2008年06月13日

雑貨屋とサッカー

雑貨屋はサッカー選手になりたかった。

雑貨屋の夢はサッカー選手になることだった。
恋みたいなものだった。
サッカーのことしか考えていなかった。

久保さんに、「サッカー好きか?」と尋ねられれば
「はい、こわいくらい」と答えるようなサッカー少年だった。

初めて知ったサッカー・スターはカズでもマラドーナでもバッジョでもない。
鹿児島実業の前園である。
鹿実の真っ赤なユニフォームに憧れたものだった。

カズに憧れ、自分もブラジルに行きたかった。

そもそも自分よりもうまい選手なんてゴロゴロいたし、
そんなに甘いものじゃないことも、
プロスポーツ選手になれるほどの身体能力じゃないことも、
薄々は感づいていた。

それでも、別に良いと思っていた。

サッカー選手になれなかったとしても、
ホペイロになってでも良いからサッカーの近くにいたかった。

サッカーへの恋はそのうち終わり、
サッカー選手になりたかった頃の彼は想像もしなかった
雑貨屋になってボンフィンテープやミサンガを売っている。

最近、サッカーがまた好きになってきた。

サッカー選手になりたかった頃の彼よりもずっと昔、
保育園の狭いグラウンドのジャングルジムで
一人おばあちゃんの迎えを待つ坊やに会うことができるなら
雑貨屋はサッカーボールをプレゼントするだろう。

サッカーボールがあれば一人でも遊べるし、
サッカーボールがあればさびしくないから。



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posted by 雑貨屋 |01:23 | 雑貨屋サッカー部 |
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