戦術的なサッカーの見方

【ハンブルガー×ニュルンベルク】ドルトムントを手本にする気なヘッキング監督

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昨シーズン15位とギリギリのところでチーム史上初の二部降格を回避したハンブルガーSV。財政が厳しく、高額選手を放出する一方、満足な補強が行われておらず、すでに青息吐息な状態である。

オランダ代表のラファエル・ファンデルハールトの古巣帰還に動いているらしいが、普通に考えればプレミアリーグ4位のトッテナムから戻って来るわけがない。敏腕と評判のフランク・アルネセンSD(スポーツ・ディレクター)には勝算があるらしいが「努力したけど獲得できませんでした」では済まないほど、状況は切迫している。


日本代表MF清武博嗣の加入で話題のニュルンベルクは、今年も主力が流出。一昨年にはアルベルト・プニャク、マルセル・リッゼ、昨年にはユリアン・シーバー、イルカイ・ギュンドアン、メフメト・エキシといった得点源を失ったが、今年はチーム得点王のダニエル・ディダフィだけでなく、守備の要フィリップ・ヴォルシャイトまでもが引き抜かれてしまった。

穴埋めにマルコス・アントニオやティモ・ゲプハルトらを補強出来た分、ハンブルガーよりマシとはいえ台所事情が苦しいのは同じこと。


ホームのハンブルガーのスターティング・フォーメーションは4-2-3-1。GKは怪我からの復活を期す元ドイツ代表レネ・アドラー、最終ラインは右からスピード自慢の攻撃的SBデニス・ディークマイアー、アルネセンSDのコネで連れてこられた元チェルシー組のひとりでオランダ代表ジェフリー・ブルマ、同じく元チェルシー組で元イングランド代表マイケル・マンシエン、左足のフリーキックに定評のあるドイツ代表デニス・アオゴ。

中盤の底を固めるのはCBが本職で元ドイツ代表ハイコ・ヴェスターマンとオールラウンダーの元ノルウェー代表ペア・シェルブレットの2人。右サイドはチェルシー・ユースに青田買いされたイタリア人ヤコポ・サーラ。左サイドは中盤にコンバートされた元ドイツ代表SBマルセル・ヤンゼン。

トップ下はロンドン五輪代表辞退という人生最大の失敗を犯した痛手がまだ癒えない韓国代表ソン・ヒュンミン。FWの層が薄くなったため、レギュラー奪取の好機と考えての決断だったろうが、結果論とは言え、その代償が徴兵免除権では割に合わない。

1トップを務めるのはボックス・ストライカーの元スウェーデン代表マルクス・ベリ。


対するアウェーのニュルンベルクのスターティング・フォーメーションも4-2-3-1。GKはラファエル・シェーファー。CBは昨シーズン控え組だった元スウェーデン代表ペア・ニルソンとスイス代表ティム・クローゼという大型ストッパー・コンビ。右SBはオフェンスに定評のあるアメリカ代表ティモシー・チャンドラー。左SBはCBもこなす元アルゼンチン代表ハビエル・ピノーラ。CBの期待の新戦力マルコス・アントニオは、連携面を不安視されたのかベンチに座らされていた。

ダブルボランチはW杯2002に日本代表と対戦した経験をもつ大ベテランの元ベルギー代表ティミー・シモンズと中盤のユーティリティ・プレーヤーのハンノ・バリッチュのペア。右サイドはニュルンベルク・ユース出身のマイク・フランツ。左サイドは昨シーズンにブレイクしたカットイン型ウインガーのアレクサンダー・エスヴァイン。

トップ下は日本代表清武博嗣。1トップにはチェコ代表のトマーシュ・ペクハルトを押しのけて元U21ドイツ代表の新鋭セバスティアン・ポルターがスタメンに抜擢された。


試合は0-1とニュルンベルクがセットプレーからの1点を守りきって勝利。両チームともゲームメーカーがおらず、ロングボールの蹴り合いという塩っぱい内容の試合だった。

前半途中から主導権を握らされたホームのハンブルガーが、無理にショートパスを繋いで攻めようとしたが上手くいかない。ニュルンベルクにパスをカットされて何度もカウンターで逆襲されていた。

とはいえニュルンベルクのカウンターも機能していたとは言い難い。1トップのポルターは、まだ21歳と若くて状況判断が未熟で、効果的に清武のパスを引き出せず、流れからは1点も奪えなかった。


ハンブルガーは、主将のヴェスターマンをボランチにコンバートし、57失点を献上した守備を立て直そうとしているが、状況は苦しい。ヴェスターマンはボランチというよりも中盤を漂うCBといった感があり、ボランチとして適切なプレー選択ができていなかった。中途半端に攻撃参加しては、背後を突かれるというシーンも少なくなかった。

守備よりも攻撃がより深刻である。使われるタイプの選手ばかりで、攻撃の核となって周囲を束ねられる選手がおらず、組織だった攻撃はまるで見られない。得点が期待できたのは、アニゴのプレースキックをヴェスターマンの頭に合わせる形だけだった。


ニュルンベルクはCBがやはり悩みの種なようだ。ニルソンとクローゼは、どちらも鈍足の大型ストッパー。両者とも自分で潰しに行きたがるタイプで、パートナーの後方に下がってカバーする動きは苦手である。なんでもないロングボールに2人揃って競りに行ってしまい、こぼれ球を相手に拾われピンチを招いていた。

レギュラーだったヴォルシャイトとドミニク・マローが移籍し、代わりに加入したアントニオとノア・コルチョウスキはなぜかスタメン起用されず。どちらかがDFラインを統率できるタイプでなければ、今後も最終ラインに大穴が空き続けることになるだろう。


片や攻撃面ではディーター・ヘッキング監督が面白い試みをしていた。ドルトムントのコピーである。ニュルンベルクの1トップ+2列目のアタッキング・ユニットは、昨シーズンのドルトムントのそれとよく似ていた。

ニュルンベルクの2列目は全員がほぼ両利きである。左サイドのエスヴァインは右利き、右サイドのフランツは左利きだが、双方とも両足を遜色なく使え、内へ切り込むことも縦に突破することも自由自在だった。

トップ下の清武もご存知のとおり、中央・サイドどちらからでもチャンスメークできる万能アタッカーだ。サイドハーフが中に入れば、代わりにサイドに流れ、縦に突破すればシャドーストライカーとしてフィニッシュに絡むなど縦横無尽である。

1トップも2列目に合わせて電柱タイプのペクハルトではなく、190センチと大柄な体格の割には機動力のあるポルターがチョイスされていた。ポルターはDFラインの裏へ飛び出すプレーを得意としている。仮想レバンドフスキとしてはベクハルトよりも適材である

能力的には、後半交代出場したペクハルトやティモ・ゲプハルトの方が、ポルターとフランツよりも上であった。それでもヘッキング監督が、この4人のアタッキング・ユニットをスタメンに持ってきたのは、ドルトムントの多彩なカウンターアタックをコピーしたかったからであろう。

まだまだ粗は見られるが、清武の才能をフルに引き出せる魅力的な戦術コンセプトなので、今後も続けてもらいたいものである。




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