常勝紅鹿

柴崎岳の報道を見る目

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”PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ”

イタリアの英雄ロベルト・バッジョの、あまりにも有名な言葉です。彼は1994年のアメリカW杯決勝という舞台で、PK戦のキッカーを務めましたが、それを外してしまい、イタリアの敗退を決定させてしまいました。彼への期待が、反転して彼を批判する刃に変わったとき、彼はこの言葉を言ったとされます。

鹿島が育てた偉大な選手である柴崎岳が、苦悩の中にいるとのことです。私は詳細は知らないので、このことについてあれこれ妄想を書くつもりはありません。 ただ一つ言えるのは、こうした苦悩も、彼が異なる場所、環境、世界での戦いに「挑戦」したからこそ起こったことです。挑戦者がつまづき、苦悩する姿を、笑い、揶揄するのはたやすいことです。そして現にそうした一部の人々が鬼の首をとったようにものを書いています。 しかし、自分の力が異なる環境でも通じるのか試したい、という素朴で偉大な勇気を持つ者に対して、これはあまりに冷淡で残酷な仕打ちではないでしょうか。

柴崎が鹿島というクラブからスペイン2部に渡ったことを揶揄する人もいるようですが、自分の持つ力が、異なるサッカー文化の場所でも通用するのか、試したい、と思うのは不思議なことではありません。最初から1部のクラブに行かないことをとやかく言うのであれば、ぜひ挑戦者たちの軌跡を振り返ってもらいたい。 かの本田圭佑ですら、VVVフェンロに移籍してまもなく、チームの降格を経験し、初めてフルでシーズンを経験した年はオランダ2部からのスタートでした。 今ケルンで奮戦している大迫も、最初はドイツ2部のクラブから戦いはじめました。 そういう軌跡、キャリアを経て、彼らは戦っているのです。

移籍金関係で彼に文句がある人もいるようですが、当然莫大な移籍金が入ればそれに越したことはありません。欧州クラブに足元を見られることには、私も苛立ちも感じます。 ですが、「鹿島というクラブは常に世界に繋がっている」「鹿島で成功することで更なる高みを目指せる」と日本やアジア、世界の子供たちに示すことができれば、それは短期的な収入以上の価値になります。 内田、大迫、カイオ、柴崎らに続けと子供たちが鹿島を目指すなら、それ自体が鹿島を、そしてJリーグを強くするのです。そういった意味で、彼らは鹿島を離れた今でも鹿島に大きく貢献してくれています。

過去、現在にわたって、海外に挑戦してきた選手たちのほぼすべてが、何らかの苦悩や挫折を味わっています。その中には、思うような結果を残せなかった選手たちも当然少なからずいます。ですが、彼らは、批判や失敗を覚悟で自らペナルティースポットにボールを置いたバッジョだったはずです。 選手が自分の実力を出し切れないとき、それを批判されるのは仕方のないことです。ですが、少なくともその挑戦自体は称えられるべきではないでしょうか。

私はそういった勇気ある挑戦者たちを揶揄し、人々の気持ちを萎縮させ、新たな挑戦者の登場を妨げるサッカー文化には、長期的な成長は見込めないと考えています。



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yuki1016様

コメントありがとうございます。
なるほどアスリートにとっては、「いつでも」「どこでも」自分の力を安定して出せる力が求められます。柴崎についてもそうでしょう。ただ、今回なぜ柴崎が苦悩しているのか、それに関して十分に情報が出ていない以上、私としては問題の内部にまで踏み込もうとは思いません。
また、精神や身体をいくら鍛えても、海外ではセオリー通りに順応するとは限りません。気温、湿度、日差し、コミュニケーションの方法(言葉だけに限りません)、飲み水、食料品、そして差別など、あらゆるものにストレスや体調を崩す要因があり、それを本人やそれまでの環境のせいにするのはやはり賛同できません。多少の予防はできたとしても、ロジックで解決できる問題では必ずしもない、というのが(先進国ではない)海外在住の私の考えです。

柴崎岳の報道を見る目

早く体調を戻して復帰して欲しいものです。
力を出せればスペインでもそれなりの結果を出せると信じています。
諸般の状況があるのでしょうが、残念なのは、環境に順応するというアスリートとしての基本部分で最初につまずいてしまったことです。
数十年以上前に、時折耳にしていた日本人が海外で活躍するためには、言葉、食事、異文化への適合が必要であると力説されていたのを思い出しました。
ジャンボ尾崎は環境変化にナイーブ過ぎて米国ツアーで実績を残せませんでしたが、青木功は奥様のサポートもあり、実績を残しました。
今でこそ数多くのプロアスリートが海外で活躍していますが、日本人としての弱点が解消されている訳でもないのは、柴崎岳の今回の事例で明らかです。
本人の体質、性格の問題もあるのでしょうが、クラブ、もっと遡ると高校(青森山田)の問題もあるのかもしれません。
食育の問題は、ジュニア、ジュニアユース、ユースを通じて、練習後にクラブで食事を提供するとか、家庭での日々の食事を記録、自己管理させて食事もトレーニングの一部として取り込むという食を通したアスリート作りは、日本のクラブでも半ば常識になっています。
また、ジュニアユース、ユース世代でも、クラブとしてヨーロッパ、中東等への遠征を定期的に行い、大会に出場して若いうちから海外での実践経験を積極的に積ませているクラブもいくつかあります。
本人の問題はさておき、彼が所属したクラブ、高校として総合的なアスリート育成ができていたかというと疑問が残ります。

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