2009年12月28日
「鐘」を滑り終えてほっとした表情を見せる浅田真央を見ながら、期待通りの見事な復活を可能にした想像を絶する練習の日々を思った。
ショートプログラムで浅田がトリプルアクセルを跳び、下りた瞬間から個人的には浅田の全日本四連覇を確信していた。結果的には回転不足をとられたが、浅田にトリプルアクセル成功の手応えが残ったことが、最も重要な事実だったと考える。
トップアスリートの浅田が、普通の十九歳でないことは良く分かっているつもりだ。しかしどん底ともいえる苦境から、二か月でここまで調子を取り戻し、しかも一発勝負の大舞台で力を出し尽くせる能力が、まだ素顔にはあどけなささえ残る浅田のどこにあるのか。全日本での復活を信じながらも一抹の不安を拭えずにいた私には、今も信じられない思いが残る。ライターとして正しい姿勢かどうか分からないが、浅田に関しては心底手放しで賞賛することをお許し頂きたい。
不調にもかかわらず自分の信じる道を貫いて全日本を迎えた浅田だが、大一番での勝負のためにフリーで二度のトリプルアクセルのひとつをダブルにするという決断もしている。絶対に勝つための戦略として、臨機応変な対処が出来るようになったことも、浅田の新しい強さかもしれない。
「鐘」は磨かれて戻ってきた。浅田自身語っているように、ジャンプが決まればプログラム全体が輝き出すのだろう。全日本で見せた「鐘」は完全に浅田真央のプログラムになっていた。浅田は音楽の重厚感に押しつぶされるどころか、重い旋律を背後に従えて堂々と滑っていた。高いレベルで競っている試合の中で、やはり「鐘」は別格だったと私は思う。
しかし、同時に「鐘」は今も進化の途上にあると考える。あくまでも映像から受けた個人的な印象だが、どうしても勝たなくてはならないこの試合で「鐘」を滑る浅田には、時折冷静さが見えたような気がするのだ。「鐘」の世界に浸り切り、跳びたいジャンプを全て成功させたとき、バンクーバー五輪の会場には浅田真央にしか描けない新たな世界が広がるに違いない。
posted by satoko |11:59 |
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2009年12月21日
「五輪に来るのは分かっている」
キム・ヨナは浅田真央についてそう語ったという。
今季は不調に苦しむ浅田だが、キム・ヨナはジュニア時代から競ってきた好敵手がバンクーバー五輪に出場することを確信しているようである。アジアの優れたスケーター二人による、最高の舞台での勝負を待ち望む思いは、観る者だけでなくキム・ヨナの中にもあるのではないだろうか。
25日から全日本選手権が開幕する。ロシア杯から二か月ぶりに、浅田が試合に出場する。トリノ五輪の代表選考試合となった四年前の全日本選手権は、今までに取材した中で最も緊迫感のある、レベルの高い試合だった。当時は年齢制限により代表候補に入っていなかった浅田は、今回代表選考の真ん中で全日本選手権を迎えることになる。二か月という時間が浅田の滑りをどう変えたのか。浅田はバンクーバー五輪にかける思いを全日本選手権でいかに滑りに生かすのか。
震えるような緊張が、テレビの前の私にも走るだろう。五輪シーズンの全日本選手権、また伝説となるような名勝負の予感がする。
posted by satoko |11:57 |
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2009年12月14日
カナダの勢いが止まらない。
11月27日~29日、カナダ・モントリオールで開催されていたシンクロナイズドスイミングのワールドトロフィで、カナダがロシアを抑えて優勝した。結果の数字から状況を知ることしか出来ないが、揺るぎない強さを誇っていたロシアをカナダが上回ったという衝撃は非常に大きい。もちろん地元開催という強みがカナダにはあり、芸術面だけで競うワールドトロフィでの結果は単純に世界選手権や五輪と比較することは出来ない。しかし、スペインが過去のワールドトロフィで自信をつけて悲願の五輪でのメダルを獲得したことを思うと、今後古豪カナダが世界選手権・五輪で表彰台に戻ってくることは、充分予想されることである。
立花美哉さんが2009年・世界選手権の際ブログで書かれていたところによると、カナダの躍進は姉妹コーチの指導によるものであるらしい。強かった時代にカナダを指導していた姉とシルクドソレイユにいた妹が、ワールドトロフィでもカナダを率いていたのであれば、コーチの力が一気にカナダを世界トップレベルに押し戻したことになる。シンクロにおけるコーチの存在の大きさを、改めて思い知らされた思いがする。
ちなみに日本は5位という成績だった。09年・世界選手権代表が誰もいないメンバー構成とはいえ、日本は表彰台に乗れない定位置におさまってしまったのではないかという感じはぬぐいきれない。
posted by satoko |11:58 |
シンクロナイズドスイミング |
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2009年12月07日
霧降アイスアリーナは立ち見も出てほぼ満員の盛況だったが、アイスバックスの連勝は3で止まった。
前日競り勝った王子に完封負けを喫したこの日のアイスバックスは、攻め込まれる場面が多かった。アイスバックスFW・内山朋彦は、19と少なかったシュート数について語った。
「王子も昨日より全然良かったんで…もうちょっと打ちたかったですね。打てればもっと展開も変わったと思います」
「点数とれなくて波乗れなかった」と敗因を語った内山は、前日の第1ピリオドだけでハットトリック達成という活躍について問われると「びっくりですね」と笑った。
「自分にパックきてたんで、決められて良かったなっていう感じです」
「点数入ると気持ち的にもどんどん上がっていくんで」と語る内山には、アイスタイムが長いこともいい方向に作用しているという。
「常にアイス乗ってるのは大きいと思います」
次に対戦するHIGH1は、12/7現在プレーオフ出場圏内ぎりぎりのリーグ四位。五位にいるアイスバックスにとり、非常に大事な対戦となる。
「次のHIGH1三連戦が一番山なんで…そこを悪くても二勝一敗、出来れば三連勝したいっていう気持ちで。チームもみんな分かっているのでいけると思います」
レギュラーリーグは後半戦に入っている。
「チームが一試合一試合レベルアップしてるの分かるし、悪いときもありますけど、徐々に徐々にいいチームになってると思います」
「この二試合はチームとしていい戦い出来たと僕は思いますし、後はちょっとのミスで入れられてるんで、そこを修正していけばもっとチームの総合力もアップしていけると思うんで」
第1セットのFWという、現在の立場も自覚している。
「一つ目で、点数とらなきゃ駄目なセットだし」
「チームが勝つためにセットで一点一点入れていきたいと思います」
「小さなミスからの失点と、アンラッキーな失点だったんですけど…小さなミスをもっと少なくしていくことだと思います」
アイスバックスのFW・鈴木貴人は敗因を語った。
「昨日いい試合して勝っても、気持ち新たにして今日も臨まなきゃいけないし、今日負けても次どんどん試合くるんで、ずっと頭下げてるわけにはいかないんで。ほんと、勝っても負けてもここは気持ちをすっきり切り替えて次に向かわなきゃいけない時期じゃないかなと思います」
修正すべき点について問うと、鈴木はパワープレーとミスを挙げた。
「今日はうちのパワープレーのときに相手がかなりアグレッシブにきてたんですけど、やっぱりそこで点数とれないと勝てないんで、そこを修正していかなきゃいけないかな。後は細かいミスをなくすようにしてかなきゃいけない」
万全の体ではないが、「今シーズン中なので、どんな状況でもいつも勝たなきゃいけないと思ってますし、どんな状況でも少しでもチームに貢献できればと思ってます」と鈴木は覚悟を滲ませた。
プレーオフ進出を目論むアイスバックスは、正念場を迎えている。
posted by satoko |12:09 |
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2009年12月05日
キム・ヨナのフリップジャンプがシングルになった瞬間、完璧な「007」を期待していたことに気がついた。
予兆はあった。六分間練習でもジャンプに少し不安を抱えているように見えたキム・ヨナは、演技直前の練習でジャンプを試みて転倒した。観客席の私には、「珍しいね」という声が聞こえた。
二階席から見る限り、キム・ヨナの唯一の弱点かもしれないフリップの失敗以外に大きなミスはなかった。しかし、今までと同じように素晴らしいはずのステップさえ精彩を欠いているように見えてしまうのは何故だろう。キム・ヨナの周囲には、不安が漂っているように感じられる。「007」は、完璧でない限り失望されるプログラムになってしまったのではないだろうか。
絶賛されているショートプログラム「007」において、五輪前最後の公式戦で初めてのミスをしたことが、キム・ヨナにとってバンクーバーでプラスとなるのかマイナスとなるのかは分からない。ただ、フィギュアスケートというスポーツで「完璧」な演技をする難しさ、そして五輪シーズンを通して「完璧」な演技を要求されるキム・ヨナの状況の過酷さだけは理解できた気がする。
posted by satoko |02:15 |
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