2007年07月12日
最高打率から最多安打へ:価値基準の転換
先日、ヤクルトの青木宣親選手が373試合で500安打に到達し、 従前の記録を更新する最速記録となったという記事を見て、 よくまた、そんな記録を拾ってきたものだと、感心してしまったわけですが 従前の記録保持者が別当薫さんというので、また驚いてしまいました。 最速500安打というと、入団1年目から大活躍した長嶋茂雄さんか、 やはり入団早々からバリバリ働いた外国人選手(ブーマーとか) ではなかろうかと思ったのですが、違ったのです。 別当さんの従前の記録が386試合で2位、3位がブーマーで390試合、 以下やはり外国人選手の名前が並んでいて、 長嶋さんは418試合でなんと11位なんですね。 長嶋さんは1年目が打撃ベストテンの2位(この年、首位打者なら三冠王!)で、 翌年からは3年連続で首位打者で、入団1年目から6年連続でセ・リーグの 最多安打打者でもあったのですね。しかし、その数は153、150、151、158で 青木の202、192(05、06年)とはかなりの差があります。 青木の05、06年の打数が588、599なのに対して 長嶋は502、449、452、448と100打数以上の差があります。 一番打者の青木に対して中軸を打っていた長嶋の方が打席が少ないというのも ありますが、当時はリーグ全体の打率が今ほど高くなかったので 打席が巡ってくる機会がより少なかったのでしょう。 一方の別当さんは1年目からの安打数が114、184、160、123(48~51年)で 500安打に到達。これはやはり49、50年に使用されたラビットボールの影響でしょう。 イチローが94年に210安打を打つまでのシーズン最多安打記録だった 藤村富美男さんの191安打もやはり50年に作られた記録ですしね。 (藤村さんについてはベースボール・マガジン社のHPのコラムでも 触れているので、そちらもご覧になってみてください↓) http://www.sportsclick.jp/sportscard/column01/index37.html しかし、最多安打という記録に注目が集まるようになったのは そのイチローの出現以来です。イチローが年間200安打に到達するのでは? となって注目が集まり、その94年からタイトルとして表彰されるようになりました。 「打率は日々変動するけど、安打数は日々積み上げられて減らないので そちらの方を目標にしている」というイチローの発言以来、 安打数が注視されるようになり、実際それ以降、 最多安打のタイトルのレベルが上がり、190本台の争いとなり、 青木のようにイチローに続いてシーズン200安打を達成する打者が出てきました。 そういえば、それに反比例するように首位打者への注目度が落ちている ような気がするんですね。首位打者は、かつては「バッティングチャンピオン」と 称されるバッターにとっては最高の栄誉だったのですが、最近はより直接的に 勝利に結びつくホームランの方に価値が置かれるようになっている気がします。 かつて一流打者の証明のように言われていた「打率3割」も、 現在では比較的容易に達せられるようになって価値が減じています。 打率というのはヒットを打つ技術の指標だと思うのですが、 「打率志向」から「安打数志向」に変わったということは、 技術を競う時代から成果を競う時代に変わってきているということなんでしょうか? (まあ、もちろん技術が一定レベル以上ないと成果は上げられませんが…) 野球道を究めて打率を上昇させるよりも、打率は低くとも安打数を稼いで チームの勝利に貢献する方向に変わっているんですかね。 前者の場合、ややもすると、チームの勝利を度外視してでも 自分の打率を高めようとする弊害が出ることがあります。 苦手な投手の際には欠場してみたり、 打率を維持するために最後の数試合を欠場したりとかの例ですね。 そうすると、かつての「打率志向」よりも現在の「安打数志向」の方が 野球の本来の目的(チームの勝利)に適っているのかもしれません。 まあ、どちらが正しいかというのは判断できないところですが、 何か、やはり野球の質が変わってきているんだなというのを感じた次第です。
BBM東京ヤクルトスワローズ2007より「走れ!ノリチカ!」 http://www.sportsclick.jp/sportscard/card/2007_swallows/index.html
posted by しゅりんぷ池田 |15:06 |
野球 |
トラックバック(1)
トラックバックURL
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shrimp/tb_ping/85
この記事に対するトラックバック一覧
球史に残る名選手- (77) 【 プロ野球狂の詩 】
別当 薫 (べっとう かおる) スワローズの青木が56年ぶりに史上最速となる373試合目にしての通算500安打を達成した。と言うことで今回はその記録を塗り替えられた側の選手を紹介する。子供の頃は頻繁にCMが流されていた"H
2007-07-14 21:03 | 続きを読む





