2008年05月11日
さて
金曜日。不覚にも会社を休んでしまった。朝、崩れそうな身体中の筋肉に鞭を打ちながらベッドから這い出し、朦朧としながらシャワーを浴び、着替えてコーヒーを温め、靴を履いて車に乗り込むまでは気力を振り絞って、出勤前の毅然とした己を何とか演出しようとしていたのだが・・・・、車のキーを回した瞬間、【駄目だ、こりゃ】と頭の中で誰かが呟き、その一言でそれまでの一連の努力は跡形も無く吹っ飛び、玄関口から吸い込まれるように家の中に戻って体温計を脇に挟みながらソファーにドサッと倒れこむと、ピピッという音と共に萎えた精神を更に萎えさせる表示が小さな液晶の窓に現れ、それがダメ押しの強烈な一撃と相成りKO。薬剤師の弟からもらった解熱剤を飲んではいるが、まだ、熱は下がりきっていない。 そんな時に、我がインテルが、16回目のセリエA優勝に王手をかけた事について、何か久し振りに書いてみようとしたのだが、火照った頭の中に浮かんだのは、次節のシエナ戦でインテルが勝とうが、負けようが、スクデットなんか、勝ったら勝ったで嬉しいかもしれないが、【実はどうでも良い】という事。昔から、そうなのだ。結果がどうであれ、どうせインテルからは離れられない己の性。インテスタの道とは、何故こうまで屈折してしまっているのか・・・・・・あ~、アブナイ、危ない。こんな絶不調の時にPCのキーボードを叩くものではない。 私の今シーズンは、2月にインテルがアンフィールドでリヴァプールに敗れた時点で、終わっている。それは間違いないと思う。私が今シーズンのインテルに一喜一憂していたのは、あの試合までだった。それで良い。私も、もう若くはない。インテルに注ぐエネルギー配分も、毎シーズン、事前に計画的に決めておかなければならない。勝って欲しい時に、勝てないチームを応援し続ける場合は、時には期間限定でぞっこん惚れ込んだ後、期待を裏切られたその瞬間から、遠慮なく突き放すことも大切だ。それが、末永く苦楽を共にしながら、何十年も変わらずにつながっている為の、この何とも形容しがたい情熱を維持する為の秘訣なのかもしれない。 数日前、イタリア人のインテリスタの友人からメールをもらった。ミラノダービーでみっともない負け方をしたインテルに私がずっと凹んでいると思ったらしく、そんな私を元気づける為に送られてきたそのメールには、大丈夫だ、去年の今頃を思い出せ、シエナはインテルをスクデットに導くラッキーチームだ、シエナはきっとインテルに幸運をもたらすから俺を信じろ、ビリーブ・ミー、等、いろいろ並べられてはいたが、どれも論理的根拠が完全に欠落したヨタメッセージだった。何を隠そう、彼はシエナ生まれでシエナ育ち、コテコテのシエナっ子である。インテル命を宣言しつつも、実はシエナの事がいつも気になって気になって仕方が無い男だ。でも、シエナがセリエB降格を免れた今となっては、さすがはイタリア人、自分の街のチームをインテルの為に生け贄に差し出しても良いと平気で言って来る。考え方が姑息というか、調子が良いと言うか。そういうところが、イタリア人の憎めないところだ。 私は、凹んではいない。これは、負け惜しみではない。惜しむものが見つからないのだ。ミランには、負けるべくして負けた(らしい)。私は、あの日はテレビで試合も見ず、スポーツニュースでダイジェスト版をチェックする事もなく、翌日の新聞も読まず、試合から3日は過ぎていた頃に、ネットで、どうでも良くなってきているコッパ・イタリア準決勝の試合結果と一緒にミラノダービーの結果をチラッと見て、ふ~ん、と、一言漏らして、それで終わり。本当に、それで終わりだった。最初から、インテルがあのミラノダービーで、勝点に飢えた従兄弟達を撃破してセリエA優勝を飾れるとは、1%も期待していなかったらしい。情けない話だが、インテルはそんなに格好良く最後を決められるようなチームではない。私の本能が、今もそう叫んでいる。何と言うリアリズムだろうか。伊達に30年以上もこのチームと付き合ってきた訳ではない。インテリスタの美学は、その、何ともいえない情けなさと共存する事にあると気付くまで、早い人でも5年はかかると思われる。 さて。明日は、どうなる事やら。インテルがどうなるか、よりも、私がどんな一日を送るのかの方が大切だ。もちろん、そんな病人の日曜日にアクセントを添えるのは、インテルだが・・・金曜日に、フィーゴがインテルの練習場・アッピアーノ・ジェンティーレで黒猫を自分の車で故意に轢いた時から今シーズンのインテルの不振が始まった、という、くだらない記事が出て、これに動物愛護団体が反応してちょっとした騒ぎになったらしく、殺猫の容疑をかけられたフィーゴが法的措置を取って、『俺は黒猫を殺していない!』と、名誉と無実を守ると息巻いている他には、これといったニュースはない。いくら黒猫が目の前をつっきる事が【不吉】とされるイタリアでも、まさか、フィーゴが・・・。まぁ、こんな間抜けな空気がアッピアーノ・ジェンティーレで流れていたのであれば、明日、超満員に膨れ上がったサンシーロが、勝たせてくれるでしょう、このインテルを。 P.S.スクデットを万が一、逃すような事になったら・・・それは、黒猫の祟り、という事になるのか・・・・(笑)。
posted by sinfonia |08:40 |
My desires |
コメント(4) |
トラックバック(0)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/sinfonia/tb_ping/48
この記事に対するコメント一覧
さて
日本人の自称インテリスタの人って、インテルが好きというよりも「インテルを愛せる大人でシニカルな自分が好き」という感じですよね。私もそうなので分かります。
シエナ戦で決めなくてもあまりショックは受けないと思います。むしろやっぱり…といいながら微笑を浮かべるような。
posted by 私も自称インテリスタ | 2008-05-11 10:19
さて
確かに見るに値しないダービーでした。入場してきたときの空気で今日スクデットを決める気はないらしい、とすぐにわかりましたけれど。それでもミラノダービーを「美しいものコレクション」に大事にしまっていた身としては許しがたい闘いぶりでした。過去の輝きはしまい続けておくにしても、もう来季からミラノダービーは見ないと心に決めました(笑)
この痛みを受け入れ続けてきた、そしてこれからも受け入れ続けていくインテリスタの美学には敬意を感じました。
ただまっすぐな愛情ではどんなに強くてもすぐ折れてしまいそうです。屈折は必須なのですね。インテリスタの心を守るために。
さて、本日。私のチームの順位も確定したことだしイタリアをさっさと離れて英国の最終決戦に身を投じます。
お体お大事に。ゆっくり寝ていることができるのでしたら解熱剤は飲まないほうが治りがはやいですよ。
posted by 迦瑠羅 | 2008-05-11 10:36
返信:さて
私も自称インテリスタ 様
まるで預言者のようなコメントを有難うございます(笑)。でも、何故、【自称】なのですか?初めて聞くインテリスタのタイプですね。ミラノでは存在しないタイプです。自称、という事は、それとは別に他称がある、という事ですか?それとも、単純に自称も他称も関係ない【インテリスタ】では、日本では通用しない(?!)、という事なのでしょうか・・・何か、隠れキリシタンを連想してしまいます。踏み絵とかが出てきそうですね(笑)。
posted by 筆者 | 2008-05-12 04:12
返信:さて
迦瑠羅さま
コメントを有難うございます。お気遣い、恐縮です。薬で汗を出した後は、東洋のお茶が良いようです。
>もう来季からミラノダービーは見ないと心に決めました(笑)
少々残念ではありますが、お気持ちは理解できるところがあるので、無理強いは致しません。サッカーの試合は、対戦する両チームに【守るべき大切もの】がなければ、感じられなければ、90分間もそんな試合に付き合う必要は無いと思います。その場合は、さっさとスタジアムを後にして散歩をしに行くのも良いし、テレビを消して昼寝をするのも良いと思います。
posted by 筆者 | 2008-05-12 04:25


