2009年09月28日

日本シンクロは何処へ

日本のシンクロは何処へ向かっているのだろうか。

27日、国立スポーツ科学センターで、2009年度下半期前半代表派遣選手選考会が行われた。メダルなしという結果に終わった7月・ローマでの世界選手権に出場した代表選手11名のうち、実に6名を欠いた選考会だった。

理由は分からないが、今回シンクロ委員会はFINAワールドトロフィーではなくアジア選手権にベストメンバーを派遣する方針をとった。また選手の大型化を図ってか、アジア選手権の代表には身長162センチ未満の選手は最大2名までとする身長制限を設けている。世界選手権代表選手の引退が相次いでいるのはこの基準も一因であるらしい。更に、代表の強化方法が全てのクラブに受け入れられている訳ではなく、今回のアジア選手権代表に日本のトップ選手が全て入っているとはいえない。

五輪・世界選手権でメダルを獲得し続けてきた日本が、一度も表彰台に上れないという屈辱を初めて味わった今、正念場にあることは間違いない。ロンドン五輪まで、一丸となって進めば挽回は可能かと思うが、残念ながら今の日本シンクロには明るい兆しが見えない。

三重で行われた新体操の世界選手権で、日本は個人も団体も見事な戦いぶりを見せた。上層部と現場の指導陣が一丸となって、地元開催の大会を目標に前進してきたことがひしひしと伝わり、今の日本シンクロと比較してうらやましさすら覚えた。思えば、2001年・福岡での世界水泳選手権で立花美哉・武田美保のデュエットが獲得した金メダルは、日本シンクロが総力を結集した輝かしい結果だったのだ。

どうしたら強くなれるのか、必死になって模索してほしい。偉大な先人の声に謙虚に耳を傾け、若いコーチが力を発揮できるようにサポートして頂きたい。私はシンクロ関係者ではない一介のライターに過ぎないが、日本シンクロがこのまま沈んでいくことにはどうしても耐えられない。

国立スポーツ科学センターのロビーには、世界大会で日本シンクロがメダルを獲得した際の水着が展示されていた。今正しい方向へ進まなければ、この栄光は全て過去のものとなってしまう。選考会で見た若い選手の大きな可能性を、大事に育てていける環境づくりを望んでやまない。

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posted by satoko |17:22 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年09月14日

それでも、ベッソノワは美しい

アンナ・ベッソノワは本当に素晴らしい。ベッソノワのメダルが何色であろうと、その演技の価値が揺らぐことはない。

三重で開催されていた新体操の世界選手権で、前女王のベッソノワは個人総合で三位に終わった。しかし、最後の種目であったというリボンは、ベッソノワの新体操への思いが伝わってくる気迫溢れる名演技だった。会場中が魅了されたことが、テレビで見ていてもよく分かった。

素人目にも決して完璧という演技ではなかったと思う。しかし、ベッソノワの真価は点数に反映しきれないところにある。点数が表示されると、悲しげな表情のベッソノワを会場のブーイングが包み込むという光景を、何度も過去に見てきたような気がする。それでも自らの信じる新体操を追求し続けてきたベッソノワが、2007年の前大会でやっと手にした金メダルには、大変大きな意味があった。

今大会、大きなミスもあり苦しい戦いが伝えられてきたベッソノワ。再び頂点に立つことは出来なかったが、自分の新体操が観衆の心を揺り動かした手応えを、最後の種目・リボンで得たことは確かだと思う。鬼気迫る表情で演じていたベッソノワは、演技の最後では笑っていたからだ。

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posted by satoko |11:57 | 新体操 | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年09月07日

日本人であるということ

「こんな私でごめんなさい、とずっと心のどこかで思いながら、舞台に出ていました」

今日の朝刊(朝日新聞グローブ)に、日本が誇るバレエダンサーである吉田都さんの記事が載っていた。西洋芸術であるバレエの最高レベルを極める吉田さんは、常に日本人である自らの体型に劣等感を持ってきたという。しかしそのコンプレックスは、磨き抜かれた技術と同時に「つつましさ」という個性となって、吉田さんの魅力となっている、という趣旨の記事だった。

思い出したのは、前シンクロ委員長・金子正子氏の話だった。1971年、20代の若いコーチとして米国に遠征した際、「水着姿で肉体をさらすシンクロは、小さく筋張った柔軟性のない体の日本人に全く向かないスポーツなのではないか」という劣等感を持ったという。しかしその劣等感を、科学的なトレーニングと「スポーツシンクロ」を極めることで克服していく。

大型化する世界のシンクロスイマーのなかでは、日本は明らかに小さいし、手足の長さでは勝負できないところがある。身長制限で大きな選手を選ぶのももちろん選択肢ではあるのだろうが、日本シンクロは何を目指すのか、何を表現したいのかを明確にして演技を創ることも重要かと思う。

英ロイヤルバレエ団のプリンシパルとして、表現に個性を求められた吉田さんは、悩み抜いた末、日本人である自分の精一杯を見てもらうという心境に至ったという。吉田さんの踊りがバレエの本場で最高級の評価を受けているのは、鍛え抜いた技術と苦悩が昇華された結果としての表現力を持ち合わせているからなのだろう。

次の世界大会では、「これこそが日本シンクロ」と思える演技が見たい。

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posted by satoko |12:05 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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