2008年06月20日

股旅さん、いらっしゃい!

ゆえあって宇都宮徹壱さんの『股旅フットボール』について書くことになりました。
いやまあ、プレゼントに当選したから。ただそれだけなんですけど…。
それにしてもアタるというのはやはりうれしい!
とくに就職活動にスカり続けている身としてはね。
宇都宮さん、東邦出版さま。どうもありがとうございました。
恩義に報いるためにも、これははりきって書かねばならんでしょう!

…と、ここで冷静になりました。
『股旅フットボール』の発売は今年の四月。今から二ヶ月も前です。
あたりまえのことですが、すでに書評はズラリと出そろってますね。
一覧は宇都宮さんのサイト「徹壱の部屋」(http://supporter2.jp/utsunomiya/)をどうぞ。
まあ語りつくされてますわねえ。うーん、何書きゃいいんだろ?

この『股旅フットボール』は地域リーグ(4部相当)のクラブ、なかんずく将来のJリーグ参入を夢みる地方クラブの悲喜こもごもを追ったものです。
Jリーグ百年構想がとなえられてはや十二年。
当初は関東の都市が多くこれに食いついたのですが、ここ数年の中心はいよいよ田舎。
宇都宮さんが取材したのも、FC町田ゼルビアをのぞけばいずれも地方都市のクラブです。
腰の重い田舎の人たちにもようやく浸透してきた。そういうことなんですかね?
まあそういうワケでもないことはこの本に書かれているのですが…。

ところで宇都宮さんのプロフィール。
福岡県生まれのようですが、「幼少からずっと東京で暮らす」となっています。
それは本文中にもあらわれていて、「生粋の東京育ちゆえに、中央への羨望とも地元への劣等感とも無縁の生活を送ってきた私」なる記述が。
うんうん、これ。これでいきましょう。

当方生まれは福井市の病院。ものごころついてからはとなりの丸岡町ははずれの育ち。
まずは田んぼのなかで育ったというところです。
そんな“生粋の田舎者”たるわたしが、田舎者目線でこの本を読んだ感想とは?
これなら他の人たちとカブることはなさそうですからね。

日本各地でJをめざすクラブに次々と取材していく宇都宮さん。
そんな各クラブの関係者はこんなコメントを発していますね。
まずはグルージャ盛岡の場合。
「商売にも言えることなんですが、慎重すぎるんですよね、私が言うのも変ですけど。石橋を叩いても渡らない。岩手の県民性なんですかねえ。積極性がないんですよ。だから盛岡でも岩手県でも、何かもうひとつパッとしない。」
続いては北陸、ツエーゲン金沢。
「金沢には『余所者、若者、馬鹿者』という言葉があるんです。何か新しいことをやるのなら、余所者で、若くて…そして無我夢中でやれる人に限ると…」

耳がいたいなぁ。わが福井にもそっくり当てはまりそうだ。
田舎者が保守的なのはもうおっしゃるとおり。少数の例外はもちろんあるでしょうけど。
そしてそれは個人の性格もさることながら、めいめいの属するコミュニティを守る意識から生じるのではないかと思います。
そういうトコロでは既存の秩序を崩す者は排除される。出る杭は打たれるというヤツです。
そうすると「よそもの、若者、バカモノ」の意味がよくわかりませんか?
まず、そもそもコミュニティの外にいるよそもの。
既存の秩序に対して、たいした理由がなくとも反発する若者。
そして方向はよくわかっていなくても、とにかく駆けだしてしまうエネルギーの持主。
いずれも改革の際には必須の条件なのであります。

…もっともこれ、いちがいに地方限定にはできませんかね?
中島みゆきさんは「たたかう君の歌をたたかわないやつらが笑うだろう」といいました。
「日本最大の田舎」大阪にもこれは当てはまりそうだし、そもそも日本そのものが千年以上にわたって舶来コンプレックスをかかえる根っからの田舎者のような…
おっと、マクロにしすぎると焦点がボヤけてしまう。やめておきましょう。

宇都宮さんは「おらが町のクラブ」なる言葉を批判して次のように言います。
「結局のところ「おら」とは、中央から見た地方へのステレオタイプな眼差しであり、…「おらが町のクラブ」という何気ない言葉が、実のところ、中央が地方を睥睨するかのような物言いであることに、われわれはもっと自覚的であるべきではないだろうか。」

ふうむ、考えもしなかった。そんなもんなんですかね。
だけどおそらく田舎者は「おらが町のクラブ」といわれても、自分たちのことだと意識すらしないと思いますよ。せいぜい小林一茶の「おらが春」を思い出すくらいか。
なんせ自らが全国的なテーマになるなんて、まるで考えてもいないのが田舎者なんです。
「ふうん、そんなことがあちこちで起きてるんだ」と遠いまなざしをする。それが田舎者。
とはいえそうじゃない人たちがいるからこそ、Jをめざすクラブが出てくるのでしょうけど。

もとより地方は中央にコンプレックスをいだいています。それは否定しません。
ただしそれはこういうことばに対する反発ではありません。
それがもっとも尖鋭化するのは道路問題ですかね。
じつはこれ、実益問題に見えますがそうじゃない。感情論なんです。
まあここはサッカーのおはなしの場。これ以上はいたしませんけど。

宇都宮さんがFC岐阜を取材したときのこと。次のように書かれています。
「岐阜の町に活力と潤いを与えていた繊維業界は、近年は頭打ちとかで、駅前にはシャッターを降ろしたままの店舗が並んでいる。岐阜パルコもこの夏で閉店し、どうにも町全体に躍動感が感じられない。」
別の箇所でもこんな記述が。
「どこまでも続くシャッター商店街、活気があった時代を遠い目で懐かしむ小料理屋の老夫婦、そして深夜のコンビニで座り込む虚ろな目をした若者たち…取材先で何度も目にしてきた光景である。」

うーん、これはひとこと言いたい!
中央と地方の格差拡大は明白な事実でしょう。田舎の経済も活気がないのかもしれない。
現にわが親父なども憤懣やるかたないようです。
しかし駅前のシャッター商店街、これだけで田舎を語られては困るのです。

すべてそうとは言いませんが、おおむね地方は車社会です。車がないとハナシにならない。
年寄りが免許を返上したがらないのもそのためです。
そんななか駅前にかわり繁栄するのが郊外のバイパス沿線。わが地元では国道8号線です。
せめてこのことを言ってくれないと、まるで田舎はゴーストタウンになってしまう。
田舎は保守的といいましたが、とくに古くからの商店街の保守性たるや…
いや、これはわが地元だけかもしれませんけどね。

わたしの田舎者の見かたに不愉快なかたもいられるかと思います。
なかには「なんだこのインチキヤロー!」なんていきりたつ田舎の若者もおられるかも。
いいんです。遠慮なくどんどん怒ってください。
おそらくあなたこそが、田舎を変えていく原動力になるハズですから。

みやげにもらったサイコロ二つ。股旅宇都宮さんはこれからも地域リーグを追っていくようです。
わが福井には北信越1部にサウルコス福井。2部に丸岡フェニックスが。
彼らもそのうち宇都宮さんの目にとまることになりますかね。
…いかん!すでに他人事目線になっている!

posted by shousetsu |16:29 | 何番? | コメント(0) | トラックバック(0)
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