2007年11月14日

規定投球回到達投手が激減~稲尾和久さんのこと

またまた、更新間隔が開いてしまいましたが、久々の更新。
毎年、レギュラーシーズンが終了した時点で、さまざまなタイトルが確定し、
その年の打撃成績、投手成績の一覧表がスポーツ紙などに載りますが、
その表に名前が掲載されるのは、打者なら規定打席(試合数×3.1)、
投手なら規定投球回(試合数×1.0)を超えている選手のみ。
つまり、常時出場している選手しか、その表には登場しないのですが、
今年のセ・リーグは、規定投球回に到達した投手が12人しかいなかったのです!

中でも、阪神は到達投手ゼロ! JFKという日本球界を代表する抑え陣が磐石なため、
先発投手はせいぜい5~6回を投げれば御の字ということで、
誰も規定投球回144に達しなかったのですね。
今季の阪神で最も投球回が多かったのは、唯一の2ケタ勝利投手の下柳剛で129回1/3。
25試合に登板して10勝8敗ですから、1試合平均5.17回ということになります。
規定投球回に到達した投手が1人もいないというのは、
現行制度になってから4例目という珍しい事例で、従前から話題になっていたのですが、
他のチームも同じような状況で、リーグ全体でわずか12人という数の少なさに驚きました。

というのも、90年代初めにカルビーでプロ野球チップスのカードを作っていたころ、
どの選手をカードにするかという基準を、この規定打席、規定投球回に拠っていたからです。
規定打席に到達している打者が30名、規定投球回に到達している投手が20名で
両リーグで計約100名。それに、その年たまたま調子を落としていた有力選手、
翌年の大型ルーキーなどを加えた約120名(各球団10名前後)をカード化していたのです。
それが10名ほどしかいないとなると、基準として成り立たなくなってしまいますね。

しかし、改めて見直してみると、ここ10年ほどで
規定投球回に到達する投手の人数はめっきり少なくなっていたのですね。

	01	02	03	04	05	06	07
セ	17	16	13	14	14	17	12
パ	13	15	13	15	15	18	16

かつて、わたしが想定していた、「規定投球回に到達する投手はリーグに約20人」
という目算はすでに成り立ちません。投手の分業化の流れが止むことはなさそうなので、
(試合数×1.0)という投球回を超える投手は今後ますます少なくなり、
そのうち、規定投球回の回数の見直しが図られるのではないでしょうか?

先に、「現行制度になってから」と書きましたが、投手の規定投球回が
(試合数×1.0)となったのは1966年からのことで、
それ以前は年によって180回だったり、190回だったりと、マチマチだったのですね。
(詳しくは下記をご覧ください)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E6%8A%95%E7%90%83%E5%9B%9E

「毎試合1回投げたとして144回か…」と、なんとなく納得していましたが、
よく考えれば、その数字に合理的な根拠はありません。

規定投球回が(試合数×1.0)となった最初の年、66年に
パ・リーグの防御率1位となったのが、昨日お亡くなりになった稲尾和久さんでした。
54試合185回2/3を投げて11勝10敗、防御率1.79という成績で、
稲尾さんにとっては現役最後のタイトルとなったのですが、過日、氏の伝記を
読んでいたところ、同年、自分が規定投球回に達していると思っていなかったので、
予期せず防御率のタイトルが転がり込んできて驚いたという記述がありました。
毎年300回も400回も投げていた稲尾さん的には、
200回にも達していない投球回は不本意だったのでしょう。

なにしろ、稲尾さんが入団した56年の規定投球回数は史上最高の230回!
(この年は試合数も多くて各球団154試合)
ちなみに、今季200回以上に登板した投手はグライシンガー、ダルビッシュ、涌井の
3人のみで最多の涌井でも213回なので全員、規定投球回未満となってしまいます。

いやあ、こんなところにも野球の質の変容というのが現れているんですね。
そして、昔日の大投手たちの残した実績の偉大さを改めて実感した次第です。
20071114-00.jpg


BBM HISTORIC COLLECTION 2006 RECORD MAKERSより

posted by しゅりんぷ池田 |13:58 | 野球 | トラックバック(2)
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