2009年07月26日

惨敗という現実

惨敗という言葉を使わざるを得ない。ローマ大会は、シンクロ日本代表にとり初めてひとつもメダルを獲得できなかった世界選手権となってしまった。

最後の種目、チーム・フリールーティン決勝をテレビ観戦する。厳しい状況の中力を出し切った若い日本代表は健気で応援せずにはいられなかった。日本の演技に大きな破綻はなかったが、迫力には欠けていた。日本の上位に入った国に較べると、演技が小さかった印象がある。体が小さいだけでなく、大きく見せる動き方も徹底していなかったように思う。

シンクロという水着姿で体のつくるかたちを競う競技において、肉体面で決定的なハンディを背負う日本が、それでも強豪国であり続けたのは、技術と同調性を磨き続けてきたからだ。強い日本の前提となっていた正確さが崩れた今、日本は世界で戦うための武器を失ったと言ってよい。丸腰の若い日本にとってローマが屈辱の地となるのは、自明の理だったのかもしれない。

日本シンクロの伝統であった技術・同調性を再度身につけると同時に、進化し続ける世界に学ぶことも必要になるだろう。今は中堅国となった現実を直視し、上位国にあって日本にないものを謙虚に探らなくてはならないと思う。その上で、どうしたら日本は上に行けるか、進むべき方向をはっきり決めなくてはいけないだろう。

冷静かつ客観的に敗因を分析して今後の対策を練ることが大切であると同時に、強くなりたいという情熱も不可欠であると考える。過去日本を表彰台の常連国たらしめてきたのは、金子正子氏と井村雅代氏、二人の偉大な指導者のシンクロへの情熱に他ならない。並み外れた熱意がなければ、今やロンドン五輪のチーム種目への出場も危ぶまれる状況まで落ち込んだ日本を立て直すことは出来ないに違いない。

ローマにさえ出向けない立場のライターが偉そうなことばかり書いてしまった。しかし、強い日本への誇りに支えられてシンクロの取材を続けてきた者として、日本の復活を強く願わずにはいられない。厳しい道程であることは間違いないが、今から真摯に取り組めば、ロンドン五輪の表彰式で日の丸を見ることは可能だと信じている。

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posted by satoko |11:50 | シンクロナイズドスイミング | コメント(2) | トラックバック(0)
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2009年07月25日

期待の若手デュエット、6位という結末

「自分たちの演技が子どもに見えてしまったと思う」
乾友紀子は世界水泳選手権(ローマ)のデュエット・フリールーティン決勝の演技後そうコメントしたそうだが、テレビでもその言葉と同じ印象を受けたと言わざるを得ない。

乾・酒井麻里子が泳いだのは、北京五輪で原田早穂・鈴木絵美子が演じて銅メダルを獲得したプログラムであり、技術・体力・芸術、全ての面において高度なものだ。モダンな「日本らしさ」を表現するこのプログラムには個人的にも思い入れがあり、ローマで若手ペアが泳ぐと聞いたときから楽しみにしていた。決勝での彼女たちの演技からは気迫と必死さが伝わってきたが、それは逆に言えば泳ぐのに精一杯で演じ切るところまでいっていないということだろう。難しいプログラムを初の大舞台で泳ぎ切った二人は本当に頑張ったと思う。しかし同時に、原田・鈴木、そして酒井を東京シンクロクラブで育てた金子正子前シンクロ委員長から聞いた、原田・鈴木のような魂の入った筋肉の動かし方がまだ乾・酒井には出来ない、という言葉がやっと理解できた気がする。デュエット代表が決まったのは五月の日本選手権最終日だった。難しいプログラムを若い二人が自分のものにするには、与えられた時間が短すぎたのではないだろうか。

乾・酒井は誰からも好感を持たれるであろう爽やかな若手デュエットだ。伸びやかな演技と綺麗な脚からは大いなる可能性が感じられる。しかし、ローマの舞台を踏んだ二人を見て感じたのは、未完の大器に点が出るほど世界選手権の舞台は甘くないということだ。年齢にかかわらず、国の代表として自らは完成品であるという自信に溢れたスイマーたちが、迫力ある演技で日本を上回る点をたたき出した。日本のデュエットには可憐な魅力があったが、それは逆に言えば力強さがないということでもある。

あくまでも個人的な感想だが、日を追うにつれ日本への採点が辛くなっているように感じる。メダルは当然と見られてきた日本の伝統を背負い、灼熱のローマで戦う若い日本代表は流れに逆らって泳ぐような苦しさを強いられているのだろう。

金メダルを獲得したロシアの新しいデュエット、イシェンコ・ロマシナ組は大変魅力的だった。長く世界に君臨し続けたダビドワ・エルマコワの無機質な正確さとはまた違い、長身の二人ならではのスマートで「かっこいい」演技に、世界のシンクロの進化を感じた。

乾・酒井は世界のトップの演技を肌で感じたことだろう。冒頭の言葉からも、彼女たちが自分たちの弱点を冷静に分析していると思われることが救いだ。ローマでの屈辱がきっかけとなり、未完の大器が見事に完成することを強く願う。

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posted by satoko |14:48 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月24日

ソリスト足立、ローマでのほろ苦いデビュー

テクニカルルーティン(以下TR)予選から始まり、ソリストとしては世界水泳選手権(ローマ)で四回目の登場となったフリールーティン(以下FR)決勝で、足立夢実はようやく自分らしい演技が出来たように見えた。それと同時に、世界のトップ選手との差もはっきりしたといえるだろう。

テレビ画面で見るだけで暑さが伝わってくるような強烈な日差しの下、プラットホームに歩み出てきた足立はいい表情をしていた。演技自体も、「もっと高さが出るのかな」と感じる部分もあったが、足立としては精一杯泳ぎ切ったように見えた。「オーメン」の暗く重い旋律に乗って独特の世界を展開し、足立夢実というソリストは世界にある程度のインパクトを残せたのではないだろうか。

しかし、金メダルを競ったイシェンコ・メングアルと較べると、登場するだけで会場の空気を支配する、というところまでは足立は達していないことが、テレビ画面を通してでも感じられた。まだ知名度が低い足立としては、メダルをとるためには技術なり表現なりで審判を驚かせることが必要だったのだろう。ローマでの足立の成績は、TR・FRともにメダル圏外の5位に終わった。

日本にとっては流れが悪くなっているローマで、たった一人泳いだ足立の重圧ははかりしれない。しかし、ソロ決勝での足立の凛々しい表情から、彼女が戦い抜いた手応えだけは得たと信じたい。ローマでの経験を生かし、次に日本代表ソリストとして世界の舞台に立つときは、一回り大きく見える足立夢実であってほしい。

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posted by satoko |15:30 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月23日

日本の魅力は何か

スペインの奔放さ、中国の華麗さを楽しみつつ、日本の魅力は何だろうと考えざるを得なかった。

世界水泳選手権(ローマ)、シンクロのフリーコンビネーション決勝をテレビ観戦する。フリーコンビネーションはシンクロの中で最もエンターテイメント性の高い種目であり、各国がそれぞれの特徴を生かした演技で楽しませてくれた。しかしあくまでもメダルを競う競技である以上、観客を沸かせるための工夫はすなわち勝つための戦略となる。

ロシアが出場しなかったこの種目は、ロックの名曲(レッド・ツェッペリン「天国への階段」)に乗って泳ぐスペインと、バレエ「白鳥の湖」を水上で再現する中国の一騎打ちとなった。

井村雅代前中国代表ヘッドコーチによるルーティンとはまたひと味違う、中国の「白鳥の湖」の評判は聞いていた。中国選手の美しい手足が十二分に生かされ、アジアの国でもこれだけ美しいバレエが演じられることを誇りに思うほどの出来栄えで、確かに名ルーティンとして今後も語り継がれるであろう素晴らしいものだった。最後の白鳥のポーズは記憶に残り続けるだろう。

しかし、個人的にスペインの演技には魅了された。決して完璧な演技ではなかったが、選手たちがこのルーティンを自分たちのものとして心から表現しようとしていることが伝わってきたからだ。選手たちが自ら選んだというドラマチックなロックに、スペインらしい力強い動きが見事にはまり、特にメングアルのソロパートは圧巻だった。

ロシアがいなくても展開されたハイレベルの金・銀メダル争いに、日本が参加していなかったことが残念でならない。以前から代表が泳いでいる「ル・レーブ(夢)」は、派手さはないが個人的には好きなルーティンだ。しかし、やはり高い技術があって初めて点が出るルーティンであることを思い知らされた。あくまでもテレビで見ての印象だが、ローマで懸命に泳いだ新生日本代表にも日本らしい堅実さは感じられたものの、スケールが大きい演技とまではいかなかったように思う。

あくまでも私見だが、日本を上回った全ての国と日本の違いは、楽しみながら自分たちの魅力をアピールできたか、そうではないかという点につきるような気がする。日本代表のきまじめな雰囲気は長所であるが、「魅せる」ことが大事なフリーコンビネーションという種目において、今回は特にマイナスに出てしまったような気がしてならない。

スポーツにおいて「楽しむ」という言葉をどう使うのか、日本では議論の種になったこともある。今大会のスペインは、女王ロシアへの挑戦者という立場も含め、本当の意味で大舞台を楽しんでいるように見える。それは、彼女たちには自信を持ってアピール出来る独特の魅力があるからだろう。大会前にスペインはそれを身につけてきたのだ。

日本の魅力は何なのか。もし確信を持てないままでローマに臨んでしまったのだとしても、最後の種目までそれを探る努力だけはしてほしい。ローマが日本にとっては辛い舞台のままで終わるにせよ、何かをつかんで帰らなければ次も同じことが繰り返されるに違いない。

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posted by satoko |14:45 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月22日

ローマでの厳しい戦い

なかなか書きづらいのが正直なところだが、現実はしっかりと見つめなくてはいけない。

ローマで行われている世界水泳選手権で、シンクロ日本代表は未だメダルをひとつもとれていない。今まではこんなことはなかった、と思うと同時に、日本がメダルをとるのが当然という意識があったことにも気づく。

金子正子前シンクロ委員長に日本シンクロの歩んできた道程について伺った経験から、常に壮絶な努力があってこそのメダル獲得だったことは理解していたはずだったが、何処かで日本は表彰台の常連であり続けると信じていた。世界選手権前に国際大会で日本代表に出された点数からも、今回のメダル獲得は非常に厳しいと頭では分かっていたにもかかわらず、落胆している自分がいる。

そのなかで、デュエット・テクニカルルーティン(以下TR)で泳いだ乾友紀子・小林千紗組には希望を見せてもらった気がする。未熟さもある彼女たちの泳ぎには、しかし堅実にきっちりとまとめる伝統的な日本の良さがあったと思う。テレビで見た決勝の舞台に出て行く乾の表情からは、苦境のなか精一杯自らの務めを果たそうという気概が感じられ、胸が熱くなった。

個人的に期待していた足立夢実は、ソロ・TRで5位に終わった。大変残念な結果であるが、予選よりひとつ順位を上げたことも評価したい。フリールーティンにこそ、独特の表現が出来る足立の真価が出るはずだ。足立の良さを充分に見せる演技を期待したい。

若い日本はこれから伸びていく、という予感だけは、ローマで是が非でも残さなくてはいけない。灼熱のローマでの過酷な戦いだが、日本代表には誇りを持って最後まで戦いぬいてほしい。

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posted by satoko |17:15 | シンクロナイズドスイミング | コメント(0) | トラックバック(0)
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2009年07月20日

新生日本代表、苦難の船出

 予想はしていたが、やはりローマは新生日本代表にとり厳しい舞台となったようだ。

 世界水泳選手権(ローマ)・シンクロは、チームテクニカルルーティン(以下TR)から幕を開けた。正確な技術と同調性を誇ってきた日本が得意だったはずのTRだが、今回はメダルに届かなかった。素人の私がテレビの画面で見る限りでは、要素のなかではっきりと同調性を欠いたのが分かったのは 「ノバ-1回ツイスト-コンティニアススピン」の部分だけではあったが、以前の日本のような「一糸乱れぬ」という演技ではないことも伝わってきた。ロシアやスペインとは格が違ってしまったことは、認めざるを得ない事実だ。日本選手権で見たときも、チームTRについては良くない出来だったため危惧していたが、悪い予感が当たってしまった。

 五輪後はどの国でも代表選手の世代交代があるが、日本はいつもそこを上手く乗り切り、絶対にメダルを手放さずに踏ん張ってきた。今回は五輪の代表選手が一人も残らず、特に一気に若返った新生日本チームであることは確かだ。しかし実際問題として、北京五輪に続きメダル圏外に出てしまったことは、採点競技であるシンクロにおいては非常に大きい後退であるといえる。

 新生日本には若さと可能性がある。このローマでの5位という格付けは、ロンドン五輪でのメダル獲得を目指す彼女たちにとり、大きな壁となることは間違いない。しかし、指導陣と選手たちが全身全霊で取り組めば、再び五輪の表彰台に上がることも不可能ではないと考える。まだロンドン五輪までには時間があるのだ。とにかくフリールーティンでは、気持ちを強くもって伸び伸びと泳いでほしい。

 メディアの端くれとして、私も今は5位という結果を真摯に受け止めたいと思う。

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posted by satoko |17:10 | シンクロナイズドスイミング | コメント(4) | トラックバック(0)
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