2007年06月07日

あり余る戦力を抱える巨人の伝統

先日、巨人の矢野謙次選手が代打逆転満塁ホームランを放って再び脚光を浴びました。
05年に57安打7本塁打、06年に90安打6本塁打して
レギュラーをつかみかけた矢野選手でしたが、
今季は新外国人・ホリンズの加入で再び同選手がはじき出される形となっています。
そこにきてのこの活躍なので、「移籍選手や外国人選手ばかり重用せずに、
生え抜きの矢野をもっと使ってやれ」という声がファンからも上がっているわけですが、
こういう例はこれまでもジャイアンツでは、ままありました。

わたしがプロ野球を見始めたころだと、淡口憲治(現日本ハムコーチ)、
山本功児(前ロッテ監督)なんてところが、
厳しい競争にさらされてレギュラーになれそうでなれない選手でしたね。
ちなみに2人は兵庫県の三田学園の先輩・後輩(山本が1級上)です。

ONをも凌ぐスイングスピードを誇り、「コンコルド」の異名を取った淡口は
長嶋監督が就任した75年から頭角を現し、当初は代打男として活躍、
75年に92安打12本塁打、76年に77安打10本塁打したものの
レギュラーには定着させてもらえません。76年に張本勲、80年にホワイト、
81年にトマソン、83年にスミスと次から次へと外野を守る移籍選手や外国人選手が
加入してきて、なかなか常時出場とはならなかったのです。

ようやく83年に規定打席に到達して115安打10本塁打50打点、
打率.302(リーグ13位)の好成績を収めるものの、
翌年クロマティが加入して定着すると、86年に近鉄にトレード。

同年、107安打8本塁打38打点、打率.297年の成績を収め、
89年まで現役を続けました。通算1076安打118本塁打、打率.275という
なかなかのレベルの成績だと思いますが、
常時出場していればもっと高いレベルの成績を残せたのではないでしょうか?

一方の山本功児は一塁が本職だったため、淡口以上に出番に恵まれず
(一塁は王さんの定位置でした)、80年限りで王がようやく引退したと思ったら
原辰徳が入団して三塁に入り、それまで三塁を守っていた中畑が一塁に回って、
山本の出番は回ってきません。そして、83年に中畑の一塁の後釜、
駒田徳広が頭角を現すと、翌84年にはロッテにトレード。

山本はこのとき、既に32歳だったのですが、
84年は129安打10本塁打66打点、打率.301(リーグ9位)、
翌85年は121安打10本塁打67打点、打率.293(リーグ14位)、
守っても2年連続でゴールデングラブ賞を受賞します。
ジャイアンツはこれほどの選手をいわば「死蔵」していたのです。

しかし、山本のピークは結局この2年で終わり、88年限りで引退。
699安打64本塁打、打率.277の生涯成績で終わります。

ちなみに、80年から88年にかけて巨人の一塁は中畑が守り、
駒田が定位置を奪うのは89年からなのですが、中畑一塁時代には
ゴールデングラブ賞2回の山本、同10回の駒田はもっぱら外野を守っていたんですね。
なんとも贅沢な選手起用です。

巨人の余剰戦力が他チームに転じて俄然活躍するケースは他にもままあり、
古くは宇野光雄、岩下守道の例が有名です。

戦前の慶応の「100万ドルの内野陣」の一角を占めた宇野は戦後、巨人に入団。
51年に118安打59打点、打率.303(リーグ10位)、
52年に117安打54打点、打率.290(リーグ11位)という好成績を収めますが
53年にはもう36歳という高齢だったため出場機会が減り、
54年には国鉄に放出されますが、ここで意地を見せ
138安打56打点、打率.291(リーグ12位)でベストナインに選ばれる活躍を見せます。

宇野は56年に引退した後は国鉄の監督となりますが、
敵愾心をあらわにして巨人に立ち向かって善戦、
巨人vs国鉄を人気カードに育て上げます。

一方の岩下は控え一塁手(当時の正一塁手は川上哲治)として5シーズンを過ごし
59年に宇野が監督を務める国鉄に移籍して
120安打、打率.280(リーグ7位)の活躍を見せます。

時代が下って、淡口、山本と同時代にやはりロッテに移籍して開花した
庄司智久という選手もいました。この選手77年にはイースタンで
首位打者、本塁打王、打点王の三冠に加え、盗塁王も獲った選手なのですが
一軍では代走でしか使ってもらえず、80年にロッテに移籍。
81年には151安打10本塁打63打点、打率.293(リーグ16位)という活躍で
オールスターにも選ばれたのでした。

最近では現楽天の吉岡雄二もこのパターンですね。
巨人では7年間で69試合にしか出場機会がなかったのに
97年に近鉄に移籍して開花しました。

ところで、最近読んだ本(「プロ野球選手の知られざる生活」 斉藤直隆著、アスペクト刊)で
件の山本功児さんが「選手は余ってもいいから、どんどん補強して欲しい」という旨の
発言をされていて、驚きました。

巨人が貪欲に補強を繰り返したせいでロッテに移籍するまで不遇をかこった
功児さんがそういう発言をするとは…。
立場が変われば、見方も変わるということなんでしょうが、唖然としました。

さてさて、矢野選手の行く末やいかに?
過酷な競争に打ち勝って定位置を奪い取って欲しいですね。
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posted by しゅりんぷ池田 |11:51 | 野球 | トラックバック(0)
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