面白き 事もなき世を 面白く

【PIW雑感】”母語の詩を滑る”ということ

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フィギュアスケートのプログラムで日本語の歌詞の良さ、世界を伝えることの大切さを改めて実感した今年のプリンスアイスワールド。 最初テーマを聞いた時はチープなプログラムになってしまうのではないか、と懸念していた。 が、蓋を開けてみれば割とすんなりと受け入れることができた。 横浜ではツアーの序盤ということもあって、まだ馴染まない部分もあったが、地方公演を経て今回の東京公演でグループナンバーとしてのまとまりが出てきたことによってより曲の世界観に集中することができた。

世界観に集中、とはどういうことか。 千秋楽を観て改めて思ったことがある。 町田くんの言っていた「感情はスピードにのせて」というのが、今回のPIWのグループナンバーでも存分に活かされていたのではないかと。 感情と共に歌詞の意味や世界観がスピードに乗って、場面転換という形を生み出していく。 舞台セットがない表現の世界で受け手に場面の想像をしやすくするにはスピードという点でこれはフィギュアスケートだからこそできる手段なのだと。

もっともわかりやすかったのがなんといっても「Time goes by」「糸」 (ハナミズキも良かったのだけど、歌詞が日本語じゃなかったのがちょっと残念だった) どちらもバラードである。 バラードだからこそフィギュアのスピードが活きてくるのかもしれないな。

「Time goes by」は照明の色の使い方が素敵だった。 横浜の時には気づかなかったけれども、東京の時に灯体を見ていたら青と赤を使っているので、ふと「この曲には赤よりも濃いピンクのほうが合いそう」と思っていたのだか、リンクを見ると綺麗に混ざり合ってその「濃いピンク」になっていた。 ああ、銀盤を使っての舞台ってこういうこともできるのか。 氷のキャンパスとはよく言ったもので。 あとこのプログラムでは所々に手話を振り付けにして歌詞を視覚化していたのも良かった。 世界に一つだけの花でも同じ試みをしていたのは印象深かった。 これも一つの歌詞の視覚化の表現の仕方かな。

「糸」は最初に観た時から本当に好きなプログラムだった。 フィギュアスケート本来の優雅さがとても出ていて、かつ歌詞のもつ強かさやアイスダンスカップルの絆のようなものも表現されていた。 特に「縦の糸はあなた 横の糸は私」の表現はシンプルで好き。 プログラム全体の空気、振り、演者の空気、どれを取っても「うっとり」という言葉で片付けちゃいけないけど「うっとり」していた。 千秋楽の演技は「最後」というのもあったからか、本当に一番の演技であったと思う。 涙が止まらなかった。 船橋さんが最後と聞いていたからというのもあっただろうし、演者も最後というのがあってより心を込めた演技だったからというのもあるかもしれない。 (後で春木さんも卒業と知って納得) これが最後って時の演技って本当誰の演技でも胸を打つものがあるのだなぁ・・・。 終わった後の「余韻」というものがある。

もう一つ涙が止まらないプログラムがあった。 これは歌詞なしでゲストの演技だが樋口新葉選手の「白夜を行く」 これは色々な感情が入り混じってしまったな。 正直樋口選手がここまで感情を込めて滑れるスケーターだと思っていなかった。 試合の時もあまり余韻を残さないところがいつももったいないと思っていただけに、このプログラムを滑ることによって一気に大人になった印象を受けた。 町田樹くんの白夜行の世界にリンクする部分も感じるからか、同じ物語の視点違いの物語を感じたのもまた引き込まれる要因だったか。 町田くんが滑ったプログラムだから感動したわけではなくて、樋口選手なりの解釈で、また新たな白夜行の世界を表現していったことに感涙した。

ゲストスケーターの中では山本草太選手もまた大人な顔を見せてくれた。 シニアにあがるということもあって、大人っぽい雰囲気になってきたのもあるけれど、なによりもスケーティングの良さ、イーグルの美麗さに見惚れてしまった。 シニアでどこまで切り込めるか、今シーズン楽しみにしている選手の一人でもある。 もっともっと表現力も磨かれていけばシニアでも本当に良い選手になるだろうから楽しみだね。

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