2009年10月22日
やはりこの選手は天才だった。
狩野亜由美。五輪では不動の一番打者として金メダル獲得に貢献し、アメリカとの決勝戦では先制点となるタイムリー内野安打を放ったが、その時の一塁を駆け抜けるスピードに驚愕したファンも多かっただろう。ワトリーと並んで世界一のスピードを持つソフトボール選手であると言っても、異論を挟むファンはいないだろう。
しかし狩野の凄さは足のスピードだけでない。プレーに対する判断のスピードにおいても狩野亜由美は世界一だ。
* * * * * * * * * * * * * * *
上野からヒットを続けて点を取るのは至難の業だ。わずかなチャンスをなんとか広げ、走塁や犠打を絡め作戦を駆使してもぎ取らないといけない。
第9節下関大会でのルネサス戦では、織機は狩野亜由美の天才的な走塁でその1点を奪い取った。
0-0で迎えた4回裏、3回をパーフェクトに抑えられていた織機はまず先頭打者として狩野が打席に入る。
上野も慎重に攻め3-2としたあと、裏をかいてチェンジアップを投げ込んだが、これをしっかりとためた狩野が右中間に二塁打を放つ。
次の打者は何でも出来る白井沙織。1球バントを失敗したがそれでも次はしっかりとバットに当てて良いコースに転がす。狩野はこれで三塁に進む。
ここで打者は上野キラーの小森由香である。
ボール、ストライクで1-1となったところでルネサスベンチもここがポイントと見たか、いつものようにレフト(今日は奈良岡)と、守備の上手いライトの城戸の守備位置を交代させる。
そして次の投球、小森がバットでしっかりと捕らえて叩きつけた打球はセカンドへ。前進守備のセカンド真正面のゴロだが、やや高く跳ね上がった打球となった。
この打球、三走の狩野がもし打った瞬間にスタートしていれば恐らくセーフになったはずだ。
しかし、高い打球だがボールがセカンド正面に転がったからか、あるいは三塁から見てピッチャーに捕られるように見えたのかも知れない。狩野はこの打球に瞬間的に反応するも一瞬躊躇してしまい、スタートを切ることができなかった。
得点できるチャンスはこの小森が打った瞬間だけだろう。少なくとも普通の走者なら、この時点で得点のチャンスは完全に潰える。
しかしここからである、狩野の天才性が発揮されたのは。
普通の三塁走者であれば、一か八かの場面で打った瞬間にスタートを切れなかったら、もうその時点でホームへ突っ込むことは諦めるはずだ。
しかし狩野は違う。躊躇した次の瞬間には改めてホームを狙うため相手の隙を伺っていた。
セカンドの金澤が打球を捕り、目で三走の狩野を牽制した時点ではすでに狩野は突っ込むのをやめており、それを見た金澤が一塁に投げようと目を切った瞬間、狩野がホームに向かって猛然とスタートを切った。
ルネサス側も守備は洗練されている。セカンド金澤からのボールを受け取ったファーストの大久保がすぐさまバックホームする。いい返球が送られ、乾もブロックをしながら素早くタッチに行く全くロスのない完璧なプレーだったが、しかし、狩野のスライディング技術とスピードはそれを上回るほど完璧なものだった。
乾のタッチを軽やかにかいくぐり、左手でしっかりとベースに触れて決勝の1点をもぎ取った。
狩野の瞬間的な判断、それも一度躊躇した後に再び次のプレーに瞬時に移れる天才性、もちろんそれを可能にする俊足、スライディングの巧さも含め・・・。
全てにおいてまさに「100分の1秒」を争うレベルで勝負できる、それこそが世界一のスピードを持つ狩野亜由美の凄さであろう。
今のソフトボール界において、100分の1秒で勝負できる選手というのは、おそらくこの狩野亜由美と、そして高山樹里だけであろう(笑)
posted by silvercats |07:30 |
女子ソフトボール関連コラム |
コメント(6) |
トラックバック(1)
2009年10月22日
【先攻:ルネサステクノロジー高崎事業所】
1(5):山本優
2(3):大久保美紗
3(D):峰幸代
4(8):岩渕有美
5(6):三科真澄
6(2):乾絵美
7(1):上野由岐子
8(7):奈良岡彩子
9(9):城戸亜里沙
DEFO-(4):金澤杏奈
【後攻:豊田自動織機】
1(8):狩野亜由美
2(7):白井沙織
3(D):小森由香
4(5):古田真輝
5(6):内藤恵美
6(2):ジェニー・トッピング
7(3):長澤佳子
8(9):田中幹子
9(4):酒井かおり
DEFO-(1):ケイティ・バークハート
※
初回にセンターからのバックホームで本塁アウト!
二塁打を放ったあとに三塁に進み、内野ゴロで完璧な走塁をしてホームイン!
そして最後は上野のヒットの打球をトンネル(笑)
今日はまさに狩野亜由美デー!
【1回表:ルネサス~0点】
山本:遊飛
大久保:四球(立ち上がりストライクゾーンに戸惑うバークハート)
峰:左前打
岩渕:遊直(内藤ダイビングキャッチの超ファインプレー!)
※完全に三遊間を抜ける地面すれすれのライナー。このプレーは大きかった!
三科:中前打
(狩野から好返球で本塁タッチアウト!)
※立ち上がりの悪いバークハートを攻めルネサスは四球のあと実質3連続安打。しかし二つのビッグプレーで織機が守りきる!
<センターからのバックホームで二走を刺した狩野>
【1回裏:織機~0点】
狩野:一ゴロ
白井:三ゴロ
小森:空振り三振
【2回表:ルネサス~0点】
乾:死球
上野:左前打
☆乾に代走・関友希奈
奈良岡:スリーバント失敗
城戸:見逃し三振
山本:一邪飛
【2回裏:織機~0点】
☆乾再出場
古田:見逃し三振
内藤:三ゴロ
トッピング:空振り三振
【3回表:ルネサス~0点】
大久保:一ゴロ
峰:左直
岩渕:投ゴロ
【3回裏:織機~0点】
長澤:三ゴロ(初球、止めたバット)
田中:空振り三振
酒井:空振り三振
【4回表:ルネサス~0点】
三科:遊半直
乾:空振り三振
上野:空振り三振
【4回裏:織機~1点】
狩野:右中間二塁打(3-2からチェンジアップをうまく溜めた!)
<上野のチェンジアップを完璧に二塁打した狩野>
白井:三犠打(1球失敗のあと完璧なバント)
<ルネサスお得意の右左の外野守備チェンジ。奈良岡と城戸>
小森:二ゴロ
(セカンド金澤が一塁送球の瞬間に狩野がホームへ!好走塁で間一髪セーフ!)
<内野ゴロでホームに突っ込む狩野>
<完璧な走塁とスライディングで先取点を奪う!>
古田:遊飛
【5回表:ルネサス~0点】
代打西舘果里:死球(左膝をうまく出して当てる。トッピング激怒w)
城戸:一犠打
山本:死球(これがホントの死球だよ!と言わんばかりに背中の真ん中にお見舞いw)
<左ひざをうまく出してわざとボールに当てる西舘。背中の真ん中にぶち当てられて悶絶する山本(笑)>
大久保:遊飛
峰:中飛
【5回裏:織機~0点】
内藤:中飛
トッピング:四球
☆代走に千葉逸美
長澤:一ゴロ(エンドランでランナー二塁へ)
田中:左飛(巧く捉えて綺麗に流すがフェンス手前。もう一伸びが…)
<上野の速球を完璧に捉えた田中。打球はしかしフェンス手前でもう一歩。剛球にバットがしなる>
【6回表:ルネサス~0点】
☆トッピング再出場
岩渕:右飛
三科:二飛
乾:見逃し三振
【6回裏:織機~0点】
代打本田小百合(←酒井):左前打(初球をさすが本田)
<代打に出てきて上野から普通にヒットを放つ本田。こういうところが「天才打者」と言われる所以>
☆代走・横野涼
狩野:空振り三振(バントファールなど進められず…)
白井:一半直併殺打(エンドランかけたが不運にもバットの先に当たりファーストへのハーフライナーに)
【7回表:ルネサス~0点】
上野:中前打・中失二進(詰まった当たりに狩野が前進も砂の部分に落ちてバウンドせず、勢いあまって痛恨のトンネル)
<今日2安打と打でも気を吐いた上野の中前打。狩野の失策で二塁へ果敢なスライディング>
代打橋本留美(←奈良岡):一邪飛(ワンストライクからのバント空振りが痛かった)
<無死二塁の絶好のチャンスに送れなかった橋本。このバント空振りが・・>
代打中野久美(←城戸):空振り三振
山本:二ゴロ(ツマリ)
<最後の打者山本を腰砕けで詰まらせてゲームセット>
試合終了!!
織機が前半戦の借りを返す会心の勝利!
ルネサス高崎 0000000…0(4安打0失策)
豊田自動織機 000100x…1(2安打1失策)
ルネサス:上野-乾
織機:バークハート-トッピング
(二)狩野
<ルネサス>
(守)打者 一回……二回……三回……四回……五回……六回……七回
(5)山本 遊ゴ……一邪…………………………死球………………二ゴ
(3)大久保 四球………………一ゴ………………中飛……………………
(D)峰 左安………………左直………………中飛……………………
(8)岩渕 遊直………………投ゴ…………………………右飛…………
(6)三科 中安…………………………遊ゴ………………二飛…………
(2)乾 …………死球………………空三………………見三…………
(1)上野 …………左安………………空三…………………………中安
(7)9奈良岡 …………見三…………………………代走………………一邪
打 西舘 …………………………………………死球……………………
(9)7城戸 …………見三…………………………一犠………………空三
<織機>
(8)狩野 一ゴ………………………右中二………………空三
(7)白井 三ゴ…………………………三犠……………一直併
(D)小森 空三…………………………二ゴ……………………
(5)古田 …………見三………………遊ゴ……………………
(6)内藤 …………三ゴ…………………………中飛…………
(2)トッピング …………空三…………………………四球…………
走 千葉 …………………………………………代走…………
(3)長澤 ……………………三ゴ………………一ゴ…………
(9)田中 ……………………空三………………左飛…………
(4)酒井 ……………………空三………………………………
打 本田 ……………………………………………………左安
走 横野 ……………………………………………………代走
再出場酒井 …………………………………………………………
※一回り目は9人の打者で5三振の織機、二回り目は三振ゼロ。
posted by silvercats |06:21 |
日本リーグ1部公式戦観戦記 |
コメント(6) |
トラックバック(0)