2008年10月11日

負ける為に生まれた球団

北京五輪の予選トーナメントでのアメリカ戦前日、決勝トーナメントでキューバと当たれば分が悪いと話題になっていたとき、負けるために試合をする馬鹿はいないという批判があったのを最近思い出しました。それは勝負なんだから至極もっともな話なんですが、ただ何をもって勝敗を決めるかで「勝ち負け」の意味は大きく変わってくるため、一概にイエスとは言いがたいと、そのときは思っていました。今でこそ韓国とあたっていても勢いがあっただろうと言う事はできますが、王者キューバとわざわざかち合う事にメリットがないと今さえ思いますし、五輪の勝ち負けは全体でメダルを獲得したかどうかで決めなければならないものでしょう。かつてクライマックスシリーズでマリーンズのエース清水がホークス松中相手に初戦徹底した内角攻めをするなんて場面がありました、その後の試合マリーンズは松中への攻めを徹底した外角攻めに切り替えてクライマックスシリーズを切り抜けたのですが、それもまた一つ、うまい勝負の捨て方だったように思えます。しかしだからといって世の中に負けることを宿命付けられてきた球団がいたなんて、想像もできませんでした。台湾でまた、八百長が発覚したのです、しかも今回は、球団ぐるみで。



今回八百長の舞台となったのは昨シーズンよりCPBLに参加していた米迪亜ティー・レックス。報道によれば球団ぐるみで野球賭博と八百長を行っていた疑いが浮上たらしく、検察当局が8日、詐欺や賭博などの容疑で施建新・オーナーや選手、コーチ、球団職員ら計14人を事情聴取。うち施オーナーら6人を身柄拘束したそうです。長らく続く八百長の問題により球団の経営が赤字続きの台湾、昨年誠泰が球団運営から手を引き、球団運営に関わる企業選別にかなり厳しい声があがっていただけに、今回の事件は一部の識者にとっては予想できた事件と言えるかもしれません。球団が暴力団の資金で運営されていたことも明らかとなり、親会社であるカーナビゲーションメーカーの賽亜数位科技にはオーナーが役員としていなかった等、かなりの不鮮明な経営実態が明らかに。彼らは球団関係者やコーチ、選手らを金銭やレギュラー確約等の接待で懐柔し、故意の失策や四球でゲームを操作していたと見られており、検察は7月の時点で本格捜査に乗り出していたそう。暴力団が弱みに付け込む形で生まれた球団が米迪亜ティー・レックス、彼らは負けることを目的として生まれた、初めての球団となりました。



確かに、台湾の野球は、設立当初から賭博と切っても切れない関係にありました。野球そのものと言うよりかは、台湾で行われる興行として野球はうってつけの存在だったと言えるかもしれません。賭博に対する制限が厳しい台湾、そこに初めて設立されたスポーツのプロリーグであるCPBL、注目度の高さもあって、そこへ暴力団の資本が張り込んでくるのは最初から予期できた事でした。かつては球場の中に一人は野球場に似つかわしくない黒服のお兄さんが立ってるなんて言われ、CPBLの躍進とともに賭博への需要も増加、そうなってくればもっと別のところで儲けたいと思う人間が出てくるのも仕方がないっちゃ仕方がない話なのでしょう。マフィアによる八百長が最初に露見したのは1997年、またこの発覚の仕方がすさまじいもので、人気球団兄弟エレファンツ監督呉復連がホテルの部屋に拉致監禁され、自由業の方にピストルの銃口を口の中につっこまれるというショッキングな露見の仕方でした。もちろんこの事件の直後台湾の球界は未曾有の混乱に陥り、芋づる式に多くの関係者の八百長が見つかると、多くのファンは球場を去っていきました。



いくつかの球団は解散となり、リーグは混乱のさなか分裂、そんな事態にますますファンはさめていきましたが、それでもなお八百長の火種は手を変え品を変えリーグに付け入る隙をうかがい続けていました。小説「夜光虫」の中で馳星周先生は当時の台湾野球の八百長をテーマとした物語を書き綴っていますが、現実は小説より奇なりとはまさにこういうことを言うのでしょう。八百長の問題で黒道と接触していた外国人選手は不審な死を遂げ、選手の中には野球選手としての道を断たれた人間もいる、八百長も単純な介入の仕方からリーグ運営そのものへ介入しようとするまで、最早野球というゲームの一つのルールといった様相でした。台湾の野球選手だって、もともと八百長がしたいなんて選手がいるわけではありません。給料が少なくレギュラーを取れない層を狙って八百長を持ちかけているということもそうですが、そもそも話を持ちかけられた時点でイエス以外の選択肢は、チームから抹殺されてこの世からも抹殺されるしかありえない、誰一人として、最初っから断れないのです。



根本的な問題を解決するために、CPBLはクリーンな体質と選手そのものの環境を整えるためリーグの整備に邁進してはいました。しかしそのたびに八百長は顔を出し、彼らの出鼻をくじいてきました。今年で19年目になる台湾リーグながら、その間八百長の関連で謝罪した会見は既に二桁超え、2005年には致命的とさえ言われた二軍での八百長問題が発覚し、台湾のファンにとって八百長はいたちごっこというよりか泥沼での殴りあいといったほうがいいような問題にさえなっていました。それでも、それでもなおCPBLはクリーンな体質を目指し、球界からそうした流れを根絶しようと動いていました、動いてはいたのですが、黒道のかたがたのお考えは彼らのそれを数倍上回っていました。CPBLに付け入る隙がないのならば、球団自体を手に入れて八百長を行わせてやればいい。ちょうど昨今の八百長問題のあおりを受けて誠泰が球団運営から手を引くといっていた、そんな運命のめぐり合わせで生まれてしまったのが米迪亜ティー・レックスでした。



奇襲ともいえるこの手にCPBLは面食らって入るようですが、ファンからしてみればかねてより叫ばれていた球団運営の企業選別の甘さの露呈にかわりないだけに、彼らの野球に対する目は更に厳しいものとなりつつあります。ここ最近先日の五輪での中国戦、そしてワールドカップでの敗戦が響き、野球に対してかなり厳しい世論となってきていただけに、これから始まるプレーオフやアジアシリーズに向けてファンが何らかの行動で拒否を示しそうな気配が漂ってきました。この流れをうけてCPBLは球団の運営を即刻停止、彼等のレギュラーシーズン残り2試合を中止としましたが、プレーオフに関わらないのが最後の救いといった程度の処置にしかなっていません。台湾のファンにとって不運なのは、これが野球の問題というよりかは台湾の社会が抱える暗部の問題、ということでしょう。かつてバスケットリーグが休止に追い込まれ、CPBLも運営停止に陥りかけていたとき、野球を救ったのは「台湾にプロスポーツを」と願ったファンの肝いりでした。彼らの熱意が経済界の面子と野球好きで知られる陳水扁を動かし、CPBLはその経営を保ったとさえ言われています。しかし今回の事件でわかったのは、台湾にプロスポーツがある限り、どう体制を変えようとも賭博はその寄生先を求め続けるという皮肉な結果でした。



台湾の野球界は今回の事件を受け、激しい批判を浴びています。まだ、激しい批判があるのならば、そのうちは大丈夫でしょう。しかし今回既に、見られてはいけなかったはずの醒めた兆候は見られ始めました。「またか」と言う声です。台湾のファンは怒るのをやめて、あきれつつあります。



何を勝ち負けとするかは、人によってその尺度が違います。いくら試合で負けようとも興行として儲かれば勝ちでしょうし、いくら球団経営で負けようとも賭博で勝ちがついたならそれは確かに勝ちと見ることもできます。さてでは、台湾のファンにとって台湾の野球の勝利とは一体何なのでしょうか。目の前にある勝利が勝利と感じられなくなったとき、いかなる勝利をもってきても言われる言葉は決まっています。

「だって本当は勝利じゃないんでしょ」

皆さんの目指している勝利は、本当の意味で勝利と言えるものでしょうか。

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2008年04月11日

第5共和国の人々

スポーツと政治が別と言う言葉は、軽い言葉です。スポーツが娯楽と言う文化の一部である以上は、それを保障しうる世界がなくては存在すら許されません。事実、時に戦争の代わり、時に世界の注目の的となるスポーツは、その歴史上のほぼ全ての時代でスポーツは政治の道具となってきました。国民の愛国心を高揚させるためであったり、娯楽を管理するという目的であったりとアプローチの仕方は様々ですが、結局のところスポーツは政治の下で保護管理されるべき文化ですので、スポーツに政治が介入してくる事それ自体に文句を言う事は人生の無駄にしかなりません。自由や平等はプライド等問題にならに程重いもので、スポーツは聖火のトーチよりよっぽど軽い、吹けば飛ぶ程度のものです。無論選手達の夢の舞台へ政治的背景が土足で踏み込む合うような事態は褒められた話ではありませんが、最も効果的で広告力のある唯一の表現がスポーツであるのならば、自由や平等にたてつくような真似は不道徳そのものだといえるでしょう。文句を言えるような立場に無いと言うのが妥当でしょうか、スポーツには政治介入を拒否する力は無い、しかし皮肉なことにそれは同時にスポーツに上位の存在である政治問題を解決するような力も無い事をも意味しています。スポーツをいかに利用しようとしまいと、政治を変えられるのは政治だけ、無力なスポーツに残るのは後の世に語られる不幸な事実にすぎないのです。



あるだけで存在を認識できるわけではなかった空気の存在のように、言論の自由という考え方は長い人類史の中でも比較的新しい部類の人権です。意識されたのもそうですし、保証された事にいたってはまだまだ発展途上なほどに幼い権利。報道される情報の取捨選択や空気を読む行為によっての思想の同化等も含め、いまだに理想的な言論のあり方と言うのは世界の共通像を描くに至っていません。政府が実力で目に見えた統制を行うという意味でも、アジアの中で見たって日本もつい数十年前までは平気で政府の介入が入っていましたし、思想に関してはまだ日本は自由な風潮のある国ですから、言論が見当たらないとさえ揶揄される北朝鮮をはじめ、軍事的混乱の続くミャンマー、冷戦下のロシア、お隣韓国なんかもつい最近まで、場合によっては今でもといわれるほど言論の統制が強かった国とされていました。それがどの程度でどのようなものであったかはその国々の人で無い我々には想像さえままなりませんが、それでも漏れ聞ける程度の事も多くあります。韓国ならば、韓国スポーツ界と合わせて語られる事の多い3Sがその代表と言えるかもしれません。



韓国のスポーツの事を話すとたまに聞くことのできるこの3S、3Sとはsex sports screenのみっつの頭文字をとった言葉で1980年代から韓国大統領に就任していた全斗煥によって行われていた政策方針の事を指しています。表向きには国民の三大娯楽であるこの3つの文化に対し政府が力を入れて伸ばそうとしたと言った政策で、実際に韓国は1982年にKBO、1983年にはKリーグの前進となる韓国サッカースーパーリーグを発足させ、1980年中盤には名古屋と争いソウル五輪の誘致に成功しました。言わばスポーツ強国と呼ばれる現代韓国の基礎を作った政策とも言え、今もスポーツへの貢献をとって彼を評価する人は少なくありません。しかしその一方でやはり強権的な性格を隠さなかった彼を厳しく非難する人もおり、貢献度の高いスポーツ界にも彼の行動の割を喰った人々がいました。その典型例がプロレス団体、五輪競技が力を入れられる陰となり、全斗煥時代は陰の時代であったと言われているとも聞きます。何故プロレスが駄目だったかに明確な理由はありませんが、一説ではプロレスのような大衆へのアピールの強いスポーツが大統領の目的に沿うものではなかったからなんていわれています。それこそが3Sのもう一つの顔、民意先導役としてのスポーツと言う政治的な面構えでした。



3S政策とはもともと愚民政策として使われる政策の典型的なもので、日本においては特に戦後GHQが日本の民意操作に利用するために推し進めたなんて言われることがあります。もちろん確たる公文書や証拠のある話でもないため陰謀論扱いを受けることのほうがよっぽど多い話なのですが、ここで日本においての真偽を問うことはしません。確かに戦後日本ではプロ野球を初めとするスポーツエンターテイメント、映画、性風俗の解放が伸びた時期が重なったりもするそうですが、今語られる事が少なくなった事を見ても想像できる通り、日本におけるそれはそこまで露骨なものではなかったように言われています。大衆娯楽に目を向けさせることで民衆に政治を監視させない、中国共産党の父毛沢東は「人民が政治に無知な状態が最も政治に向いている」と考えていらっしゃったようですが、そんな話は噂だけでも十分身の毛のよだちを止められません。事実だろうがなんだろうが、天上で起こっていることでその身を疑われるスポーツ界はたまったもんじゃないでしょう。また残念なことに、80年代の韓国についてはそれがあまりに露骨で、露骨にならざるを得ない背景が揃っていました。疑う余地少なく、スポーツは民意操作に使われていたのです。



第五共和制を成立させ、1980年代に韓国に経済成長をもたらせた全斗煥にとって、そのアキレス腱は身から漂う「独裁色」、前政権朴正煕との対比にありました。朝鮮戦争から10年後の1961年、経済再生と反共親米を打ち出して軍事クーデタ-を起こした朴正煕は、後の大統領である全斗煥や盧泰愚等の信望を集め、政権のトップへのぼりつめていました。軍人気質の大統領であったこともあり、すぐさま経済再生問題に取り組み、腐敗政治家やマフィアを次々と摘発。しかし同時にそうした清廉潔白さはどうしても独裁的圧力ををともなわざるを得ず、政策や方針、どれをとっても非常に軍事独裁的性格が漂う政権ともいえました。もちろん韓国国内ではデモが多発し、それさえも圧力で制圧していかなければならないと言う悪循環。結果朴正煕大統領は弾圧の慢性化に反対していた金載圭に暗殺され、業を煮やした全斗煥が粛軍クーデターを起こし軍部を掌握、形としては朴正煕にとってかわる形で全斗煥は韓国の大統領に就任しました。



こうした背景を考えれば全斗煥としては国民の不満が溜まりやすい体制はとるべきではなかったのでしょうが、スタートからして軍事クーデターで権力を掌握しての登場はあまりにきな臭いもので、その政体は朴政権をどこか髣髴とさせるものでした。夜間外出令などの治安統制の緩和や日米との外交の活発化など国内向けの政策も多く打ち出しましたが、ミャンマーでの爆弾テロや北朝鮮との露骨な緊張等終始軍事的性格を脱臭する事はできず、国民の不満と民主化への動きは激化し大学生や労働組合のデモは続発。度重なるデモの鎮圧やクーデターを軍で鎮圧した光州事件と、国民のフラストレーションは徐々に政権の首を絞めるようになっていきました。軍の圧力で憲法を改正し大統領に就任した全斗煥にとって、一番最初に成すべき仕事は彼等の目を政治から遠のかせることであり、そして彼が見つけた最も簡単で最も大義名分に満ち溢れ最も役に立つベストアイディアこそ、スポーツの利用だったのです。



その目論見は、間違ってはいませんでした。確かにスポーツは韓国内で反政府感情の捌け口となり、愛国心や現代スポーツの礎となりましたし、当時の韓国国民もそこに政治の意図を感じ取っていたとしても露骨な反発は見せられませんでした。最初に言ったとおりスポーツは政治があってようやく成立できる文化です、しかし心のどこかでスポーツを政治と別のものなんだと考えてしまう気持ちもあり、分かっていても政治を理由にスポーツを否定することは気持ちのいいものではありません。北京五輪において、いくら中国に対して否定的なイメージを持っていたとしても、選手達やスポーツを同時に否定するとなると両親だかなんだか分からない気持ちの呵責がしり込みをさせた、身に覚えがある人は少なくないんじゃないかと思います。軍事政権下、半ば脅迫されて脅迫されながら参加した選手もでながら始まった、陰のスタートを切った韓国の野球もどんどんと韓国の社会になじみ、そうした事実は歴史の一部へと風化していきました。全斗煥自身も結局スポーツ程度には身を守ってもらえず、退任後に利権介入が発覚、その後も光州事件や人権侵害など当時スポーツと軍事力で批判をかわしていた事実に追求が止まらず、一時は死刑まで求刑された晩年となりました。スポーツには最初から、政治を動かしきる力など、存在しなかったのです。



3Sとは最早忘れた癒えた傷であり、正直なところ、今語るにはあまりに陳腐な話題としか言えません。それでも今なお韓国においてファンの口からそんな話題が止まらないのは、彼等がそこに自分達の愛する物への障害の理由を探したいという部分が大きくあります。彼等の言い分のほとんどは現在の韓国の内需とは別に作られてしまい実情と見合わない開催が続いた国内リーグの現状や、代表戦と比較しての国内スポーツの慢性的な注目度低さ等の根底に3Sという不自然なイベントが存在していた、なんてものです。長らく伸び悩んだKBOやKリーグは、確かに彼等の心を焦らせ、手のうち様に困る閉塞感を漂わせてきました、そこに理由を見つけたいとなれば、3Sというイベントはあまりに根深く韓国のスポーツに絡んでおり、理由としての説得力に十分に足るものだったと言えるでしょう。それが是か非かは別として、韓国のコアなファン達のスポーツへの捉え方の根底に3Sがあり、それは彼等の背に今も根を張っているのかもしれません。スポーツと政治が別と言う言葉が語るとおり、韓国においてスポーツは政治の介入を拒めず、スポーツは政治をかえる事はできず、最終的に単に「スポーツが政治の道具として利用された」という事実のみが残る事となりました。



スポーツが政治と別と言う言葉は、現実に無い平等なルールと夢をかなえる舞台といったような、現実ではありえない世界を実現したからこそ唱えられている言葉です。現実が不平等だからこそスポーツの平等がもてはやされる、政治とはルールに基づいていながらつじつまの合わない不都合な現実を処理していく行為であり、スポーツとは平等を達成した政治行為と言えます。スポーツに政治が介入する事はしかたの無い事ですが、スポーツをスポーツたらしめているものが現実に無い「平等」や「自由」である限り、それらが崩されてしまえば最早それをスポーツと呼ぶ事はできず、不都合な条理や対立、不平等溢れる政治に他ならなくなります。スポーツとはスポーツとしてのルールを守ってはじめてスポーツと呼ばれるはずのものでした。IOCが北京五輪期間中繰り返し語っていた「スポーツと政治は別」という趣旨の談話は、まさに正論でしょう、政治の介入を招いてもいいことなんてあんまりありそうにないですし、介入されたくないという気持ちも分からないではありません。しかし、もし現実の不都合がスポーツの前提を圧迫する程に膨張してきているとき、それはスポーツとしての意味を失った単なる政治の一部分でしかなくなります。



北京で行われるのは本当にスポーツでしょうか、僕らは安心してスポーツと信じさせてもらえるのでしょうか。中国の地で、スポーツの世界は、自らをスポーツにしている自由平等の実現を守れていますか?

posted by shoeless |01:20 | アジア野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2008年04月03日

戦いすんで日が暮れて

さて突然ですが問題です。アジア地区における国際大会にて、史上初めて3位入賞を果たしたプロ野球球団は一体何年のどこの国のどのチームでしょうか。ヒントは首都のチームじゃありません。はい、答えは1995年の日本の福岡ダイエーホークス。2004年の興農ブルズと答えられた方はあと一歩でした、そこまで分かっていて違う答えを考えた方はもう少し僕を信用してもいいんじゃないかと思います、騙されてよ、騙されてこそ成り立つ話じゃないか。一方答えを勘抜きで当てられた方はご立派の一言です、そんな人たちの前で話し始めるのはとんでもなく気まずいのですが、他の人たちの為に渋々恥じらいながら話を進めますと、多分皆さんのほとんどが思い浮かんだであろう2005年から大々的に始められたクラブ対抗戦アジアシリーズの前に、実はすでにアジアオセアニア地区でプロクラブチーム同士の国際大会が行われたことがありました。1995年、国内では地下鉄サリンに阪神大震災、海外ではアウンサンスーチーさん軟禁にフランス核実験と安全が揺らぎに揺らいだ暗い世相、ヤクルト野村監督がイチローを抑えて日本シリーズ制覇を成し遂げた熱狂の余韻覚めやらぬその裏で、11月23日と24日の二日間、福岡でアジア初めてとなる野球クラブチーム国際大会アジアパシフィックスーパーベースボールがどっちかって言うとひっそり開催されていました。



大会の首謀者は当時の日本で栄華を誇っていたダイエー帝国の主、中内功氏、そしてコミッショナーの根来さん。当時から小売市場や食品輸入の面でアジア展開を狙う方向へ駒を進めていた日本の企業、この時期と言うのはまさに日本の企業がその進出の仕方を模索していた頃とも言え、もしかしたら中内氏は韓国台湾において話題を扱いやすい野球をアジア戦略の一歩目として見ていたのかもしれません。考えてみれば1995年と言うのは台湾のリーグ発足5年目、野球賭博発覚で混乱状態に陥るギリギリの人気絶頂のときともいえましたから、確かにこれ以上ない一歩となりえる選択肢だったでしょう。あれからもう13年、ダイエーは財政悪化から球団を手放す事となり台湾は野球賭博の問題でリーグ統廃合、オーストラリアにいたっては当時のリーグが完全休止状態に追い込まれるなどさっぱりアジア太平洋の様子も様変わりしてしまいました。しかしそんな中でも、ソフトバンクが世界志向の球団を目指すと言ってくださったり、オーストラリアもリーグ復活の光明が見えてきたと言われ、アジアシリーズへ彼等の意思は脈々と受け継がれてきているようで、13年と言う年数の長さと短さを同時に感じてしまいます。当時のメンバーは福岡ダイエーホークス、興農ブルズ、ハンファイーグルス、そして全豪選抜の4国。この中で国内リーグを優勝したのは興農だけですので、正直今から見れば業界的にもあまり歓迎ムードがなかった大会であったことが伺えます。言ってみれば、彼等が果たした役割は意志云々と言うよりむしろ後の世の試金石となったところ、と言った方がいいのかもしれません。



日本国内でも注目度は高いといえなかったアジアパシフィックスーパーベースボール、すんごい長いのでプレ・アジアシリーズは、読売系列のてこ入れやマスコミのヨイショも無い中、実質台湾プロや韓国プロの実力お披露目大会と言える形でスタートしました。カードは初日が統一・ダイエー戦と全豪・ハンファ戦、その内勝ち上がった2チームで決勝戦と言うトーナメント戦。ハンファは韓国国内で20敗負け越し6位にはいったチームだったのですが、前評判で行けばいくら台湾王者といえどたった5年のリーグでは日韓相手に勝負にはならない、10年ちょっとの韓国リーグだって日本球団の相手にはまだ遠い、というのが共通認識だったようで、ダイエーの面子はあんまり本腰を入れている感じではありませんでした。アジアシリーズについては各球団、ひいてはNPBがこの大会も踏まえたうえで日程を組んでいるようなので辞退する日本人選手はまだ少ないですが、この大会にはそんな縛りはありませんでしたから、やっぱりオールスター級は最初から辞退しており、チームも戦力差を考慮してか若手に経験をつませる場のような布陣をしいていました。一方もう一つの優勝候補ハンファは日本に土をつけられる機会とあってやる気マンマン、巨人入団前のチョン・ミンチョルや200勝投手ソン・ジンウ、後に日本キラーとなるグ・デソンと普段ならオフのところオールスター級を惜しみなく投入してくる熱心さ。この頃からすでに日本・韓国・台湾のこのシリーズに対する姿勢はできあがっちゃっていました。



そんな過信は、やはり自分を信じすぎる者の足元を掬います。目の色を変えて福岡にやってきたハンファは、当時慣れていなかった国際戦にチーム編成や準備を誤ったオーストラリアを完封し圧倒、オーストラリアも米国球界経験者が多くいたというのにも関わらずの勝利で、前評判以上の評価で決勝戦に駒を進めました。しかしもう一方の優勝候補ダイエーには、油断していた分だけの関門が訪れます。統一の先発は95年シーズン20勝で最多勝を挙げた郭進興、野球賭博で球界を永久追放になるまで名実共にその年代の台湾のエースと言えた投手でした。1980年頃には日本の社会人野球の名門ヨークベニマルで投げていただけあって、ダイエーベンチの目論見むなしく実にすんなりと初回を凌いでしまいます。もちろんダイエーだってチームの核が不参加なだけで、選手の質や数で統一に劣る事はありません。この日のダイエーだった先発藤井将雄も、社会人上がりの即戦力新人という力を如何なく発揮し、三者凡退でのスタートをきり統一打線を沈黙させていきます。決め手に欠けていたダイエー打線に藤井の直球に歯が立たなかった統一打線、両投手への好材料が響き、試合は当初の予想を裏切って0更新の投手戦という深みへどんどんとはまっていきました。最初に壊れたのはまさかのダイエー二番手斎藤貢、7回から登板し9回まで0点更新を続けていましたが、ドミニカ人主砲林克が外野の間を縫うタイムリーを放ちスコアボードに土壇場で1点が追加されます。予想外の展開にダイエー打線も崖の上で奮起しますが、スコアリングポジションにランナーを送りながら抑えの百力の前に倒れ、結局ダイエーはこの試合を完封で敗北する結果に終わりました。開催者ダイエーが敗れるまさかの大波乱、アジアのプロは、最初から日本が最強と言う舞台でもなかったのです。



オーストラリアを下したハンファとダイエーを下した統一、こういってはなんですが、あれだけ鉄板といわれてきた下評判の実力差をひっくり返したのは、結局のところ単にこの大会への入れ込み具合、情熱といった数値が出来ない概念だったというあたりに皮肉を感じざるを得ません。即席の混合チームしか送り込めなかったオーストラリア代表もそうですし、何より主力を注ぎ込まなかったダイエーの結果がそれを物語っていました。面子丸潰れの状態で三位決定戦にまわされたダイエーは、最低限としてどうにか勝ちをもぎ取ろうとしましたが体制転換があまりに遅すぎ、オーストラリア打線を上回る貧打でようやく勝てたという有様。そんなダイエーを尻目に、いつのまにやら追い出されてしまったアジア最初の頂点では統一謝長亨・ハンファ具臺晟という当時のアジアを代表する豪華な面子が試合を始めていました。選手の名前でチームのやる気がはかれるとは思えませんが、そうした戦力の使い方こそが彼等がその場に立てた理由だったということかもしれません。謝は慣れない試合相手に初回から乱れ1点を失いますがその後すぐ復調、一方の具もこの年の国内リーグはズタボロの成績だったとは言えこの頃から国際戦に強く統一をゼロ封、アジアの頂上決戦はまたも予想外の投手戦の泥沼へとつかっていきました。当時の台湾リーグが全体として球速がそこまで速くないという事もあったのでしょうが、アジアトップの速球派に統一打線は完全に力負けで展開は陰鬱模様。ハンファも日本でのプレー経験のある謝長亨にうまくかわされチャンスをつかめず、結局試合は7回を終わって何一つ動きが無いもの、そして何の運命か、その静寂を破ったのはまたしても統一側からでした。



8回裏、何故かこんな回になってようやくつなぐ野球を達成した統一打線は、1アウトながら満塁にまでこぎつけます。三割バッターが並んでいた統一にとってのアキレス腱とも言われた下位打線、この回もここで終わりかと思いきや、台湾の負けん気はここで8番江泰権、9番呉思賢といった安牌扱いであった二人にヒットを生み出させ、一気に3点を追加し逆転に成功してしまうのです。9回に2点のビハインドを背負ったハンファにこれを逆転する余力は残っておらず、統一は最後までハンファ打線を抑えきって3-1で大逆転勝利。11月24日は、二試合の胃が痛くなるような投手戦を制し、奇跡とも呼べる勝利をひきだした統一が、結局波乱のど真ん中にいたままアジア最初のプロ野球の頂点へとのぼりつめた記念日となりました。1995年当時、まだ日本国民のほとんどがアジアの野球に目を向けていなかった頃から、日本の野球は「準備不足」でアジアに負け、アジアトップの座を守っていたわけではなかったのです。



あれからもう13年、アジア最初のプロ大会を経験した選手は既に半数が球界を去り、アジアはアジアシリーズの旗の下、今一度当時掲げた理想に向かって歩みを初めました。何故アジア最強と呼ばれていた、アジア最強であるはずだった日本が、アジア相手に苦しい展開を強いられているのか。2004年に始まったアジアシリーズからアジアとの接触が多くなるにつれてこうした疑問は語られるようになり、対アジアでの準備不足や大会への参加態度、選手起用の仕方や選出方法が議論される回数はここへ来て飛躍的に増えているといって間違いは無いでしょう。「アジアの野球は日本にとって脅威である」、アジアシリーズ、五輪、WBCと繰り返し反省するたびに打ち出されてきたアジア脅威論も、この大会から数えて13年目にしてようやく徐々に定説化するに至りました。五輪を前にしたときのアジアの不気味さは、日本人にとっては毎度降って湧いてくる脅威とも言えます。当時一軍半の選手で勝ち星勘定できるとされていたアジアが日本にとって脅威と呼ばれるにまで変わったこの13年は、韓国台湾にとっては躍進の年代であり日本にとっては13年もの間現実をよく認識できていない暗雲の中の年代となりました。



13年もの時を経て、ようやく再度噴出するに至ったアジア脅威論。アジアの中での日本の立場が変わりつつある今、再度我々自身の意識によって「アジアの野球」への意識を強くしていかなければ、またもアジア野球の価値を値踏みし違える泥沼に足を踏み入れる事になりかねません。我々が自分自身で意識せずにこのままアジア脅威論が定着するまで待つという事は、それはすなわちアジアの野球が我々にまざまざと脅威をつきつける時代を待つという事に他なりません、そしてそうなった時にもう手のうち様が無いことは、身の毛がよだつほど目に見えています。負ける事を恐れるのはすばらしい事ですが、負けて叱咤される事を恐れてはならない。日本はアジアにおいて今までも、そしてこれからも決して絶対的なトップに立っていたわけではありません。そうした意味で言えば、この大会はそんな日本の敗因やアジア内での立場、韓国台湾の日本野球に対する態度を如実に体現している大会でした。アジアパシフィックスーパーベースボールを、単なるアジアシリーズの試金石やダイエーの黒歴史とするのはあまりにもったいない話でしょう。日本野球にとって、こんな分かりやすい形の戒めの碑は無いのですから。

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2008年01月30日

2008年スリランカの旅

野球の基本はキャッチボールにあるといいます。キャッチボールが大切な理由としてはキャッチボールが相手との対話であるからなんだそうで、相手の事を考えて投げあう中に対話が生まれ、そこから駆け引きが生まれてていくのだとか、だからプロでさえキャッチボールを完璧にこなすことは難しいと言われるんだそうです。他人のサポートが出来る人間は他人の妨害もできるという事で、局面局面でとっさの判断よりも悩んだ末の決断を要求される野球では、やはり駆け引きのトレーニングが必要という事なのかもしれません。相手の考える事を読み取り相手の決断や心理の穴をついていく、確かにそうした麻雀やポーカーのような部分は野球の醍醐味と言えますし、おでかけに赤い服を着てきた女は誘っていると信じてやまない僕がキャッチボールが下手糞なのも、それに照らし合わせれば当然といえるでしょう。そういや年末福田首相が中国に訪問したときに温家宝首相とキャッチボールをするなんてほほえましいんだかきな臭いんだかよく分からないイベントがありましたが、あの一球一球にこれからの日中関係の駆け引きが詰まっていると想像したら、興奮が隠せませんでした。暴投とかして(そんな横暴な条件をのめるか!)(交渉決裂ってことか…)みたいになってたらどうしよう。



まぁこれ僕の脳みそがサーバーに負担をかけるだけを目的として生み出したゴミ情報ですので、正直そんな事になっていようがいまいがどうでもいいのですが、実際問題スポーツは時として競技とは別の駆け引きを含みながら行われることがあります。今一番ピチピチのツヤツヤのところでいけば、ハンドボールアジア予選はまさにそれでしょう。世界の大勢の人々の目にとまるスポーツの舞台ですので、そこには面子や政治、お金などの別の要因がたやすく介入してしまう隙を残しています。中東勢に牛耳られたアジアハンドボール協会、オイルマネーというバックグラウンド、ハンドボールでも抗議が多いといわれていた韓国、単にハンドボールの試合を越え、今回のハンドボールアジア予選は大人のくろーい駆け引き渦巻く大舞台へと変貌を遂げました。野球でも当然例を挙げるに暇はありません。以前の日記「矢弾尽き果て」の中でお話したベネズエラの政治的理由による台湾選手団受け入れ拒否、WBCにおけるアメリカの政治的理由によるキューバとの報奨金問題、野球においてもイスラエルはヨーロッパ枠…そこにはいつもスポーツとは関係ない大人の都合による駆け引きがあり、そしていつもそうした要因にスポーツは動かされてきました。



もちろん大人の都合って言ったって善悪大小さまざまありますので、大人の都合って言う言葉の響きだけで判断をすることは危険です。広告の為に特定のチーム選手に勝ち進んで欲しいから協力するのも大人の都合による駆け引きですし、スポーツ振興の為にヒーローをマスコミが作り上げることもある程度は必要な事だといえるでしょう。駆け引きといっても両方善とも悪ともいえない場合ばっかりなのが現実の辛いところで、中二あたりで作るRPGツクールのような「悪には悪の理由がある」というような華々しい物はあまり多くありません。今回のイギリス代表なんかはその典型で、最終予選辞退の理由が日程がずれたことによる選手召集の困難や経費の不足、旅費の面で動き回った感もありましたがものすごく不景気な大人の都合による駆け引きのもと姿を消しています。逆に大金渦巻く日本においては、テレビ中継に時間の尺に合わせて戦うことを良しとされる高校球児たちや、派閥や球団同士による裏金のつながりや対立など、しがらみが増えるにつれて大人の都合は多くでてきます。メジャーだろうがマイナーだろうが世界中どこでも夢と理想じゃ欲は満たされない現実、割を食うのはプレーヤーやファン、特に純な子供達、また現実とは酷なもんです。



しがらみから逃れて野球をやりたいという純粋な気持ちで野球をやる、自分達でお金を作り世界を目指している人々というのを期待するには、現実はあまりにも厳しくあります。豊かといわれる日本でもマイナースポーツをしているアスリート達の多くはアルバイトを行い大会に自費で参加する事を余儀なくされているとおり、世界の野球選手たちも多くは参加リーグとの兼ね合いや実生活との折り合い、大会への参加のハードルに頭を悩ませ、大人の都合にふりまわされています。簡単な例を出しますと、今回の北京五輪アフリカ大陸予選の参加国は全部で6国ですが、開催国である南アフリカを除くほとんどの国が当初は参加を見送ろうとしていたことがあげらるでしょう。飛行機のチケットはとれないし、車で行くには治安の悪い地域があるし、ビザはお役所の仕事の影響で取れないし、お金は全然捻出できないし、日程的にそんな急げないしと、世知辛い大人の都合は彼らを放してくれませんでした。結局アフリカ野球連盟から支援金が出て面子を揃えることが出来たらしいのですが、それもまた五輪に向けた野球協会の面子の為という都合だったと見る事もできます。アフリカ大陸連盟のあるナイジェリア、日本から指導者が派遣されているガーナやウガンダでさえ簡単には動けない事実は、僕が長々と語る理屈の百倍説得力があるはずでしょう。



自分の首を絞めるまで野球をするなんて事は普通に考えたらありえるはずはありません、スポーツと言うものは生活の上に何かのはけ口や文化の一部として行われているはずのものだからです。生活とスポーツは天秤にかけられないのが普通、しかし世界で野球が生きながらえていることからも分かるとおり、世の中には不思議なことにそういう都合を無視して情熱を垂れ流す人たちも存在します。野球のために親族総出で世界へ選手を送り出してあげる人々、仕事をしながら五輪を目指す代表たち、去年の夏、甲子園を沸かせた球児たちがアメリカの地で野球をしている間、その裏借金をしてまで大会に参加しにきた人たちが台湾で野球をしていました。スリランカ代表、五輪開催と言う事もあって台湾参加を回避した中国の都合にあやかってアジアAAA選手権を獲得したアジアの新興国で、同時期にイタリアではU-13の大会があったこともあって、大会が相次いだ時期でした。人口二千万、インド南部の光り輝く島スリランカ、紅茶を嗜む方には非常に親しみ深い国かもしれません。それももともとイギリス領だったことの名残であり、ナンバーワンスポーツはもちろんクリケットで野球はまったく文化として付け入る隙がありませんでした。



野球チームとして姿を確認できるようになったのは、日本から指導者が出向くようになった2002年、第5回アジアンカップ頃から。スポーツ教育に熱心なお国柄と言う事もあってメキメキ力を伸ばしてきており、シンガポールに勝利して以来香港やイランに勝ち、アジア最下位から一つ上程度の位置を確保するようになりました。まだまだ負け試合は多いですが、特に参加姿勢が素晴らしく、参加したりしなかったりの国ばかりが珍しくない野球において、弱小国ながらいまのところアジアンカップ3回連続出場。今回はフィリピンやインドさえ見送ってしまった年代別大会に選手を送り込み、中国の辞退によって降りかかった幸運をのがしませんでした。言うのは簡単ですが、先進国英国でさえ見送らざるをえなかった現実に打ち勝つという事は、そうそう甘いことではありません。スリランカ内でも地域ごと出自ごとに派閥の争いがありいがみあいがあると聞きますし、スポーツ教育に熱心だろうが野球にお金を出してくれる国なんて都合よくは行きません。彼らのほとんどは両親が貯金を切り崩し、人によっては借金をして、人によっては家を抵当に入れてまで世界に野球をやりに来たといいます。スリランカも決して奇麗なチームであるわけではなく、大人の都合を無視できているわけではないのです。



借金までして来たかった夢の舞台アジアAAA選手権、もともと年代別大会の不足にケチをつけられていた野球がアジア地域の野球振興を担う大会として創設した大会です。そうした後手後手と作られた背景通り、日本では日米野球の影に隠れてしまった小さな小さな大会ではありますが、彼等スリランカ代表にとっては夢舞台とも言える大会だったのかもしれません。そういう存在は希薄だからこそしがらみなく野球をやってもらいたい、と思うのはそんなおかしなことではなかったと思います、しかし今現在過去形で話してしまっているとおり、実際には大人の都合の押し付け合いによって彼等の夢舞台にはけちがついてしまいました。本来なら日本から甲子園のスターたちが参戦するはずだった大会、残念ながら高野連の方々によってその派遣は差し止められてしまったのです。理由は韓国・台湾の二国が大会に使用するバットを鉄バットから木製バットへ移行したから、両国とも高校レベルでは木製バットを主要の道具に使っており、近年の国際戦での木製バット移行にあわせアジャストしていきたいという部分が本音でしょう。いまだ鉄バットを使っている日本の高校生としては不利な条件を突きつけられたと言えなくもありません。



しかし前述したとおり、もともとこの大会の設立理由はアジア地区への野球普及とされていました。この大会で鉄バットが採択されたのもアジア地区への野球普及には木製バットは高価で効率が悪いと言う理由から、アジアへの普及という事を狙っているという事はアジア地区はいまだ普及の段階にあるという事であり、それを国際戦での基準にあわせようというのは「普及を第一に考えない」本末転倒な判断であるとも言えます。まぁ日米高校野球試合と日程的にも被っているため参加しにくかったというのも事実でしょうから、それだけを見て批判と言うのはずるい気もしますが、難癖が付いたことには代わりが無いでしょう。出場国も自体が相次ぎ、いまだ開催されるのかさえ微妙な立ち居地にある今大会でさえ、そこには大人の都合と駆け引きが存在していました。大会の開催目的にせよ選手が大会にもとめるものにせよ、野球をする理由は人によって様々です。日本であればプロ選手になりたいであったり、今なら国家代表になりたいというのもあるでしょう。彼等がそうした理由で野球をしている事を考えれば、その裏、世界で野球が普及していない背景にはそうした「野球をする理由」がないという事を想像できます。お金は儲からない、やっても自国で評価に繋がらない、選手を集めるのが困難、大会の価値や開催が曖昧、自分達の都合を曲げられるほどの魅力を野球が提供しあぐねているようにも見える現実。だからこそそれでもなお野球を続けていてくれる彼等は、特異に、そして熱意に溢れて見えたのです。



早い段階から高野連にボイコットを喰らい、中国の辞退、フィリピンとインドの雲行きの怪しさと問題山積み。当初は開催さえ怪しかったアジアAAA選手権でしたが、日本側の高校球児以外の代表選出という機転とスリランカのかねてからの熱意により、彼等の夢舞台はどうにかこうにか開催されました。スリランカ代表は日韓台と強豪に力の差を見せ付けられたものの香港代表相手に接戦を演じ、夢の地で念願の一勝をもぎ取って大会を終えることに成功、まだまだ壁は高いですが来た事が報われる成績だったと言っていいでしょう。彼等の力ではどうしようもないような大きな都合のぶつかり合いの中で、彼等は精一杯野球を楽しんできたのだと信じていいかもしれません。利権や派閥が複雑に絡みあった今の日本の野球において、他の一切を無視して野球をやりたいですなんていう話は難しくなりました。それがいい悪いという話ではなく、人が集まるところには亀裂が出来てしまうものなので仕方がありません。5年前には文字通りまっさらな状態であったスリランカの野球には、今や国際戦での勝利経験も世代別の代表も出来ました。世代別強化を行い欧州で台頭してきたチェコ同様、このままスリランカが代表に英才教育を行う姿勢を崩さなければ、アジアの下位勢力の均衡は10年を待たず崩れるかもしれません。駆け引きとはまだまだ縁遠いスリランカですが、そんな彼等をうらやむ気持ちがあってもそれはおかしいことじゃあないでしょう。



都合を無視する事ではなく、制限の中でできる事を模索する。野球の為に身を削るなんて話は決して奇麗な話ではありません、野球は身を削らなければ続けていけない現実がそこにあるという事です。だからこそ、もっと上の大きな都合のぶつかりあいが彼等の未来への道を閉ざすかもしれない事実は、見ていて悲しくなります。「野球」の都合のための普及を目的として五輪を目指しても、「野球国」の都合のために野球の地位を向上しても、正直あんまり効果があると思えません。バットを金属にしたほうが普及によいというのも確か、国際戦にあわせ木製バットを使ったほうがいいというのも確かではあります。しかしその結果当事者スリランカの現実といえば、大会をボイコットした日本代表を尻目に身を削って出場し、みんなでバットを使いまわすといったものでした。「普及のため」に都合都合とあわせたはずなのに、この決断に当のスリランカの意向が反映されていないのも、これもまた大人の都合という事でしょうか。スリランカは都合を押して動いているにもかかわらず、他の国々は実態の見えない「スリランカの都合」に合わせて動こうとしている、もうなにがなんだか僕にはさっぱり分かりません。



野球の為に何かをしようとしてそれがスリランカの障害になっているならば、本末転倒もいいところでしょう。何かをしたいならばまずスリランカをはじめ現地の選手達の意見を聞かなければ始まらない、しかし世界でも微々たる存在である野球では、なかなか上のほうへ彼等の意見が伝わりません。そして悲しいことに、オリンピックしかり、MLBしかり、IBAFしかり、そうした都合は徐々に野球の首を、特にマイナー国にて細々野球を続けてきた人たちを絞めてきました。そして今現在も、スリランカの投げるべきボールは受け取ってもらう相手を失い、意見のやり取り先を見失ってしまっています。



ようやく芽吹き始めたスリランカの野球に立ちはだかったのは、遠い異国のドーピング問題や五輪招致の問題。ボールもバットもまだまだ足りないスリランカでは、キャッチボールをすることもままなりません。そういう状況下では、周りと意見のキャッチボールを行うこともかないません。キャッチボールって、僕らが考えるよりよっぽど高等なものみたいです。



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posted by shoeless |14:42 | アジア野球 | コメント(13) | トラックバック(0)
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2007年12月05日

アジアシリーズってどうよ

長らく続いた野球のイベントてんこもり期間も終了し、このブログも次回からはてきとーな更新に戻ります、って言うと今までが真面目だったかのようですが、っていうくだりを毎度やっているから長くなるんだねこのブログ。まぁサボっていたのは皆さんご承知のとおりですので、実際にこの一ヶ月の間に書き忘れてしまっていた事は山のように残っています。本来ならそうした残りカスを始末してから普通の更新に戻るのが筋、わざわざ次回からと銘打ったのには、今回が特別でないという理由があったからなのです。といっても今更全体総括とかするわけじゃありません、面倒だし、皆さんも僕もほとんど忘れていたとは思いますが、アジアシリーズ終了後にとったアンケートの結果を発表するのを忘れていたのです。

これね↓

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/shoeless/article/169

という事で今日は11月前半に行った「アジアシリーズは必要ですか」アンケートの発表を行いたいと思います。



しかし、結果発表の前に一つ皆さんに僕のほうからお詫びをしなくてはいけない事があります。それは、これは所詮個人ブログの任意のアンケートなので、興味ない人や賛成しない意見をもった人がわざわざ投票してくださる事は少ないだろうという事、そしてそもそもこんなブログを見ている時点で多少なりとも国際野球に興味のある方々という事は明白ですので、悪い結果はでにくいに決まっているという事を、すっかり忘れてしまっていたという事です。というわけで結果は少し圧倒的な内容となってはいますが、「国際野球ファンはこう思っている」という参考にしていただければ幸いです。このアンケートに参加していただいた皆様、意見を送っていただいた皆様、ご協力ありがとうございました。非常に長くなってしまいましたが、管理人よりご意見にはコメントを添えさせていただきました。



アンケート結果
期間:約一ヶ月
人数:58名(およそ100)



第四位 0 「アジアシリーズは必要ではないが選手は出せる」

まさかの0票、「あんな大会あってもなくても一緒だけど、まぁやるんなら別に出すよ」みたいなご意見の方は少なくない、と睨んでいたのですが、結果はまさかのゼロ票。まぁ多分でしかありませんが、こういう意見を持つ方は「野球を応援はしているからひいきのチームは見たいけど、べつにわざわざそこまで見る事は無い」って感じで考えているとするのが一番自然ですので、そういうライトなファンはこんなねっちょりしたブログは見ないかもしれません。頑張ってます、僕。



第三位 3 「アジアシリーズは必要でなく選手も出せない」

・シーズン終了後は早くに長く休むべき。故障を誘発しかないし。これは春先にやるWBCにも言える。見る側の都合より、やる側のことも大事だと思う。

選手の寿命を縮めてまでやる必要はないと言うご意見。事実アジアシリーズよりもプロ生活の方に重きがある選手達は少なくないでしょう、身体に鞭を打たせてまでというのはシリーズに出るメリットが現状薄い以上は、僕らファンからは強くいう事はできません。ならばアジアシリーズが怪我を押してでも出たい大会になればいいのですが、スポーツ選手にとって怪我を押してでも出たい大会となるには、そこに至るまでに多くの選手達が大会へ価値や権威を付与していかなくてはなりません。進めば進んだ分上がる価値、退けば退いた分下がる権威、といって強要する理由が無いのも事実ですしね。

・盛り上がりにかける。

歴史の権威が無いならばファンによって注目度をあげたりして価値を補完すればいいのですが、そのファンだって今現在の価値の低い状態で盛り上がれる人は限られてくると思います。僕らに出来ることは自分達だけでも盛り上がっていく事だけなんですが、まぁなかなか難しいですよね、自分ひとりで盛り上がり続けるって。



第二位 5 「アジアシリーズは必要だが選手は出したくない」


・日本シリーズの覇者を参加するのは絶対反対です。現状罰ゲームだからです。カップ戦を開催してその優勝チームを参加させるべき。

言っちゃうんだ、みんなそれとなく言わないようにしていたのに罰ゲームって言っちゃうんだ。このあたりの話は以前の日記で触れた事がありますが、確かに日本シリーズの覇者が出る現状は「長期に渡って戦う体力的なペナルティ」と「日本の覇者と言う権威の背負わされるペナルティ」があります。罰ゲームと言えば聞こえは悪いですが、実際メリットは少ないので仕方がありません。カップ戦については星野監督あたりが野球版天皇杯の設立について触れた事もありましたし、独立リーグもできた今では不思議な話ではないかと思います、双方妥協のいいアイディア。ただそうなると今度は「天皇杯」の軽視の問題とか云々かんぬんでてきそうな予感。

・必要だと思うのですが、日程的にちょっと罰ゲーム気味orz 特に今年とか五輪予選もありますし^^;

これは世界の野球が基本的にMLBと一緒に動いている事に理由があるので、正直、どうにもならないというのが事実でしょう。3~10月までは世界中の選手がほぼ拘束されますので、基本的に野球の国際大会は涼しいで止められる秋、及びギリギリマイナーリーガーが呼べる春にしか行われません。五輪本戦なら仕方ありませんが、身体も動かぬ真冬に野球するくらいならその時期に予定がみっしりというのも頷けます。MLBが選手をするっと出してくれるようにならない限り解決しない問題ですので、多分審判問題と並んで、永遠にどうにもならない問題の一つなんじゃないかと思います。

・怪我など怖い

まぁ事実過ぎて何も言い返せませんけども。



第一位 48 「アジアシリーズは必要で選手も出したい」

・選手の疲労等を考慮すると不要論も分かりますが、アジア地域の総合的な発展のためなら必要でしょう。日本の国際試合で負けられないプレッシャーは同じですし。でも今年の日程はきつい、五輪予選等がある場合は国際対抗試合なのですからそれに代替でも良い。

日程的にあまりに無理がある時は差し替え、というのはいいアイディアだと思います。ただクラブ1を決める試合と銘打ってしまっていること、及び優勝球団と代表でだぶっている選手はそうそう多くない事を考えると、彼らのために国際戦の有無を決めるというのは難しいんじゃないかな、と思えなくもありません。今後体型が変わっていく可能性は大いにありますので、まぁ様子見という事で。

・野球の発展を考えると絶対に必要な大会だと思う。いろいろと課題はあるが、少しずつ改革していっていい形を見つけ出していけたらと思う。僕らファンは野球の国際大会をつくっていく過程を楽しむというスタンスでアジアシリーズに触れていったらいいと思う。

悪い部分と言うのは年数をかけなければ見えてこないものですし、逆に良さも然り、生まれて数年で判断してしまうのは僕も早計だと思います。にしても本当面白い時代に生まれました、何事も創世紀に立ち会えるって幸せです。

・各国シーズン終了直後でなくオープン戦時期に行うべき。選手の健康、3国のファン感情、イベント性に配慮。その上でコスト/スポンサー問題はあるが、キューバ、カリビアン、南半球/豪、欧州/蘭か伊から優勝・強豪チームを招き、AB組での世界シリーズをIBFにアピール、トヨタカップ化し、将来のMLB対決へ。

オープン戦の時期という案には難しいポイントが3つあります。優勝球団同士での戦いと銘打った大会で、昨シーズンの面子も変わってしまうであろう覇者が登場して我々は素直に喜べるのであろうかというポイント。WBCがこの時期から開催時期をかえる事はまず無いであろう為、どうしても競合してしまうというポイント。キューバとカリビアンシリーズ覇者が時期的に出づらく、他の地区にとってはあからさまに不利な時期だというポイントです。トヨタカップ化は是非このまま進めていってもらいたいですね。

・日本が優勝を逃すようになれば風向きも変わるのでは。 

多分日本の恥(笑)とかいっぱいネットで言われるハメになるとは思うのですが、申し訳ない話ですが、どこか負ければ風向きも…という願いも確かに存在してしまっています。でもまぁ…自分の贔屓チームに負けられるとたまんないよね、とは言えこうやって自分達の番では負けませんようにって考えてる事こそ罰ゲームだしね…、本当…人間って浅ましいね…。

・とにかく野球を世界に広めたい!!日本プロ野球球団増やすべき!!

球場がそんなに無いよ!増やしても良いけど制限がないと戦力均衡がますます保てなくなっていくよ!でも僕も見たいよ!社会人野球からプロ昇格とかあってもいいと思うよ!

・ただ今年のような1年中野球やってる日程では選手はきついと思う。もうないと思うけど

今年は野球ファンにとっては本当嬉しい年でした、が、岩瀬にとっては寿命が縮んだ年だったように思えました。考えたんだけど逆に公式戦の日程削るっていうのはどうだろう。交流戦の日程数との見直しも兼ねて。

・将来はサッカーのトヨタカップのようなクラブワールドシリーズに発展してほしい。

僕もです、完全なる至高の同意。ただサッカー同様の開催国である日本超有利方式はあまりプラスが無いように思えますので、是非是非持ち回りでお願いしたいところです。

・将来的にワールドシリーズのアジア枠に結びつくほど権威あるシリーズになって欲しい。

これをやるためには、サッカーワールドカップでイングランドを孤立させるレベルにまで追いやったように、世界の野球シーンからMLBを孤立させるレベルにまで世界を味方につけなくてはいけません。ワールドシリーズというのはMLBという興行団体の一つの興行ですので、MLBが自分達の管轄外のアジアプロ参戦を見越してアジア枠を作るという事は、WBCのような形態で無い以上、ありえないように思えます。もちろん利益が出ると見越さなければそんな事しないでしょうし、MLBの方からそんな枠作りたいと言い出した時期には、もう既にイベントとしてワールドシリーズ並の盛り上がりができている事でしょう。どっちにしても、ワールドシリーズを越えるレベルを目標にしないとうまくいかない気がします。

・奢れる者は久しからず。

ただ悲しいかな、日本野球をアジア内で平家に見立てると、別にわざわざ源氏に戦う場を与えなくても、これからずーっと僕らが最強といってアジア一位にのさばることも出来てしまうんですよね…。

・アースシリーズと銘打ったアメリカ以外のプロチーム参加の大会に発展してほしい

スケールがでかいですね、アースとは浪漫が溢れこぼれてます。今はまだプロの定義が曖昧ではありますが、クラブという見方でいけば参加してくれる国はかなりあるでしょう。

・自分たち(日本)さえよければいいという発想はよくない。韓国・台湾のチームのレベルも上がっているのだから、今後もっといい勝負ができるのでは?

結局はそう思える人が何人いるのか、という問題だと思います。この問題が厄介なのは、普通アジアシリーズに反対するのは多少なりとも野球をかじっている人で、野球に興味ない人は普通に考えたら「やればいいんじゃない」としか言わないという事です。さらにいい勝負をして喜ぶのは野球を多少なりともかじっている人、一方がたてば一方がたたない現状です。

・エントリーを読んで考えが変わりました。仰るとおり、これを罰ゲームと捉えて全力で望まないのはあまりにも自分勝手ですね。

俺はっ…俺は御免被るっ…!見てみればいい…確かに人気は下がっちゃいるが…まぁ…死ぬことはないだろ…プロ野球…。つまり…わざわざここで勝負に出なくたって…最低…生き残ることは出来るんだ…!十年…二十年…うまくいけば死ぬまでのもつような人気は既に手にしてる…!それをなんだ…ああ…?他人の事を思え…?人間は…そんなに他人のことを考えられねぇっ…!ここで一番を失うリスクを負ってまで出る必要が…そんな必要がどこにあるっ…!?いい勝負なんて…結局運否天賦じゃねえかっ…!賢明…!ケーブルにでもはいって楽しむほうがはるかに賢明…!みたいなのはどうでしょう。

・韓国や台湾、中国と普段見ることの出来ない選手との対戦を見たいから。将来的に人口の多いインドや東南アジアにも野球を普及させ、アジアシリーズに参加させて欲しい。

やっぱり国際戦の魅力って知らない人たちと野球ができるって言うワクワク感と好奇心ですよね。アジアシリーズも収益の一部をアジア地区での野球振興に当てるみたいな事があってもいいのでしょうが、なかなかそうそう潤った状態とも思えませんので仕方がありません。クリケットの強いインド、気候や文化的に野球のはいりにくい東南アジアではありますが、このシリーズ参加を野球をする人たちが目標にしてくれたら嬉しいですね。

・オーストラリアを来年から入れてやってほしい。中国には悪いけどレベルが上がらないから、というか北京が終わったらもうサヨナラでいいんじゃね?そして新しくオーストラリアやオランダ、メキシコあたりを連れて来れば面白くなると思うよ

中国サヨナラは金出してるのが日本企業だしまずないんじゃね?ていうか台湾戦接戦だったのにサヨナラはきつくね?オーストラリア参加という案は本当によくききますし、実際どこかのスポーツ新聞では来年の参加が決定的と関係者が話していたなんて飛ばし記事が書かれていましたが、個人的には眉唾な部分も多くあります。理由はいくつかありますが、まず一つはクラブ制のオーストラリアでは1クラブの参加人数が少なく、それでいてクラブ数はとんでもなく多いという1チームの選手層の薄さの問題があります。じゃあリーグ代表とか国家代表とか連れてこれば良いじゃんって話なのですが、マイナーに積極的に選手を送り込んでるオーストラリアでは、大義名分が無くてはなかなか一線級を集めることが出来ません、今回W杯の為に集まった面子を見ていただければ分かると思います。キューバでさえ16球団あって不利と言っているのに、オーストラリアなんて不利の極みみたいなもんです。

・しかしながらチーム数は増やしてほしい、将来的にはメジャーのポストシリーズに参戦も・・・

よく聞くところで言うとオランダという案を聞きますが、オランダもチーム数が多い分、なんらかのてこ入れがないとかなり難しいですし、アジアというくくりを崩すのは難しい気がします。欧州から強豪を招いてという事も考えられますが、欧州を呼びたいというのならば「アジアとの混合大会」にするか「欧州一位とアジアシリーズ一位との対抗戦」という形が現実的なところでしょう。欧州クラブ杯優勝チームでかろうしてどうか、という所だと思いますが、しかしいくら欧州クラブ杯優勝チームとは言え現段階ではアジアプロとの間には実力差がありすぎ、アジア対欧州の対抗戦ではイベントとしてかなり成立が難しい気がします。しかし欧州から数カ国、あるいは欧州クラブ杯優勝チームをリーグ戦に参加させるという事になると、これもまた揉めるでしょう。レベルを保つためには欧州優勝者をアジアチームより下に配置させなければいけませんし、欧州とアジアを同じスタートラインで争わせるとレベルの差が出すぎる上、多分出場国家の選出の際にWBCのようにもめます。難しいね、国際大会って。

・まだまだ小さな大会で注目度も低いですが大きな大会に育つ可能性を秘めてると思うのでぜひともがんばって欲しいです

まったくもって同じ意見です。ここでこの可能性を見限るというのはあまりにもったいない話でしょうから。可能性止まりにしないようにしないと。

・開催地は東京ドームでなく四カ国の持ち回り開催にするべき。そして、大会の真の意味を持たすために日本が一度は負けるべきだろう。将来的にはカリビアンシリーズとの兼ね合いもおもしろいと思う。

というか優勝チームのホーム球場での開催が最もいいんじゃないかと思うんですが、とはいえ日本国内でも韓国台湾の人たちをお客に呼べて採算が出せる地域なんて東京くらいしか無いでしょうから、なかなか文句もいえません。韓国は気候的にドームじゃなきゃ無理だし。カリビアンシリーズとの兼ね合いは時期的なもので相当苦労するんじゃないかと思います。春先に行うとアジア地域にとっては昨年の王者が出てくる結果になりますし、少し時期がずれたら皆マイナーリーグキャンプに行ってしまっています。しかし秋開始直後に行うと、カリブの人たちにすれば昨年の面子はすっかりいませんなんてこともありえてしまいます。どっちかが妥協するしかないんですが、妥協、できるんでしょうか、というかMLBは許してくれるんでしょうか。

・フィリピンとイスラエルもいれてあげろよ

俺に言われても。フィリピンは裏筋情報ですが、近いうちにお目見えするかもしれませんよ。イスラエルはどうでしょう、リーグ戦が終わるのが8月と早く、それでいて中国のように選手強化試合を組めるわけでもないので、やるとなるとかなりきつい気がします、まあこっちもMLBのお許し次第でしょうね。

・今後、プロ野球の生き残りには国際化が不可避。カリビアンシリーズの勝者との対戦や将来的にはワールドシリーズへの参加を目指してほしい。

カリビアンシリーズとの兼ね合いについては上記の通りです。やっぱり多くの国でスポーツが頭打ちになっている現代、生き残るためにはパイをシェアしあうしかないですよね…。

・開催は東京ドームではなくの本拠地でホーム&アウェイ方式 中国の代わりに豪州を参加 日本シリーズより面白いのだが、世間では人気ないのが残念   
オーストラリアについては代表が来るという事でよろしいでしょうか。今回訪れた代表もアテネの代表も確かに日本のファンには強く印象に残ったとは思います、が、クラブナンバー1決定戦であるアジアシリーズでマイナーリーガーである彼らの参戦を認めるとアジアシリーズと言う意味が薄れてしまうのではないかなと思います、中国は国家代表ですが全員自国リーグの選手達ですし。しかし先ほども言ったとおり、オーストラリアの国内リーグは決して層が厚いわけではありません。きついんじゃないかな。

・単純に面白いから

今日のあっぱれ。

・まぁ自分の贔屓チームがアジアシリーズにでるまで何年かかるかわかりませんがorz

このポジティブ感とネガティブ感、広島ファンかオリックスファンと見た。

・初めてのアジアシリーズは、ベニーがMVPでした。確かにバ監督はイベント好きで、ベニーはそれに付合ったのかもしれませんが、他チームの監督も何とかして主砲を試合に出すべきかなと。あと、どうせ日本でやるなら出場チームの地元でやったらどうなんでしょ?宮城野以外なら可能な気がするんですが…

もともとバレンタイン監督はリアルワールドシリーズ賛成派ですし、イベント好きですし、その上ベニーは彼の愛弟子のような存在でしたからね、契約の関係でも難しいんじゃないかと素人は心配をしてしまいます。ホーム開催については大賛成です、が、そうなるとアウェーにお客さんが全然いないなんて事も少なからずありそうな気がしないでも…。

・続けていくことが大事だと思う。続けて開かれることも大会の価値を高めるんじゃないか。

仰るとおりです。途絶えるたびに権威が下がる、続けることに意義がある、でもそれが難しい、ああ無情。

・「アジア一」という響きがいい。ファンとしては誇れる。

そう思ってくださる方がもっともっと多くてくだされば、もといいてくださるはず、と願っておりますです。

・アマチュア、特に高校レベルでもシリーズをやって欲しいですね。

甲子園の後に韓国台湾の高校と優勝決定戦とか、もう部活動の域通り越してますね、僕とか目をつぶれば果てしなく遠い闇しかよみがえってきませんが、そんな浪漫溢れる青春のあり方もありえるのかと。

・大規模かつ、長期的な野球の振興には良いと思う。加盟国を増やして世界的なイベントに発展すれば良いかな。

一番の理由として、アジア地区ではヨーロッパ地区のように頻繁な交流がアジア野球連盟によっては行われていませんので、アジアに住む全ての野球ファン達の目指すべき場所、そんな場所として成長していったらいいんじゃないかと思っています。しかしそれにはレベルの差とか色々もんだいがあるんですけど、まぁ五輪消滅後のアジアの野球後進国が野球を続けていく理由になるような大会になったら素敵なんじゃないかと。今現在はまだプロリーグによる大会、手を上げた国全てが参加できるような自由な大会ではありませんが、是非是非規模を広げ、裾野を広く来るもの拒まずの精神で行ってくれると嬉しいですね。

・まずは日本のチームが負けること。他国での関心が上がり日本チームの本気度が増す。それで大会の権威が上がるはず。

そうは言っても…贔屓チームには負けてもらいたくないですよ…想像すると怖いじゃないですか…?ネットで日本の恥(笑)とか野球をする資格無しとか書かれちゃうの…また韓国とか新聞の口調が強いからさ…韓国野球列島成敗とか書かれちゃったり…日本シリーズ優勝で沸いた街中やファンが一挙に微妙な空気に包まれて…ヒィィ。まぁ僕は多分「これでアジアシリーズも国際大会らしくなった」とか言って自分をごまかすとは思うんですが、そういう意味でも大賛成です、保険的なニュアンスで。

・管理人だし

やーいバーカバーカ

・違う環境で野球をしている選手と試合をするのは、その選手にとって今後のプラスになるでしょう。個人的には、毎回オッと思わせる選手が他の国にもいて楽しいですけどね。

実際にプレーしている選手達に、彼ら自身がアジアシリーズをどう考えているのかは是非とも伺ってみたいところですね。僕個人としては3国間でもっと移籍が活発になって、うわーこいついたなー、みたいに喜べる選手が他の国に増てくれたら楽しいんじゃないかと思います。



長かった。

posted by shoeless |06:49 | アジア野球 | コメント(6) | トラックバック(0)
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2007年11月12日

100人に聞いてました

この日記は、アンケートをお願いする為のものです。アンケート内容は「アジアシリーズについて」です。アンケートに答えてもいいという方は日記下部のリンクからお進み下さい、是非とも御協力よろしくお願いします。アンケートは生理的にうけつけないという方は、この日記の下に他の日記を更新をしています。


アジア4国のリーグ覇者が出揃い、今年もアジアシリーズが近づいてきました。回を重ねて今年で3年目、今年の出場者は中日ドラゴンズSKワイバンズ統一ライオンズそしてチャイナスターズ、皆やはり優勝球団だけあってどこかオカルトめいた勢いを持っていることは確かでしょう。昨年台湾が韓国を沈めたため、今年は更に中国の一勝への期待や日本球団敗北の危惧まで高まってきました。中国が五輪前に国家代表として参加できる大規模国際大会はこれが最後という事、今年の日本-中国戦が日中文化・スポーツ交流年実行委員会から公式事業として認定された事、3年という短い歴史しかないアジアシリーズも徐々にながらそのイベントとしての地位を固めてきています。ゆくゆくはクラブ世界一へと発展する理想と共に、アジア地域のカリビアンシリーズ、カリブの沢尻会に対してアジアの長澤会にならんと年を重ねてきたシリーズ、当初から分かっていたことですが、ついに節目と予想されていた3年目が訪れました。



イベントも3年目となれば、今後の視聴率や入場者の平均、そしてイベントに対するファンの注目度が分かってきます、スポンサーの進退が決まるとしたら来年を除いて他にありません。またそもそも中国がここ数年急激に野球強化に動いたのは北京五輪を控えているという背景があったからこそ、強化の為にオールスターで参加していたアジアシリーズなのですから、北京五輪が無くなる来年は究極的な事を言えば中国は出る必要性がないことになります。あらゆる面から見て乗り越えなければいけない今年、といってアジアシリーズ自体が開始当時と比べいい方向に向かっているかと言うと、この野球賞賛奉りブログでもそう簡単にイエスと言えない状況が続いてしまっています。野球ファンと言われる人たちでも注目度は高くなく、おりからの野球視聴率低下も相まって視聴率は横ばい、観客も日本戦を除き多いとはいえません。ならばまだ注目度の高い台湾や韓国に持っていくという手もあるのですが、現状ではそういう動きが活性化しているとも利が多いとも言い切れないでしょう。



なにより問題なのは、大会としての価値をいまだ見失っていることにあります。日本シリーズの方が伝統も歴史も相手の強さも上と見られている、というのはまぁ仕方がない部分の方がはるかに多いでしょうが、それにしてもファンの注目が高いとは思えません。それに付け加えもともとオフシーズンという事で働いてきた選手は休養をとったり帰国してしまったりすることもあって、よほど総力戦とは言いがたいものとなってしまっています。ファン心理から言えば「来期に向けて選手を休ませてあげたい」「この大会に出て負けるかもしれないリスクを負うのは何の得もない」と感じるところがあるのは当然でしょう、確かに今現在アジアで1番の地位についている事が明白の日本が、わざわざその地位を賭ける勝負の場なんて作ってなんの得があるのかというのは事実です。しかしそうした想いは、残念ながら一つ致命的な矛盾をはらんでしまっています。このアジアシリーズの最終目的にあるのが、クラブ世界一決定戦であるからです。



リアルワールドシリーズというのは、日本の野球ファンの一つの願いでもありました。そうした事を言い続けて作られてきたのが日米野球でありワールドベースボールクラシック、日本はあの大会を勝って終わりましたが、逆に負けたアメリカからすれば世界一という座を賭けた舞台を提供してそれを奪われたことになります。日本が願ってきたワールドシリーズにしろ真の世界大会にしろ、言い換えてみればそれはアメリカに「野球王者」の座を賭けて出てきて欲しいという事、アジアシリーズも最終理念にクラブ世界一決定戦を挙げているのですからもちろん日本人のこうした願いのつきつまったところと言えるでしょう。しかし実際のアジアシリーズに対する僕も含めた日本人の思いと言えばは、完全にほぼ「罰ゲーム」、アメリカ相手にはその立場を争う場を作れと主張して来たのにもかかわらず、自分達が韓国台湾にそういう場を提供する立場になった時に「罰ゲーム」「お遊び」と考えてしまう。これを寂しいことと感じる僕の感覚は、間違ってはいないはずじゃないでしょうか。



WBC終了時、大会の価値や参加姿勢をエキシビジョン扱いした人がいたのを不快に思った日本人は少なくないでしょう、MLBが五輪との兼ね合いで世界への進出を遅らしていたことを不満に思っているファンも世の中にはいると思います、MLBに選手が流出してしまうことに苛立ちを感じるファンもまだまだ多いはずでしょう、どれも間違ってはいないと思います。しかし間違ってはいないからこそ、逆に日本がアジアシリーズを辛いイベントと捉え、日本プロが海外普及を視野に入れず、韓国台湾からスター選手を引き抜く等の行為に「もやもや」とした感情が湧き上がってくるのを止められません。アジア枠、アジアリーグ、2国の選手の補強、日本プロも徐々にアジアの市場を目指し開拓を進めてきました。世界のスポーツリーグが国内で頭打ちになりつつある今、日本の野球界にとってもアジア全体で市場をシェアする事は生き残りへの道として有効な選択肢です。しかしNPBがアジアにとってのMLBのような存在になることは、大きなリスクと批判、犠牲がついてまといます。アジアシリーズへの選択は、まさにアジアとの関係の分かり易いバロメーターでしょう。



という事で、皆さんにお聞きしたい事があります。皆さんにとって、アジアシリーズは「存続した方がいいと思うものですか?」、また贔屓球団がアジアシリーズに出場することになったとき「選手を出場させたいですか?」

http://vote2.ziyu.net/html/taisou.html

お手数ですが「やってもいい」という方がいらっしゃれば是非とも御協力お願いします。



追記…「シーズン終了後は早くに長く休むべき。故障を誘発しかないし。これは春先にやるWBCにも言える。見る側の都合より、やる側のことも大事だと思う」という意見を頂いた方に連絡です。僕の不手際で本来なら新規項目作成に制限を加えるべきはずだったところに許可を出してしまっていました。投票及び追加いただいた項目ですが、まことに勝手ながら「アジアシリーズは必要でなく選手も出せない」の項目へ吸収させていただきます、頂いたコメントはその通り残しておきます。もし意見が「アジアシリーズは必要でなく選手も出せない」と違った場合がありましたら、お手数ですがコメントをいただければ幸いです。大変失礼いたしました。

posted by shoeless |06:33 | アジア野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年11月01日

一球無双

10月29日、SKワイバンズがトゥサンベアーズを4勝2敗で破り韓国シリーズを制覇、2000年にSKとなってから初めての優勝をもって今季の韓国プロ野球リーグの日程の全てが終了しました。準プレーオフ、プレーオフ、韓国シリーズと勝つべきものが勝ちあがってきた今年の韓国プロ野球の総決算ですが、決して順当に穏便なものではありませんでした。退場者あり、負傷者あり、乱闘あり、完封あり、馬鹿試合あり、もうおなか一杯、まさに死闘。昨年Bクラスだという事もそうですし、脚を使うプレーの多さや外国人投手に頼る比重が大きい事でも似通っている両チーム、結局最後の最後に勝負を分けたのはやはり「一球の重み」の差だったと気付かされた、そんなシリーズでした。

1SK   73 48 5
2トゥサン 70 54 2
3ハンファ 67 57 2
4サムソン 62 60 4
5LG   58 62 6
6ヒョンデ 56 69 1
7ロッテ  55 68 3
8キア   51 74 1



SKとトゥサンの今シリーズ、これを語る上で一番重要なのは、両チームどちらも先発投手の駒をかなり外国人選手に依存しているという部分でしょう。補強するなら大砲と先発という事もあってか、韓国台湾リーグでは日本以上にそうした部分の人材が枯渇してしまう傾向にあり、このシリーズを戦う二球団も彼らへの依存度はかなり高いものとなっています。その上最近よく見られる日韓台リーグ間での外国人選手の行き交いによって、NPBでそうであるように韓国台湾でも他国リーグ経験者は増加中。依存度が高まればチームの出来を大きく左右する要素となるのは当然の話で、実力の値踏みがしやすい他国リーグ経験者は重宝され、そしてなかなかどうして彼らの多くが新天地で成功を収めています。SKでいうとレイボーンとロマノ、トゥサンでいうとランデルなんかが日本球界経験者で先発の柱。トゥサンはランデルに加え韓国球界史上最高の助っ人リオスという20勝エースがいるのですが、彼もまた今季横浜が獲得することが濃厚、チームの中核を成すはずの選手達は非常に流動的で、それも一つ最近の韓国リーグの順位変動の激しさの要因となっているのでしょう。それはこのシリーズでも同じ、このシリーズはほぼ彼らの出来如何と言う状況でした。



SKはシーズン通して負け越しはトゥサン相手のみ、そしてその主だった原因は多分リオスの独走を許し打ち崩せなかったこと、ただただ先発の力と言うだけならトゥサンがSKを上回るでしょう。プレーオフを戦っていた分トゥサンはシリーズが長引くと不利になるはずですので、それにプレーオフを3タテにした勢いと試合感覚をあわせて考えれば最初の二試合はトゥサンが優勢、リリーフ陣ではトゥサンを上回るSKという事を考えれば試合が長引いてくる5・6戦はSKが優勢、かといって7戦目までもつれこむと最後の砦リオスの登板予定日ですのでトゥサンが圧倒的優勢。つまりこのシリーズのターニングポイントは第3・4戦、3戦トゥサンの先発予定キムミョンジェと4戦SKの先発予定キムグァンヒョンが流れを守れるかどうかにある。特攻隊長コヨンミンからWBCの四番キムドンジュとチェジュンソク、代表捕手ホンソンフンに続くトゥサン打線とチョングンウ・チョドンファからキムジェヒョン・イホジュン・パクチェホンに続くSK打線はどちらも甲乙つけがたいバランスのとれた打線、力が拮抗しているとしか言いようが無い以上、どうせ予想なんてあてられっこ無いからとりあえず最終的には精神論話しときゃいいんだよ!というのがシリーズ前の僕の予想でした。



さて実際のシリーズはと言いますと、運が良かったのか悪かったのか一試合目から予想が当たります。リオスとレイボーンの投げあいで始まった第一試合は勢いにのるリオスが試合間隔があいたSKを完封。続く二試合目は投手戦とは行かなかずSKが初回先制と流れを持っていかれるような展開に見えたのですが、プレーオフで足を痛めたといわれていたトゥサンのショートイ・デスの怪我を押しての強行出場及び闘志溢れる怪我無視のプレーにトゥサンは奮起、そこに主軸アンギョンヒョンを骨折退場させる死球に4番キム・ドンジュへもデッドボールを与え、SKは死球と共に流れと勝利をトゥサンに与えてしまいました。しかしトゥサンは流れを守った代わりに土壇場に来て故障者だらけという状況、星では先行していながら追い詰められているといった様、俄然5戦6戦と試合を長引かせていく訳には行かなくなります。そんなこんなで僕予想ターニングポイントだった3戦目、先発はトゥサンキムミョンジェとSKロマノ。ここを乗り切ればもう次のリオスで決着がついたのかもしれませんでしたが、昨日の流れの代償は早くも訪れます。



短期決戦における定石ともいえる執拗な内角攻め、前二試合嫌でも内角を意識させられていたトゥサン打線は死球も多くkらっており、この日は完全に打線が沈黙していました。死球退場のアンギョンヒョンが欠けた打線は厚みに乏しく、かといって怪我を押して出場したイ・デスはプレーが安定せず、重要な場面でエラーを連発。第2戦は死球で流れを失ったのはSKの方に見えましたが、この試合は鬱憤たまったトゥサンが死球を与えてコールをもらってしまいついにブチ切れ、両軍入り乱れての大乱闘となり結果トゥサンは9-1という大惨敗を喫してしまいます。勢いを断ち切られたトゥサンは第4戦エースリオスで巻き返しを狙い、対するSKは若き左腕キムグァンヒョンを立てて試合に臨みました。しかしいくらエースリオスと言えど、長らく続く中3日登板と言うハンデ、そして今の勢いのないトゥサン打線をどうこうする事はできません。初回から失点を許したリオスはその後も毎回のように紙一重でピンチを凌ぐ投球、ファン視点で見ればチャンスに打てないだけの話でしたが、それはトゥサン投手陣に如実にあらわれた崩壊の前触れともいえました。主軸が止められ若手がシリーズ勢いを止められたトゥサン打線はキムグァンヒョンに無残に抑えられ、トゥサンはエースリオスで第4戦を落としてしまったのです。



続く第5戦はうって変わって投手戦となりますが、最初に話したとおりSKと比べトゥサンのリリーフ陣はどうしても見劣りしてしまいます。投手戦となっただけでも既に分が悪いトゥサンは若いイム・テフン、そして前日リリーフに失敗しているイ・ヘチョンを打たれずるずると敗戦。そしてついに後がなくなった第6戦、ようやくヒットを打てるようになった四番に勢いが戻った打線ですが、それはあまりに遅すぎました。気付いたときにはもう火の手は足を焼いていた、第6戦は2-5でトゥサン敗戦。全体成績4勝2敗、こうしてSKの球団創設後初の優勝は決まり、2007年の韓国プロ野球は幕を閉じました。



台湾、韓国、そして日本と今年のプレーオフを見てきて、一つ改めて実感しなおしたことがあります。それは野球はゲームとして麻雀やポーカーに近い、布石を置くゲームだという事です。ゲーム内外を問わずあらゆる要素から相手の思考を読み取り、そして読み取らせて相手の思考を操る、麻雀における捨て牌やポーカーにおけるカード選択の傾向のように、野球もまた勝つためには相手の潜在意識に潜り込み、その裏をかき、そこにつけこまなくてはいけません。例えるなら巨人対中日のクライマックスシリーズ、新聞の記事を信じた原監督に対し小笠原先発という奇襲を仕掛けた落合監督であったり、内野陣の守備を見てバスターを敢行した川上であったり、それはどれも断片的プレーの連続に見えて、実は全て根を同じくする一つの積み重ねからきた流れでした。この韓国シリーズにおいては、ほぼ全ていくつかの死球が流れを決定したといってもいいでしょう。あまりに印象的過ぎる死球なあまりいつの間にか内角を意識させられていたトゥサン打線、怪我をおして出場したイ・デスに代表される「SKがそういう攻めをするのに我々は屈しない」という意識はいつの間にか結果につけこまれるハメになり、皮肉なことには、最終的に彼らを負けへといざないました。



最初の2勝を犠牲にし、後の4連勝を勝ち得た。たった数級のボールがそれを成しえたのなら、SKは本当に数球のボールで後の結果を変えてしまった事になり、そして放った球は既に次の舞台アジアシリーズへの布石となりつつあります。一般的に外角が狭いと言われる日本の審判に苦しんできたアジアシリーズ、そうやすやすと日本球団の選手に内角を投げられるもんじゃないという日本側の意識は、こうした野球をやられては一度に破綻してしまうからです。SKは内角を攻めるのか、むしろ内角を攻めるというのはアジアシリーズへのアピールとされてしまうのか、この時点で既に僕らはSKに内角を意識させられてしまっている、野球って本当考えれば考えるほど訳が分からなくなります。

得体の知れない勢いと死闘を戦い抜いた経験を携え、韓国からはSKワイバンズがアジアシリーズへと駒を進めました。遅ればせながらSKファンの皆さん、優勝おめでとうございます、東京へいらっしゃいませ。

posted by shoeless |01:36 | アジア野球 | コメント(0) | トラックバック(0)
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2007年10月31日

水平線に獅子を見た

28日、統一ライオンズが台湾シリーズを制覇し、今季の台湾リーグの全日程が終了しました。これまで二年連続プレーオフ出場、前期リーグと後期リーグ両方を一勝差で頂点に立ち損ねている「一番に慣れない強豪」統一ライオンズだけに今回の勝利は喜びもひとしおでしょう。前期後期制をとっている台湾野球リーグでは、シリーズ進出球団は前期後期リーグの優勝球団に全体成績を勘案され選ばれます。シーズン全部を通せば一番勝ち星を挙げている統一ですが、前期は誠泰に、後期はLa newに一敗差で破れ共に二位となりプレーオフを勝たなければいけない身となっていました。前期リーグも三球団入り乱れての大混戦に必死に喰らいついていたのですがあと一歩で競り負け、後期リーグもLa newとのシーズン最後までの大接戦に競り負け頂点を逃し、「一番になれない強豪」というのはほぼ統一のチームカラーとさえ言っていいほどでした。それがリーグ後半の勢いをそのままにプレーオフを圧勝し、シリーズをあと一歩の差でLa newに競り勝つ名試合を見せるとは、もしかしたら、これはアジアシリーズのほうもひょっとするかもしれません。



結果はこんな感じです、参考にどうぞ。

1  統一獅  58  1  41
2  La new熊  58  0  42  
3  兄弟象  49  1  50
4  中信鯨  46  2  52 
5  誠泰Cobras  44  1  55  
6  興農牛  42  1  57



今から考えれば、前後期共に統一が競り負けたことは、結果に大きくすることでした。後期負けたLa newがシリーズに直接出場したことで間隔があき試合感覚が鈍った、と考えるのは多少無茶があるかもしれませんが、統一にとっては試合感覚と勢いを保ち続けられた事は勝ちの大きな要因となったはずでしょう。普通はプレーオフを戦ってくる球団にはそれ相応のリスクや疲労があるため、それと相殺と考えるのが当たり前なのですが、これまた運のいい事に前期彼らが競り負けた相手は誠泰という球団でした。誠泰はオフに身売りで揉め、二年連続で主力を日本に流出させたこともあって投手陣がどんぞこにあります。前期は圧倒的な打率と勢いで投手陣を補ってきましたが、もともと実績がある選手達が多いチームでもない為限界もあったのでしょう、後半戦は投打の狂いに歯止めが利かずぶっちぎりの最下位転落、総合でも五位の勢いのまるで無い状態でした。しかし前期優勝を果たしていることは事実ですのでプレーオフには出てきます、試合感覚を鈍らしたくない、頂点を取るには勢いが必要、そんな統一にとって誠泰とのプレーオフはシリーズへの弾みと言えました。



実際誠泰とのプレーオフを三戦圧勝で勢いに乗った統一ですが、もとからチーム事情を考えてもこうした場は必要でした。今年の統一を表すと、三割を超える打線と安定した先発陣による「主軸が打って先発が抑える」チームと言えました。本塁打王をとった三番布雷に最多安打となった四番高國慶、台湾のエース藩威倫、最優秀防御率の彼得。先発が計算でき、打線には中核を打てる選手がいる、つまり統一のここにいたる不自然な勝負弱さはそれ以外、特にリリーフ陣の薄さにあると言えます。この手のチームが短期決戦でよくやる展開として考えられるのが、「主軸が執拗な外角攻めにあい打線沈黙、先発が苦しい試合を強いられるも、流れを変えられる選手がいない」というもの。例えとしてあまりいいとは思えないのですが、ちょっと前のホークスなんかが似たような感じだったんじゃないでしょうか、松中が止まり、先発投手が守りきれなくなるといったあんな感じ。その上相手は台湾代表級の打線を誇るLa new、点を守り抜くとかぬるい事言ってるばあいじゃありません、勝つためには先発を打ち崩す勢いが必要だったという事に反対される方もいないでしょう。



逆の視点であるLa newの視点から見てもそれは同じです。台湾一の巧打者林智勝に出戻りマイナーリーガー陳金鋒、打線は一流選手ばかり。しかし投手陣に目を向けてみると、昨年の優勝の動力源となったウー・スヨはロッテへ、ケニー・レイボーンは韓国SKへ流出してしまい先発陣はガッタガタ、今年補強で入った先発の柱であるラスはとっくにアメリカに帰っており、まともに計算できる先発投手がほとんどいない状態でした。リリーフ陣はクローザーのマック鈴木を筆頭に駒が揃っており、言ってみれば統一とは逆の状態。La newにしてみればプレーオフをしていないアドバンテージは投手陣が休んでいることですので、是が非でも統一投手陣を削り脆い部分を叩きたかったんじゃないかと思います。後出しになると脆い統一と後出しに強いLa new、接戦に強いであろうLa newと打撃戦にもつれ込みたい統一。「勢いで一気に畳み掛けたい」統一に対し、「粘って逃げ切りたい」La newという構図は、まさに挑戦者統一とディフェンディングチャンピオンLa newという構図そのままだったように感じました。



さて実際のシリーズはと言うと、ズバリLa newの敗因は、サイドキックの活躍という部分につきるでしょう。もっと簡単に言えば、上に上げた人たちがあんまり活躍しなかったという事です、もーっと簡単に言うと、僕の予想は何も当たっていなかったという事です、事ですじゃないよバーカバーカ!統一の三番四番コンビは本塁打王布雷は六戦目まで本塁打無し、四番高國慶は四戦目の満塁本塁打以外は地味な活躍と予想通り警戒されていたようなのですが、僕の言ったとおりならば沈黙するはずの打線はまぁボコスカ打ってくれました。先発投手陣も台湾のエース藩威倫は肩の故障もあって悔いの残る無勝、最優秀防御率の彼得は立ち上がり安定せず投手戦にはならず、予想通りにならないから野球は面白いのですがここまで外れるとさみしくなります。まぁそれも先に述べたとおり他の人たちが名立たる名投手を打って名打者を抑えたからこそ、今年の台湾シリーズは七戦目までもつれ込んだその混戦っぷり通り、混沌とした戦いでした。



結果はこんな感じ。

獅10-02熊
獅07-04熊
熊07-06獅
熊04-11獅
熊08-05獅
獅05-06熊
獅04-02熊

まず第一戦目、その後の統一優勢の立役者となった楊松弦、先発してくるなんて思われていなかった選手が活躍したのを皮切りに、二戦目ニ本塁打の二番二年目藩武雄、今シリーズマック鈴木を打ちまくった劉芙豪と本当に日替わりでヒーローが出たことはまさに圧巻でした。しかしやはり一番の立役者となると、シリーズMVPにも選ばれた先発費古洛でしょう。当初予想されていた先発投手陣残り二人の分を補う三勝を上げる大車輪の活躍、三番四番エースにタイトル保持者を崩してもまだその先が出てくる統一はやはり勢いをもっていて、La newはこの費古洛が持つ勢いを止められなかったことが結果的に致命傷となりました。投手事情もあって踏ん張らなければならないマウンドでしたし、話によればシリーズ途中に体調を崩し医者にかかったとさえ言われています、その上中三日の登板、たまったもんじゃありません。実際数字として悪い内容は出ていませんが、投球内容としての彼のピッチングはそうそういいものではありませんでした。被安打をとっても投球数をとっても彼の苦しんでいたさまは明らか、今回の統一のシリーズは、彼の背中にある炎上をいつもあと一歩で凌ぎきった、そんな展開でした。



あと一歩が足りないと言われ、頂点を逃し続け、そのあと一歩をついに手に入れた統一ライオンズ、ついに彼らはアジアの頂点を決める舞台アジアシリーズへと駒を進めました。欠けたピースはいつも自分達の中に