2010年01月29日

【レオパレス21・廃部決定前後の流れ】

 長年応援してきたチームの一つであるレオパレス21が昨年の暮れ、突然廃部になった。

 廃部自体は珍しくないことだが、これほど強豪で代表選手を多く抱えたチームの廃部は初めてではないだろうか。2004年のミキハウスも同じような状況であったが、今回はそれ以上の衝撃を関係者に与えたはずだ。
 内部情報を知るのはあくまで当事者である関係者だけであり、選手ですら詳細が知らされることはほとんどないのではないか。それゆえ全くの部外者である自分が知り得る情報などは皆無に等しいわけであるが、マスコミを通じたりして伝わってきた情報や一連の流れをひとまずまとめておくことにした。

 この件に関してはすべての選手の身の振り方が明らかになってからと思ったのだが、すでに移籍先で元気に活躍する姿がそこかしこから伝わってくるので、むしろこれからの彼女たちに期待を込める意味でもまとめることにした。
 とにかく言いたいことは一つ。
 「大矢留美さん、若い選手達をお願いしましたよ!」
 (でも靜甲戦だけは手加減してね、ハート)
 ということである(笑)

【10月】
 外見的にはチームには全く変化は見られず、まさかこの明るいチームが今季限りで消滅するなどとは夢にも思わなかった。
 (ただ後から思い返すに、早すぎると思われる若手選手の引退の噂が聞こえてきたり、あるチームの首脳陣がレオパの主力選手について「○○は本当にいい選手だ。うちに欲しい」というような冗談とも何ともいえないような会話をしているのを球場での地獄耳情報でキャッチはしていた。ただしそれとてその時点で「廃部が決まっていた」ことと関連づけて考える理由としてはかなり弱いであろうが)。


【11月初旬】
・11月8日
 決勝トーナメント2日目のトヨタ自動車戦で敗戦。これが事実上最後の試合となる。
最後の打者:小野奈津子(7回裏、アボット相手に豪快な空振り三振)
最後のマウンド:山根佐由里(7回表、満塁から伊藤幸子に投げた1球)
最後のプレー:永吉理恵(その伊藤の打球をライト線で超ファインプレー)
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【11月中旬】
 会社の経営状態の悪化からチーム存続を危ぶむ噂がネット上で流れる(あるいはこの頃すでに情報を知っていた人が噂を流したか?)。

・11月19日
 ネット上に“関係者からの話し”として「レオパレスが今季限りで廃部」という書き込みがなされる。個人的には半信半疑であったが、とにかく最悪の事態だけは覚悟した。

【11月下旬】
・11月24日
 井上選手のブログにおいて「レオパレスの歴史」というタイトルの記事がアップされる。
 この時までには確実に選手にはすでに通達されていたのであろう。

・11月25日
 最終的に廃部が確実となった日と思われる。

・11月26日
 この日の(会社の)役員会で、今季限りでの廃部が正式に決まる。

・11月26日
 各選手の個人ブログの内容に廃部に関する内容が増える。
(正式な決定を待っていたのではないだろうか)。

・11月27日未明
 日付がかわるとほぼ同じ頃、毎日新聞その他のインターネット配信記事で今シーズン限りでのレオパレス21ソフトボール部の廃部が報じられる。

・11月28日
 この日のスポニチに詳しく掲載される。
内容としては正式に廃部が決まったことに加え、12月15日までに受け入れ先が見つかれば来年も1部からの参戦が可能であることが明記される。

 (注)2001年の大徳廃部のあと規定が改正され、廃部したチームから10人以上の選手をそのまま受け入れ、新会社が12月15日までに登録を済ませればチームが存続したと見なされて来季も1部参戦が認められるようになったようだ(ただし個人的には未確定情報)。
※ただしそれも内々ですでに譲渡先が決まっており、一部参戦の意思表明が早々となされた場合に限られるのではないだろうか?この時点から探し出しての1部残留は事実上不可能だったのだろう。


・11月29日
 日本ソフトボール協会の理事会が開かれ、レオパレス関連以外にも以下のことが正式決定された。

(1)レオパレス21の今季限りでの廃部
(2)パナソニック電工津の今季限りでの休部(昨年の時点から休部は決まっていたようで、事実上の廃部だろう)
(3)TOETECKの2部リーグ脱退(これは廃・休部ではなく、チームとしては存続し実業団大会などには出場するようだ)
(4)今季クラブ選手権で優勝した「ペヤング」の来季2部リーグ加盟
(5)レオパレスの廃部に伴い、1部12チームを維持するため、降格の決まっていた伊予銀行が来季も1部に残留する(2000年の松下電工廃部に伴うデンソーの残留と同じ立場)

(※スポニチの記事には12月15日が1部残留の期限と書かれていたが、実際には廃部の報から三日後にはすでに1部12位の伊予銀の残留が決定した。これは残る伊予銀のチーム編成や1部参戦への体制を整えるためにもできるだけ早めの決定が不可欠であること、レオパレスの譲渡先探しが難航していたことなどを考慮したものではないだろうか?)


<スポニチ>
http://www.sponichi.co.jp/sports/flash/KFullFlash20091129081.html
 「日本ソフトボール協会は29日の理事会で、即席めん製造・販売の「まるか食品」(本社・群馬県伊勢崎市)が今春設立したチーム「ペヤング」の日本リーグ女子2部加盟を承認した。同チームは全日本総合選手権出場や地元協会の推薦など、2部加入条件を満たした。
 一方、景気低迷や五輪の実施競技から外れた影響を受け、女子1部のレオパレス21の廃部や同2部のパナソニック電工、TOETECKの休部も報告された。来季1部のチーム数は12を維持する方針。」

<時事通信:>
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2009112900087
 「日本ソフトボール協会は29日、東京都内で理事会を開き、女子日本リーグのレオパレス21が今季限りで廃部することを受け、今季最下位で2部降格が決まっていた伊予銀行を1部に残留させ、12チームを維持することを決めた。レオパレス21はチームの受け入れ先を探しているが、これが決まった場合は2部からのスタートとなる。
 また、まるか食品(本社・群馬県伊勢崎市)が商品ブランド名をチーム名にして今年創設したペヤングの日本リーグ2部加入を承認。同リーグ2部のパナソニック電工、TOETECKが今季限りでリーグから撤退することが報告された。」

<毎日新聞>
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091130k0000m050065000c.html
 「日本ソフトボール協会:ペヤング2部昇格など承認日本ソフトボール協会は29日、東京都内で理事会を開き、まるか食品(本社・群馬県伊勢崎市)が今春創設した女子チーム「ペヤング」の日本リーグ2部昇格を承認した。9月の全日本総合選手権に出場しており、継続的な活動も見込めるなど昇格の条件を満たした。
また、今季限りで1部のレオパレス21が廃部するため、今季1部最下位で2部降格が決定していた伊予銀行の1部残留を決定。レオパレス21はチームの受け入れ先を探しているが、譲渡が成立しても来季は2部からのスタートとなる。また2部のパナソニック電工津、TOETECK、加えて男子西日本リーグの大阪ツヅキグローバルが来季はリーグから撤退することが報告された。」


【12月初旬】
 表面上は主だった動きはなし。

【12月中旬】
・12月15日
 「ドリーム・ワールドにレオパレス21ソフトボール部を譲渡」という報道がなされる。
 この記事の中で「21人中11人が移籍し、日本代表の伊藤綾香が含まれている」ことが明記される。他の選手に関しては言及なし。 

<ニッカンスポーツ>
http://www.nikkansports.com/sports/news/f-sp-tp0-20091215-576287.html
 「日本ソフトボール協会は15日、今季限りで廃部となった日本リーグ女子のレオパレス21の受け入れ先として、静岡県磐田市で園芸緑化事業などを展開する「ドリーム・ワールド」にチーム譲渡が決まったと発表した。日本代表候補の伊藤綾香ら11人が移籍する形となり、来季は規定によりリーグ2部への加盟となる。
 レオパレス21は日本リーグ決勝トーナメントで3位に入るなど、近年は強豪チームの一角に成長していたが、厳しい経済情勢などで廃部した。」
 [2009年12月15日18時28分]


【12月下旬】
・12月26日
 ベテランの藤本索子が岐阜国体のためのチーム「ミナモ・ソフトボールクラブ」に増淵まり子や伊藤良恵とともに入団することが報じられる。

<岐阜新聞>
http://www.gifu-np.co.jp/news/sports/20091226/200912260857_2338.shtml
 「清流国体に向け、大垣に女子ソフトチーム発足へ 」
 (2009年12月26日08:57)
 「2012年のぎふ清流国体に向け、元五輪選手らを軸とした女子ソフトボールのクラブチームが来年2月、大垣市に発足する。
 発足するチームは「大垣ミナモソフトボールクラブ」で、監督は、県ソフトボール協会副理事長で揖斐高校教師の栗山利宏氏が務める。活動拠点は同市の浅中公園ソフトボール場を予定する。
 メンバーは、北京五輪金メダルの藤本索子(元レオパレス21)やアテネ五輪銅メダルの伊藤良恵(デンソー)、シドニー五輪銀メダルでエースを務めた増淵まり子(デンソーコーチ)ら。日本リーグ1部の佐川急便と伊予銀行からも3人が移籍するほか、来春に大学を卒業する選手も合わせ15人で活動を始める。
 県A級リーグに参加するほか、日本リーグ1部のチームとの練習試合で強化を図る。」


【2010年1月】
 年があけて1月、譲渡先であるドリームワールドでソフトボールのチームブログが開設され、レオパレスから移った11人の詳細が明かされる(現在、公式ブログにて個々の選手紹介が行われている)。
 またソフトボールマガジンにおいても詳しく紹介される。
 “ドリームワールド公式ブログ”

 その他、いろいろなチームのブログや記事の中の写真の後ろの方で見切れていたり、風の便りを耳にしたりして、徐々に21人の選手の移籍先が明らかになる。
 ただし、全選手の行き先や身の振り方がわかるのはもっとずっと先、シーズンに入ってからになるか、あるいは永遠にわからないこともあるかもしれない(笑)


 廃部前後に関する情報はほぼ以上のようなものである。
 最後に、あくまで「個人的な推測」の域を出ないことを重々承知してもらった上で、現時点での選手の移籍先をあげてみた。

河野美里(外野)	→	太陽誘電(と思われる)
E・ティンチャー(投手)	→	不明
N・ティッカム(捕手)	→	不明
辻井晴名(内野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
谷口敏子(捕手)	→	ドリーム・ワールド(確定)
永吉理恵(外野)	→	デンソー(ほぼ確定)
藤本索子(内や)	→	岐阜ミナモ・ソフトボールクラブ(確定)
川上恵莉子(外野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
山下美奈子外野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
熊澤怜子(投手)	→	ドリーム・ワールド(確定)
古宇田佳愛(内野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
田中梢子(内野)	→	不明(引退か?とするとこんなに悲しい出来事はない…)
宮野祐子(内野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
小野奈津子(外野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
小西つどい(内野)	→	ドリーム・ワールド(確定)
松村綾菜(投手)	→	ドリーム・ワールド(確定)
伊藤綾香(捕手)	→	ドリーム・ワールド(確定)
山根佐由里(投手)	→	トヨタ自動車(ほぼ確定)
井上絵里奈(内野)	→	不明(引退か?)
蔭山遥香(内野)	→	ルネサス高崎(ほぼ確定)
林舞乃(内野)	→	不明(引退か?)

(順不同)


とにかく、今後のレオパ戦士達に幸あれ…

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【追記】
 内部の詳細はなかなか伝わってこないのであるが、やはり11月27日に廃部の報が流れてからドリームワールドに譲渡先が決まるまでの前後関係を知りたい。いつの時点で話が持ちかけられ、決定したのか。
 水面下ではいろいろと打診があったのかあるいは直前だったのか。
 なかなか表には出ない情報だろうが…。


posted by silvercats |23:13 | 女子ソフトボール関連コラム | コメント(8) | トラックバック(1)
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2010年01月25日

【2009年1部リーグ投手の記録を解析する~その2:投手のタイプ分析】

 さて少し間が空いたが投手のデータ分析の続きを。
 前回の解析で、やはり上野とアボットは群を抜いているというのが改めてわかった。
 その続きとして昨年同様に主成分分析を用いて投手のタイプ分けををするのだが、この飛び抜けて凄い2投手が入ると突出したデータが邪魔をして他の選手の違いがほとんどわからなくなる。
 それで今年はこの2投手を除いて他の投手を分析してみた。


(1)解析に用いたデータと解析方法
 用いたデータも方法も昨年と同じで、投手の五つのデータを用いた主成分分析で、結果としてタイプ的に似た投手がグラフ上の近くに位置するように図示される。
 個々のデータについては以下にまとめた。
silvercats-138473.jpg


(2)5つのデータを用いた分析結果
 主成分分析の結果は以下の通りである(ちなみにややこしい説明や結果は省略するが、この下の図でおよそデータの90%近くを説明できるまあまあの結果であった)。
silvercats-138483.jpg
 分析結果から、横の軸は防御率の善し悪し、縦の軸は球数の多さに強く相関していることがわかった。
 繰り返すとつまり、この図では、
 「左に行くほど好投手」「下に行くほど球数の少ない投手」
 ということがわかった。

 ※なんかややこしいこと書いてますが、要は
 「近くに位置している投手はタイプや実力的に似ている」
 ということにつきます(3)もっとタイプの違いが出るよう、データを3つに減らした分析結果
 上記の結果でもなんとなくわかるのだが、もっと分かり易くならないかと思い切って防御率と球数のデータを削ってみた。
 つまり使用したデータは「奪三振率」「与四死球率」「被打率」である。
silvercats-138484.jpg
 この図を少々詳しく見て、それぞれの特徴を考えてみたい。

 <特徴1>
 真ん中に位置するのは堤、松村、オークス、坂井といったそれぞれの所属チームのエースであり、2009年のリーグでは中堅から下位チームに位置したチームのエースである。三振の数や被打率、四死球から見てほぼ全体の平均的な投手と言えるのではないか。

 <特徴2>
 右上の赤丸のグループである。このグループからやや離れたところに位置するローチ、染谷も同じようなタイプであるが、やや奪三振が多いことで特徴づけられる。
 もう一つの赤丸で囲んだグループと合わせ、これら二つの赤丸グループは平均的な投手からかなり離れて位置する特徴的な投手である。
 まず一番右に位置するグループにはギブソン、ティンチャー、バークハートという外国人選手に加えて瀬川が入る。瀬川は昨年も外国人(大黒人て誰やねんw)選手のグループに入ったが、特に四球を出しても三振も奪うという特徴がある。

 <特徴3>
 一方、真ん中下に位置するグループに山根、藤原、宮本が集まっているのもおもしろい。この3人は特に三振や四死球での特徴はない平均的なタイプであるが、被打率が低いことから他のグループから区別できる。
 そのさらに下に位置するのが露久保。同じように奪三振は平均的だが、ことに被打率が低いことから一人離れて位置している。2009年の露久保の好成績を表しているだろう。

 <特徴4>
 最後に左上のグループ。三振が少なく被打率も高いというやや残念な結果から特徴づけられるグループである。
 ただ今年かなり打たれ点を取られた感のある武井、末次、清水に比べ、外山は比較的抑える場面もあったのではないだろうか。特に末次と並んで与四死球が少ないのは褒められる。
 外山の一番の売りはとことんスピードを殺したチェンジアップである。そのチェンジアップを駆使して、時には強豪チームの打線を抑え込んだこともあったように記憶している。
 清水や武井などにとっては、同じように三振を取れるスピードもなくヒットも打たれるが抑えることもできる外山のピッチングは何かのヒントになるのかも知れない。


posted by silvercats |01:16 | 日本リーグの記録と解析 | コメント(4) | トラックバック(0)
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2010年01月15日

【2009年1部リーグ投手の記録を解析する~その1:野手に負担をかけない投手は?】

 正月明けから始まったパソコンの分解再構築にWindows7への移行もようやく完了。今年も熊野オープンが始まるまでは昨年のデータをいじくったり、2010年シーズンの展望を眺めながらオフシーズンを乗り切ろうと思います。

 まずは昨年と同様の解析、「投手の記録を解析する」から。


【解析に用いたデータ・条件】
 2008年度について行ったのと同じ解析方法で2009年データも解析した。
 なお解析条件は「投球回数20回以上の投手」であるが、8回と1/3の瀬川絵美のみ例外的にこれに加えた。
使用したデータは以下の通り。

(1)防御率~1試合(7回)当たりの自責点(一般的なデータ)
(2)被打率~被安打/打数(ヒットを打たれた確率)
(3)与四死球率~与四死球数/打席数(対戦打者一人当たりに四死球を与える確率)
(4)奪三振率~奪三振数/打席数(対戦打者一人に対して三振を奪う確率)
(5)投球数率~投球数/投球回数(1回を抑えるのに要した球数)

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(1)防御率~上野、バークハート、アボットの順。伊予銀としては清水の8.6が誤算。もう少し抑えて欲しかったか。
(2)被打率~アボットがトップで、上野、バークハートと続く。露久保の0.163もトップクラス。
(3)与四死球率~アボット、上野は四死球も少ない。3位に誘電の伊藤。瀬川はほぼ3人に一人を四死球で出す。
(4)奪三振率~三振率もアボットがトップで2位が上野。
(5)投球数/回~球数が最も少なかったのが露久保。豪腕上野に投球術で張り合う。ベテラン帰山が3位


【その1:野手に負担をかけない投手は?】
 今年も上記のデータのうち、「ヒットを打たれないこと」「四死球を与えないこと」「三振を奪うこと」の3つに着目して解析した。

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★★★モニカアボット(トヨタ自動車)
 記録から見る2009年の日本リーグのNo.1投手。被打率も奪三振も上野を上回った「世界一」の投手(オスターマンも日本リーグにこんかね)。

★★上野由岐子(ルネサス高崎)
 その世界一アボットと匹敵はやはり世界の上野。アボットと二人で他を圧倒的に引き離す。

露久保望美(トヨタ自動車)
 被打率の低さはリーグ屈指。三振は少ないが与四死球も少ない。

ケイティ・バークハート(豊田自動織機)
 バークハートも他を引き離している。この4人は2009年シーズンにおいては頭一つ(アボットと上野は3つくらい)抜けていた投手だ。

その他の投手
 昨年コントロール面で顕著な数字を残した山根、今年も被打率の低さと四死球の少なさでやはり他の一群の投手からは半歩リードしている。
 瀬川が評価不能なのは今年も同じ。奪三振の多さと四死球の異常な多さが相殺され、且つそれでいても被打率が低い。コントロールが何割かでも改善されればかなり変わるのだろうが。
 ティンチャー、ローチ、ギブソンの外国人3人が同じような成績なのも面白い。被打率はそれほど低くはないが、三振の多さで特徴付けられる。
 


【被打率と四死球/三振・比の関係】
 さて昨年もこの二つのデータの相関関係を見たわけであるが、今年はもう少しまじめに解析してみた。
 「被打率(安打/打数)」も「四死球/三振」もともに比率である。こういうデータの場合は数値を対数置換すれば直線関係に置き換えられる。
 今回は2008年と2009年の2年間のデータについて、両対数グラフで表してみた。

silvercats-136578.jpg

 一目瞭然、この二つの数値には明らかに相関関係が認められる。
(Ln(三振/四死球)=-4.09xLn(被打率)-5.40,相関係数=0.691,危険率1%未満で有意な相関あり)。
 つまり、これらの2つのデータには相関があり、四死球の割りに三振を多く取れる投手というのは比例して被打率も低く、つまり「好投手」といえるだろう。
 一つの簡単な数値で能力を表すことには懐疑的ではあるが(OPSとか)、日本リーグの投手にいてはこの「三振/四死球・比」というのは比較的有効な数値なのかもしれない。
 多くの投手は投手としての能力を高めるよう、相手を抑えるよう努力することで、この回帰直線に収斂されるような方向に技術革新していくのであろうが、それでもここから離れて位置する投手もやはり存在する。
 その典型が藤原麻起子で露久保望美であろう。彼女たちは三振を取るボールを持てないながらも、コントロールと変化球を磨いてある境地にまで達したような投手でる。

 今回も「野手に負担をかけない」という点に絞ってみたが上記の藤原や露久保、山根といった技巧派の好投手はやはり違った評価が必要だ。
 それで次回は昨年と同様に、これらのデータを使って各投手のタイプについての解析してみたいと思う。


posted by silvercats |21:37 | 日本リーグの記録と解析 | コメント(2) | トラックバック(1)
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2010年01月01日

【2000年代ベストナイン~女子ソフトボール日本リーグ】

【2000年代ベストナイン】
 入手出来た2001年~2009年までの9年間の1部リーグの記録をもとに、その間5年以上在籍した選手を対象にして、投手以外は主に打撃成績を基準にしてベストナインの選定を行った。
 もとより記録を参考に出来るとはいえ各ポジションずつ「一人」を選ぶ(一人に絞る)のは非常に難しい作業。あくまで最終的には個人的な判断に基づいていることはご了承願います。


【投手:ミッシェル・スミス(豊田自動織機)】
【投手:上野由岐子(ルネサステクノロジー高崎事業所)】

 この二人のうちどちらかを選ぶのは不可能であった。
 2001年以降において、5年以上在籍し今回対象となった投手は17投手。その中でもやはり結局はこの3人に絞られるのではないだろうか。その3人の主な成績をあげてみたい。

<2001年以降の通算成績>
           	防御率	被打率	三振率	四球率
ミッシェル・スミス	0.369	0.137	8.80	1.34
上野由岐子	0.476	0.128	8.49	0.52
メラニー・ローチ 	0.905	0.157	8.52	2.02
※三振率と四球率は1試合あたりの数字

 2000年代の3人はともに2001年から主戦投手として活躍し、ミッシェルは2008年に引退したが活動年数はほぼ同じである。ただ外国人投手は投球回制限があるので、数値は比率にして比較した。
 防御率と奪三振率はミッシェル、被打率と与四球率は上野であり、この二人は2000年代はまさに互角と言っていい。特にミッシェルのこの数字は30才を過ぎて以降のものであり驚愕に価する。防御率はやや劣るが、ローチの奪三振率も凄い。
 3人ともあげたかったのだが強いて絞ってミッシェルと上野二人。これ以上は譲れない。
 
【捕手:吉田真由美(戸田中央総合病院)】

 意外に思われるファンもいるかも知れないが、この10年において捕手としては吉田がもっと数多く試合に出ている。
 打撃だけで言えば2009年に10本塁打の新記録を作った谷川まきが通算打点と本塁打に打率で1位と他を圧倒している。ただし近年打者有利に条件が改善されて以降にピークがきた選手であり、いくら谷川が凄いとはいえそのまま比較するのはベテラン選手が酷だ。
 次に目立つのがソフトウェアの鈴木由香。2001年以降の通算安打、打点、犠打、二塁打などが2位で打率も0.258と3位だ。インサイドワークも巧みで捕手としての能力が非常に高い。
 ちなみに五輪に二度出場したルネサスの乾絵美だが、峰幸代との併用のせいか通算では死球と犠打が1位とあまり目立った数字は残していない。
 さてその吉田真由美である。この2001年以降の通算では試合、打席、打数 安打、得点、犠打、四球、三振、二塁打で1位、三塁打と盗塁も2位である。打者有利のルール改正前から主力でもあり通算打率はやや低い(0.215)が、守りも含め、2000年代の10年ベストナインに選ばれるに相応しい素晴らしい捕手なのだ。
 ちなみにここにあげた3人の名捕手、谷川まき、鈴木由香、吉田真由美は、3人とも五輪補欠選手止まりで誰一人五輪に選ばれていないという悲運も重ねて強調しておきたい。
 ※5年以上在籍し対象となった捕手は12人。ちなみに記録がないので正確な数値はわからないが、誘電の山路典子監督は100%の確率で1990年代のベストナイン捕手だろう。

【一塁手:井上絵里奈(大徳・レオパレス21)】
 5年以上在籍した一塁手は9人。五輪で活躍した伊藤幸子(トヨタ自動車)や伊藤良恵(ルネサス、デンソー)という名選手がいるが、打撃の通算の成績から言えば文句なしに井上絵里奈である。
 通算打率も唯一3割超(0.303)、二塁打33と本塁打15は1位、出塁率も0.379と高く、安打数(145)、打点(92)も断トツであった。五輪では複数守れる選手が重宝がられることからとうとう選ばれることはなかったが、歴代でもトップクラスの打撃のいい一塁手であったことは確かだろう。

【二塁手:藤本索子(レオパレス21)】
 対象選手は13人だが、ここは誘電の上西晶藤本索子のまさに一騎打ちだった。藤本が7年で上西が9年。通算得点、犠打、盗塁は上西、安打、打点、四死球で藤本だ。二塁打は佐川の高木美晴(21本)、本塁打はソフトウェアの溝江香澄(5本)であったが、上西と藤本もそれぞれ13本と15本(二塁打)、3本と4本(本塁打)と互いに匹敵する数字を残している。
 積算した成績をできるだけ重視したい10年ベストナインではあったが、ただやはり決め手は打率と出塁率になった。0.272と0.283の上西に対して藤本は打率0.333に出塁率0.362と実に素晴らしい成績を残している。守りでは甲乙付けがたくともに日本を代表する両二塁手であるが、やはりここは藤本索子で異論はないであろう。

【三塁手:廣瀬芽(太陽誘電)】
 文句なしだろう。
 安打数151は2位の来條美穂(ソフトウェア)に16本差だが、得点90(2位は古田真輝(織機)で48)、打点103(2位は来條で57)、四球81(2位は中西あかね(トヨタ)で44)はダブルスコア近い大差だ。二塁打31本に本塁打17本は、二塁打王の井上(33本)と2009年本塁打王の谷川(19本)を合わせたような数字であり他を圧倒している。
 ただ強いて言えば意外と打率が低く、0.272は古田の0.296、来條の0.276に次ぐ3位の数字。しかしそれでも十分高い値で出塁率に直すと0.370と跳ね上がる。
 改めて、凄い打者だ。

【遊撃手:三科真澄(ルネサステクノロジー高崎事業所】
 このポジションも名手揃いでありそれぞれに特徴があり、一人を選ぶのは無理なのかも知れない。
 特に安打数で1位、打率も0.329という高い数字で他を引き離し、華麗なグラブ捌きを誇る西山麗(ソフトウェア)、エラーは多いが犠打など細かいプレーもできバッティングもよく、二塁打三塁打で2位の水谷直子(誘電)、打率では西山と並んで3割を超え(0.303)、6年間という短い期間だが二塁打26、三塁打4と水谷と並んで2位の佐藤理恵(レオパレス21)などは数字的にも十分な結果を残している。
 さらに、打撃の数字だけを見ると特筆すべきものはないが、もはや数字では表しようがない経験や神懸かり的な勝負強さを持っている内藤恵美(豊田自動織機)は、成績にとらわれず世界最高の遊撃手をあげろと言われればまず間違いなく僕は個人的に選ぶだろう。
 ただ今回はやはりあくまで数字を純粋に評価したい。そうすると、打率は0.264ながらも打点(82)、四死球(80)、盗塁(23)、二塁打(28)、本塁打(26)でトップの三科を選ばざるをえないだろう。特に本塁打26本は2位の内藤の12を大きく引き離す断トツの値である。
 五輪のような大舞台になればなるほどガチガチになって結果を残せないのが玉に瑕であったが(笑)、それも北京五輪でのあの二塁打と今年の2冠達成決勝戦での大活躍で借りを返したか。
 新たな道に進んでもまた目立つ活躍をしてくれるだろう。

【外野手:馬渕智子(日立ソフトウェア)】
【外野手:山田恵里(日立ソフトウェア)】
【外野手:田中幹子(ミキハウス、豊田自動織機)】

 外野手も3人選ぶのは至難の業だった。とにかく数字を見てもらうしかない。選んだ3人の他に岩渕有美(ルネサス)、松崎絵梨子(誘電)、藤野遥香(トヨタ)、増山由梨(デンソー)、狩野亜由美(織機)、河野美里(レオパレス)の6人の主力選手を加えた計9人を対象に、それぞれの部門のTOP3をあげてみた。

安打馬渕215、山田207、岩渕190)
得点山田113、馬渕101、松崎97)
打点馬渕139、田中102、山田102)
犠打(藤野36、松崎31、岩渕24)
四球田中74、山田55、増山46)
盗塁山田81、増山59、狩野57)
二塁打(岩渕13、狩野11、河野9)
本塁打馬渕35、田中32、山田19)
打 率(河野0.380、山田0.378、馬渕0.357)
出塁率(河野0.433、山田0.424、田中0.391)

 ソフトウェアの3番4番にして日本代表不動の3番4番でもある山田、馬渕は文句なしだろう。
 問題は3人目。どの選手も素晴らしくて落としようがない。特に今現在の日本の外野手としては山田と並んで天才打者の名をほしいままにしている狩野亜由美と河野美里は実際にも素晴らしい数字を残している。
 特に河野は通算打率と出塁率においてあの山田を抜いてトップの数字だ。ただ一つ引っかかったのが、打者有利にルール改正された後のデビューでありレギュラーとしては実働4年という点。やはりここ近年の投手間距離の変更や飛ぶバットの解禁は数値向上に対してあまりにも大きな要因のように思える。
 逆に言えば、打者が圧倒的に不利であった時代から活躍してきてこの数字を残している田中幹子はやはり偉大な打者だと言うことができるのではないか。
 もちろん通算の数字的にも四球で1位、打点と本塁打で2位、出塁率で3位と文句なしの数字を残している。2000年代の日本を代表してきた打者として、田中幹子は十分ベストナインに価するだろう。


【指名打者or投手打者:ミッシェル・スミス(豊田自動織機)】
 さて最後になったが指名選手である。
 ただ各チームとも、長年にわたって同じ選手が指名選手(打者)を務めることが少ない。例えば織機の前川仁美(現マネージャー)や小森由香などは比較的DPとしての打席が多い年が続いたが、それでも他のチームに少ないことから比較が難しい。
 誰にしようかと迷っていたが、もの凄い大事な選手が一人いるのに思いついた。それはもちろんソフトの神様ミッシェル・スミスである。
 確かに投手として出場し打席にも入ることが多かったが、投球回制限があったため投げない日はDPとして出場していた。そういう意味では十分DP選手として選んでもいいのではないか。
 とにかく打撃の数字である。DPの時だけ、というわけではないが、通算の成績が素晴らしすぎる。
 
131安打、52打点、打率0.335、16二塁打、2三塁打、10本塁打、出塁率0.448

 出塁率は恐らく全選手の中で1位で、安打製造機の河野や山田をも上回る。
 本当に凄い選手だったのだ。



 では改めて2000年代(2001~2009年)ベストナインを再掲します。
 ちなみに、選定にあたって参考にした5年以上在籍した全ての選手の通算成績はいずれここに掲載したいと思います。

【投手:ミッシェル・スミス(豊田自動織機)】
【投手:上野由岐子(ルネサステクノロジー高崎)】
【捕手:吉田真由美(戸田中央総合病院)】
【一塁:井上絵里奈(大徳・レオパレス21)】
【二塁:藤本索子(レオパレス21)】
【三塁:廣瀬芽(太陽誘電)】
【遊撃:三科真澄(ルネサステクノロジー高崎)】
【左翼:馬渕智子(日立ソフトウェア)】
【中堅:山田恵里(日立ソフトウェア)】
【右翼:田中幹子(ミキハウス・豊田自動織機)】
【DP:ミッシェル・スミス(豊田自動織機)】


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とまあこんな感じで、今年もよろしくお願いします。


posted by silvercats |22:21 | 女子ソフトボール関連コラム | コメント(4) | トラックバック(1)
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