2009年01月30日
選手に対して思い入れを持っているかどうかで、同じものを見ても、それから受けるものはまるで違うわけだが、武田選手をKOしたあと、川尻選手と山田トレーナーが抱き合う姿が、私にとってはなかなかに感動的だった。
知らない人から見れば、ただおっさんと抱き合っているというだけであり、山田さんを知っていればトレーナーと勝利を喜び合っている、ということになるわけだが、これまでの山田さんの発言まで知っていれば、またもう一つ深い意味を感じ取れる。
川尻選手は、DREAMにおいて結果より内容を求められることに苦悩していた。
ゴンカクのインタビューからの抜粋
「マンバ戦が終わって、本当にDREAMなんか嫌だって思いましたよ。そんなもん知らねえし、おれは強くなりたくてやってるんだ、優勝したくてやってるんだって。最初につまづいて苦しくて逃げ出したかった」
山田さんはそんな川尻選手に対し、常に苦言を呈してきた。高いポテンシャルを持ちながら、それを試合で発揮しきれないことについて、トレーナーとして残念な気持ちを抱き続けてきたわけである。ブスカペはKOできたし、アルバレスにだって勝てたはずだった、と。
そんな2人が、キックの雄・武田幸三にK-1ルールで勝利し、リングサイドでああして抱き合っているということが、ただ勝利の喜びだけでなく、あの勝利の重さを象徴しているのである。
posted by 秦 |23:01 |
DREAM |
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2009年01月30日
ゴンカクでの笹原さんのインタビュー記事を読みました。その中には当然、桜庭VS田村のこともあるわけですが。
一部要約すると
「僕はあれでいいなというか、二人が戦うとこうなるんだ、という思いで見てました。会場にどのくらいいたかはわかりませんが、UWFやリングスといったものに青春の1ページをささげた人たちがいるわけじゃないですか。そういう人たちでないとあの試合は理解できなかったと思うんです」
私も以前、そういうことを書きましたけどね。
桜庭VS田村の視点
くどくなるようだけど、やっぱり言いたい。
言っていることはまあわかるのだが、このカードに対して思い入れを持っている人間が、けして多くはないと分かっていながら、メインイベントとして大会の中心に据えるというのは、どうなのかと思う。今の2人の状態であれば、ある程度ああいう試合になることは予想できたことだし、一部のファンにしか伝わらないような試合を、大晦日のメインイベントでわざわざやる必要があるのか。
正直、関係者と一部のファンだけの、自己満足に過ぎないんじゃないかと。
「桜庭さんはしきりに謝ってきた、やっぱり桜庭さんはどこまでいってもメインイベンター」
なんて言ってるのが、その象徴です。そんなのは笹原さんの個人的な感情であって、ファンには何の関係もない。そんなものでメインイベンターを決められても困る。
大晦日というのは、普段見ない人間でも見る機会なわけじゃないですか。そういう人たちに格闘技というものを伝えるためには、確かにドラマ的な背景とかも必要だろうけど、結局一番大事なのは、競技としてのレベルなんじゃないですかね。
オリンピックだって普段見ない競技も見るけど、それで感動できるのはなぜかと言ったら、競技として世界最高のレベルであること、そしてそれに裏付けされた権威なんですよ。さまざまなドラマもあるけど、最高の選手たちで作り上げられたドラマだからこそ、意味がある。
興行として、様々な価値観の追求というものはあるべきだと思うが、中心に置くべきものは何かということは、忘れないでもらいたい。
posted by 秦 |00:19 |
DREAM |
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2009年01月27日
UFC93において、デニス・カーンが敗北し、マウリシオ・ショーグンが残念な試合内容となったことについて、旧PRIDEファイターがオクタゴンで活躍できないということの事象として捉えられたが、私の受けた印象としては少し別のものがある。それは、一時期大きな活躍をした選手でも、その後急速に勢いが衰えてしまうことが多い、ということだ。
両者とも、PRIDE時代の圧倒的と言っていい試合ぶりと比べれば、あまりにも物足りない試合であったが、これは別にオクタゴンだから、UFCだから、という問題でもないように思える。
カーンは韓国の大会とかでは勝っているようだが、HERO’S、DREAM、UFCという大きな舞台では、PRIDE以降勝ち星を挙げていない。ショーグンについては、場がどうとかいうことを論じる必要はないだろう。パウロ・フィリオやソクジュ、ハリトーノフなどにも、似たような印象を受ける
年齢的にピークを過ぎた選手とかであれば、こういった傾向はわかりやすいのだが、20代から30程度の選手でも、活躍し始めてから2、3年ほどで成長が感じられず、逆に試合内容に精彩を感じられなくなってしまうわけである。
こういうことの理由としては、相手に研究されること、怪我、モチベーションの変化、練習環境など、様々な問題があるのだろうが、何年間と試合を続ける中で、選手には様々な壁があり、その壁をどれだけ乗り越えられるかが、選手としての大きな価値ではないだろうか。
若く新しい選手が出てくるたびに、新星だの新世代選手だのと騒がれたりするが、長年トップクラスで戦い続けられる選手と、すぐに落ちてしまう選手との間には、想像以上の差があるものではないのか、と思うようになった。
K-1においても、最強王者・シュルトを2度破っているのが、創生期から活躍しているアーツであるわけだ。15年と一口にいえど、その間の怪我などの苦しみ、現われては消えていった数々の選手を思えば、それがどれほどのことなのか。
我々ファンは、一時の勝ち負けだけにこだわって一喜一憂しがちだが、長い目で選手を見て、その真価を発見することが大事ではないかと思う。
posted by 秦 |00:27 |
総合格闘技 |
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2009年01月21日
以前、ショーグンがMMAランキングトップ10から漏れていることについて記事を書いたが、先日のコールマン戦の結果を受けて、MMA WEEKLYのランキングでは、一気に5位にランクインした。
MMA WEEKLY・ライトヘビー級ランキング
1 エヴァンス
2 グリフィン
3 ジャクソン
4 LYOTO
5 ショーグン
6 リデル
7 ホジェリオ
8 ジャーディン
9 ヴァンダレイ
10 チアゴ
6位以下の選手は、結果・内容で今一つというのも確かだし、ショーグンのPRIDEでの実績は抜群なので、それを評価されてのランクだと思う。。とはいえ、かつてのショーグンとはかけ離れたあの試合内容でこういう評価を受けるのは、ファンとしてもむしろ微妙な気分だ。
「ショーグンはあんな試合で勝ったからといって、評価されるような選手じゃないんだ」という感じですね。9位、10位あたりに、ようやく入っているぐらいのほうがよかった。
posted by 秦 |22:50 |
総合格闘技 |
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2009年01月08日
以前、「シーマン」とかいうゲームが流行ったことがある。私自身はやったことがないので、詳しいことは分からないが、キモイ熱帯魚を育てるとかいうようなゲームだったと思う。
そのゲームがブームになったことで、開発責任者だかのインタビュー記事を読んだが、印象に残ったのは「好きの反対は無関心」という言葉だ。そのゲームに対しては、キモイといった批判意見も山ほどあったが、同時にキモイ熱帯魚に惹きつけられる人間も多くいたということだ。
私は実物の安い熱帯魚を飼っていますけどね、高いやつはハッキリ言ってキモイですよ。
要するに、キモイということで話題になる北岡選手は、それだけで存在価値があるのである。無関心であることより、嫌いであることの方が、はるかに価値は高いのだ。
北岡選手がGP1回戦で負けていれば誰も興味を抱かなかっただろうし、光岡選手や廣田選手のような、正統派キャラの選手がチャンピオンになっていたら、これほど話題になることはなかっただろう。
100人の人間が見て、誰も興味を抱かない選手より、50人が嫌い、50人が好きだという選手の方が、興行的にも上なのである。「誰からも好かれる」というのは、「誰からも好かれない」ということの裏返しなのではないか。
個人レベルでの付き合いならそれでいいだろうが、直接話すことさえない人間を惹きつけるには、そういう部分が必要だろう。五味選手にだって、どこかキレた部分があったからこそ、ファンを惹きつけていたのではないか。
出る杭は打たれるものだが、細く脆い杭は、割れて捨てられてしまう。太く丈夫な杭は、叩かれても残るものだ。
本当に価値があるのは、そういう選手ではないかと思う。
posted by 秦 |19:42 |
戦極 |
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2009年01月07日
先日の戦極の乱において、北岡選手が、見事初代ライト級王者の座を獲得しました。私としても以前から期待し続けていた選手であり、非常にうれしく思っています。
五味選手ももちろん好きな選手ですが、やはり戦極という舞台で、最高のパフォーマンスを発揮し続けた北岡選手がチャンピオンになるということは、当然の成り行きであったように思えます。
臥龍・北岡悟は、PRIDEにも、やれんのか!にも出てこなかったが、三度目の舞台である戦極でついに世に出て、天下を取ったわけです。UFC、DREAM、戦極と対立する中、まだまだ外に敵の多い乱世ではありますが、北岡選手の活躍によって、生き抜いてもらいたいものである。
北岡選手に対しては、その言動からいろいろ反発する人も多いようですが、そんなことは何の問題もない。出る杭は叩かれるのが世の常である。PRIDEの頃だって、勝てもしない日本人より、三崎選手や中村選手のような、結果を残している選手のほうが叩かれたものだ。
似たようなキャラとして、青木選手がよく引き合いに出されますが、他にも今成正和選手、戸井田カツヤ選手など、グラップリングにこだわりのある選手でキモ系キャラなんてのは、これまでにも見てきてますからね。
極めにこだわると人間はああなるもんだ、ぐらいに思ってますよ、私は。
北岡選手や青木選手がリング上であれだけのパフォーマンスをするには、あれぐらいの、どこかトランス入ったような状態である必要があるんじゃないですか。
「相手をタップさせることが快感だ」なんて言ったりしますけど、要するに中毒みたいなものですよ。試合開始前は禁断症状で、ひたすら快感を求めようとする。そして一本極めた後は、トリップしてるんです。だから表情や言動が、やたらとエキセントリックなんですよ。
キモくないと強くないんだったら、キモくていいじゃないか。試合にもキャラクターにも特徴のない薄味の連中より、好き嫌いがあっても強烈な味わいのある珍味のほうが、よっぽど魅力的です。せっかく高い金を払うんだから、珍しいもののほうがいいじゃないですか。
というわけで、北岡選手は今後も、あのキャラクターのまま突っ走ってもらいたい。チャンピオンになったことであの特殊性が失われてしまったら、むしろ残念だ。
posted by 秦 |22:06 |
戦極 |
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2009年01月06日
戦極の乱のでは、郷野選手と中村選手の2人が主に解説を担当していました。中村選手の解説は、PRIDEGP2006開幕戦以来ですが、やっぱし上手いですね。郷野選手と一緒にやっていると、実にバランスがとれた感じがします。
その2人のブログを読んで思ったことがいくつかある。詳しい内容は、実際に読んでみてもらいたい。
郷野聡寛ブログ
中村和裕ブログ
郷野さんの場合、やはり研究熱心なところがすごいと思いましたね。もともと郷野さんの解説は、詳しい技術論と、歯に衣着せぬ言動で、なかなか好評を博していますが、それでもより高いレベルを目指し、積極的に教わろうとしている。
格闘技そのものなら当たり前ともいえるだろうが、本職ではない解説についてまでそういう姿勢を持ち、英語も熱心に学んだりと、そういう所がさすがだと思いました。
中には内容的にも薄く、発音も聞き取りにくい解説をする選手も、結構いますから。
中村選手のほうは、吉田道場の紹介をした際、伝えたいことが十分言えなかった、と言っていますが、そういうのはよくあることです。感覚的に分かっているというか、自分ではわかっているつもりでも、言葉にしようとすると、うまく出てこなかったりします。
私もブログを書いていて、思っていることをうまく文章にできなかったり、書いてるうちに言いたいことがずれてしまったりしますから。
格闘家も、現役選手としてやっているだけならともかく、指導者や解説者など、いろいろな活動をするようになるでしょうが、それらの場合、自分の頭の中を正確に表現し、人に伝えるということが重要になるわけです。
そういうことを考えれば、好き勝手なことを書けるブログという場で、そういうことを積極的にやってみて、表現力・伝達力を鍛えるべきではないかと。身の回りのことを書いているだけの選手のブログを読むと、そう思います。
私も学生のころは、作文だの論文だのというたぐいのものは大嫌いだったが、今考えると大事なものだと思わされる。
posted by 秦 |22:12 |
その他 |
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2009年01月05日
各カードの感想ということで書いていきます。
ムベVSハーマン
ハーマンはナチュラルっぽい強さは感じましたが、最後横を向いてしまったのは良くないですね。攻めている時は強いけど、劣勢に回ると脆いタイプ。逆にムべには、劣勢で踏ん張る粘り強さがありました。
どちらかを、モーと当ててみれば面白くなりそうです。
光岡VSゴリアエフ
光岡選手の地力が出た試合。ダムに競り勝った実績もあるので、ライト級中心選手の一角というポジションを確保した。さすがハンセンに勝った男。
中尾VSシウバ
シウバは私の記憶より、かなり動けるようになっていて驚いた。体格と合わせて、アレキサンダーのような印象を受けました。
以前「好みのタイプではない」などと書いてしまいましたが、動きののろい巨人系と違い、あれだけ動ければ十分好みのタイプです。
モーVS内藤
内藤選手はほとんど何もできないまま、モーが圧勝。モーがキャリアを積むためだけのような試合。
吉田VS菊田
方向性として桜庭VS田村と似たようなところのあるカードでしたが、こちらはなかなか白熱した展開になりました。両者の気持ちのぶつかり合いも感じられて、吉田VS小川とかよりも好きですね。
ある意味柔道家らしく打撃で戦う吉田選手に対し、自分のフィールドである寝技で攻めていく菊田選手。投げられても逆にバックを取るシーンは、両者の関係を象徴しているかのようだった。
足関を仕掛けていくところには意地を感じたが、ラストは十時とかを狙いに行ってほしかったです。
三崎VSサンチアゴ
まさに実力者同士の対決、というハイレベルな攻防がかわされました。間違いなく、今回のベストバウトでしょう。
中村選手は大会前、サンチアゴ戦を振り返って「勝っていても不安だった」と語っていて、私もあの試合を見て似たような印象を受けましたが、今回もそんな感じがした。三崎選手が優勢なシーンを見ても、なんとなくサンチアゴが勝つような気がしたというか。
三崎VS中村で、挑戦者決定戦とかが見てみたい。
五味VS北岡
青木VSアルバレスの再現の如く、北岡選手が足関節で圧勝。いやー、恐ろしい人たちです。
かつて、五味選手はPRIDEという大舞台に身を投じたことで大きく化けたが、北岡選手もまた、戦極という舞台で大きく化けた選手だと思います。やはり、大きな舞台が似合う選手というのはいるんですよね。
実力差のあるカードも多く、物足りないところもありましたが、全体的に見れば満足のいく大会でした。「戦極らしい」と感じられる大会でしたね。ニューイヤーイベントということを考えれば、それだけではダメかもしれないけど。
もっとも、今の日本の現状では、以前のようなスペシャル感のある大会は現実的に無理でしょう。昔のことに固執して方向性を見失わず、クオリティの向上を追及して行くことが大事。
posted by 秦 |20:48 |
戦極 |
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2009年01月03日
新年が明けて、少しDynamite!!の感想を書くのが遅れたら、もう明日は戦極の乱ということになってしまいました。あわただしいことです。
Dynamite!!については、「驚き」という言葉が、総じての感想ですね。去年までは予定調和の中で完結してしまうような大会だったのが、今回はそれをぶち壊した、一味違う大会になりました。
ハンセンVSカルバン消滅という、悪い意味での驚きもありましたけど(笑)。
総合選手がK-1ルールで全勝というのが、なんといっても一番ではありますが、もちろん川尻、ムサシ、アリスターの3人も見事だったのですが、それ以上に、K-1選手たちの出来の悪さが目立ちすぎました。
特に武田選手は、受け身すぎでしょう。自分の土俵で、初挑戦の選手にあそこまで好き放題させてしまってはダメですね。「日本一鼻血が似合う選手」とか言われてたけど、それは打たれる覚悟で攻めていった場合は重みがあるけど、あの内容では虚しいだけです。
まあ総合ファンの私としては、川尻選手があそこまで突き抜けて暴れまわる姿は、実に嬉しかったですけどね。山田トレーナーと抱き合う姿が印象的。越えられなかった壁を突き破った、と言っていいでしょう。
ムサシも、さすが須藤さんに「マヌーフ以上」と言わせるだけのことはある、見事な試合でした。DREAMでは今のところ相手がいないので、しばらくK-1に出てもいいと思う。マヌーフとK-1ルールで再戦、というのも面白い。
そして驚きと言えば、やはり青木真也選手。もはや毎回のことのようだが、それでも見るたびに驚かされる。アルバレスも、あの状態から投げを打てるのは凄いと思いましたが、青木選手にはさらに先があったということでしょうか。とにかく、試合時間は短くても、素晴らしい攻防が見られた試合でした。
posted by 秦 |18:11 |
総合格闘技 |
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