのだ。彼らの当面の目標は全豪、全仏、全英(ウィンブルドン)、全米の世界4大大会に出場することだ。彼らは4大大会出場に必要な世界ランキング128位程度まで上昇させるためにスポンサー無の自腹にも関わらず旅費だけで1000万円以上をかけて世界中のATPツアー大会を1年中どさ周りし続けている。(賞金-経費)がプラスになる補償は全く無い。赤字覚悟の博打とも言える。皆、予選1,2回戦で勝ったり負けたりを繰り返しているのでほとんどの選手はランキングを上げられない。それでも彼ら猛者達は懲りずに資金(賞金-経費)が底を付くまで毎年9月下旬になると日本上陸を繰り返しジャパンオープンの予選から参戦するのだ。

一方大半の日本代表選手は皆このジャパンオープンに出場したいが世界ランキングが全く足りずに実力では予選にすら出場する資格が取れない。そこで実力ではなく開催地枠(WC:ワイルドカード)でようやく予選に出場しているのだ。そう言うと貧乏くさい話に聞こえるかもしれないが、彼ら日本代表選手は各年代の小学校、中学、高校、全日本等全て全国優勝をしているような日本テニス界の超エリート達なのだ。しかし現実は厳しい。その日本のエリート達の大半が予選1回戦で海外から上陸してくる200位前後の猛者達にほぼ全滅させられてしまうのだ。本選となると開催地枠でなく実力で出場できる日本人男子選手はここ20年では松岡修造ただ一人。これでは日本人選手は世界ツアーを回る気にもならない。玉がぎっしりつまったロシアンルーレットに誰だって挑みたくないだろう。実際多くの日本人選手は大手企業の社員として実業団選手となる選択肢を選んでいる。別に彼らは何も悪くはない。彼らが日本のテニス界のエリートであることは変わらない。世界情勢に現実的に対応しているだけだ。しかし日本人選手にとって日本は食っていくにはいい国だが、世界への道は開かないという閉塞感が長年付きまとっていたのも事実だ。

錦織(にしこり)はこのような閉塞感をとりまく日本テニス界をあざ笑うかのように17歳であっさりプロとなり敷居の高いATPツアー大会に挑んだ。プロになったらまずサテライト(今はフューチャーズ?)のような最下位クラスの大会から地道にポイントを貯めるようにスタートするのが普通だが、プロ入り時点で既に世界トップの出場するATPツアーに参戦しているのだ。しかもなんと日本人でありながら、しかもまだ高校3年生の年齢である18歳2ヶ月でありながら、アウェーの地で予選3試合を勝ち抜き優勝し本選出場権を見事獲得。そして本選1回戦から5試合を勝ち抜いて!?信じられないことに・・・優勝した。。世界ランク68位、62位、12位と次々とシード選手を撃破しての優勝。世界史上最速のヒューイットの16歳の次にの若さでの優勝。世界1位フェデラー19歳2位ナダル18歳より早い優勝だということだ。アニメじゃあるまいし・・・こんなことが現実に有り得るのか!?錦織がすごいのは知っていたがまさかここまでとは・・・!!これはどエライことになった・・・!! というのが最初の感想だった。冷静に考えても今までの日本選手の状況からすると本当に有り得ないような話なのだ。プロ1年目で決勝進出だけでも有り得ないが世界12位ブレークが相手の決勝を勝つことだけは絶対にないだろうと思っていた。松岡と比較する話が出ているが、錦織の方がはるかに末恐ろしいだろう。何とサーブを武器にしていないのだ。松岡は世界屈指のサーブで世界5位のサービスキープ率を誇っていたから、ストローク、ボレー、フットワーク他テニスセンスの全てが自分を上回る200位クラスの猛者が相手でもサーブだけで圧倒することができた。相手のサービスゲームをブレークできなくとも自分のサービスゲームさえ失わなければ負けることはないのだ。ウィンブルドン準々決勝では当時無敵王者のサンプラスから1セットを奪うこともあった。自己最高世界ランク46位もすごい実績だ。絶対的なサーブ力によって成し遂げたと言えるだろう。しかし錦織の現時点でのサーブ力は世界基準で見れば下のほうだろう。決勝2セット目を見ると松岡との違いがはっきりする。世界12位の相手をストロークで圧倒し5-0とリードを拡げたのだ。テニスセンスがずば抜けているという以外にない。世界トップ選手のサービスゲームをブレークする力を18歳の時点で既に持っているのだ。

これまでの日本人エリート選手が生き地獄で悶え苦しむ中で、錦織はあっさりといっていいだろう、華麗にやってのけた。そして錦織の可能性を見抜いて個人に大型投資を実行したソニー盛田氏の眼力と情熱もすさまじいし、引退後即日本人選手躍進のために修造チャレンジという実効性のある形にしてまで情熱を注ぎ続けた松岡もすさまじい。盛田氏の大型投資がなければ上記のような資金的な問題から今回の快挙はまず実現していないし、松岡の情熱と行動がなければソニー盛田氏が投資する機会そのものが存在しなかった。錦織は高い才能を持ちながら島根の壁打ち選手で終わっていたかもしれない。錦織の将来性とそれを理解できる人、信じられる人、実行できる人が1つになってこそ実現した奇跡の物語が始まっていたのだろう。昨日は序章を見ただけだが一般メディアにはこの物語をわかりやすく多くの人に伝えてもらいたい。とりあえずNHKスペシャルあたりで本格的にやって欲しいと願う。

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posted by シロトナ |01:34 | コメント(9) | トラックバック(0)
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