2008年03月03日

疲れているビッグクラブ

欧州のビッグクラブの多くは今、シーズン中で最も疲れが溜まる時期を迎えている。シーズン開幕時には、そこまで選手層を厚くしなくても良いのに、と思っていたようなチームでさえ、ここに来て選手達の故障や不調で精彩を欠いている。

チャンピオンズリーグのグループステージを勝ちあがり、精神的にも消耗度が高くなるノックアウトステージに突入し、シーズン後半を迎えた国内リーグでも優勝争い、上位争いを演じているようなビッグクラブが、シーズン中で最も息があがる時期。今まで、選手層の厚さを強みとしてきたチームでさえ、レギュラーメンバーの故障者が相次ぎ、その選手層は今シーズンが始まった直後の頃とは全く異なる様相を呈していたりする。その一方で、動ける選手達は、体力的にも、精神的にも疲れはピークに達している。数週間前までのパフォーマンスがまるで嘘のように思えるようなビッグクラブが、今、欧州には幾つかある。

ライカールト、シュスター、アンチェロッティ、マンチーニ、ヴェンゲル、ベニテス・・・ビッグクラブの監督達にとっても、今は正念場だ。各チームとも、シーズン開幕前に、国内外の全てのコンペティションで優勝を狙う為に、巨額の資金を投じて戦力の補強を行って来ている。まだこの時点で、チャンピオンズリーグ、国内リーグのどちらかに的を絞る事は許されない。ファン達の期待に応える為、スタジアムでの興行やテレビ放映権、マーチャンダイジング事業を予定通りクラブの収入に結び付け、巨額の投資を回収して利益を捻出する為にも、二兎を追い続けなければならない。こうしたニーズに、動ける選手達は、監督は、シーズン開幕時から蓄積してきた疲れを押してでも応えなければならない。ビッグクラブだからこそ負わされている責任の重さが、この時期になると、毎シーズン、決まってクローズアップされる。

こんな時は、プレーの質も悪くなる。選手達の動きにはキレが無くなり、90分間走りきるだけのスタミナも無く、集中力も持続しない為に凡ミスが目立つようになる。膠着した戦況を打開する為のアイデアや、正しい状況判断に必要な冷静さが欠乏し、ボールが、意思が、ピッチ上で思うようにつながらなくなる。選手一人一人の輝きが一つの目標に向ってつながる姿、チームの機能美も色褪せてくる。

また、疲労が溜まった状態でのトレーニングやプレーは、怪我を誘発し易い。私が応援している某ビッグクラブでは、最近、試合が行われる度に、必ず誰かが故障して戦列から離れて行く。その一方で、毎週のように誰かが怪我を治して戦列に戻って来る。こうも選手達の出入りが激しくなると、いくら世界中から超一流の選手達を集めている某ビッグクラブでも、プレースタイルそのものが固まらなくなってくる。でも、そんな時期をチームが、フロントが、ファン達が一丸となって乗り切ってこそ、真のチャンピオンにふさわしいクラブになるのだろう。そして、こんな苦しい時にモノを言うのが・・・クラブの過去の成功体験の豊かさに支えられた、チーム全体の、ここぞと言う時のメンタル・タフネスだったりする。

人は、遠くにゴールが見えてくると、そのゴールに到達する為に、その目標を勝ち取る為に、疲れきった身体の奥底に、まだ振り絞れるエネルギーを見つけ出す事が出来る。欧州のビッグクラブにとって、チャンピオンズリーグも、国内リーグも、それぞれのゴール地点はまだ遠いが、長いレースの中で、今、訪れているこの苦しい時期を、肩で息をし始めた幾つかの欧州のビッグクラブがどう乗り切るかにも、これから注目してみたいと思う。

毎シーズン「優勝」の二文字を要求され、尋常ではない試合数をこなしながら、常勝軍団としての商品価値を世界に向けて維持し続けなければならない欧州のビッグクラブ。その一方で、どんなに選手層を厚くしても、ベストメンバーのベストコンディションを、シーズンを賭けた勝負どころで引き出せるとは限らないビッグクラブ。ビッグクラブには、ビッグクラブなりの苦しさがある、という事を痛感する、今日この頃だったりする。

posted by sinfonia |11:31 | My thoughts | コメント(7) | トラックバック(1)
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8強 【シロクマのポチ袋】

欧州チャンピオンズリーグが8強に絞られた         あ、正確に言うとリヴァプールとインテルの試合は11日だったかなのでまだ7チームしか出てませんけどな・ω・           まずは   ローマがレアル...

2008-03-06 17:03 | 続きを読む
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疲れているビッグクラブ

「ビッククラブなりの苦しさ」というものがCLの魅力を裏打ちしているように感じます。
光を際立たせる闇の存在、陰影の深さはヨーロッパならではのもので私が大変魅かれるところです。「過去の成功体験の豊かさ」はそのまま「どれだけ苦難を乗り越えてきたか」でもあるので
その積み重ねが「自信と誇り」というどんな才能とも互角以上に渡り合える強力な武器になるのでしょうね。欧州一の内弁慶、インテルにはぜひ多彩な才能とイタリア王者のプライドの合わせ技で
ベスト8に進んで欲しいと思います。崖っぷちには違いありませんが、ぎりぎりのところで放つ青白い輝きを感じたいです。サッカーって残酷な世界だな、とは思いますけれど。

posted by アネモネ | 2008-03-03 12:32

疲れているビッグクラブ

今一番怪我人状態いいのはマンUかな?
最終ラインの薄さはやはり感じるが今年は最後まで持てばトレブル再現の可能性が高まってきてる気がします。

posted by フルート | 2008-03-03 13:23

疲れているビッグクラブ

サッカーに限らず、両立する事は才能ある集団でも、個人でも、何事も難しいものですね。

ナポリ戦はそのためだったのですかね・・・。
今週の大切な試合のために集中力が切れていたのか・・・。

posted by ROMA | 2008-03-04 20:01

疲れているビッグクラブ

インテルは来週でしたね。
失礼いたしました。

posted by ROMAー訂正ー | 2008-03-04 20:07

返信:疲れているビッグクラブ

アネモネ様、フルート様、ROMA様

コメントを有難うございます。


アネモネ様

今が一番苦しい時期だと思います。インテルに限らず、CLと国内リーグの両方を追わなければならない欧州のビッグクラブにとって。でも、仰るとおり、だからこそCLは、動ける選手達の力を一滴残らず結集して、総力戦で勝ち抜いて行かなければならない、険しく美しいトーナメントなんですよね。


フルート様、

昨シーズンもそうでしたが、マンUは、ファーガソン監督は、他のライバルチームが一番苦しくなるこの時期に、チームのコンディションを整えてくるのが上手いと言うか、さすがだな、と思います。昨シーズンのCLでは、丁度ノックアウトステージに入った頃だったと記憶していますが、私はマンUの優勝を予想していました。今シーズンはどうでしょうか。


ROMA様

私も、数日前に友人に指摘されるまで、インテル対リヴァプールは今週、サンシーロで行われると思っていました・笑。そう思いながらも、おかしいな、と思っていたんです。ミランがサンシーロを使った翌日にインテルがサンシーロを使うなんて、聞いた事が無かったので・・・。

前節のナポリ戦は、今シーズン最悪のインテルでした。ナポリも、疲れて動きが鈍いインテルの選手達のコンディションを読んでいたのか・・・攻守の切り替えの速さを巧みに使って、果敢に攻めてきました。勝負の世界は、厳しいです。昨シーズンのセリエAチャンピオンでも、敵に弱点を知られると、そこを突かれますね。

この時期に国内リーグ戦を戦うビッグクラブの選手達に、数日後に迫ったCLの試合を意識するな、と言っても、無理でしょうね。ビッグクラブはビッグクラブで、応えなければならない期待も大きいので、大変ですよね。

posted by 筆者 | 2008-03-05 00:22

疲れているビッグクラブ

抽象的にビッグクラブという表現を使ってますが、ある特定のチームについて話してるようでなりませんね。(苦笑)

posted by oho | 2008-03-05 23:37

返信:疲れているビッグクラブ

oho様

バイアスは、かかっているでしょうね。30年以上も応援し続けてきたチームですから・笑。でも、私なら、頂いたコメント

>「ある特定のチームについて」に、
やっぱり、  【も】   を追加します。

『ビッグクラブ』の、ここでの私なりの定義は、本文にもありますように、CLと国内リーグで、常に優勝を期待されているチームです。その中に、私のチームも、幸か不幸か、該当します。

昨日。ミランの選手達の90分間のプレーを見ました。まずはアーセナルの素晴らしいゲーム内容を称えなければならない試合でしたが、ほぼベストメンバーで試合に臨んだミランの選手達のコンディションは、決して良くはなかったですよね。そう思われませんでしたか?そのミランは、私にとって、永遠の宿敵ですが、素晴らしい『ビッグクラブ』の一つです。


posted by 筆者 | 2008-03-06 03:47

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