2007年12月09日

K-1 WORLD GP 2007 FINAL 感想

とりあえず、前回の記事で触れた心配事が杞憂に終わって一安心。
少なくともリング外のことで落胆させられることはなく、
純粋にK-1を楽しめる決勝大会となりました。

準々決勝
○ ジェロム・レ・バンナ VS チェ・ホンマン ●
選手の格としてはバンナの方が上とはいえ、
ホンマンが一発で決める可能性も捨て切れません。
一方のホンマンに関しても、モー戦でのKO負けにより、
パンチによってKOすることが決して不可能ではないということが実証されました。
もしかすると、ホンマンのKO負けも有り得るかも???

まずバンナは試合開始直後に左のボディストレートをホンマンに打ち込んで
パンチの威力を意識させます。
そうしてホンマンを前に出にくくさせてから、スピード差を生かし、
ホンマンの前蹴りの間合いの外から一気に踏み込んでロー、そして離脱といった具合に、
ローを中心としたヒットアンドアウェイで攻める戦法で攻め立てます。
ホンマンはこれに全く対処できないまま、1Rが終了。
2Rにはバンナの攻撃がさらに加速。左ミドルが何度もホンマンのレバーをえぐります。
追い詰められたホンマンは、最終ラウンドになってようやく自分から攻め始めますが、
皮肉なことに、これによってボコボコにされたのはホンマンの方でした。
駄々っ子パンチとも揶揄されるホンマンのパンチは全くと言って良い程クリーンヒットせず、
バンナのパンチが面白いようにホンマンの顔面を捉えます。
ホンマンはこれで気持ちが切れてしまったのか、目に見えて動きが低下。
後半からは立っているのも辛そうな様子に。ミドルも効いているのかもしれません。

こうして勝負は判定へ。結果は3-0で、バンナが文句無しの判定勝ちを収めました。
KO負けこそ避けられたものの、3Rは事実上サンドバッグ状態になり、
バンナの攻めに背中を向けてしまう場面も作ってしまったホンマン。
前回以上の完敗を喫してしまいました。

準々決勝
○ セーム・シュルト VS グラウベ・フェイトーザ ●
下馬評ではシュルトの圧倒的優位とされていますが、
極真代表としても一格闘家としても、
グラウベは同じ相手に3度負ける訳にはいきません。
グラウベがシュルト対策をどれだけ練り上げてきたか、という点に注目の一戦です。

ホンマンと比べ、遥かに攻撃的かつ動きが速いシュルト。
圧倒的な攻撃でグラウベを1Rから圧倒します。
さらにあの巨体でバックスピンキックまでも撃ってみせたのには、驚愕の一言。
2R、このままズルズル行ってしまうのか…と思い始めたその刹那、
グラウベのブラジリアンハイキックが、
まさに美しいとしか言えないような理想的な形でシュルトに炸裂!!
しかしシュルトは倒れない。
一瞬崩れ落ちたものの、ロープを助けにしてダウンを逃れます。
グラウベもここぞとばかりに追撃を試みますが、仕留めきれません。
逆にシュルトは全く効いていないぞ、とでも言わんばかりの猛反撃。
コイツはバケモノか。
3Rにも何とかブラジリアンハイキックを当てようと試みるグラウベですが、
シュルトは一度喰らった攻撃を何度も喰らうような選手ではありませんでした。

そして最後まで2度目のアップセットは起こらず、
そのままシュルトが3-0で磐石の判定勝利。
結局、グラウベのシュルト対策って、
ブラジリアンハイキックの一撃に全てを賭けるってことだったんでしょうか…。

準々決勝
● バダ・ハリ VS レミー・ボンヤスキー ○
試合前から舌戦を繰り広げている両者。
両者共にスピード&テクニック系の試合巧者なだけに、面白い試合が期待できそうです。

序盤から手数を多く出して攻めているのはハリの方。流石に早い。
もちろんレミーも負けておらず、1Rには見応えのある攻防が繰り広げられました。
このラウンドを見たところでは、
一発一発のスピードと威力ではハリでも、コンビネーションの技術はレミー。
中距離~遠距離戦はハリの間合いでも、近距離戦はレミーの間合い、という感じ。
1Rは若干ハリが優勢という印象でしたが、続く2Rでは逆にレミーが優勢に。
ハリは何故か動きが落ち、手数が一気に減ります。
1Rで勢いに乗って攻め過ぎたのか???
レミーがプレッシャーをかけ、
ローをガンガン叩き込んでいくという展開でこのラウンドは終了。
そして勝負の3R。
ハリは逆転を期しての攻勢に出ますが、
攻めれば攻める程に動きからキレが失われている、
即ち、レミーのローが効いてしまっているということがわかってしまいます。
手数こそハリの方が上回るものの、ダメージが色濃いのも明らかにハリの方。

こうして3R戦い抜いた両者。
判定では2-0と1人がドローをつけたものの、レミーが貫禄の勝利を収めました。

準々決勝
○ ピーター・アーツ VS 澤屋敷 純一 ●
余裕のアーツに不敵な澤屋敷。何が起こるかわからない雰囲気が漂っています。

しかし試合が始まってみると、
澤屋敷はカウンターを狙うことさえ許されない程に圧倒されてしまいます。
強烈なローで動きを止められると、ガードの上から刈り取るような豪快なハイキック、
そしてワンツーからの右ストレートで続けざまにダウンを喫し、無念の1RKO負け。
まさに為す術無し。

それでも澤屋敷が若手の有望株であることに変わりはありません。
これを糧にしての、さらなる飛躍を彼には望みたいと思います。

準決勝戦
● ジェロム・レ・バンナ VS セーム・シュルト ○
底の見えないシュルトに対し、2度目の挑戦となるバンナ。打倒シュルト成るか!?

絶対に受けに回らないよう、常に先手を取って攻め続けるバンナ。
これはシュルト対策の基本戦法ですが、
その際に一番気をつけなければならないのはヒザ。
バンナもそれは重々承知だったと思うのですけど、
それまで押していたため攻め気に逸ってしまったのか、
ラウンドの終わり際にヒザをもらってしまいます。
これでフラついてしまったバンナでしたが、
ゴングに救われる形で何とかダウンだけは回避。
しかし、バンナにとって直接の致命傷となった攻撃はヒザではありませんでした。
2R開始時、1R終わり際にもらってしまった右ヒザへのローキックによって
ヒザに致命的なダメージを負ってしまったのか、
バンナが右足を引きずっているのが確認できます。
どう見ても試合を続行できる状態ではありませんし、まして相手は最凶王者シュルト。
ここでタオルを投げなければ、何のためのセコンドなのかわかりません。

結局、2R開始から1分といった辺りでローをもらったバンナが倒れ、
タオル投入となりました。

準決勝戦
● レミー・ボンヤスキー VS ピーター・アーツ ○
レミーとアーツという、王者経験者同士が準決勝で激突。
この組み合わせは初対決だそうです。
ハリ相手にフルラウンドの激闘を繰り広げたレミーと、
澤屋敷を圧倒して1RKOに仕留めたアーツ。
体力的にはアーツが有利と思われますが、果たしてどうなるか。

決勝戦のことを見越しているらしく、両者共に序盤から飛ばしていきます。
1Rはパワーで上回るアーツが優勢。
レミーはやはり、ハリ戦のダメージが色濃いように見えます。
2Rにはレミーも反撃を試みますが、やはり圧力で勝るアーツ。
レミーにとっては苦しい展開に。
しかし2R残り1分といったところで、レミーがラッシュ!
ガードの上から強引にパンチを打ち込んでこじ開けようとしますが、
これに対してアーツは何と、自らガードを下げてニンマリと笑って見せます。まさに不敵。
3R、ボディーとローを効かされてしまっているレミーはかなり苦しそう。
それでも何とか一発逆転を狙おうとするレミーですが、
蓄積したダメージが響いて思うようにいきません。

こうして最後までアーツ優勢のまま、3Rが終了。
3-0の判定勝利でアーツが決勝へ駒を進めました。

スーパーファイト
○ 武蔵 VS ソーレイマン・コナテ デビッド・ダンクレイド ●
ソーレイマン・コナテの負傷欠場により、デビッド・ダンクレイドが代替出場。
放送時間の尺の調整のためなのか放送されましたけど、正直言って、どうでもいい試合。

相変わらず、パンチの届かない間合いから
「わふっ!わふっ!」と叫びながらジャブを出す武蔵。
知識が浅いせいか、私にはこの行動の意味が未だにわかりません。
もしかして、牽制なのか…???
さらに得意のはずのキックの攻防でも先手を取られてしまう武蔵。
急遽出場が決まったため、ろくに調整もできていないような相手にこれでは…。
こうした試合展開が続き、
ひょっとしたら武蔵負けちゃうのでは?と思い始めた1R終了間際、
武蔵の左ミドル一発でダンクレイドが崩れ落ち、そのままKO。
思わず呆気にとられてしまいました。

武蔵は何やら勝ち誇っている様子でしたが、
それ程良い内容の試合だったとは思えませんでした。

決勝戦
○ セーム・シュルト VS ピーター・アーツ ●
昨年と同カードになった決勝戦。
とはいえ昨年はアーツがリザーブファイトからの連続KOで決勝進出を決める一方、
シュルトは判定2つでの決勝進出というアーツ有利の状況だったのに対し、
今年はアーツ、シュルト共にKO1つと判定1つで決勝に勝ち上がって来たという状況。
さらにそこまでの試合内容も考えると、
この状況はむしろアーツにとって不利と言えるでしょう。

若干の諦念感と、それでもアーツなら…という淡い期待感が漂う中、試合開始。
ダメージの影響がチラホラと見て取れるものの、意地と誇りで奮戦するアーツ。
しかし、決着は思わぬタイミングでやってきました。
シュルトのジャブを受けてバランスを崩した際、
アーツが叫び声をあげながら不意に崩れ落ちます。
どうやら右足を捻るか何かして痛めてしまったらしく、立ち上がることができません。
流石にこればかりは如何ともし難く、アーツは無念の負傷KOを喫することに。

こうしてシュルトは前人未到のGP3連覇を達成。その強さには圧巻の一言です。



総括
最も見応えがあったと思われるのは、ハリ VS レミー戦で、次点はレミー VS アーツ戦。
ハリの実力の高さと、レミーの復調、
そしてアーツの強さが良い意味で印象に残った大会でした。
一方、悪い意味で印象に残ってしまったのはホンマン。
バンナがスピード勝負を仕掛けたせいもあるのかもしれませんが、
動きが異常に遅く感じました。
しかもあの巨体を誇りながら、自分から攻めたら逆に劣勢になる、というのは致命的。
また、グラウベに関しては…強いとは思うんですよ。
トップファイターであることに間違いはない。
ただ、何と言うべきか、シュルトが相手では相手が悪すぎるとしか…。
とにかくシュルトが強すぎるんですよ。
しかも圧倒的過ぎて、試合内容があまり面白くない。
かといって、強過ぎるから出場禁止!とすることもできない訳でして。
決勝大会を面白くするという意味でも、シュルトを倒せる選手の登場が切に望まれます。 

ここよりレス
>33さん
狙っていたか狙っていなかったかと問われれば狙っていたんでしょうけど、
シュルト相手にカウンターが決定的な打開策になるとは思えないのですが…。

>アンソニーさん
そういう気持ちもわかるんですけど、それとこれとは全く別問題ですからね…。
それにシュルトが3連覇を成し得た背景には、
(ほぼ)K-1に専念して練習してきたということもありますし。
K-1と総合ではルールが全く違うわけですから、
今日までK-1、明日から総合、とはなかなか行かないと思いますよ。
ただ、しっかり準備期間を置いた上という条件付きならば、見てみたい気もします。

>超スペシャルな無差別級大会
これは流石に非現実的過ぎるのではないかと…。地下闘技場じゃないんですから。

>テルさん
確かにそうですね。
実際、ヒザをもらうまではバンナが優勢だった訳ですし。
ただ、去年の一回戦で当たった際にも同じように
途中まで押していながら結局は負けているので、
2度あることは3度ある、という展開になりそうな気も…。

>もう後ろに回り込むくらいのつもりで回る
これを見てふとガオグライの戦い方を連想してしまったんですけど、
体格差という点では似たようなものなのかもしれませんね。

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posted by 臣桜花 |23:51 | K-1 | コメント(3) | トラックバック(0)
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K-1 WORLD GP 2007 FINAL 感想

コメント投稿者ID :

見る目ないな。
グラウベはパンチのカウンターも狙ってただろ

posted by 33 | 2007-12-10 00:25

K-1 WORLD GP 2007 FINAL 感想

コメント投稿者ID :

 シュルトの精進をまず称えたいですね。
変なドラマも筋書きもいらない。
真の強者が優勝すれば、それこそ面白い!
シュルトよ、おめでとう。


 But、武器を持たない戦いで誰が一番強いか?
それは立ち技のK-1の完全3連覇だけでは証明できない!


 シュルトよ、PRIDE-21 で負けている ヒョードルを破らなければ…。なぜなら、真の戦闘は立ってばかりの格闘に終始するとは限らないのだから…。寝技も絞め技も有りの中で勝たないと…。


 そういう意味では、ヒョードルも クゥートアーも 藤田も 吉田も ヒクソンも 参加するような 超スペシャルな無差別級大会が開催されて、そこで勝たないと…。

posted by アンソニー | 2007-12-10 01:02

K-1 WORLD GP 2007 FINAL 感想

コメント投稿者ID :

バンナの回りながらの出入りは有効だったと思いますね
バンナのパンチも入りそうだったので、足が壊されなければ
どうなっていたか判りません
ジャブでダメージ蓄積される前にフィリオを倒した時のようなステップインからの左、返しの右が入っていれば・・・
正面からプレッシャーをかけるアーツより可能性はあったと思います
もう後ろに回り込むくらいのつもりで回るのも面白いんじゃないでしょうか

posted by テル | 2007-12-10 02:50

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