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【CaOI】町田樹「Swan Lake」レビュー

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驚愕のプログラムというと大抵は今までに使ったことのない曲だったり、とんでもない格好だったり・・・ ということを想像するが、町田樹の驚愕はそういうことではない。 と、いうのは今年のPIWで演じたドンキホーテで十分実感している。 なんせプログラムそのものはこれまでにフィギュアスケートでもよく演じられるものであることが多いから、きっと今回も演目そのものはスタンダードなのだろうと思っていた。

思っていたのだけど、実際目にすると確かに「驚愕」「衝撃」という反応をせざるを得ないからこの人の作品は面白いのだ。

PIWで披露されたドン・キホーテはあの幕のある空間を上手く利用した氷上のバレエ作品として「こんなアピールもできるのか!」と驚かされた。 今回披露されたのは「白鳥の湖」 これまたフィギュアでもよく使われるプログラムであり、町田樹自身も選手時代に使用している曲だったりもする。 そう、曲のチョイスは本当にスタンダードなんだ。 衣装も白タイツというバレエの衣装としてはごく当たり前というくらいなんだ。 照明の暗転も、色での場面転換も舞台では日常的に行われている演出。 どれもそれぞれのジャンルでは・・・というのがジャンルの枠を超えて融合するとどうしてこんなにも面白い魅せ方になるのだろうか。 多分、スタンダードな演出にスタンダードなプログラムだけどそこに町田樹自身が感じ取った「解釈」が入っているから。 というのが私の中で納得のいく答えとなった。 町田くんの解釈したものがまた更に第三者の目を通すと違う解釈になるというのはそれぞれが持つ感受性の違いであり、芸術の自由な面でもある。

ドン・キホーテも十分に舞台作品という印象はあった。 あれはバジルの心の思いを表現するバレエ作品なら、今回の白鳥の湖はさらにお芝居の舞台としての空間になっていたように思う。 複数の登場人物と舞台セットが見えたよ・・・ やっぱり北島マヤ的なものを感じるよ。 町田樹、恐ろしい子

今までの作品はとにかく予備知識なしで初見の衝撃を受けたかった。 が、今回はパンフにネタバレが載っていたと聞いて「プログラム観るまでパンフ見ないぞー見ないぞー」と意地はったことを少し後悔するくらいだった。 いや、予備知識なしでも十分面白かったし、きちんとどういうイメージの場面なのかはわかったけど、やっぱりストーリーちゃんとわかっていたほうが照明の演出もより楽しめたなぁ。 それでも、町田くんの作品は照明の使い方がシンプルでどういう場面なのかわかりやすいくらいなので、ストーリーを知らずに見てもまた違った受け取り方で面白いとは思う。

バレエは詳しくないので細かい技等の話は割愛するとして、(それでもバレエの技を取り入れた動きは美しいと思ったし、年々洗練されているのは私でもわかる) 今回ドン・キホーテでは合計9本のジャンプを入れているのとは対照的に白鳥の湖では3幕目の2Aと3Lzのみだった。 (この2本のジャンプは素晴らしかった!) 何度か書いていると思うが、スケートだからこそできるのはスピードによる場面の移り変わりの表現かな。

登場の仕方は・・・ スポットライトついたら本人いないっていうのは多分観客も慣れてきたんじゃないかと(笑) とにかく普通じゃない登場の仕方をするのは皆心の準備ができはじめていると思う。 それから、暗転した時に終わりじゃないというのも。 それでも初見で何幕あるかわからなかったので、拍手するタイミングは毎回「・・・おっと」ってなりそうだったかな。 ただ、最後暗転の中そのままリンクの外に出てすたすた歩いていくから「あれ?!」とはなったが、まさかの小道具(羽)を持ってスポットライトの中に入ってスピンを始めた時は「ああ~そういう終わりかー!」と感心してしまった。 一人で物語の起承転結をつけたプログラムってのは舞台形式の演出だからこそできるもので、PIWもCaOIもよくこのスケーターのやりたい放題(褒めている)に協力してくれているなぁ、いいぞもっとやれーとか色々な意味でワクワクしながら引き込まれていた。 (自分が芸術を観る人の感性ではないのはわかっている・・・) ジャッジの方々もスタンディングオベーションしていたけど、普段ジャッジの前でこんな舞台作品見てもらう機会中々ないだけに、披露の機会の選び方が本当にうまい!

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