2008年07月08日

1 及時雨宋江

人生におけるハイライト。人はみずからそれを選んで生きられません。
なかには計算する人もいるやもしれませんが…あまりうまくはいかないでしょうね。
ユーロでのスペイン優勝をみて感じたのがこれでした。
むろん彼らはこれからも栄光を追い求めてゆくことでしょう。代表でもクラブでも。
たたかう者が満足をおぼえてしまったら、それは選手である資格を失いますから。

さてレギュラーナンバー第一弾は背番号1。いわずとしれたGKナンバーです。
これがちとやりづらいんですね。
というのは前回までに各国背番号の適正を紹介したワケですが、そんななかわたしは
「どうせならレギュラーナンバーはすっとんきょうな背番号のヤツらでやってやろう!」
などとたくらんでいたからなのです。
しかしさすがにGKは独立したポジションで、なかなか該当者がみつかりません。
82W杯のアルディレスなどはあまりに有名なハナシですしねえ。さあどうしましょ?

背番号1は守護神の象徴。それにふさわしい選手がゴロゴロしています。
ブッフォン、カシージャス、チェフ、クペ…そして今季かぎりで引退したオリバー・カーン。
いやいや、きら星のごとくとはいったものです。みなさん風格がありますなぁ。
そんなわけで、こんなスゴイ選手たちはよっこらしょと。
ドイツの若き1番たちにご登場ねがいますかな。

レバークーゼンのアトラーとシャルケのノイアー。ともに今季、07-08からの1番です。
彼らはそれぞれ昨季、ブットにロストという両ベテランからポジションを獲得しました。
二十二三の若さでこれはすごい!ドイツは1番の敷居が高いですから。
優秀なGKを大量に輩出するブンデスリーガでは、背番号1はほとんど神々しい数字です。
中堅以上のクラブであれば、まずポッと出の若造なんぞに1はご縁がありませんね。

これはドイツ代表にもいえることです。
06W杯直前。開幕まぎわにドイツのGKはレーマンに決まりました。
時を同じくして、それまで当然のことだったカーンの1番が剥奪されたのです。
そのカーンが出場した三位決定戦は、じつに36年ぶりの記念すべき試合となりました。
背番号1がW杯に出ないゲームは、70W杯のボルター出場以来のできごとだったのです。
ドイツにおけるナンバー1の価値がいくらかわかっていただけでしょうか?
二人の若者にとって今季は背番号1が重たいシーズンでしたが、そういう経験をすることによってたくましいGKになっていくのでしょうね。

これに対し背番号1が軽いのがフランスです。
「クペは?ランドローは?二人ともクラブじゃ1番で正GKじゃない」とおっしゃるアナタ。
たしかにそうなんですが、それでもドイツの重さとはまるで比較にならんのです。
それが端的にあらわれるのが代表チームでしょうね。

今度のユーロではレギュラーはクペで23番。セカンドのフレイは16。
1番はもっとも格下のマンダンダがつけました。
この傾向は今回にかぎったことではありません。06W杯を思いだしてください。
正GKを争ったバルテズとクペがそれぞれ16と23で、かやの外のランドローが1番。
むしろレギュラーは背番号1を回避しているようにみえるほどです。
…実をいえば、フランスの1番が最後にW杯に出場したのは三十年も前のことでして。
78W杯でバラテッリが交代出場して以降、この国の1番はW杯のピッチに出ていません。
ドイツとフランス。ともにGK大国ですが、この対照はどこから来るのでしょう?

さて妙ちきりんなポジションの1番はすくないと先程いいましたが、そうはいってもみなさん、ひとりは確実に知ってますよね?ええ、そのとおり。彼のことです。
現在はAEKアテネにいるパンテリス・カフェス。MFにして1番を好む選手です。
彼の1番嗜好がいつにはじまるのか定かではありませんが、PAOKにいたころにはすでに背番号1をつけていたようです。
その後のオリンピアコス時代が、やはりいちばん有名ですかね。
背番号1のフィールドプレイヤーは、CLで大いに名を売ったのでありました。
彼が移籍したとたん、オリンピアコスがグループリーグを突破したのは不憫でしたが…。

そんなカフェスですが、やはりギリシャが優勝した04ユーロははずせません。
カフェス自身の出場はなかったのですが、文句なく彼の獲得した最大のタイトルですから。
おそらくは控えとしてチームをもりたてていたのでしょう。1番をつけて…って、あれ?
カ、カフェスの背番号が16番になっている!
背番号1は正GKのニコポリディス?な、なんで!
いえ、わたしはへんてこな背番号の選手には基本的につめたいんですよ?
ただそれにしても…1番にナゾの執着をしめし、各クラブで正GKといらぬ葛藤を生じたであろう奇特な男が、よりにもよって選手としてのハイライトを16番でむかえるなんて!
ギリシャにとって優勝は望外のよろこびでしたが、カフェスには運命の皮肉でもあったワケです。これを気の毒と呼ばずしてなんというのでしょう。

カフェス、キミの1番は許します。AEKでCLに帰ってきてください!

posted by shousetsu |16:18 | ナンバー | コメント(6) | トラックバック(0)
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