2009年03月25日
WBCが終わり、ついに野球の2009年シーズンが幕を開けました。北京五輪、WBC、欧州ワールドカップ、そしてついに迫ってきた2016年五輪の決定会議。思えば2003年に五輪から外れてからずっと、野球にとって2009年と言うのは一つのゴールのような年でした。なんの目処も立っていない逆境づくめの状態から出発し、この2009年における成長を目指して、長きに渡って様々な努力がなされてきたのです。もちろん今回のWBCがその一つですし、次回の五輪に向けての協力の取り付けもそう、制度の改革からロビー活動にいたるまで、ド素人の僕から見ても、この数年漏れ聞こえてきたものは逆境に立ち向かう歯の軋むような音ばかりでした。数多くの逆境を乗り越えてきたのも、この2009年のためであったのだと言うことは疑いようがありません。このブログでも幾度と無く、その展望は危うくも明るい兆しが見えつつあると書いてきました、それは嘘ではありませんでした。しかし2009年に突入し最初に見えてきたのは、それを否定せざるを得ない今までで最大の逆境でした。現実的に考えて、五輪復帰は現状不可能。ソフトボールと野球が、離反してしまったのです。
事が極まったのは2月26日、フロリダオーランドのレストランにて行われたIBAFハービー・シラー会長とISFドン・ポーター会長との会談内容がISF側から断られてしまった時のことでした。本来なら野球とソフトボールを繋ぐ最後の砦となったであろうと目されていたこの会談でしたが、ISF側がつきつけたNOは、まるで予定されていたかのような素早く簡潔なもの。とりまく人々の反応はどこか諦めに近いもののように感じられましたが、それはこの事態が皆薄々そうなってもおかしくはないと思いつつあったからでしょう。事実、ISFが野球からの離反を顕著に示したのは、これが初めてではありません。2012年の五輪削除決定以来「野球のイメージが我々を貶めてしまっている」という風潮が広まっていると言われていたISFは、野球よりも一歩も二歩も早い段階からその対策を講じてきていました。当初から野球と足並みを揃えていくことには懐疑的だったようですし、各地の野球協会からソフトボール協会を独立させるように動き、いちはやく五輪への追従的な体制改革も行っていたのです。この会議はそうした流れを受けて危機感を感じたIBAF側が急遽に近い形でもうけたものでしたが、周囲が感じられるほどに冷え切っていた関係において、それほど現状の解決に有効なものとはなりませんでした。
もちろん、まだまだこれが最後のチャンスであると言うことはありません。ポーター会長が現在推し進めているソフトボール協会の分離計画があまり評判が良くないことがその良い例でしょう。そもそもスポンサーも少なく競技人口としても大きな市場を得られていない、だからこそ野球協会や時にはクリケット協会と一緒になって経営されているのであって、それを方針如何でさっくり分けられるほど、両競技を取り巻く経済情勢は芳しくありません。一つ一つがそうなのですから、競技全体として見てみればその傾向はさらに拡大します。男女差があまりにありすぎる競技人口、ただでさえ食いぶちを潰しあっている競技形態。IBAF・ISFともにIOCからの要求によって両競技弱点である男女の大会の拡充を行ってはきましたが、それでもなお彼らが自らを一人立ちさせられる程の余力を感じているとは思えません。もとよりこの問題はYESしか選べない選択だった、はずなのです。しかしながら、この破談後にISFが出した結論は「男子チームの派遣」、それはすなわち野球の取り付くしまをばっさり切り捨てる決別宣言でした。
この話が悲しいところは、ソフトボールの方々がそう考えるにいたっても、野球側からは文句の言い出しようが無いというところにあります。度重なるドーピングに関する注意もほぼ野球選手から出されていた結果ですし、また五輪において大きなネックになっていると言われていたトッププレイヤー派遣問題も大体は野球に関するクレーム。施設に対する巨額の設備投資に関してもソフトボールは対策を打ち出していますし、悪いイメージに関してはほぼ野球と見られてしまっても、仕方がない気はしなくも無かったりなんかしちゃったりとお茶を濁すしかありません。IBAFはMLBとIOCの間で路線の中間を探ってはいますが、そもそもISFにはIOC以外に選択肢は無く、こうなるのも素直に頷けてしまいます。ただこの話がややこしいのは、そうした選択が一概にソフトボールが野球を切り捨てた事を意味しないという事にあるのかもしれません。男女比が野球よか偏っていないとはいえまだまだソフトボールも発展の途上にあり、目下IOCへの最大のアピールの場とされていたハーレム大会も暗礁に乗り上げ、内外においてそこまで強い地位を保っているわけでは無い事実。それでもなおポーター会長がこうした決断を下すのは、そこに野球と足並みを揃える以上のマイナスを見出せなかったからにほかなりません。
オリンピックという大会は、現在アマチュアリズムの最大の祭典と商業主義のつきつまるところと言う二つの性格を持った大会となっています。MLB側から言わせれば利益の為にトップ選手を呼びたい集団なのだと言えますし、IOCから言わせれば世界のスポーツのトップという対面を守るものとしてトッププレイヤーは必要だとも言えます、それらはどちらも間違ってはいません。現在IOCが野球・ソフトボールにつきつけている要求も、そのほとんどはいつも建前として「世界的な競技」あるいは「画一的で民主的な体制管理」がついてまわります。野球よか競技の体力が劣るとされている競技達はIOCに対して「誠意のある対応」を守り好感触を得ていますし、ISFはIOCが持つこうしたアマチュアリズムの溢れる一面性に賭けた、といったところでしょうか。市場の大きい野球の強豪国を頼らなくとも、競技としてしっかりとした体制を作ればIOCは好感を持って迎えてくれる、その可能性が野球と一緒にいて体力を高めるよりありえると考えた、と言えば分かりやすいでしょうか。
女子のマーケットの開拓がまだまだ始まったばかりである野球は、ソフトボールよか体力がありながらも、数々のマイナスに勝るプラスを持っていません。両競技の分離は五輪ソフトにとっては劇薬という段階にとどまっていますが、五輪野球にとっては即刻致命傷につながります。今までの逆境がマイナスを潰していくことだったとすれば、今回の逆境は今になって基礎を作らなくてはならない程のこと、その傷の深さの違いは語るまでも無いでしょう。今後野球が五輪の舞台から姿を消すことがあれば、それはシンガポールでも北京でもロンドンでもなく、2月26日のオーランドのことであったと語り継がれるようにも思えます。あと一年も無いこの段階で、今から野球という競技が歩みだせる方向性はたったの3つ。ISFの気がかわるまで口説くか、女子野球を2013年までに拡充させるか、非五輪の有名競技に追随するか、です。2013年までの拡充は容易ではありません。現在の状況では野球単独で資金を捻出してくれる人々は少なく、WBC路線は現在の加盟国の約6割ほどが死に絶える事が容易に予想されます。ISFを口説き落とすことは、半年と言う時間が十二分とはいえません。
逆境に挑む人を見るのは、嫌いではありません。しかし今回の騒動はそんな奇麗事を差し引いたとしても、正真正銘ここ数年で最大の逆境です。東京・シカゴの地の利が、ドーピングへの対策が、MLBとの話し合いが、水泡に帰してしまうかもしれない。「野球は五輪から消えてしまうのか」という質問はこのブログをやっていく中で一番多くもらった質問であり、一番ポジティブな内容で答えをごまかしていた質問でした。今、野球は五輪から消えつつあります。一日一日づつ、それも目の前で、着実に消えつつある。残念ながら今、それが最も正しい答えです。
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2009年03月17日
オランダ 3-9 アメリカ
今から10年前、1998年イタリアで行われたワールドカップにて、オランダ代表はアメリカ代表から奇跡的な一勝をあげました。そのときのスコアは3-1。当時の代表と今回のWBC代表、両方参加を果たしているのはファンクルースターとロンブリーの両外野手、そしてコルデマンスのおじさまのみ。1998年当時のアメリカ代表はプロが解禁される前という事もあってお世辞にも圧倒的実力を誇っているメンバーではありませんでしたが、それを差し引いてもその一勝は歴史的と呼んでしかるべき価値のあるものでした。ヨーロッパでは半世紀近く無類の強さを誇り続けていたオランダも、アマチュアレベルでの強豪に辿り着いてからの数年は、欧州王者ともてはやされるような意識な訳でも、野球新興国の急先鋒と言われるほど結果が伸びていたわけでも無く、ただただ一歩一歩をつめる地味な時代が続いていたのです。キューバに勝ち、ワールドカップで上位争いを演じ、WBCでドミニカを破り。1998年のあの一勝が中堅への壁だったとするならば、この一戦はまさに、目に見える形であらわれた強豪への壁でした。
オランダにとってもアメリカにとっても後が無い第一戦、ここで両国がたてた先発投手はアメリカがオズワルド、オランダがハンデンバーグ。オランダは打線に北京の4番デヨングを立てるなどなど、打ちあぐねていた感なる打線に手を入れてこの試合に臨みはしましたが、アメリカの壁はそうそう簡単には揺るぎません。一回にはキングセール、デカスター、サイモンのキュラソーメンバーが三者凡退に抑え込まれると、二回にはデヨングが期待に応えて出塁を果たしますが、エンヘルハート、ルーイが力でねじ伏せられて沈黙。その裏、オランダの壁であったハンデンバーグも苦しみながらの投球を続けていましたが、1回ライトにライトへライトな犠牲フライでさっくり先制されてしまうと、2回には1番ロリンズにツーランホームランを浴びせられ、3回にして早くもコールドへのカウントダウンを始められていました。オランダ打線が打ち上げる内野フライが、アメリカ打線ならば犠牲フライとなり、オランダ打線が飛ばす外野フライは、アメリカ打線ならばホームランになる。目に見えて分かるほどの地力の差、試合開始から見せ付けられたこの差が今まで見えなかった「オランダと強豪を分ける壁」だったかのように感じらたのは、多分僕だけではなかったはずだと思います。
この10年でオランダが変わったことがあるとすれば、それはまさにすがりついていこうとする気持ちにほかなりません。競争があまりに乏しい世界の野球において、弱小と中堅を分けているものは、野球での勝ちへの執着心しかありません。あまりに実力差のかけ離れたライバルに対し野球を続けようとする気持ちを失ってしまう、ただでさえ大会数も経済面も乏しいこの競技の現状では、まず続けることが第一のハードルなのです。オランダは欧州内では逆にライバルのやる気をそぐほどの強豪ではありましたが、欧州と対外の状況を考えると王者オランダでさえその継続はなかなかに厳しいものもありました。それを乗り越え野球を続けたからこそオランダはアマチュアの強豪、そしてプロ参加大会においても中堅の座に辿り着いたのでしょう。勝てない相手だと放棄しなかったからこそ1998年を皮切りに実を結び始めた、しかし残念なことに2009年の壁はこんな長々と書いた奇麗事でさえさっぱり揺らぐ気配はありませんでした。3回の攻撃トップのバッターはファンクロースター、10年前の4割打者も、結果はあえなく三振に切ってとられます。
3回はその後もキングセール、デカスターの連続ヒットで満塁のチャンスを演出しますが、すんでのところでかわされ0点。4回にもエラーがらみや内野安打と必死に喰らいつきはしますが、アメリカは追いすがる隙を見せてはくれません。粘って粘ってしかしあえなく力尽きる。オランダの野球は時に「米国を小さくしたかのような野球」、横綱相撲的な野球だと評されることがありますが、その名の通りオランダは本来こうしたすがるような粘着質な野球をすることはあまり見られません。欧州内で飛びぬけた力を誇るオランダは、横綱相撲で力で圧倒する方が板についているのかも、といったところでしょうか。野手が体中を泥だらけにするのと同じく、投手も攻撃的な攻めを捨てすがるようなリードを続けてはいましたが、こちらも芳しい結果はあげられません。4回にはサルバランがピンチを招くと、ファンカンペンがこらえきれず得点を許してしまう展開。泥さえつかない戦いを出来るようになった欧州王者は、この舞台で再び、挑戦者として、砂をかむような試合を続けていました。
5回にはロリンズの犠牲フライ、6回にはダンがソロホームラン。展開がようやく変わったのは、コールドが近づいてきた7回のことです。8点を追うオランダはアメリカ4番手ジーグラーを、9番1番2番のトリオで攻略し1得点。続く8回にはエンヘルハートがソロ本塁打を叩き込むと、四球で出た代打ロンブリーをアドリアーナが三塁まで進めさせ、スクープの犠牲フライでさらに1点。合計3得点をあげるとアメリカのベンチも表情を曇らせ、ここで6枚目の投手グラボーを送り込み、彼らは事なきを得ました。アメリカにしてみれば、オランダがまだこの場面で戦う意思を見せていたことは、かなり不気味なことだったんじゃないかと思えます。点差がついてしまった試合になすがままにされ、試したい投手をつぎこんでコールドを待つ、胸を借りた気持ちで負けに甘んじる、そんな弱小国の一国であったオランダが、アメリカと言う野球超大国に負けることを悔しがっている。その点差でしかるべきはずだった相手が、いつの間にか同じ土俵にあがって試合をしていたのですから。
アメリカは8回に1点を追加した後、9回のオランダの中軸相手にはブロクストンを投入。オランダチームのメンバーは最後と言う自覚に包まれた顔をしていましたが、悔いの残った顔のまま試合を終えてくれました。3-9でアメリカの完全勝利、ドミニカをなぎ倒し突き進んできたオランダのサクセスストーリーも、ついに二次ラウンドで涙の敗退。逆にアメリカは地元での初勝利にようやく胸をなでおろしました。オランダが多分この試合を通過点であると思ってくれているであろうことは、オランダがこの舞台に立ったことで十二分に証明されているでしょうから、これ以上は何も言うこと張りません。自国開催のワールドカップ、目下調整が続けられているヨーロッパでのウインターリーグ、「すでに強豪となっていた」オランダには負けが生かされるチャンスが残されています。またこの好試合の演じ手となってくれたアメリカも、重みのある負けを受け取ってくれたことで、一つ弾みにも基盤にもしてくれるであろうと期待は膨らみます。いまはただ両国に、お疲れ様とは言いたくない、ただそれだけです。
ほんのちょっと数年前まで、オランダの野球選手なんて日本のほぼ誰もが知らない事でした。放送してくれる局も無ければ、僕自身も今よりずっと面倒な思いをしながら遠く向こうの野球を眺めていた、そんな覚えがあります。正直、あまり現実味はありません。長年にわたって細々にたにたヨーロッパの野球を追いかけ続けていた、そんな奇特な人がこのブログをのぞいてくださっているかどうかは分かりませんが、もしいらっしゃるのであれば、是非このやり場の無い嬉しさと寂しさをどうしているのかを聞きたいところです。
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2009年03月15日
オランダ 1-3 プエルトリコ
D組、ドミニカを破り波に乗るオランダVSパナマを破り波の乗るプエルトリコ。オランダはこの試合に代表の実質的なエース格ハンデンバーグをぶつけてはきましたが、それでも彼は弱冠23歳の若い投手。ベルトラン、デルガド、リオス、ロドリゲス、バーニーウィリアムスと伝説に既に名前を載せているプレイヤー達に対して挑むには、なかなかにか細いと言わざるを得ない差が、試合前から存在していました。つまりその差が意味する事とは、オランダが前試合同様に番狂わせと言われるような試合を演ずるとすれば、それはドミニカがそうであったように、プエルトリコにもある程度の自滅を望むことが最も現実的な案だということ。プエルトリコはパナマ戦においてホームランを含むオーバーキルとしか言いようが無いド派手な打撃を披露していましたが、逆に細かな走塁や守備等の連携では地味なミスを繰り返しており、無くは無いとはいえすがるには細い粗が存在していました。無論これらが生きるためにはオランダ投手陣と守備陣がミス一つ無いプレーをする事が前提となっていましたが、オランダにとって勝利とはすがる藁の太さを比べるレベルの話であったものの、試合前から既に無いというわけではなかったのです。
両チーム探り探りに近い初回の三者凡退を終えると、2回にこの試合はじめての波が来ます。ハルマンがプエルトリコ先発スネルからツーベースを放つと、調子が良い状態が続いていたデカスターが浴びせるようにタイムリーツーベースであっさり得点。続くアドリアーナもセンター前ヒットを放ちはしますが、球が低めに集まり始めたスネルに続く二人がゴロを打たされ、こちらもあっさり最初の波を終わらされてしまいました。野球はメンタル面が非常に重要なスポーツと言われていますが、基本的には単なる確率論の集まりですので、終わってみれば結果に波があるように見えます。ヒットが一つの回に集まったという単なる確率の偏りを、いかにしてその波を高くしたり周期を早めたりするか、それこそが野球における戦いや実力の差なのではないか。その話の流れでいえば現時点でオランダにとってそれは1点分だった、と結論付けることも出来るのですが、問題はもちろんのことそこからどう勝つかにあります。前日の内容を考えるとオランダにもう一波を期待するのは難しいところですし、プエルトリコの波も、もう目前へ迫っていました。
まぁオランダは1点しかとれていませんので、当然オランダはプエルトリコの波を0点でしのぐことが要求されます。まずは3回、二死から連続四球にヒットもあいまってピンチを迎えると、3番ベルトランと言う最悪なめぐりあわせでヒットを浴びてしまいます。しかしこの場面はバーニーが本塁に突っ込むところで、ライトキングセールが強肩を見せてギリギリ本塁にて阻止。続いて4回、デルガドが四球から盗塁で一人でチャンスを演出、ロドリゲスもヒットでこれはきわまったという場面。しかしながらこのピンチには二番手キンヘイムの柱バーグマンがぶつけられ、注文通りのショート併殺打で回避。さらに6回、ベルトランがヒット、そしてホームで絶大な人望を誇るデルガドにデッドボール、あらゆる意味で限界に陥った感がでてきたバーグマンでしたが、ここでオランダベンチはさっくりバーグマンをあきらめスルバラン投入、そして大当たりで無失点。さらにさらに7回、外聞を捨てたプエルトリコは一転粘り打ちに方針を転換しますが、モリーナの送りバント失敗にファウルでの粘りもうまくいかず、オランダこの回も無失点。見ている分には面白い試合ですが、投げている分にはたまらない試合だったんじゃないかと思います。
全部の回を無失点にしのいでいるとはいえ、毎回のように迫り来る波をまさに水際で逃げ回っているオランダの頭上には、ずっと暗雲が立ち込めていました。オランダの打線が度重なるピンチの裏でさっぱり波の気配を見せていなかった事もかなりきてはいましたが、なにより本格的にオランダに手詰まり感が漂ってきていたのです。特に7回、メジャーでも重責を任されているプエルトリコのメンバーが、目前の実績が無いに等しいサルバラン相手に、明らかに1点を取る、あるいはおろす打撃を選択し始めたことは、恐ろしい以外に言葉が見つからない変化だったことでしょう。ドミニカ戦も内容一つ一つをたどれば似たような展開であったことは間違いないのですが、なにせ今回はたったの1点、逃げ切るにはあんまりな点数であり、そしてまた間違いなくプエルトリコの波はオランダのそれより大きいものであることが予想されました。そして8回、ついにその時が訪れます。きっかけは、ワンポイントを託されたニューマンが、デルガド相手に四球を与えてしまったことでした。
この場面にオランダが送り込んだのは、オランダとしてはこれ以上打つ手が無い程の選択肢である、リリーフエースファンカンペン。しかしファンカンペンもリード的に煮詰まったこの場で冒険をすることは出来ず、あえなく連続四球で一死満塁。ここでオランダは抑えであるボイドをマウンドに上げましたが、まさにこの継投こそ、この波がオランダにとってもうこれ以上しのぎようの無い波であった象徴でした。それは裏を返せば「ここさえ乗り越えればオランダの勝ちはほぼ確実なものになる」と言うことでもありましたが、下位打線とはいえプエルトリコの重量打線にもう逃げられるような場所はなかったのです。8番モリーナがレフトへ逆転タイムリーツーベースを放つと、9番カノが倒れ、1番フェリシアーノがレフトへのタイムリーヒット。ここでもオランダは本塁刺殺を奪い取り、勝ちへの執念を見せてはいました。いはしましたが、ブルペンから漂うFカブレラのオーラは、この試合の終戦を語るに十分なものでした。3番からはじまった最終回の攻撃もあっさり三者凡退に切ってとられ、終戦。オランダの夢物語は、たった数回のうちに急展開を向かえ、終わりました。
1-3というスコアに対する評価はそれぞれだとは思いますが、この試合はまさにオランダとプエルトリコの地の実力の差で決まった試合でした。オランダの1点に対するプエルトリコの3点、これが現在の両国がお互いを相手に奪えるであろう得点の期待値のようなもの、といったところでしょうか。厳密に言えばそりゃもっと正しい数値は出せるのですが、これがヒットのめぐり合わせ程度でとれる点数の差だった、と言えば簡単かもしれません。
これにてプエルトリコは二次ラウンド進出決定、オランダは再びドミニカと一戦を交える流れ。プエルトリコがオランダと言う障害に躓いて自分達の立場を理解したのならば、今プエルトリコはこの試合前よかよっぽど恐ろしいチームとなっていることでしょう。また相手のオランダも、ドミニカを振り切ったことが運否天賦ではない事ということが、その戦いっぷりにもあらわれつつあります。欧州内では無類の強さを誇っていたのに、国際戦では名前負けでつまらないミスをすることも多かったオランダが、です。実際現時点で、オランダの守備陣はミスらしいミスはおろか、むしろ派手な好プレーを繰り返しているほどですから。敗者復活の枠はリベンジをかけるドミニカですが、良くも悪くも受身の勝利であった前試合の流れにはならないのではないでしょうか。あとはドミニカがどこまで転ばずにいられるか、オランダががっぷりよっつでどこまでドミニカに耐えられるか。ドミニカ・プエルトリコのマッチを期待していた人は多そうですが、投手の運用状態から見ても、オランダはすがる藁などいらなそうな感じです。
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2009年03月14日
イタリア 6-2 カナダ
一次リーグC組敗者復活マッチ、地元でアメリカ相手に善戦したカナダVSずるずる破れてしまったイタリア。ド迫力溢れる面子によって打線が構成されるカナダに対し、しおしおと繋がらない打線を露呈してしまったイタリア。五輪やWBCと経験をつけた面子が揃う投手陣を誇るカナダに対し、どこかちぐはぐなまま枚数ばかり消費してしまった投手陣を抱えるイタリア…。もちろんこの戦力差のある対決に、前評判からして「メジャーオールスター打線VS疲弊したイタリア投手陣」という見方をされてはいましたが、現実的に考えてイタリア投手陣にこれからより一層のを望むのは酷な話でした。前日の試合内容を考えるにイタリア打線が1点を取ることは難しそうでしたし、普通に考えればこの一戦に見所があるとすればメジャーオールスターの打線に決まっているのですから、それもまぁ仕方がないことなのかもしれません。イタリアが勝つとすれば、もとよりあまり期待されなかった打線の奮起を待つパターンではないのか。試合前、打撃コーチのピアザは必死の思いで若手の打撃フォームをチェックしていたそうですが、そんな気配は確かに感じられていました。
打撃陣はメジャーリーガーが集結したカナダ代表ではありますが、一方の投手陣はと言うと実際そこまで実績揃いではありません。ワールドカップ、五輪と若手主体の選手を揃えていたこともありますし、WBCにおいてもその兆候は見られていました。今回のWBCは、どこのチームもわざわざ先発で実績のある人間を揃えると言うより、中継ぎの枚数を駆使して試合を構成していく投手陣となっています。カナダも内容を見ればそんな感じかなと思えなくもないのですが、なかなか投手一人一人のレベルを統一できないカナダ投手陣にとって、枚数をきっていかなくてはならない制限があるWBCは、あまり戦いやすい試合ではなかったようでした。この試合カナダがたてた先発はパーキンス。かつてはマイナーでもバリバリと投げていた投手でしたが、160キロに迫る速球を誇る反面あまりに制球が定まらずあまり安定した成績を残せていない投手。あたればでかいがはまってもでかい投手は、この制度化のカナダではあまりにリスキー。初回から自らのエラーと四球で満塁のピンチを招くと5番デノーフィアにタイムリーをくらい、あっさりと1点を献上してしまいました。
イタリア打線も、前評判通りというわけではありませんが、そうやすやすとパーキンスを攻略できていたわけでもありません。初回に限って言えばパーキンスの荒っぽさに身を助けられていた感覚も強く、決して攻略と言っていい内容ではありませんでした。しかしながら、イタリア代表全体からは「球に逆らわない意識」と「球を選ぶ余裕」も感じられ、そうした意識は徐々にカナダ投手陣を蝕んでいきます。2回にも連続四球後にそれまで手も足も出せていなかったダロスペーデルがよもやのタイムリー、3回には二番手バートンに交代するもリッディの犠牲フライで追加点、4回にはこの試合絶好調のデノーフィアがまたもタイムリーで追加点。4回であっさり4得点。カナダはリリーフ投手を惜しげもなくつぎ込みましたが、すべての投手が低めや外の球を見切られてしまった事がこんな結果を招いてしまった、と言うところでしょうか。打線の勢いとなったデノーフィアの素晴らしさもそうですが、この結果を演出したと言うことでほめられるべきは、バットが振れていなかった選手達がつぎ込まれる投手に対して攻略の糸口を逃さなかった事につきるでしょう。
一方勝負になるのかとさえ言われていたオールスターカナダ打線は、まるでその試合の陰陽を象徴するかのように攻略の糸口をつかめない展開からスタートを余儀なくされます。イタリアの先発はメキシコで荒行を続けるセラフィニ。日本当時から足あげの力押しの投球が持ち味のピッチャーでしたが、いい意味でフォームも制球も定まらない彼の前に、カナダは凡退を続けるばかり。試合前には見所とされていたはずの重量打線ですが、同じような攻めに同じような凡退を続ける展開ばかりで、見るべきところがないと言わざるを得ない攻めにおさまっていました。一発狙いでとか、セラフィニの変化球がとか、捕手のリードがとか、色々目に付くところみたいなのを言いたいのは山々なのですが、本当にこれといった注目点も理由もなくアウトカウントが積み重なりあっというまに3回を終了。結果的にイタリアの勝利までの4点追加がここまでスムーズにいった事には、彼らがその間イタリア打線にプレッシャーをかけられなかった事実がサポートしたと言わざるを得ません。
4回にはいりカナダ打線もボット・モルノー・ベイの中軸についにエンジンがかかりますが、ここではいってきたのは前日いい結果を残せたわけではないイタリアリリーフ、クーパー。しかし立ち上がりの悪かった昨日の登板は、決して無駄にはなっていませんでした。ベテランステアーズ相手に四球を与えて不安を覗かせはしましたが、その後さっくりと立ち直って満塁のピンチをしのぎます。ここで打線がスムーズに動き出せばまだ良かったのですが、7回には4番手グリーンがまたしてもデノーフィア・リッディ相手に点を失い、続くレルーもランプレーの間にもう1失点。カナダのメンバーは本来ならこういうような失点をしてしまう面子ではないのですが、もう4回の終わりには完全に「イタリアにやりこめられてしまっている図式」が定着してしまっていた、本当にそう言うしかないような決まりきったパターンで凡退を続け、試合を文字通り浪費していました。結局見せ所らしい見せ所はセラフィニの疲労に中軸がつながった4回のみ、それ以外はまったく同じような展開、そしてそのまま試合は終了。6-2、結果には納得、理由は多く疑問が残される試合となりました。
強豪と呼ばれるチームが格下とされるチームに負ける、世界の野球においてもそれは決して珍しい出来事ではなくなりました。守備から崩れる、見慣れない球に打ちあぐねる、投手が四球を重ねる。理由は様々ですが、今までの番狂わせはどれもそうした勝ちの理由負けの理由が分かりやすかったように思えます。この試合は、名目上格上格下と評されていたにもかかわらず、そうした前例に漏れる不思議な一戦でした。もちろんのことこの一戦をもって「イタリア代表は成長したんです!」みたいなおめでたい結果に結びつけることはしませんが、この試合の存在が今後イタリア代表の勝ちを「不思議な勝ち」で無くするものなのだとすれば、歴史的一歩と言える試合だったのかもしれません。勝ちの理由を探さなくてもその勝ちをうけいれることができる、勝ちの理由が見当たらなくとも勝つ。野球における実力とはそれをなし得る力のことで、それが積み重なっていくことが、成長と呼ばれているのだと思うのです。
キアリーニ、ダロスペーデル、リッディ。このあたりのイタリア本国出身の人間が打ってるのとあわせて考えると、彼らがカナダ相手に打っていても不思議ではなくなっている自分という事実に驚きを隠せません。
posted by shoeless |18:53 |
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2009年03月09日
イタリア 0-7 ベネズエラ
一次ラウンドC組2試合目、優勝候補ベネズエラVS秋口のジャケットみたいな淡い色合いのユニフォームを着こなすイタリアの対決。チャベス大統領も御熱心だったこともあってとんでもなく豪華な面子が揃い踏みしたベネズエラが、攻守にわたってその良さをイタリアに見せ付けたといった試合展開になりました。ベネズエラの先発は大幅に負け越してはいるもののメジャーリーガーのシルバ、本来なら球数を稼いで立ち上がりの制球崩しや球筋の確認をしなくてはならないはずのイタリア打線でしたが、初回からひじょーに湿っぽい臭いが漂います。メジャーでも同種の仕事をしているはずのプントが倒れると、年々守備で食ってるイメージが強まるダロスペーデルも打球あがらず凡退、カタラノート、パスクチは流石の老獪さを発揮してヒットを放ちますが、続くデノーフィアもゴロで一回終了。イタリア打線の積極さが臭いを消してはいましたが、限りなく暗雲に近い何かが立ち込める事を、この時点でほぼほとんどの人が感じ取ってしまっていたのではないでしょうか。
ベネズエラ打線もイタリア先発ディフェリスを初回から攻めあぐねはしていたのですが、なかなかどうしてイタリアにとって勝ちの気配を探るイニングとは言いがたい回が続いていました。キアリーニのダイビングキャッチによるアウト獲得やロペスが二塁を狙ったところを刺殺する等のファインプレーも確かに見られたのですが、今から思えば「ギリギリ凌いだ」感が拭えない苦しい展開を強調するようなプレーにしか見えなかった、というあたりが正直なところ。IBAF主管の国際戦では「弱小チームの先発投手は、強豪相手だと初回炎上、4回以降にもうひと炎上」で数回は接線を続けられる事が常になってきていますが、WBCにおいてもそれはかわらなかったという事なのでしょうか、ベネズエラの上位打線が球数を稼ごうとしていたようには見えませんでしたが、それでも数回打てないことは織り込み済みのようにも思えました。イタリア投手陣にとってそれは炎上までのカウントダウンを数えるに近い行為、陰鬱なムードが漂う前半だったと言っておかしくはありません。
そうしたムードの一因となったの事には、ベネズエラが初回からかなりの攻めのムードを見せていたことがあります。先ほど球を見るような気配はなかったと書きましたが、あれだけの強力打線が強気のスイングに球選びをすれば、僕のようなど素人にさえその威圧は感じ取ることが出来ます。無策というか策があってのフルスイングといったところで、実質5回までベネズエラの打球はフライばかりあがり続けていましたし、イタリアバッテリーにとっては逃げの選択を強要されるようなコース狙いが続けられていました。ランナーもイタリアの外野手陣の肩を知っているのか知らないのか、強気の走塁の大盤振る舞い。イタリアももちろんこの攻めっ気を利用するかのような刺殺やカウントの稼ぎ方をしてはいましたが、徐々に「攻撃が繋がってしまう」日を待たざるを得ない状況に追い込まれているのも事実でした。イタリア打線ももちろん手をこまねいていたわけではありません。盗塁、送りバント、四球狙い、ただ結果としてそのどれもが「チャンスの演出」に留まってしまっていたのです。
球数の問題もあって両チームが二番手投手を送り込む5回、ベネズエラはヘルナンデス、そしてイタリアはグリーリを投入。強豪相手に試合中盤まで0点で競っているのですから、ここは何があったとしても確かにブルペンで最も信頼の置けるグリーリの仕事の場面でした。しかし、ベネズエラは少ないチャンスにもずっと同じノリで立ち向かいます。6番ギーエンのフルスイングで、あんまりにもあっさりレフトソローホームラン、先制。まだ感触も確かめていない段階のグリーリは立て続けにヒットを浴び四球を与え、マウンドをゆずりました。ただ、グリーリはその時点で調子が出ていないとはいえ、それでもイタリア投手陣の中で最も安定した実力を誇るリリーフです。その彼が1失点で降板する、それはどこかイタリアベンチが「ベネズエラ投手陣からは1点以上とるのは難しいだろう」と下した決断のようにも見えました。二番手には実質ナンバー2と言っていいディナードを投入しますが、どうしたって数球は感覚をあわせる球が必要になるわけで、彼もまたグリーリと同じように、打たれ、四球を与え、何も出来ないまま降板。気がつけばイタリアはこの回だけで4点を失う有様となっていました。
予想が当たって良かったのか悪かったのか、いやもちろん悪かったんでしょうが、それをうけてなおイタリア打線はベネズエラの前に沈黙を続けました。なによりたちが悪かったのが、徹底的に続いたゴロの量産。あっさりというほかない凡退と生かしきれないチャンスが中盤を終えてなおも続き、これがまた投手のプレッシャーに繋がっているであろうと言う悪循環は、結局試合終了まで晴れることがありませんでした。もちろんそういうわけですので、投手陣もグリーリ以降、調子がまだまだあがっていない状態でランナーを出し、ベンチがそれにすぐに耐えられなくなって交代、しかしながら次の投手もそんなスクランブルでは本調子に数球…という泥沼にはまり込み、7失点を計上。多分ではありますが、既に数点を失った状態でベンチが点を失っても投げさせるしかない状態となっていたのなら、7点と言う失点数よかよっぽど低い失点でこの試合を終えていた可能性はかなり高いでしょう。まぁ結局イタリアベンチがそんなことをしなかった通り、そんな程度の延命策ではどうにもならないほどにベネズエラの投手陣はイタリア打線を圧倒していた、それだけのことだったのです。
結局試合開始時に漂っていた暗雲は晴れることなく、0-7でイタリアの完全敗北は決定しました。両者ともに、勝ち負けそのものより、試合内容そのものの方がよっぽど大きい影響をもたらした一戦、そんなところがこの一戦の妥当な評価でしょうか。打線に勢いをつけて初戦を飾ったベネズエラに対し、リリーフ陣を6人も浪費しまくったあげく成果は見えなかったイタリア。イタリアには申し訳がないですが、ダブルエリミネーション方式での今後を思えば、負け方の選択が如何に重要であるかと言うことが分かる一戦になったのではないでしょうか。ベネズエラと言うチームのカラーが前面に押し出た試合内容を見ると、僕個人としてもイタリアが最後までどういった対応で局面局面を凌ごうとしていたかが見えてこなかったことが残念でなりません。この点数が満足されない点数になった事の喜びと、まだまだ幕が下りないイタリア代表不遇の時代に、WBCに出場できる事とできてからの事の間にある壁の高さを感じ、ただ、唖然、というよりほかにないです。
posted by shoeless |23:00 |
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2009年03月08日
オランダ 3-2 ドミニカ
…
……
……キャッハウフフ
ウヒョッハッハァ!ヒャハァ!起きてもまだスコアが3-2だぁ!エヘラエヘラ、アヒャハヤー!朝一番からこんなノリになってしまう程の大一番でした。いや僕もオランダを応援していた側ではありますが、むしろ応援していた側のほうが信じられない勝利とは、まったくもって皮肉で幸せな話だと思います。天晴れ!
この一戦は番狂わせではなかったが、当然の帰結であった。本来ならこの試合のレビューは「オランダが負けちゃったけど見所があったでしょ!見さらせー、これからどんどん強くなるぞー、結果は出てないけど進歩はしているんだー」と、いつものようなテンプレ通りの流れでお茶が濁されるはずでした、前述の文章はそのオチ用の文章だったのです。しかし今となっては、逆の意味でこの言葉は使われざるを得ません。この一戦は決して番狂わせではありませんでした、オランダの実力はこの程度の勝利ならあっても不思議ではないところへとっくに到達していた、我々がなめてかかれるような相手じゃなかった、といったところでしょう。キューバに続きまたしてもの大物食い、これでなおオランダの勝利を奇跡と呼んだところで、最早どこにも取り立てた証拠は存在しません。このブログの内容を考えたら、読者の皆さんの中には彼らがなめられきっていた事に不満を覚えている方も、少なからずと言うレベルでいるはずでしょう。不遇の時代を耐え足飲んだみなさんにはおめでとうございます、オールスターを見たかった皆さんはまだまだこれから。チームも国内成績も知らされない弱小が!化け物揃いのメジャーオールスターに!劇的勝利だぁぁぁぁぁぁ!!!!!
ご覧になっていた方なら分かると思いますが、この試合は9回までテンションがあがり続ける、選手にも観客の体調にも決してありがたくはない壮絶な投手戦でした。誰一人としてそんな事を想像しなかったであろう組み合わせと言うこともあって、終わるまでにヘブン状態へ陥ってしまったオランダ代表ファンや現実から退避したドミニカ代表ファンも多かったことであろうと思います。そんな劇的な一戦をトップで演出してくれたのはドミニカの先発ボルケス、そしてオランダの先発ボルケス。試合はオランダの攻撃から始まりましたが、本来なら17勝投手とFA選手という構図であった試合は、初回から既に崩壊します。オランダの1番キングセールが立ち上がりのボルケスの足元を文字通り強襲して内野安打とすると、揺らいだ足元は続くスクープの送りバントにさらに揺らぎ、捕手悪送球で瞬く間に1・2塁。もともとボルケスは変化球の制球に難がある投手でしたが、3・4番を凌いだあたりから既にその兆候は現れつつありました。5番デカスターに四球を与えてしまうと、6番アドリアーナにワイルドピッチで一点献上、その上動揺した一球をショートに持っていかれるとショートラミレスがこれを悪送球で2失点。オランダが何もしない間に、ドミニカは3点を失ったのです。
立ち上がり足元が揺らぐというのは、決して投手だけの話ではありません。オールスター居並ぶ打線で唯一不安視されていた守備、逆に何一つ危険視をされていなかった打線。その裏の攻撃で自慢の強力打線がさっくりチャンスを潰していったとき、全ての意味でドミニカはその足元が意外に脆い事に気づかされたようでした。ボルケスはその後も制球の悪さをオランダのミスに救われたようにアウトをとっていきましたが、4回には投手をペレスに交代。しかしオランダから点を取ることは以外に容易でないと皆が知るまで、そして多分ドミニカでさえが気づくまでに浪費した3回は、結果としてあまりに重いものでした。オランダ先発ポンソンはドミニカの強力打線に恐れを抱いているかのような投球を繰り返していましたが、投げるところが無いとまで言われる打者相手にいやらしい攻めを連発し粘り強い投球を続けます。オランダも初回から通して淡白に攻めあぐねていた感はありましたが、流石の前評判だった投手陣の働きにアメフトタックルを守った守備や、半分わざとの落球を生かした頭脳プレーの内野フライゲッツー等、完全に試合の手綱を握っていたと言えました。
しかし手綱を握られてはいようとも、ドミニカも超絶な強豪の一角です。4回にはテハダがライトスタンドにソロホームランを叩き込むと、5回には8番オリボのヒットに続いて9番タベラスへ四球。オランダもたまらず二番手スミットをマウンドに上げますが、こちらも力で押すタイプの投手であり、カノに足元を攻められると瞬く間に内野安打を許して無死満塁で主軸を迎える絶壁へと陥ります。この試合、ことあるごとに意外性溢れるプレーや雰囲気を粉砕する陽気なBGMが押し寄せ、お世辞にも視覚的に緊張感に溢れるものではなかったのですが、普通に考えれば不調であったところでほとんどの選手を相手にしない化け物揃いの打線です。本来なら打ち取ったあたりでもよかった球も、3番ラミレス相手には軽がる犠牲フライ。これが今現在のオランダとドミニカの実力の差であるといえばそれまでだったのですが、しかしこの場面はまた同時に、オランダがそういう土俵では戦っていないという事が一番分かりやすかった場面かもしれません。このプレーの中でしたかかに1アウトを獲得しておいた事が、結果的には一失点より大きく身を助けました。
4番オルティス相手にパスボールで得点圏にランナーを送ってしまうと、ここでバッテリーはしたたかにオルティスを敬遠。といって5番は先ほど本塁打を記録していたテハダではあったのですが、ここでオランダベンチもしたたかに動きます。この緊迫する場面でマウンドに上がったのはオランダ代表の大ベテランコルデマンズ、コルデマンズはテハダの打ち気を逆に利用するかのような老獪な投球で、この場面をゲッツーに切ってとりドミニカの勢いをあっさり打ち消しました。1アウトの獲得、コルデマンズという選択、逃げに近くとも間違いとはいえない配球。そう考えるとこの試合、どちらが勢いが出て決まるのというよりは、通常の国際戦同じく、落ち着いていれば勝てる試合だったと言うことなのかもしれません。オランダは勢いがあるとはいえませんでしたが、強豪ドミニカを恐れこそすれど、浮き足立ってはいませんでした。その後も老獪な投球を続けるコルデマンズにドミニカはあと一歩を封じられ続け、内容はむしろドミニカの方がいいに決まっていたにもかかわらず、セーフティ失敗や死球とまさに采配を裏目裏目に自滅に近い勝負を繰り返します。
9回裏、オランダの最後のマウンドには今大会守護神と目されるボイドが立っていました。ボイドは登板すぐのタベラスに四球、カノはセカンドゴロに倒れましたが、足も使えるドミニカ打線は放っておいても点が入る展開のようにさえ思えました。言うまでもなくドミニカ打線にとってボイドは打てない投手ではありません、しかしカノがこの場面で三盗を失敗、ラミレスの四球後ボーティスタが見逃し三振、ドミニカはまるでオランダではない何かにおびえるようにあせったかのように泥沼へ沈み消えていきました。スコアは3-2でオランダの勝利、ドミニカの投手陣は防御率驚異の0、打率も2割6分、それでもそれを大きく下回るオランダに敗戦を喫する、不思議な話というほかありません。一発勝負の国際舞台で数字がそうやすやすと結論につながるとは思いませんが、一体何がオランダを勝たせたのかがここまで分かりにくい試合もないでしょう。オランダがオランダを勝たせたのでないならば、皮肉な話ですがオランダを勝たせたのはドミニカという事になります。ドミニカには気の毒ですが、この試合限りにおいては自分と相手を理解できていなかったというしかない結果となってしまいました。
とまぁここまでドミニカに悪いことを書いておいてなんですが、実際この大会はダブルエリミネーションと呼ばれる方式ですからダメージは軽いでしょうし、オランダがずっと受身だったことを考えたらドミニカがまともに戦えるようになれば二度はない、という気もします。ていうかキャッハウフフでフリーダムなプエルトリコの雰囲気を見ていたら、なんだかそういう視点で肩肘かちっかちで見るのもどうなんだというような気がしました。野球はまだまだ新興国が多く、先進国からすれば「負けられない」試合と思われるような試合が多いのも事実です、ていうか負けていい試合なんてないわけで、絶対に負けたくないという意気込みや用意で全ての戦いに挑んで欲しいという気持ちはおかしくないはずです。しかし「負けられない」相手と試合相手のレートを勝手に決めてしまったり、「負けられない」と味方にプレッシャーを必要以上にかけるのも、どこか違うのかもしれないと思わせる試合だったんじゃないかしら、と言ってみれば御理解いただけるかもしれません。強さは一通りではない、やっぱおもしれーよWBC。
posted by shoeless |16:41 |
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2009年03月05日
WBC代表分析第六弾台湾代表です。いや始まってるって言うのにいまさら俺は何をしているんだろう。
選手表の見方
背番号 ポジション 名前 打投 所属
リーグ
投手:試合数 勝敗 セーブ イニング 防御率
野手:試合数 打席 安打 打率 本塁打 打点 盗塁
99 P Hung-Wen Chen Chicago Cubs
A+ 12 2-1 0 56.2 3.65
51 P Chi-Hung Cheng Pittsburgh Pirates
A 25 5-9 0 94.0 4.88
20 P Kai-Wen Cheng Hanshin Tigers
なし
90 P Po-Hsuan Keng La New Bears
R 1 0-0 0 0.1 54.0
12 P Cheng-Chang Lee Cleveland Indians
なし
47 P Yu-Cheng Liao Brother Elephants
CPBL 21 11-3 0 132.2 2.30
98 P Ko-Chien Lin Sinon Bulls
なし
81 P Po-Yu Lin National Taiwan Sport University
R 6 1-0 0 14.0 4.50
11 P Yueh-Ping Lin Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL 43 7-4 17 102.1 3.87
48 P Chia-Jen Lo Houston Astros
なし
21 P Fu-Te Ni Detroit Tigers
CPBL 25 5-12 0 145.1 3.34
62 P Chia-Chun Tang Taiwan Cooperative Bank
なし
42 P Sung-Wei Tseng Cleveland Indians
A+ 30 0-8 1 54.2 5.27
34 C Chih-Kang Kao Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL 77 224 54 .241 2 28 0
36 C Yi-Feng Kuo Brother Elephants
CPBL 77 197 54 .274 3 19 2
15 C Kun-Sheng Lin National Taiwan Sport University
なし
25 IF Chih-Hsien Chiang Boston Red Sox
A+ 83 320 97 .303 9 59 2
4 IF Kuo-Ching Kao Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL 96 395 131 .332 7 74 0
7 IF Yen-Wen Kuo Cincinnati Reds
R 25 96 27 .281 0 15 0
10 IF Han Lin Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL2 31 129 42 .326 1 17 10
22 IF Yi-Chuan Lin Taiwan Power Company
CPBL2 19 79 31 .382 1 20 1
23 IF Cheng-Min Peng Brother Elephants
CPBL 81 284 111 .391 8 60 23
14 IF Sheng-Wei Wang Brother Elephants
CPBL 97 381 98 .257 2 36 24
8 OF Chih-Yao Chan La New Bears
CPBL2 15 53 21 .396 0 3 5
24 OF Dai-Chi Kuo Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL 78 232 55 .237 8 41 1
44 OF Che-Hsuan Lin Boston Red Sox
A 91 362 90 .249 5 37 33
31 OF Wei-Chu Lin Hanshin Tigers
NPB 66 177 44 .249 2 13 1
55 OF Wi-Hsiung Pan Uni-President 7-Eleven Lions
CPBL 83 266 92 .346 13 56 8
アジアの雄台湾代表、個人的には難しい局面ばかりであった昨年を思うと景気のいい話を書きたいのではありますが、お世辞にもいい状況にあるようには見えません。海外へ選手を送り出すことが多かった台湾でありますが、今回は国内リーグの足元が揺らいだ事で、代表のよりどころが失われてしまった、といったところ。ライバル韓国も辞退者は少なくありませんが、前年度から続く結果を差し引いたとしても、同じ状態にあるとは言えないでしょう。国内リーグが分解寸前にまで陥った事が世論的に追い風になれば良かったのですが、やる気のある人が戦ってくれるようになったというよりかは全体的に消極的に見えてしまったのは、かなり代表に陰鬱なムードをもたらしています。北京の時も若手が多く加入し賛否両論の面子ではありましたが、今回は歪という言葉に限りなく近いメンバー構成になっている感もあり、「若返りを狙って」若い力で戦うのだとは評価しづらいところ。誰がチームを率いて、誰が原動力となって、誰が支えるのかも掴み辛いです。そして最も残念なことは、バランスがうまくとれていないことが練習試合で露呈してしまっているということでしょう。
とはいえ流石はアジアの3強の一角だけあって、選手の層は薄くありません。怪我の心配はあるもののチームの主軸である彭政閔にチームで最も長打が望める林威助に潘武雄、上位打線をかためる走攻の部分は蒋智賢・林哲シュエン等のマイナーリーガー達が担い、打線はかなり形になっています。林益全のようなラッキーボーイ的存在もでてきていますし、もちろん苦境に強い台湾チームと言う伝説を信じられないわけではありません。ていうかこれだけしっかり型にはいっている事にもかかわらず危機感に溢れているのも面白い話で、まったく逆に面子が減ったのにプラスのポイントと言い切っている韓国の余裕も同じく、蓋を開けてみなくてはわからないのに「雰囲気」でまやかされている部分は少なくないとは思います。しかしそうであったとしても、かなりクリアーなレベルで、守備が荒れています。ここ最近の台湾代表は毎回似たような選手陣で構成されていたこともあって悪くはありませんでしたが、この若い面子の加入が現時点ですぐ吉と出るとは思いづらいところです。
若さの加入が吉と予想しづらい部分は投手陣も同じですが、また北京からの留任でないメンバーがタイプの揃って「速球派でノーコン」というのが苦しさを加速させます。台湾リーグからの組では倪福徳が国際戦ではあまりぴりっとしていないことが心配ですが、廖于誠、林岳平ともに使い勝手のいい選手であることは間違いありません。問題はそうしたメンバーの穴の埋め方ですが、現実問題この面子のままでは不確定要素が多く、特にリリーフ陣は鄭凱文・林岳平にかかる比重も大きそう。あとはプロで実績があまりない方々の奮起を待つばかりですが、李振昌以外はどのように使われるかさえ謎なままです。単純に見ても枚数も種類も多いとはいえず、このあたりはキャッチャー高志綱がいかに補っていけるかにかかる部分も大きいでしょう。ただ過去を振り返ってみた時、代表にクラブでの実績が少ない選手が入って成功した例は少なく、その経験が台湾に影を落としていることは間違いありません。
まとめ
はっきり言ってかなり厳しい、が、だからと言って強化試合の内容やマイナーでのスタッツを鵜呑みにしてかかっていいほどのチームではない。北京と比べたときに数字で見劣りすることは確かだが、打線はかなりバランスが取れており、一発勝負の舞台に強い「ふれる」タイプの選手も揃っている。しかし投手陣はかなりかつかつ、監督のアマで培った経験を信じるしかないが、計算のめどが立つと言い切れるだけの投手は少ない。しかし周囲によって作られた「ムード」によって勝手にマイナスにされている部分も少なくないとも思われるので、蓋を開ければ善戦も十分に考えられる。これだけの強豪に善戦を期待する時点でおかしい話ではあるが。
posted by shoeless |22:06 |
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2009年03月03日
WBC代表分析第五国目、中国代表編です。が、その前に皆さんに一つ悲しいお知らせです。というのもこの選手紹介を作るにあたり各国リーグのスタッツをのせてきていたのですが、この中国リーグは残念ながら選手成績を開示していないリーグなのです。
その為今回ここに載せる選手成績は公式発表のものではなく、リーグ戦のスコアと照らし合わせるという吐き気のする作業を乗り越えて自前で作り上げた、非公式のものでしかありません。各種の中国野球の情報サイト、同じように中国リーグのスタッツを作っていらっしゃる方のサイトとも照らし合わせて何とか選手成績をくみ上げてはいますので、これが現状できる精一杯なところだとは思います。が、いかんせん公式サイトも数字のあやふやな部分が多く、僕自身も途中から嫌気がさしていたため、かなり間違いを含んだ数字であるだろうと思われます。参考にこそしていただければとは思いますが、できれば深く信用はしないようにお願いします。
こちらのサイト様のほうでも同じように中国リーグの選手成績を計算されていますので、是非御一読ください。
http://homepage3.nifty.com/moeproject/
選手表の見方
背番号 ポジション 名前 打投 所属
リーグ
投手:試合数 勝敗 セーブ イニング 防御率
野手:試合数 打席 安打 打率 本塁打 打点 盗塁
15 P Tao Bu Sichuan Dragons
なし
3 P Junyi Chen Guangdong Leopards
CL 7 0-2 0 20.0 2.57
33 P Kun Chen Sichuan Dragons
CL 3 0-0 0 7.1 2.45
42 P Wei-Ying Chen Tianjin Lions
CL 4 1-0 0 11.2 3.86
51 P Chenhao Li Beijing Tigers
CL 4 1-1 0 14.1 1.88
60 P Weiliang Li Beijing Tigers
CL 5 1-0 0 9.1 2.89
11 P Kai Liu New York Yankees
CL 1 1-0 0 5.1 3.38
17 P Jiangang Lu Tianjin Lions
CL 7 2-0 0 15.1 2.35
28 P Guoqiang Sun Jiangsu Hopestar
CL 7 4-1 0 40.1 2.03
20 P Kangan Xia Shanghai Eagles
CL 5 0-3 0 28.0 7.39
27 P Li Zhang Shanghai Eagles
CL 4 1-1 0 11.1 3.18
62 P Dawei Zhu Saitama Seibu Lions
NPB2 5 0-0 0 5.0 5.40
19 C Chunhua Dong Shanghai Eagles
CL 9 36 9 .250 0 3 0
2 C Yang Yang Beijing Tigers
CL 7 11 4 .364 0 1 0
8 C Zhenwang Zhang New York Yankees
CL 10 31 9 .290 0 4 3
21 IF Ray Chang Pittsburgh Pirates
AA 5 6 2 .333 0 0 0
30 IF Fujia Chu Jiangsu Hopestar
CL 21 80 23 .288 0 3 4
16 IF Fenglian Hou Tianjin Lions
CL 8 27 7 .259 0 3 6
31 IF Delong Jia Guangdong Leopards
CL 11 41 8 .195 0 3 1
10 IF Guangbiao Liu Guangdong Leopards
CL 10 28 7 .250 0 1 4
55 IF Jingchao Wang Tianjin Lions
CL 28 100 31 .380 0 15 15
65 IF Fujia Zhang Sichuan Dragons
なし
7 IF Xiaotian Zhang Jiangsu Hopestar
CL 2 1 0 .000 0 0 0
9 IF Yufeng Zhang Shanghai Eagles
なし
5 OF Hao Chen Jiangsu Hopestar
CL 21 79 20 .253 0 5 4
88 OF Fei Feng Sichuan Dragons
CL 6 21 7 .333 0 5 0
1 OF Lingfeng Sun Beijing Tigers
CL 9 37 12 .324 1 6 4
25 OF Chao Wang Tianjin Lions
CL 14 58 26 .448 0 12 7
ほんの少し前までもう世代交代の時期ですねといっていたはずなのですが、北京五輪が終わってますます世代交代が進んだと印象です。2002年当時中国野球の立ち上げに立ち会った面子がいなくなり、それどころか北京五輪と比べてもかなりがらりとかわりました。本当だったらYufeng Zhangの北京で引退発言とかなんだったんだとかつつきまわしたいところなのですが、内野陣がこうもかわってしまうと逆にありがたくさえ感じます。若手の多い江蘇からの選出があったこともあって「世代交代を積極的に進めたいのかな?」とも思えたのですが、それにすると逆に投手陣の世代交代はさっぱり進んでおらず、なんとなく「裏」をかんぐらざるを得ません。そういえばここ数年中国は国内リーグで代表常連組をあまり使わないため、代表選手なのにもかかわらず実は情報が探り辛かったりもします。コリンズ監督はインタビューで策はあるみたいな事言ってたけど、まさか。
投手陣は例年通り、変則タイプがぼんぼこと名前を連ねます。先発はChenhao Li、Jiangang Lu、Tao Buの正統派なメンバーなまわることになるはずですが、140キロサイドGuoqiang SunとDawei Zhuを除いてはほぼほとんど130キロ中盤がMAXの投手陣。球の出所やフォームが見てて面白い投手も多く、あまり緩い球に慣れていない選手達が目がなれないうちにドツボにはまる、2006年のWBCでのイチロー、あるいはアジア予選での青木のような事態が容易に想像されます。継投もどちらかと言えば早い方なので、目くらましてきな事が通用してしまえばかなり厳しい相手と言えるかもしれません。しかし枚数が多くても計算できるわけでもなく、基本的に強豪相手には後半ボコボコに打たれるパターンが出来てしまっているので、ゲーム前半での無得点は織り込んでおいてもいいレベルの事でしょう。北京では韓国・台湾相手に奇跡とも言える粘りを見せましたが、WBCは試合数が少ないため、数人のエース級を一試合に注ぎ込むような真似はほぼしないと思います。
打線ははっきり言って未知数ですが、長らく続いてきた「一発を打てる打者」という課題は解決されていませんでした。王偉が代表を退いてしまった為警戒されるべき打者が減ってしまい、「パンチ力」のある打者はいても「主軸を任せる以外にない」現状が苦しいところです、はっきり言って誰を3・4・5番にすえていいやら僕にはアイディアがだせません。アメリカからつれてきた唯一の選手Ray Changはマイナーリーグにおいてもどちらかと言えば「守備職人」タイプの選手で、練習試合では4番を任されてはいましたが、苦しい選択ではあったようです。コリンズ監督が選択してきたメンバーを見るにあまり長打力が重視されているようにも思えませんので、このあたりは仕方ないと言うかこれでいいのかもしれません。むしろこの若さと素早さの溢れる面子ならばやるべき野球はどこからでも本塁に戻ってこれる野球ですし、現状誰がいつ塁に出られるかはほぼ天運に近い中国のWBC予選においては、責任を被れる主軸を決めるのはあんまりうまい話じゃないのでしょう。
守備は目下のライバルである台湾と比べてもそこまでひどいレベルとは言いませんが、北京の際の守備力が続いている、あるいはアジアシリーズでの天津の守備陣を見ての前提もあってでの目測ですし、あんまりあてになる印象ではないかもしれません。普通に考えれば、内野は積極性があだになるエラー、外野は消極的な結果のエラーと、徐々に足元を蝕むかのような「致命傷にならないエラー」の多さが目立つ訳でなければ合格点どころじゃないレベルです。目下のライバル台湾も似たような守備難で悩んではいますが、面子の入れ替わりを除けば守備連携で特段悩む必要のない中国代表は、そういった意味では台湾代表の既に一歩先にいるともいえます。日台韓ともに前回五輪の結果を受けて、特に台湾・韓国は「リベンジマッチ」に近い試合となるため、中国にとっては五輪での勝利が追い風になっているとは言いがたいところですが、好材料の多さだけならアジアラウンド1なのは間違いありません。
まとめ
北京五輪と同じポテンシャルで試合に望めたとしても二次進出は望みが薄い。しかしライバル台湾と比べてまとまりは崩しておらず、台湾の方には難しい話しながら、屈辱再びの可能性はかなり高まってきた。打線は素早さ重視にならざるをえず、投手は継投につぐ継投で生きながらえるしかない、はず。
posted by shoeless |21:39 |
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2009年03月02日
WBC代表分析第四弾、パナマ代表です。普段はカリブの強豪として国際戦で存在感を見せ付けているが、WBCは前回オランダマルティス相手にノーヒットノーランを献上するなど黒歴史に近い扱い、ほとんどのマスコミもパナマにとっての今大会をリベンジ扱いとしています。…と、ここまで書いて思ったのですが、もしかしたら「世間的にパナマって強豪扱いされてなくね?」と不安が胸に湧き上がってきました。いや間違いないんだ、パナマは強い、強いほうなはずなんだ、そもそもWBCに御呼ばれされているだけで野球では強豪なはずだ。間違ってない、間違って…ない…はず…な…ん…だ…。
選手表の見方
背番号 ポジション 名前 打投 所属
リーグ
投手:試合数 勝敗 セーブ イニング 防御率
野手:試合数 打席 安打 打率 本塁打 打点 盗塁
23 P Manny Acosta Atlanta Braves
MLB 46 3-5 3 53.0 3.57
16 P Abraham Atencio Veraguas
PL 5 4-1 0 36.1 2.48
12 P Manuel Campos Seattle Mariners
MLB 76 3-4 4 79.2 4.52
14 P Yeliar Castro Atlanta Braves
A 34 5-6 1 72.1 4.98
27 P Bruce Chen Kansas City Royals
なし
36 P Manuel Corpas Colorado Rockies
MLB 76 3-4 4 79.7 4.52
25 P Jorge Cortes Panama Metro
PL 8 0-1 0 19.1 1.86
21 P Paolo Espino Cleveland Indians
A 19 2-0 1 37.0 3.16
15 P Rafael Medina Cocle
PL 8 1-2 0 22.2 5.95
81 P Gilberto Mendez Los Santos
PL 6 5-1 0 40.1 1.74
55 P Ramiro Mendoza Milwaukee Brewers
R 21 4-0 3 33.1 1.62
30 P Eliecer Navarro Pittsburgh Pirates
R 15 4-3 0 76.0 1.42
17 P Arquimeses Nieto St.Louis Cardinals
A- 15 6-1 0 58.0 2.95
8 C Damaso Espino Cleveland Indians
AA 31 102 28 .275 0 11 0
19 C Cesar Quintero Chirqui
PL 21 79 25 .316 5 22 0
51 C Carlos Ruiz Philadelphia Phillies
MLB 117 320 70 .219 4 31 1
35 IF Avelino Asprilla Panama Metro
PL 20 68 21 .309 0 6 1
10 IF Javier Castillo Chicago White Sox
AA 102 388 112 .289 8 58 3
22 IF Angel Chavez Boston Red Sox
AAA 117 468 135 .292 10 68 5
26 IF Audes De Leon Herrena
PL 16 62 22 .355 4 16 1
6 IF Kevin Ramos Los Angeles Angels
R 40 141 45 .319 1 34 9
2 IF Ruben Tejada New York Mets
A+ 131 497 114 .229 2 37 8
42 IF Julio Zuleta Chiba Lotte Marines
NPB 73 263 52 .216 8 33 1
4 OF Earl Agnoly Los Santos
PL 21 74 24 .324 4 14 1
63 OF Luis Durango San Diego Padres
A+ 17 72 31 .431 0 10 1
45 OF Carlos Lee Houston Astros
MLB 115 436 137 .314 28 100 4
28 OF Ruben Rivera Venados de Mazatlan
AAA 105 366 128 .350 25 70 22
20 OF Concepcion Rodrigues Atlanta Braves
A+ 108 379 106 .280 11 56 9
リードドオフマンがいて大砲がいて扇の要がいて、カードが溢れている訳ではないですが逆にかえがきかないパーツで組み合わさっている事があらゆる悩みを払ってくれて、バランスの取れた素晴らしいチームだと思います、ライバルがね、うん、ちょっとあれなだけでね、うん。Carlos Leeが長打を打てて三振も少ない為計算しやすく、こうした一発勝負の大会では理想の四番として君臨、メキシコで打って走ったRuben RiveraにAAAのAngel Chavez、捕手のCarlos Ruizととりあえず数は揃っています。またアメリカズカップMVPのCesar Quinteroに日本経験の豊富なJulio Zuleta、パナマ代表の看板であるEarl AgnolyにAudes De Leonと場に応じてベンチにもなかなかな顔ぶれが揃っており対応力も豊富な布陣と言えるかもしれません。ただ基本的にはR~Aランクの選手達で野手陣を組み合わせる事になりますし、人がいないため打力重視になることも間違いなく、守備陣形はかなり怪しいところです。
投手陣はこのチームも他のチームと同じく先発投手が足りていません。対外的にはリベラ辞退が大きく取り上げられたパナマ代表でしたが、この面子だけを見た後では、むしろセギノール辞退のほうがダメージがでかい気さえします。先発陣でかろうじて計算できるのはフリーエージェントBruce Chen、あとはパナマ代表のいつもの方々か若い選手ばかりですので、吉と出るか凶と出るかがさっぱり予想のつかないところです。パナマ代表は普段はA~AAA程度の相手にちゃんとした成績を残せていますので、単純な実績で言っても彼らの中から先発投手を出すことは間違いないでしょう。リリーフ陣にはMLB選手や下位で目立った成績を残している選手達がいますし、基本的に勝負は立ち上がりをいかに凌ぎきるかだと見ることが出来るかもしれません。WBCはスプリングトレーニングの合間を抜けて行われる大会、慣れに時間を要する事が決まりきっているのですから、初戦プエルトリコはドミニカと比べれば転んでくれる確率も大きく、下手をすればパナマの命運は初戦の立ち上がり3回に凝縮されているとさえいえます。
まとめ
いつものパナマ代表数人+ここ最近マイナーへ渡った大勢の若手、MLBプレイヤーといった戦力。リーの存在が大きく、彼が突破口となればどんな試合でもまず2点以下という事はなくなるはず。問題は投手が2点以下に抑えられる確率だが、力のぶつかり合いでいえば二つ勝てば勝ちぬけのリーグなので、プエルトリコ相手の一勝が全ての鍵。ドミニカ戦は仮に捨てたとしても得失点率で涙を呑むような事はまずない。守備はとりあえずは問題はないが、若手揃いなだけに下手をするとオランダよりきつい場面が見れてしまうかも。
posted by shoeless |19:46 |
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2009年03月02日
はい、WBC代表チーム分析第三弾、南アフリカ代表です。世代交代が進みワールドカップなどでは欧州・中南米後進とも戦えるようになってきた南アフリカ、どんどん打のチームと言う性格もはっきりしてきました。個人的には台湾でよくしていただいたJacobus Mostert君がちゃんと代表入りしていたことにかなり安堵を覚えました、昔のエントリで話をうかがったあの彼です、あの時聞いたとおりWBCにちゃんと出場を果たしてくれたようで、涙がちょちょぎれる思いです。もちろんこのブログでもがっつりひいきしていきますので、そこのところはどうかよろしくおねがいします。
あと、残念な話ではありますが、南アフリカプレミアリーグは今現在公式ホームページというものを持っておらず、そのスタッツやロースターなども開示されてはいません。一応所属クラブぐらいはのせておきますが、この通り分析と言う割りにまっさらなプロフィールばっかりになってしまったことをお許しください。
選手表の見方
背番号 ポジション 名前 打投 所属
リーグ
投手:試合数 勝敗 セーブ イニング 防御率
野手:試合数 打席 安打 打率 本塁打 打点 盗塁
(ULは大学リーグ、CXLはオーストラリアリーグ)
30 P Alessio Angelucci R/R San Diego Padres
R 14 1-1 0 33.1 5.13
35 P Barry Armitage R/R
なし
27 P Matthew Dancer R/R Sluggers
なし
15 P Shannon Ekermans L/L North Dakota State University Bisons
UL 20 6-4 3 61.2 2.77
37 P Jared Elario R/R Bothasig
なし
14 P Justin Erasmus R/R Boston Red Sox
なし
19 P Donavon Hendricks L/L Victoria Aces
CLX 6 1-0 0 19.2 4.58
76 P Gavin Jeffrie R/R Bellville
なし
31 P Dylan Lindsay R/R Kansas City Royals
なし
13 P Jacobus Mostert R/R Bothasig
なし
73 P Hein Robb L/L Minnesota Twins
なし
25 P Darryn Smith R/R Rockets
なし
3 P Robert Verschuren R/R Kempton Red Sox
なし
18 C Kyle Botha R/R Bothasig
なし
88 C Karl Weitz R/R Varsity Old Boys
なし
9 C Terence White R/R Boksburg Cardinals
なし
11 IF Zaid Hendricks R/R Giants
なし
1 IF Justin Lazarus R/R Bothasig
なし
28 IF Gift Ngoepe S/R Pittsburgh Pirates
なし
7 IF Anthony Phillips R/R Seattle Mariners
A+ 3 9 1 .111 0 1 0
2 IF Jonathan Phillips R/R Bellville
なし
22 IF Allan Randal R/R Bellville
なし
26 IF Gavin Ray L/L Mustangs
なし
23 IF Brett Willemburg S/R Varsity Old Boys
なし
6 OF Martin Gordon S/R Francis Marion University Patriots
UL 10 19 4 .211 0 1 0
42 OF Richard Holgate R/R Rockets
なし
33 OF Stephen Lederman R/R Minnesota Twins
なし
20 OF Paul Rutgers R/R Victoria Aces
CLX 16 46 14 .304 2 14 0
38 OF Ashley Scott R/R Tacoma Community College Titans
なし
日本に帰国したときに地元の駅を見たとき、ああ戻ってきたんだな…って気持ちになって泣いてしまったのですが、今も同じような感覚に陥っています。いつも通りの南アフリカ代表、まったくもって変化無し。しかし一昔前から比べますとやっぱりかなり世代交代が進んでいる感もあります、前回WBCの時には補欠メンバーでアメリカへと渡っていたティーンエイジャー達でしたが、2007年のワールドカップ、2008年の北京五輪を経て正式ロースターに食い込んできました。マイナーリーガーは数はいませんが、ヨーロッパアカデミー出身のHein Robbを筆頭に、実績がないというよりは、こちらも世代交代の時期にさしかかっているのだと言えると思います。まぁどっちにしろマイナーリーガーとは言ってもかつての代表選考を考えればまだまだ荒削りどころか、既存のメンバーに打ち勝てる程とは言えないでしょうから、彼らの名前を挙げてどうのこうの語るのは無理があるんじゃないとも思えます。
基本的に普段の南アフリカ代表なので、戦略と言う面では分析が楽と言えば楽です。一発が期待できる選手はタイプ的にもいないため、野手人の中でも一人頭抜けているBrett Willemburgを中心に、彼の前にいかに選手を出すか、という選択肢がいつもどおり現実的といったところ。ただ五輪の最終予選で彼は4番に座っていましたが、やはりもともと万能型の選手であるため、前後を固める打者達に長打を期待して結局それに釣られてしまうという悪夢のようなパターンに陥ったりもしていました。投手戦になることはまずないという事もあいまって、大き目を狙いだすと成す術がなくなる可能性も大きい気がします。しかし投打のバランスで言えば近年の南アフリカは間違いなく打のチーム、アスリートのタイプで言えば素早い選手が若手に偏っていましたから、技で攻めなくとも得点をまったく挙げられないということまではまずないでしょう。
投手は、お世辞にも枚数が揃っているとは言いにくいです。代表のメンバーはだいたい球速130キロといったところ、球筋はかなりぶれます。アジアラウンドで調子が悪かったイチローのように見慣れない直球を目くらましにすることは可能でしょうが、なかなかそれ一本で戦えるほどの制球や変化球を持っている投手がいないのも事実。そしてなにより、一度火がつくととめられない打たれ弱さが、これまたおなじみのごとく南アフリカの背後に潜みます。長打を打たれた後制球が荒れる、変化球がすっぽ抜けて四球、その直後ストライクを意識しすぎた球が内に入り外野へゴーの黄金パターン。打たれない時は数回に渡り打たれませんが、打線が一巡する、制球が荒れる、立ち上がり、全ての節目節目ですぐに火がつき、見ている側としては飽きませんがあきません。特に世代交代が進んでからは、以前よか実力を持った選手達がいるのは一目瞭然なのにもかかわらず悲しい結果に陥ることが多いだけに、なんとも不穏な空気が漂っています。
マウンド捌きが落ち着いているという意味では、Barry ArmitageとGavin Jeffrierの両ベテランにかかる期待は大きいでしょう。2006年のWBC日本代表で言ってみれば、Brett Willemburgがイチローとしてチームを引っ張り、Barry Armitageが宮本としてチームを支える、みたいな。そういや右左を考えると左のBrett Willemburgの前後を生めるようなバッターはタイプ的にJonathan Phillips、Paul Rutgersぐらいしかいないんですが、個人的に右の長打者の問題で悩んでいるチームって妙な親近感がわいて仕方がありません。Gavin Rayが左だからBrett Willemburgが4番か3番かで変わってくるけれど、どっちにしろ打つとしたら後ろだろうな…あれ?そういやワールドカップと最終予選で5番打ってたLiebenbergはどこへ行ったの?あんたがいないから左右のバランスおかしいんじゃねーの?あれ、最終選考にもれたわけでもないの?あれ?何?夢?幻?
まとめ
いつもどおり。しかしなめられるような存在ではないという事だけは十分に言っておきたい。投手はほぼタイプに違いはないが、ぱっと見で分かるほどアクとクセが強い。野手は値踏みがきかないタイプばかりなのが現状。
posted by shoeless |02:27 |
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