2007年12月15日

嘘だと言わないでよ

昨日の日記の続きですので、まだの方は昨日の日記をどうぞ、加筆修正しました。

日本のメディアではまだあまり名前を聞けてはいませでしたが、リスト内に多くの日本野球経験者がいたことを受け、日本でもミッチェル・レポートの名が広く知れ渡るようになりました。日本人がいなかったのは救いといえば言えましたが、火の粉は果敢に太平洋を飛び越え、ついに日本に上陸してきたと言えます。ミッチェル・レポートについては昨日の日記を参照していただくのがいいと思いますが、「テメーの日記は前ふりながすぎんだよ」という方のために簡潔に御説明しますと、ドーピングやってた疑いのある人たちをまとめたリストです。アメリカでも徐々に各選手の対応が明らかになってきており、代理人を通じてだんまりを決め込む選手もいれば、否定はしない選手、脊髄反射のスピードで反論に出た選手など様々、MLBは引き続きこの問題の調査を進めていく方針のようで、これから一週間もしないうちに関係者それぞれの対応が出揃うことでしょう。もちろん火の粉が舞い降りたNPBもそれは同じ、リストに日本人選手はいませんでしたが、所属経験のある選手達9名がのってしまった以上、各々それに対して反応を示さなくてはなりません。これを対岸の火事と見られないのは悲しい話ですが、NPBも可能性がある以上、それを見ないフリは出来ません。



これが日本でプレー経験のある選手達のリスト

クリス・ドネルス(96・近鉄、97~99オリックス)
http://en.wikipedia.org/wiki/Chris_Donnels
フィル・ハイアット(97・阪神)
http://en.wikipedia.org/wiki/Phil_Hiatt
アレックス・カブレラ(01~07・西武)
http://en.wikipedia.org/wiki/Alex_Cabrera
ジェフ・ウィリアムス(03~現役・阪神) 
http://en.wikipedia.org/wiki/Jeff_Williams
アダム・リグス(04~現役・ヤクルト) 
http://en.wikipedia.org/wiki/Adam_Riggs
マット・フランコ(04~06・ロッテ) 
http://en.wikipedia.org/wiki/Matt_Franco
バート・ミアディッチ(05・巨人) 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%81
チャド・アレン(07・オリックス) 
http://en.wikipedia.org/wiki/Chad_Allen_%28baseball_player%29
ラリー・ビグビー(08~新外国人・横浜) 
http://en.wikipedia.org/wiki/Larry_Bigbie


そしてこちらが全選手のリストです
http://mlb.mlb.com/news/article.jsp?ymd=20071213&content_id=2325070&vkey=news_mlb&fext=.jsp&c_id=mlb



特に反応が待たれるのは来季プレーをすることになる現役選手たちでしょう、日本プロの現役選手にしぼりこむと計4名、カブレラ、ウィリアムス、ビグビー、リグス、その中でも阪神の守護神ジェフ・ウィリアムスとヤクルトのアダム・リグスは領収書まで切っており、限りなく黒に近いグレーらしいとのこと。この時期は皆来期の契約交渉している時期ですので、球団としても選手としても振って沸いた交渉の障壁となりました、選手にしてみれば飯の種がなくなってしまうわけでいち早く対応しなくてはいけません。これに対し真っ先に対応を見せたのがジェフ・ウィリアムス。阪神との契約がまだすんでおらず、1999年度の目撃証言や阪神移籍後の2004年12月10日付けで禁止薬物売買に切った領収書が証拠として挙げられています。五輪の舞台でもその後のNPBでの検査でも陰性でしたので「使ったかどうか」については微妙とも言えます。



彼は五輪の経験者でもあるため、僕ら野球ファンが「メジャーが五輪に出てこないのはドーピング検査がきついからだ」と偉そうな事を語る生き証人とも言える選手でした。このレポートによって対応が決まるのは何も野球界だけではなく、今復帰運動を続けている五輪にも影響を及ぼします。ドーピングの罪は疑わしさの蔓延を引き起こすこと、起こってしまった後で何を言っても仕方がありませんが、ファンでさえ「これならばまだありそう…」と一抹の疑いが隠せない現状を、五輪の人々が「ドーピング関係がクリーンになる為の前進だ」と見てくれるなんて都合のいい事はないはずでしょう。しかしながらウィリアムスの反応は、どうにも対応を決めかねているような鈍いもので、「俺はクリーンだからいくらでも検査は受けるが、過去のことについてはイエスともノートもいえない」とのコメント。ノーコメントは問題をただただ沼に沈めこむだけ、という気がしないでもないのですが、ルール上罰にできるわけでもなく、微妙な感じがしてしまいます。



続いては野球浪人中のカブレラ、2000年9月中旬、球団のクラブハウスに届いたカブレラ宛の荷物に、アナボリックステロイドと数百錠の錠剤があるのを球団職員が発見。カブレラには荷物が紛失したことにしてコミッショナー事務局に報告。その後、事務局から依頼されたDEA(麻薬取締局)が薬物を検査している間に、選手契約が西武ライオンズに譲渡されたとしている。という事で彼もかなり証拠が揃えられている部類の一人なのですが、代理人を通して「どうして今頃こんなこ話が出てくるか分からない」とした上で、西武時代の7年間については否定。次にヤクルトのリグス、2003~2005年の間に取引を行い、ヒト成長ホルモンや注入式ステロイドなどを購入したとされており、報告書にはヤクルト移籍後の2005年11月30日付けで署名入り為替が残されています。このほかにも選手数名に薬物を教えたとされていますが、当のリグスはMLBの面会要求を辞退し、弁護士を通じて「一度も陽性反応は示したことはない」とのコメントを文書で提出。過去の件に対しては三者揃って否定も肯定も開き直りも言い訳すらもしませんでした。



アメリカ国内でもそうですが、どの選手も過去の件についての明言を伏せ、今は大丈夫という点を強く繰り返すよう代理人と様子を見ているようです。唯一その法則を破ったのは、既に横浜行きが固まりつつあったラリー・ビグビーですが、代理人によるとビグビーはオリオールズに在籍した2002年、足を故障した際に用具係から薬物をもらい規則が変わる2004年になるまで使用していたと証言、しかし肝心のレポートと年代的に食い違う部分があり、ついには横浜からリリースされる可能性さえでてきました。もちろんこれだけで判断を下すのはファンとして早計だとは思いますが、これをまだ氷山の一角としてみている人もおり、これを機に何かが変わっていけばと考える人たちも少なくありません。それを考えればむしろ対応を急がなくてはならないのはNPBのほうでしょう、もしこれらの事実がより一層反論できない形で日の下に出された場合、日本球界もこうしたプレーヤーが所属している以上、なんらかの処分を下す責任をかされる可能性があります。今でもMLBと比べてドーピングの規定が甘いとの見方があるNPB、ここで判断を誤ってしまえばNPBが第二のドーピング選手の甘やかし先になってしまう可能性があるからです。



NPBのドーピングの歴史は、あまり早い物ではありません。MLBがステロイド騒動にゆれドーピング罰則規定を定めた2005年シーズン、2005年暮れにドーピング防止規約締結国となったNPBはそれを理由としてドーピング検査制度を導入しました。とは言えドーピングコントロールルームなどがなかった事を理由に、一年目はほぼ罰則規定無しの状態で啓蒙期間として行われます。本格始動しだした翌年である今年2007年8月には日本野球史上初めての違反者ガトームソンが禁止薬物のフィナステリドを含んだ発毛剤の服用で摘発されました、が、発毛剤を誤って使用したという事で、お咎めもあんまりなく20日間の出場停止処分を受け、球団も750万円の制裁金を科されるにとどまりました。真実は分かりませんが、もちろんそうした善意の違反者を重く罰してしまうことはいい事ではありません。しかしNPBの罰則規定を見ると、「違反者は内容に応じて4段階の処分が科され、(1)けん責(2)10試合以下の公式戦出場停止(3)1年以下の公式戦出場停止(4)無期限の公式戦出場停止、となる。違反者に関与した球団関係者も処分対象とされる」と、MLBと比べても重くはありません。



では期待の根来コミッショナーのコメントはというと、「彼らの中には、日本プロ野球組織(NPB)の検査を受けた選手もいるが、すべて陰性だった。うちとしては十分、監視は行き届いているし、心配はしていない」とのこと。僕は物事を批判検証できるほどこの問題に詳しくないため、コミッショナーの発言を動受け取っていただくかは皆さんにおまかせします。まぁ確かに、NPBのドーピング検査は日本アンチドーピング機構、そして世界アンチドーピング機構を遵守しているため、検体が持ち込まれる先もJADAの公認検査機関、検査に関しては文句をつけると世界中のスポーツに喧嘩を売ることになってしまいますので、検査に関しては文句をつけている方がおかしいともいえるでしょう。ただ以前から言われている通り、古くからある野球専門球場を使っているNPBは、施設面において他のスポーツと比べて見劣りする部分がある可能性があります、これは以前にNPB自身が違反者への処分を下す啓蒙期間をおくことについての理由としていますので、ほぼ間違いはありません。となるといくらそうとは言え鵜呑みにするのも危険ともいえますし、重くうけとめるべきという事は言いませんが、もう少し慎重になっても損はないんじゃないかと思えた対応でした。



サミー・ソーサが日本球界に格安で売り込んできた過去のように、今回の事件で泥が付いた選手達の中からはこれからその価値が急落する選手達もあらわれるでしょう、最低数千万はもうけられる野球リーグなんてアメリカのほかには日本しかありません、MLBにいられないとなれば、普通に考えれば流れはそうなるに決まっています。決してこの問題に関してアメリカに追随する姿勢をとったほうがいいという訳ではありませんが、こうしてMLB側から名指しで選手名が挙げられた以上、これは既に日本にとってもの問題となっていますし、この問題について注目も集まってきました。ドーピングに関して、遅いといわれているMLBよりまた数歩遅い対応をとってきているNPB、今回の事件は、ことがこと、時期が時期だけに一刻の猶予も残されてはいません。転がりだしたら止まらない石にしても、今回はちょっと大きすぎる気がするというのは悲観ではないでしょう、単なる事実です。アメリカからの逃げ場にしないという事は、ひいてはNPB自体の自浄へと繋がります。MLBがいくら汚れていようとそれがNPBがクリーンな理由にはなりません、問題が噴出した以上、それを糧に改善が進んでいかれるように見えないと、ファンとしてはそれがせめてもの救いと納得することができないのです。



太平洋を越えて日本に飛び火したミッチェルレポート、MLBがスポーツ界に投じた一石は今、真に世界のスポーツシーンでの問題になろうとしています。これはもはやアメリカだけの問題ではありません、それはつまりNPBの一挙一動でさえ、IOCやWADAといった世界が注意を払っているという事です。火の粉が日本に渡ってきた時には、既に世界から日本を見られることになっている。NPBの皆さんは、対応、制度、実績、すべてにおいて、これがうちの状態ですと世界に胸を張ることが出来ますか。

posted by shoeless |11:13 | 国内野球 | コメント(4) | トラックバック(3)
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2007-12-15 14:44 | 続きを読む
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嘘だと言わないでよ

とうとう米大統領までこの事件に言及するようになりましたね。
事ここに至って、本件が平穏無事に済むことは有り得なくなりました。
厳しい検査と過去の使用状況のチェック、そしてそれに対する裁きが行われるでしょう。
この問題に疑惑が強く持たれるようになったのは
1988年のソウル五輪あたりからです。
ベン・ジョンソン、フローレンス・ジョイナーなどは、
明らかに薬物常用者でしたね。ジョンソンは発覚し、
ジョイナーは発覚せずいまだに彼女の世界記録は
更新されていません。それを破るかと期待された
マリオン・ジョーンズも実は薬物常用者で金メダルを失いました。
調査の結果次第では、記録を抹消される選手も出てくると思います。それほど重大事件に発展する
可能性が高まってしまいました。
下手すると野球というスポーツの存亡に関わるところまでいくかもしれませんね。
軽く考えている人たちは認識を改めることが必要です。

posted by 大変だこれは | 2007-12-15 16:10

嘘だと言わないでよ

五輪と国内のリーグ戦を一緒には出来ない。

posted by MLB | 2007-12-15 17:20

嘘だと言わないでよ

MLBの場合は、この程度で済むだろうが、今後
これをきっかけに、他の4大スポーツに飛び火す
れば、大変な事になるだろう。

特にNFLとNHLは、肉体のぶつかりあいが
MLBの比ではないので、逆にやってない方が
おかしいと思うし、調べられたらとんでもない
数になるのではないか?

それこそ、アメリカプロスポーツ界の崩壊を招く
おそれがある!!!

posted by DELMO | 2007-12-15 17:41

嘘だと言わないでよ

大変だよこれはさん

嫌な話ですが、個人的に思っていたよりかはアメリカ内での野球ファンのがっかり度は低いように思えました。なんだか「やっぱりね」みたいな、それも織り込み済みで見ていました、だからもうここらでやめておいて、と言った感じのマイナスなポジティブシンキングが働いているような気配です。喜んで良いんだか悲しむべきなのか…。ファンは普通こうした問題をたたくべきなのですが、ファンも「このあたりでもういいだろ」っていうムードになってくるとMLBと足並みを揃えてどんどん終息していってしまうような…気がしなくもありません。

MLBさん
ようはこの理屈をIOCとWADAの方々が納得してくれるかどうかなんでしょうが…、そんな可能性は微塵もありそうになかったですしね…。

DELMOさん
まさにその通りだと思います。サラッと見ただけでしかありませんが、野球ファンは以前からの不祥事続きで「耐性」ができてしまっていたようにも見えました。しかし徐々に火の粉がかかりつつあるNBAやNFLでは既に大物の名前も出つつあり、ここでばれると急激なファン離れがという恐れもありありと想像できてしまいます。マッチョ嗜好のアメリカでNHLやNHLからマッチョが消えてしまうとなると…、あんまり想像したくありません。

posted by かんりにんです | 2008-01-30 16:22

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