常勝紅鹿

中国スーパーリーグの「爆買い」を揶揄するという不条理

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中国スーパーリーグのクラブが世界トップレベルの選手たちの獲得に活発に動いている。そうした動きはメディアで「爆買い」とされ、欧州サッカー関係者、地元ファンらは苦々しい顔をしている。 近頃では、古巣復帰を望むドログバにファンらが「ドログバ、マルセイユが好きだと言うのはやめろ! 俺らが一生かかっても稼げないような金額をお前はたった1カ月で貰ってるんだろ。嘆くのはやめて中国へ帰れ」と抗議の声をあげたようだ。

欧州クラブの監督たちは、こうした札束にものを言わせて有力な選手たちを獲得する中国に文句を言い、またスーパーリーグのレベルの低さ、環境の悪さについても言葉を欠かさない。あるベルギークラブの監督は中国一部クラブとの親善試合に11-0で勝ったことについて、リーグ自体のレベルの低さを語っていた。(https://www.footballchannel.jp/2017/01/12/post193700/)

しかし、これらの批判はどれも的外れなもののように思えてならない。結論から言えば、単に自分たちのいる欧州リーグのもつブランド力をよその地域に奪われることへの恐怖感をあれこれ言葉をつけて表しているに過ぎない。「サッカーは欧州・南米だけのものではない」という当然の主張に対する、露骨な反感、と言い換えることもできるだろう。あるいは不満が人種差別となって表れていると見ることも可能かもしれない。

これらの欧州サッカーと中国リーグとの関連の報道や主張でもっとも違和感を覚えるのが、あたかも中国クラブだけが「爆買い」をしているかのように言っていることだ。しかし、こうした中国サッカーの活発化が起こる前から、欧州サッカーでの選手の移籍金や年俸は信じられない規模に達していた。それを進めてきたのは他ならぬ欧州人たちである。彼らは中国人たちが介入してくるよりずっと前から、「札束にものを言わせるサッカー」をしていたが、中国人があらわれるや否や、そうした方法での有力選手獲得を非難し始めたのだ。 この傾向が特に顕著なのはイングランドのプレミアリーグだろう。 現在有力クラブとなったチェルシー、トッテナム、マンチェスター・シティはいずれも「金にものを言わせて突然強くなったチーム」だ。いずれもオーナーやスポンサーから巨額の資金を得てスター選手を金でかき集め、それまで優勝争いにからむことがほとんどなかったチームが突如強豪へとなりあがってしまった。今中国で起こっていることと本質的には変わらないのである。

2004年からリーグを再編し、スーパーリーグとして生まれ変わった中国プロサッカーリーグが、現在までに進めていることは、基本的にJリーグ草創期と変わらない。各クラブが海外の有力選手に非常に高い移籍金と年俸を用意し、自クラブ、ひいては自国のサッカーのレベル向上に貢献してもらおうというものだ。そのためには、欧州人たちが決めた非常に高い選手の移籍金・年俸を超えるものを用意しなくてはならない。なぜそれを用意すると欧州人たちが非難をするのか、実に筋の通らない話である。それに日本のメディアが欧州メディアに追随して「爆買い」などと揶揄するのは、かつての自分たちの姿を笑うようなものだ。

上記のベルギー監督のように、スーパーリーグの質について問う者もいる。しかし、それで実際に自国選手たちの質が向上したかは別として、世界的に有名な選手を獲得しようとする方法自体は変なものではない。むしろ変なのは、スーパーリーグで下から数えた方が早い順位のチームと試合をして、そのリーグのレベルを語るベルギー側である。残念ながら彼らはリーグ最強の広州恒大からはレベル的にも知名度的にも見向きもされていないのである。語られるべきはそこだろう。

中国サッカーがこうした活発な動きによってレベルの向上を見せるかどうか、それはまったく不明瞭だ。2002年日韓W杯アジア予選で、わずか2.5枠しかないところを勝ち上がった中国は、今や最終予選に残ることすら非常に苦しむ状況である。現在のアジア予選でも、北朝鮮がフィリピンに負けるという波乱がなければ、中国は最終予選に残れていなかった。日本サッカーと異なるのは、彼らが自国サッカーの立て直しを求められている、というところだろう。 いずれにせよ、中国リーグの活性化は、ACLなどを通じて日本サッカーにも良い刺激となることは間違いない。Jリーグに所属していても世界的な選手と戦う機会があるのだから。中国サッカーのレベルがあがろうとあがるまいと、我々は中国サッカー熱の高まりを歓迎して良いと思う。

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